Muv-Luv〜wing of white steel〜   作:lancer008

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第六十八話

午後から休みということもあり、午前中はシミュレータをする者や荷造りをする者で別れていた。整備員は機体のメンテナンスを完了させ、格納庫内の掃除や片付けを行なっていた。そんな中、あるシミュレータルームでは白熱した戦闘が起きていた。

 

黒鉄「ランサー1から各機へ、無理に格闘戦を仕掛けるなやられるぞ!」

 

「こちらランサー2、後ろにつかれた。誰か援護を!」

 

モニターを見ていた衛士達は何かに取り憑かれたように見ていた。

現在行われているのはランサー隊とセイバー隊との模擬戦闘である。きっかけはある衛士からの一言だった。

 

「ランサー隊て本当に強いのかな。戦っているところ1回も見たことないんだよな。セイバー隊とは何回か一緒に戦ったことがあるからわかるけど」

 

実際、ランサー隊はどの隊よりも実戦経験が少ないのが事実である。特殊部隊という都合上、おいそれと表舞台に出ていないのも理由の一つである。

ただし、特殊部隊という事で一般部隊には課せられない任務を行なっているのも事実だ。例としては先のクーデター事件での重要人物の救出・護衛などだ。このように戦場で見ないからといって弱いわけではない。

 

伊藤「セイバー4!後ろにつかれたぞ、引き離せ!」

 

「了解!」

 

可変機同士の対決、戦術機よりも強い圧力を受けながらも素早く動く光景は見るもの全てを圧倒した。そんな時、進藤と堂上が話しながら入室してきた。

 

進藤「お!中佐と少佐とでやってんのか」

 

堂上「珍しいですね」

 

「何が珍しいんですか?」

 

堂上「職務上、一緒になる事も殆ど無いからな」

 

進藤「確か前に一度だけあったな、いつだっけかな?」

 

堂上「中佐が特殊部隊に入った時じゃないか?」

 

進藤「そうだったな。あの時は確か〜、あれか」

 

堂上「あれですね」

 

「あれとは?」

 

進藤と堂上は顔を見合わせ

 

進藤「中佐に聞いてくれ」

 

勝敗が決まったのか歓声が沸き起こった。

結果は伊藤が勝利した。機動力を生かした戦法で黒鉄を圧倒した。

 

黒鉄「久しぶりに負けたな」

 

伊藤「機体のお陰もある。こいつはいい機体だよ」

 

突然、堂上がマイクを手に取った。

 

堂上「中佐、今度は我がガード隊とやって頂けませんか?」

 

黒鉄「ああ、やろうか」

 

それから各部隊から申し出があるたびに黒鉄は模擬戦闘を行った。

午後に入っても模擬戦闘が行われたが、休みに入ったため帰省する者も出始めた。午後3時を回ると黒鉄にも疲れが出始め次ので最後となった。黒鉄は始まるまで待機していると自チーム欄に"セイバー"の文字があった事に驚いた。

 

黒鉄「どうした伊藤?」

 

伊藤「次の相手はデルタ大隊対ランサー・セイバー合同チームだよ」

 

黒鉄「最後の最後にきついのが来たな」

 

伊藤「それだけじゃないぞ。機体はジェスタだ。こちら仕様は無しで」

 

黒鉄「ステージは?」

 

伊藤「宇宙だ。勝敗としてはこちらは母艦がやられたら負け、あっちは全機行動不能だ。まあ、こっちは狙撃に警戒しつつ撃破するしかないよ」

 

黒鉄「そんな簡単に行かないだろう」

 

モニターにカウントダウンが表示された。

数字がゼロになった瞬間、両チーム一斉にスタートした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

午後6時、ある居酒屋

 

ある一部屋にいつものメンバーとも言える顔が集まっていた。その部屋にいたのは黒鉄と上総、唯依、ユウヤだった。

 

黒鉄「いや〜〜、疲れた。流石に10試合連続はきついよ。特に最後のは」

 

ユウヤ「最後ていうと、どことやったんだ?」

 

上総「私が率いるデルタ大隊とよ。数の差で有利と思ったんだけどね。まさか母艦も守らず直接来るとは思わなかっわ」

 

黒鉄「経験の差てやつだよ。それよりユウヤ、お前の方は大丈夫か?だいぶ唯依に絞られてると聞いたんだが?」

 

ユウヤ「そう………。本人の前ではいえねよ」

 

唯依「もう言っているようなものなのだが?」

 

ユウヤ「何にも言ってないだろう」

 

唯依「どうだか、それより伊藤は?」

 

黒鉄「もう少しで来るはずだ」

 

足音が聞こえてきた。戸を開ける音がした。

 

伊藤「すまん。遅くなった。途中で道を2、3本間違えてな」

 

ユウヤ「それより伊藤、紹介したらどうだ?」

 

伊藤「ああ、そうだな。今、俺が付き合っている……」

 

風間「国連軍横浜基地所属の風間 祷子です。皆さんよろしくお願いします」

 

伊藤「じゃあ、俺が簡単にこいつらの説明をしていくぞ。

じゃあ右の奥から名前は篁 唯依で階級は大尉、所属は斯衛軍白い牙中隊の隊長さん。性格は馬鹿みたいに真面目でユーコンにいた時、テストパイロットと喧嘩しまくった人で、その喧嘩相手だったテストパイロットがこのユウヤ・ブリッジス中尉、今は篁 祐也だったかな。所属は相手方の副隊長をやってます。性格は先程の方と同じです。

次にこちらの右側の方、名前は山城 上総、階級は准佐。所属は統合軍デルタ大隊アーチャー隊兼大隊長。射撃をやらせたら黒鉄でも勝てません。性格は意地悪お嬢様て感じかな。酒を飲むと悪酔いして手がつけられません。最後に黒鉄 達海、階級は中佐。所属は統合軍特殊作戦部隊で、結構死にかけてるけど必ず生きて戻ってくる不死身の人です。説明は終わりです」

 

伊藤と風間は空いている席に着いた。

すると風間が座った途端、上総と唯依が質問をぶつけていた。

そんな中、男性陣はゆっくりと酒を飲みながら話し始めた。特に多かった話しは先日のクーデターと横浜基地での戦闘だった。機密もある話しだが普通に黒鉄と伊藤は話した。その理由としてはこの店自体が統合軍で運営されている店だからである。他軍と違い、設立当初は自由に外食などもままならなかったため自由に話せる場所としてよく統合軍人達が通った。

 

男性陣は時計を見てそろそろ帰宅の時間だと思ったが女性陣の恋話が盛り上がり一向に終わる気配がしなかった。そのため先に1番遠いユウヤと唯依をタクシーに乗せ無理矢理帰らせた。風間は酒に強く伊藤ともに歩いて帰って行ったが、上総が泥酔しその場で寝る態勢に入っていた。黒鉄は伊藤と話しタクシーを呼ぶかどうか迷ったが自宅までそんなに遠くなかったため、黒鉄は上総を背負い歩いて帰った。

 

タクシーで先に帰っていたユウヤは運転手とともに唯依を肩に担ぎ家に入った。

 

ユウヤ「唯依、飲み過ぎだぞ。ほら飲め」

 

ユウヤは水を渡した。

 

唯依「すまんな。こんなに楽しく飲んだのは久しぶりだったんでな」

 

ユウヤ「そうだな。殆どが訓練でまともな休みも無かったからな。なら今度は部隊員みんなで来よう。次の作戦、必ず生きて」

 

唯依「そうだな」

 

 

 

 

 

 

 

黒鉄は上総を背負い歩いていた。

 

黒鉄「全く、飲み過ぎなんだよ」

 

上総「悪い?」

 

黒鉄「何にも」

 

黒鉄はあまり話さないように歩いた。そんな時、

 

上総「黒鉄、死ぬのは怖い?」

 

黒鉄「どうしたいきなり?」

 

上総「私は怖いわ。前衛にたっているわけでも無いのに。戦闘の後は必ずていうほどあの時の夢を見るわ」

 

上総が言っているあの時とは、京都防衛戦時に機体を喰いながら自身をも喰おうとしている戦車級の光景やその音である。

 

黒鉄「怖く無いとは言えないな。だが人はいつ死ぬかわからないんだ。今更そんなこと言ってられないよ。俺は衛士だ戦場で死ねるなら本望だよ。ただ………」

 

上総「ただ?」

 

黒鉄「どうせならBETAがいない世界でゆっくり生きられたらな」

 

上総「そうね。その為にも早くこの戦争を終わらせないとね………」

 

上総はまた寝出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、伊藤たちもまた同じことを話していた。

 

伊藤「風間、次の作戦必ず生きろよ」

 

風間「どうしたんですか?」

 

伊藤「次の作戦、俺の部隊は上陸部隊支援のため光線吶喊をする。今までに無いほどの激戦となる」

 

風間「わかってます。私も衛士です。覚悟は出来ています」

 

伊藤「そうだな」

 

 

 

 

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