Muv-Luv〜wing of white steel〜   作:lancer008

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第七十話

「バイパー隊、発艦準備完了次第、順次発艦した下さい」

 

山谷「こちらバイパー1、発艦準備完了、これより発艦する。各機へ発艦後、分隊ごと集合し月面基地周辺を偵察する。なお、新種BETAの能力は不明、交戦は極力避けろ」

 

「「「了解!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

艦橋

 

「バイパー隊、発艦を開始」

 

「BETA群に動き無し」

 

艦長「バイパー隊、発艦後、ファング隊も発艦を開始。デストロイド隊は警戒を厳に」

 

バイパー隊が発艦を開始した。

バイパー隊は分隊ごとに集結し、基地周辺へと向かっていった。数分後、バイパー隊より偵察写真が送られ、基地防衛用に配置されていた砲台は全て破壊され出撃ゲートも破壊されていた。

 

山谷「こちらデルタ大隊所属バイパー1、月面基地応答を。こちらバイパー1、月面基地応答を」

 

月面基地からの応答はなかった。

 

山谷「バイパー1からデルタ1へ、月面基地からの応答無し。並びにBETAは新種以外確認できず」

 

「こちらデルタ1、了解。引き続き監視を続けて下さい」

 

山谷「バイパー1、了解」

 

バイパー隊の報告が続いている中、黒鉄は考えごとをしていた。

 

黒鉄「(あれだけの砲台がある中、どうやってあそこまで近づいた。砲台は全て光線でやられている。光線級が近づけばすぐにアラームが鳴る。今まで地上でしか確認されなかった光線級が宇宙でも確認された。だが、バイパー隊からの報告では新種以外確認できていない。まさか…………………!)」

 

 

黒鉄が感づくのと同じ頃、艦長はバイパー隊に対し、基地上空への強行偵察を命令していた。

 

「バイパー6、7、加速を開始しました。2分後、基地上空を通過します」

 

艦長「ファング隊はどうか?」

 

「ファング隊、全機出撃しました。現在、月面に向けて降下中」

 

「バイパー6、7、間も無く基地上空………」

 

黒鉄が突然、

 

黒鉄「中止しろ!今すぐバイパー隊を呼び戻せ!ファング隊もだ!」

 

艦長「ちゅ、中佐どうしましたか?」

 

黒鉄「今すぐ、バイパー隊とファング隊に帰投命令を。俺の予想が正しければ………」

 

突然、飛行していたBETAから光が発せられ次の瞬間、バイパー6の右腕が吹っ飛び、火が出ていた。バイパー7はコックピット付近を撃ち抜かれ穴が開きバックパックから小規模な爆発が起こり始めた。

黒鉄はマイクを取り、

 

黒鉄「"WOWS"緊急出撃、繰り返す緊急出撃」

 

黒鉄は格納庫に向かって走った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

山谷「バイパー6、7大丈夫か⁉︎」

 

「こちらバイパー6、……右腕破損、バイパー7はコックピットを付近を撃ち抜かれました。………応答ありません」

 

山谷「全機突入用意、バイパー6、7を救出する」

 

黒鉄「待て!それはこちらでする。今すぐ帰投しろ!」

 

山谷「何故です!」

 

黒鉄「今までBETA相手に戦ってきた奴では無理だ。あれは今までの光線級とは訳が違う!今すぐ帰投しろこれは命令だ!」

 

山谷「………了解………」

 

 

 

黒鉄「こちらランサー1、出撃する。ランサー各機へ相手はBETAだが対人類戦で戦闘を行え。でなければ死ぬぞ」

 

「「「了解」」」

 

ランサー隊は出撃した。途中、バイパーとすれ違った。

 

黒鉄「全機兵器使用自由、各個に交戦を開始しろ」

 

「「「了解」」」

 

ランサー隊は攻撃を始めた。バイパー6、7がいる辺りから新種から光線が発射され始めたが、ランサー隊はそれを軽く避けながら攻撃を行っていた。

 

黒鉄「(射程は500から1000、対ナイトメア用てところか。だがそれぐらいなら簡単に避けれるな)。ランサー2、4、バイパー6と7を連れ離脱しろ。こっちは片付けたら後を追う」

 

「了解です」

 

黒鉄は殲滅を始めた。ファンネルを使い次々と新種を撃ち抜き、時間が経つにつれて新種の数が減った。

黒鉄は最後の1体を倒すとランサー3を連れ、デルタ1へ帰投した。

 

 

 

 

 

 

 

デルタ1の格納庫では整備員が慌ただしく動いていた。

今まさにバイパー7をコックピットから出し担架に乗せているところだった。黒鉄は機体から降り、先に帰投していたランサー2から状況を聞いた。

 

黒鉄「容態は?」

 

「厳しいですね」

 

黒鉄「そうか」

 

「隊長、艦長から全部隊長を集合させての緊急ブリーフィングがあるそうです」

 

黒鉄「わかった。すぐにでも出れる準備してはしとけ」

 

「了解」

 

黒鉄、ブリーフィングルームへと向かった。部屋に着くと既に黒鉄を除いた全部隊長が集まっていた。

 

艦長「揃ったな。まずは被害状況を頼む」

 

山谷「バイパー隊、7機中1機小破、もう1機が大破。衛士は1名が戦死。尚、戦闘には支障ありません」

 

バイパー7は、黒鉄が部屋を訪れる数分前に死亡が確認された。

 

艦長「わかった。黒鉄中佐、新種の報告をお願いします」

 

黒鉄「現在、わかっていることは飛行していること。射程は短いが連射できる光線を撃てること。移動しながら撃ってくるが速度は遅いです」

 

進藤「射程は?」

 

黒鉄「約1000てところだ」

 

上総「狙撃でなら確実に殲滅出来るけども時間がかかるわ」

 

葛城「アームズ隊も狙撃に参加すれば?」

 

狭間「出来なくはないが、確実に命中する保証はない」

 

新種に対しての対処法が定まらない中、黒鉄が声を上げた。

 

黒鉄「強襲作戦で行こう」

 

葛城「強襲ですか?」

 

黒鉄「そうだ」

 

葛城「ですが、我々はあの新種が排除されない限り降りることは……」

 

黒鉄「進藤中尉、第2部隊の運用方法は?」

 

進藤「大規模作戦時に軌道降下兵団とともに降下し地上部隊を援護、孤立した部隊への救援」

 

黒鉄「そうだ。今からそれをやろうとしているだけだ。もしこれが地球でだったら、倍の射程、倍の数の光線級を相手にしなければならない。地上に光線級が居るから降りられませんでは、俺たちが作られた意味はない」

 

上総「そうね。艦長、黒鉄中佐に一時的にですがデルタ大隊、全部隊の指揮権を委譲してもよろしいですか?」

 

艦長「許可する」

 

黒鉄「了解しました」

 

上総「それで作戦は?」

 

黒鉄「まず、第1フェイズは新種の射程圏ギリギリから艦砲射撃とアーチャー隊の狙撃、アームズ隊の射撃である程度、殲滅し我々"WOWS"とファング隊第1、2で光線吶喊を開始します。第2フェイズはファング隊第3、4、5はデストロイド数機と突入部隊を護衛し月面基地へ突入して下さい。その際、BETAが出現した場合は即座に殲滅して下さい。バイパー隊は周辺警戒を増援を確認した場合は、即座に殲滅を。

装備に関しては、ファング隊全機は高機動パックに換装。アームズ隊は主に長射程の兵装を装備。佐藤中尉、突入部隊全員にバトルスーツを装備、予備弾倉も持っていけるだけ持たせろ」

 

全員が黒鉄を見て話を聞いていた。

 

黒鉄「質問は?」

 

上総「無し!」

 

黒鉄「なら、準備を始めてくれ。出撃は今から40分後!」

 

山谷が部屋から出ようとした時、黒鉄が呼び止めた。

 

黒鉄「自分をあまり追い詰めるなよ」

 

山谷「わかってます」

 

山谷は格納庫へと向かっていった。

黒鉄も部屋から出ようした時、上総から呼び止められた。

 

上総「いいの?バイパー隊を前線に出さなくて?」

 

黒鉄「いいんだ。仲間の仇を討つために死に急ぐようでは困る」

 

上総「反感は買うわよ」

 

黒鉄「それでいいんだ。指揮官というのは」

 


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