Muv-Luv〜wing of white steel〜   作:lancer008

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桜花作戦
第八十一話


第八十一話

 

戦闘が終了してから5時間が経った。全部隊員が集まり緊急の会議が開かれた。

 

司令「先の防衛戦、よく守りきった。お疲れ様と言いたいところだが先程、UNCSC(国連統合参謀会議)から作戦が発令された。それは“桜花作戦”。今作戦の目標は《オリジナルハイヴ》の中枢にあたる“あ号標的”の破壊だ。今回、我が軍の役目は先駆けとしてオリジナルハイヴにある突入口"SW115"の確保、そして周辺に待ち構えている重光線級、光線級の殲滅だ。なお作戦、編成について黒鉄中佐から。」

 

黒鉄「司令からの話にもあった通り、今作戦はUNCSCから発令され、各国軍と共に攻撃を行い敵の心臓部を叩く作戦だ。作戦のおおまかな流れは、フェイズ1にて作戦総司令部の統率下にある各国軍による陽動が周辺のハイヴに対して行われる。それと同時にオリジナルハイヴに対して米国軍の軌道爆撃が開始される。次にフェイズ2ではデルタ1がフェイズ1にて行われた軌道爆撃の結果を考慮して数発のマクロスキャノンを発射した後、統合軍機動部隊、第2戦術機甲大隊、第3戦術機甲大隊、国連軍第1次降下作戦部隊とともに“SW115”に降下、周辺の確保並びに光線属種を掃討後、米国軍で構成された第2次降下作戦部隊が降下を開始。その後、ハイヴに突入。地下約2700メートル地点にある「広間」と呼ばれる場所から分岐しているルートを通り“い号標的”を目指す。フェイズ3では横浜基地を出撃した第3次降下作戦部隊と地球周回軌道上にて待機している国連宇宙総軍第3艦隊、戦術航空団第1部隊、第2部隊と合流したのち、“SW115”に降下する。第3次降下作戦部隊は凄乃皇を核とした部隊だ。その為、この作戦の勝敗はこの部隊にかかっている。尚、状況によっては戦術航空団第1部隊と2個戦術機甲中隊を凄乃皇に随伴させる。此処まで質問がある者は?」

 

坂井「我が隊の役目は護衛ということでいいのですか?」

 

黒鉄「ああ、そうだ。降下後は、デルタに着艦、反応弾を装備後、指定された場所へ攻撃を行ってもらう。」  

 

倉間「我々の隊はいつも通りですか?」

 

黒鉄「そうだ。」

 

進藤「敵の規模は?」

 

黒鉄「今までの数十倍だ。光線属種だけで最低でも数千はくだらないだろう。」

 

玄田「なら、重量オーバーギリギリまで弾薬を積むしかないですね。そうなると降下ポット1つに付き2機となりますが?」

 

黒鉄「今回はデルタ1に搭載する。ただし周回軌道上までは降下ポットを使い、戦術航空団全隊がデルタ1から発艦した後、収容する。空になった降下ポットはすぐに基地に降し、弾薬、推進剤を満載したのち周回軌道に上げる。この時、基地内にある全ての降下ポットも上げる。理由は言わなくても分かるな。」

 

進藤「ええ、使わないよう努力します。」

 

黒鉄「他には?」

 

黒鉄は辺りを見回し、

 

黒鉄「作戦の詳細は各自の端末に送信してある。編成については各部隊長に任せる。各部隊長は編成が決まり次第、自分に連絡すること。なお別件ではあるが基地内にある全通信機器の使用を許可する。以上だ。他に質問が無ければ解散する。」

 

黒鉄の言葉とともに各部隊長が隊員を連れ部屋を退出しはじめた。

黒鉄は何かを思い出し、神宮司を呼び止めた。

 

黒鉄「神宮司少佐、相談したい事があるので残ってくれますか?」

 

神宮司「わかりました。龍浪、先に隊室へ戻って皆と編成を考えておいてくれ。」

 

龍浪「わかりました。」

 

第2戦術機甲大隊ウォードック第2中隊長を務める龍浪 響中尉は神宮司の右腕として任務についている。

 

 

 

黒鉄と神宮司以外が退出を済ませると黒鉄は話し始めた。

 

黒鉄「1時間前、香月副司令から神宮司少佐を国連軍に戻してもらいたいと連絡がありました。理由としては上岡の戦死、白銀少尉の離脱に伴う戦力の低下にあるようです。」

 

神宮司「白銀少尉は何か怪我でも?」

 

黒鉄「いえ。凄乃皇の衛士に選ばれたようです。」

 

神宮司「それでその話をお受けになったのですか?」

 

黒鉄「いや、考えておくとだけだ。この作戦の前にむざむざ戦力を明け渡したくは無いのでね。」

 

神宮司「なら、話は終わりですね。こちらも編成を考えなければなりませんので失礼します。」

 

神宮司が席を立ち、扉に手を掛けた時、

 

黒鉄「神宮司少佐、貴女は出来るなら戻りたいのではありませんか?」

 

神宮司はこの問いに息を呑んだ。

本当の事を言うなら元いた古巣でこの作戦に臨みたい。だが、今は大隊長にもなり多くの部下を持っている。部下を置いていくという行為は出来ない。

 

神宮司「ええ、そうです。出来るなら私は国連軍に戻りたいです。ですが、どうしろと⁉︎私は大隊長です。部下を置いていくことは出来ません!」

 

黒鉄「そう言うと思ってました。龍浪入れ!」

 

すると扉がノックされ、

 

龍浪「龍浪 響入ります。」

 

黒鉄「龍浪、話は全部聞いていたか?」

 

龍浪「はい。」

 

黒鉄「神宮司少佐、本日付けで国連軍横浜基地所属A-01部隊への転属を言い渡す。そして龍浪 響大尉、第2戦術機甲大隊長代理に任命する。」

 

神宮司「待って下さい!私は隊を離れるとは言って…………。」

 

龍浪「神宮司少佐、大丈夫ですよ。みんな納得してますから。」

 

神宮司「えっ⁉︎」

 

龍浪は扉の斜め前に立ち、扉を開けた。開けたところ扉越しに話を聞いていた人が雪崩なように崩れてきた。その正体は第2戦術機甲大隊に所属している衛士だった。

 

神宮司「お前達こんな所で何をしている!さっさと隊室に戻って編成を………。」

 

「大丈夫ですよ少佐。」

 

「行って下さい。俺たちは大丈夫ですから。」

 

「なんたって少佐に鍛えられましたから。」

 

龍浪「これが俺たちの意志です。」

 

神宮司「お前達……………。」

 

神宮司は少し間を開け、

 

神宮司「第2戦術機甲大隊、全員いるか⁉︎」

 

「「「「「はい!」」」」」

 

神宮司「この作戦、皆とともに戦えないのは心惜しい。だが思いは皆と同じだ。この戦い必ず生きてまた会おう!龍浪、皆を任せた。」

 

龍浪「はっ!必ず全員生きて帰ります。」

 

神宮司は龍浪の左肩に手を掛け、

 

神宮司「頼む。」

 

黒鉄「では神宮司少佐、準備が出来たら第6格納庫へお願いします。龍浪大尉、神宮司少佐の代わりと補充要員はガード隊が補う。後で堂上に会っとけ。」

 

龍浪「中佐、自分は中尉ですが?」

 

黒鉄「代理とはいえ大隊長になるんだ最低でも大尉にしとかないと後々、面倒くさいことになるからな。」

 

龍浪「はぁ〜。」

 

黒鉄「わかったなら隊室に戻って編成を決めて来い。」

 

龍浪「了解。」

 

龍浪は隊員を連れ隊室に戻っていった。神宮司も準備の為、部屋へと向かった。

黒鉄は整備長へ内線を掛け、神宮司が搭乗していた心神からパイロットデータを抜く事と第6格納庫にある機体の搬出準備を頼んだ。そして、その足でセイバー隊の隊室へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

伊藤は戦術航空団に所属する小隊長以上の者と兵装に関する話し合いを行なっていた。既に編成については話し終わり、兵装に関してももうそろそろ終わる頃合いだった。

すると扉がノックされた。黒鉄が入室してきた。

 

黒鉄「伊藤、少しいいか?」

 

伊藤「ああ大丈夫だ。坂井、後は任せる。」

 

坂井「わかりました。」

 

黒鉄は伊藤を連れ第6格納庫に向けて歩き始めた。

 

伊藤「どうした?」

 

黒鉄「お前はどう思うこの作戦に関して?」

 

伊藤「早過ぎる。だが、それを超えることが起きてしまったという事だろう。」

 

黒鉄「そうだな。先程、正式に神宮司少佐の転属が決まった。それと機体の譲渡に関してもな。」

 

伊藤「例の機体、実戦経験は?」

 

黒鉄「無い。JIVESを使って訓練をした程度だ。どういうトラブルが出るかも分からない。それに基地内には動かせるような予備機は残っていない。」

 

伊藤「考えものだな。それでも作戦成功率が上がるなら譲渡するべきだろう。」

 

黒鉄「そうだな。」

 

伊藤「黒鉄、1ついいか?」

 

黒鉄「何だ。」

 

伊藤「緊急ブリーフィングの時、作戦の状況によってはうちと2個戦術機甲中隊を随伴させると言ったがセイバー隊は確定か?」

 

黒鉄「ああ。最悪の場合はセイバー隊だけを随伴させる。」

 

伊藤「わかった。全員に言っておく。」

 

黒鉄「頼む。」

 

黒鉄と伊藤は第6格納庫に入った。そこには国連軍の制服を着ている神宮司と整備長がいた。その後ろに多数の輸送トレーラーがあった。

 

黒鉄「整備長、準備は?」

 

整備長「準備完了だ。いつでも出せるぞ。」

 

黒鉄「すみません。忙しい中。」

 

整備長「どおってことない。それよりも必ずあのクソ野郎どもぶっ倒してくれ。」

 

黒鉄「ええ、必ず。」

 

黒鉄は神宮司を見て、

 

黒鉄「では行きましょうか。」

 

黒鉄と伊藤、神宮司は国連軍横浜基地へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒鉄と伊藤、神宮司は国連軍横浜基地の格納庫にいた。この格納庫は先の戦闘で運良く破壊されることなく稼働している格納庫だ。そしてA-01の面々と香月が来た。

 

香月「無理を言って申し訳ないわね黒鉄中佐。」

 

黒鉄「神宮司少佐が抜けるのは痛いですが作戦を成功させる為にはしょうがない事です。後、例の機体も。」

 

黒鉄は整備員に指示を出し輸送トレーラーの荷台をゆっくりと起こし始めた。すると積んであった機体が徐々に見え始めた。カラーリングは国連軍仕様で今まで見たことも無い機体だった。

 

黒鉄「F-002 天神、先日ロールアウトしたばかりの新型だ。大体の兵装は心神と同じだが格闘能力、機動力、各種スラスターの出力等は心神を上回る性能を持っている。今回は余剰機体が無いということで9機を統合軍から国連軍所属A-01部隊に譲渡する。尚、質問等はそこにいる整備員に聞いてくれ。彼等はここに残り出撃前までこの機体の整備を担当する。」

 

黒鉄は少し離れると香月が話し掛けてきた。

 

香月「助かったわ黒鉄中佐。何とか5機は確保出来たんだけどねえ。」

 

黒鉄「よく斯衛が認めたましたね。」

 

香月「いえ、月詠中尉の独断よ。処罰も覚悟の上でね。これでやっと見えて来たわ。」

 

黒鉄「随伴はセイバー隊が付きます。予定では戦術機部隊も付くことになっていましたが昨日の戦闘で第1戦術機甲大隊が壊滅した事もあり、再検討をした結果、戦術機部隊は随伴させないことになりました。」

 

香月「それでも精鋭のセイバー隊は付けると?」

 

黒鉄「ええ。簡単に言うと飛行級対策です。」

 

香月「そういえば伊藤少佐は?」

 

黒鉄「けじめを付けに行きました。」

 

香月「そう。」

 

香月は一呼吸置いて、

 

香月「黒鉄中佐はこの作戦どう考えていますか?」

 

黒鉄「無謀な作戦です。ですが、いつかはやらねばならない事です。それが今になっただけ。」

 

黒鉄は続けて、

 

黒鉄「この作戦で未来が“希望”に変わるか“絶望”に変わるかは我々の活躍次第です。無事、A-01部隊をハイヴ内部に突入させることが出来たのなら我々の勝ちです。後はある程度の時間まで暴れ回るだけ。」

 

香月「随分、信用してんのね。」

 

黒鉄「信用しなければやっていけませんよ。」

 

黒鉄は腕時計を見た。現在の時刻を確認すると伊藤を呼んだ。

 

黒鉄「では我々は帰ります。」

 

黒鉄は伊藤を連れ格納庫を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒鉄は第1戦術機甲大隊の宿舎に来ていた。休憩スペースには多くの顔写真が並べられていた。

 

黒鉄「真田教官……………。」

 

宿舎は鎮まり返っていた。

昨日の戦闘で第1戦術機甲大隊は壊滅し隊員36名の内、34名が戦死した。その中には真田も含まれていた。まだ避難中の区域に突如、BETAの地中侵攻があり第1戦術機甲大隊はその対処にあたった。戦闘終了時まで補給無しで戦い続けた結果、一体たりとも防衛線を突破されなかった。だがその代償は大きかった。

第1戦術機甲大隊、壊滅。この報せは統合軍全体に衝撃を与えた。この大隊は真田を中心とした元大陸派兵で構成され日本帝国軍内ではトップクラスの腕を持つ。

 

黒鉄「真田少佐、ここまで戦術機部隊を大きく出来たのは貴方のお陰です。」

 

伊藤「黒鉄、連れて来たぞ。」

 

伊藤が誰かを連れて宿舎に入ってきた。

連れて来たのは唯依と上総だった。

 

黒鉄「久しぶりだな。唯依。」

 

唯依「ええ。」

 

唯依は真田の写真の前に立ち一礼をした後、合掌した。合掌し終えると再び一礼して黒鉄達の方を向いた。

 

黒鉄「流石は武家。礼儀作法はしっかりなってるな。」

 

唯依「このぐらい出来て当然だ。」

 

黒鉄「そうだな。」

 

ここで伊藤が割り込み、

 

伊藤「まあ、積もる話は沢山あると思うが時間も無いのでさっさと移動して始めよう。」

 

黒鉄「そうだな。」

 

4人は基地内にある黒鉄の私室へと向かった。

 

黒鉄「まあ、そこら辺に座ってくれ。」

 

伊藤は少し溜息をつきながら奥から3人分の椅子を持ってきた。黒鉄は部屋にある冷蔵庫から何かを取り出しながら話し始めた。

 

黒鉄「それにしてもよく斑鳩中佐が許可したな。」

 

唯依「そうね。私も以外だった。」

 

黒鉄「唯依の隊はデルタ1とともに降下してもらう。他の隊と同様、“SW115”の確保を行ってもらう。」

 

唯依「わかった。」

 

伊藤「ユウヤは来るのか?」

 

唯依「ええ。電磁投射砲装備の1個小隊で私の隊とともに行動する。」

 

上総「いいわね。電磁投射砲。黒鉄、うちの隊に配備出来ないの?」

 

黒鉄「あんな高え物配備出来るか。心神一個連隊に匹敵するんだぞ。」

 

上総「でも、あれよりは安いんじゃない?」

 

伊藤「ああ、あれか。」

 

唯依「あれって?」

 

黒鉄は頭をかきながら

 

黒鉄「天神だ。心神の後継機として先日ロールアウトした。」

 

伊藤「聞いて驚くなよ唯依。何とお値段、電磁投射砲3機分だ。んでさっき横浜基地所属のA-01部隊に9機譲渡してきた。」

 

黒鉄「しょうがないだろう。彼らはこの作戦の要。この基地にあった余剰機は全て使っている。」

 

伊藤「まあな。」

 

唯依は呆然としていた。

 

上総「ほら、しっかりしなさい。」

 

上総は唯依の背中を叩いた。

 

唯依「ありがとう、上総。」

 

黒鉄は杯を3人に渡し、酒が入っている瓶の蓋を開けた。そして順々に注ぎ、注ぎ終わると今度は伊藤が瓶を持ち黒鉄に注いだ。

 

伊藤「地上を頼む。後ろから来られたんじゃ最悪だからな。」

 

黒鉄「任せとけ。必ずあのクソ野郎の親玉を潰せよ。」

 

黒鉄は周りを見渡し、

 

黒鉄「必ず生きて帰るぞ。」

 

3人は頷き、そして4人同時に酒を飲んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

格納庫内は慌しくなっていた。

 

「第2大隊から順次、降下ポットへの積み込みを開始しろ。」

 

「戦術航空団の搭載は完了したか?」

 

「まだです。搭載完了まであと20分です。」

 

「急がせろ。アクロススカイが上がらなければ降下ポットを上げられないんだぞ。」

 

「了解。」

 

 

 

その頃、黒鉄は基地司令室にいた。

 

「黒鉄中佐、作戦中の指揮は任せる。もし作戦が失敗した場合はすぐに全軍退却しろ。最低でもアクロススカイだけはこの基地に戻らせろ。」

 

黒鉄「了解。基地司令一つ確認したい事が。」

 

「何だ?」

 

黒鉄「もしこの作戦が失敗した場合、トライデント作戦が発動されるのは事実ですか?」

 

「そうだ。先程、UNCSCから連絡があった。黒鉄中佐、お願いだ必ず“あ号標的”を破壊してくれ。トライデント作戦を行ったら人類は終わりだ。」

 

黒鉄「必ず“あ号標的”を破壊し無事に帰還します。」

 

黒鉄は司令室を出て、アクロススカイの格納庫へと向かった。

 

 

 

 

 

黒鉄はデルタカイに搭乗しシステムチェックを始めた。するとそこに上総が現れた。

 

黒鉄「どうした、点検は済んだのか?」

 

上総「ええ、そりゃもう何回も。」

 

黒鉄を見て何も話さないでいる上総を見て、黒鉄は、

 

黒鉄「少し歩くか。」

 

黒鉄は機体を降り、この作戦前にあまり人が来ないであろう艦内の展望室へと向かった。

 

黒鉄「どうしたんだ?」

 

上総「貴方は怖くないの?」

 

黒鉄「怖いか…………。怖くないと言えば嘘になるかな。俺だって光線属種が数百匹もいる所に降りたくないさ。それでも俺は軍人だ。上から命令があれば行かなければならない。」

 

黒鉄「心配するな。光線属種は俺と伊藤の隊が…………………。」

 

上総「そうじゃなくて!そうじゃないでしょう。」

 

上総は涙を零した。

 

上総「貴方はこの作戦で必ず“n_i_t_r_o”を使わないといけない状況になるわ。それでも必ず一緒にここに帰ってくると約束出来る⁉︎」

 

上総は思っていた事を全て黒鉄に打つけた。もう二度と会えなないかもしれない。会えたとしても、もうこの世にはいないかもしれいないと。

黒鉄は上総に近付き、正面から抱きしめた。

 

黒鉄「ああ約束する。必ず帰ってくる。だから上総も絶対に死ぬな。」

 

上総「ええ………。」

 

時間的には数秒程だったが2人には長く感じた。

 

黒鉄「さあ、涙を拭け。部下にそんな顔見せるなよ。」

 

上総「ええ、わかってるわ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アクロススカイは発進準備を終え待機し、全隊の衛士達は機体の中で発進するのを今か今かと待っていた。

ここで黒鉄が全員に向けて話し始めた。

 

黒鉄「俺達はこれから死地へと向かい、敵の中枢である“あ号標的”を破壊する。どんな敵が待っているか分からない。だがこの作戦の勝敗で人類の命運が決まる。全員、覚悟はいいか!!」

 

「「「「「「おお!!」」」」」」

 

黒鉄「敵が何であろうと!俺達は必ず生きてこの地に帰ってくる!行くぞ!!」

 


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