Muv-Luv〜wing of white steel〜   作:lancer008

85 / 91
エピローグ

エピローグ

 

あれから1ヶ月が過ぎた。

 

日本帝国は各軍再編の為、統合軍に対し解散を命令した。

 

各戦術機甲大隊は帝国陸軍、本土防衛軍、斯衛軍に編入または原隊に復帰する者に分かれた。

 

艦隊部隊全艦は海軍に再編。

 

戦術航空団は従来の任務やその特性上から艦艇部隊に所属する空母艦載機として海軍に再編。

 

デルタ大隊は、搭載部隊の半減や損傷が大きい機体も多く、また前回の戦闘によりアクロススカイが中破まで追い込まれており、部品の調達や修理に時間が掛かる事から一時的に本土防衛軍へと編入、局地部隊となった。

 

統合軍基地は陸軍が管理することになった。但し、基地内部にある試作機体や新兵装などは斯衛軍白い牙中隊が管理を行うことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

旧統合軍基地内

 

現在、この基地内では旧統合軍の部隊長やその副官などが基地内にある機密資料などを整理していた。伊藤もその一人で整理に追われていた。

 

伊藤「こいつは廃棄だな。シュレッターは…………。」

 

伊藤はシュレッターを見た。既に紙が溢れていた。

 

伊藤「あとで燃やそう。」

 

ここで開いていた扉をノックして人が入ってきた。

 

伊藤「もう大丈夫なのか、上総?」

 

上総「ええ……、まあ。」

 

伊藤「あまり無理はするな。また倒られでもしたら困るからな。」

 

上総はひと呼吸おいてある事を話し始めた。

 

上総「別の世界に行くてどんな感じ?」

 

伊藤「何だ、いきなり?まあ、今いる世界の常識が通じるのか、ていう不安はあるかな。」

 

上総「そう………。」

 

伊藤「まさか呼ばれたのか?」

 

上総「ええ、伊藤は?」

 

伊藤「今回は何も。いつもは連絡が来る頃合だがな。何を見た?」

 

上総「荒れ果てた大地。重量級な戦術機みたいなやつ。銃みたいのはあるけど撃ち出されるのは透明な石で杭みたいな形をしていた。」

 

伊藤「上総は…いいのか?」

 

上総「何が?」

 

伊藤「お前はこの世界の人間だ。本来なら行くのは俺や黒鉄のような転生者、もしくは転移者だ。わざわざ呼ばれたからと言って行かなくてはいいんだぞ。」

 

上総「別にいいでしょう。それにまた黒鉄に会えるかもしれないし。」

 

伊藤はその言葉を聞いた時、怒りを顕にした。

 

伊藤「お前、何を考えているんだ。俺と黒鉄はこの世界に必要とされたから、別の世界から召喚されたんだ。また黒鉄に会えるかもだと馬鹿も程々にしろよ。そんな理由で転移、転生しても別の世界からしてみれば迷惑だ。」

 

上総「私だって真剣に考えて、………。」

 

伊藤「何が真剣にだ。少し頭を冷やして考えろ!それに……。もういい時間の無駄だ。」

 

伊藤は机の引き出しから封筒を取り出し、上総に渡した。

 

伊藤「斯衛軍の斑鳩大佐からだ。斯衛軍の精鋭、斯衛軍第16大隊に欲しいとのこのだ。既に上総用の武御雷も準備してあるそうだ。もし来たいのなら今すぐにと。」

 

上総は封筒を見て、無言で部屋を出ようとした時、伊藤から声を掛けられた。

 

伊藤「上総、もう一度よく考えろ。」

 

上総が部屋を出た後、伊藤はある所て向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

国連軍横浜基地へと続く桜並木。その途中にある桜の下で一人の男が立っていた。

 

伊藤「まだ存在してたみたいだな。」

 

白銀「伊藤少佐。」

 

白銀は挙手の敬礼をした。

 

伊藤「もうお前は軍属じゃないんだ敬礼はいい。」

 

白銀「どうしたんですか、こんな所に?」

 

伊藤「礼を言わせてくれ、ありがとう。」

 

伊藤は頭を下げた。

 

白銀「い、伊藤少佐。」

 

伊藤「お前がいなければ、今回の攻略戦は成功しなかっただろう。」

 

白銀「俺は別に。」

 

伊藤「新型OS、XM3の発案者だ。もっと胸を張っていいんだ。それに本来ならば新OSが無くとも俺と黒鉄が持ってきた兵器で、あ号標的を倒し、BETAを地球から追い出すことも可能だった筈だ。だが俺たちには出来なかった。この世界の技術水準では作れない物を持ってきたところで劣化版しか作れず、逆に他の者達の足を引っ張ってしまった。」

 

白銀「少佐……。」

 

伊藤「だからもっと胸を張れ。」

 

白銀「はい!」

 

伊藤は白銀に別れの言葉を告げ去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

旧統合軍基地にいた上総は現在、斯衛軍白い牙中隊が管理している格納庫にいた。そこで唯依と最後の話をしていた。

 

唯依「本当に行ってしまうんだな。」

 

上総「ええ。私が望んだ事だから。それに……やっぱりいいわ。ねえ唯依、私の事忘れないでね。」

 

唯依「絶対に忘れるものですか。貴女がいたから今の私がある。」

 

上総「そう、ありがとう。それと伊藤に………。」

 

ここで伊藤は何かを持って走ってきた。

 

伊藤「何とか間に合ったか。」

 

伊藤は上総に手に持っていた物を渡した。

 

伊藤「黒鉄がこの戦いの終結を見越して打ってもらった物だ。世帯を持って武家入りする為のな。名は黒刀:柊。」

 

上総「黒刀……?」

 

上総は鞘から刀を抜き、刀身を見た。刀身は黒に染まり、柄に関しては白色になっていた。

 

伊藤「何故、黒刀なのかは俺にも分からないし、その刀を打った鍛治師に聞いても分からなかった。もしかしたら黒鉄の“黒”に掛けたんじゃないかな。」

 

唯依「そんな安易な。」

 

伊藤の隣で話を聞いていた唯依は呆れたように言った。

 

唯依「その刀、柊と言ったか。古くから柊には魔除けの効果があるとされ、花言葉では“あなたを守る”という意味がある。黒鉄はもし自分自身がこの世からいなくなったとしても上総を守るという意味で黒にしたんだと私は思う。」

 

ここで上総の周辺が光出した。

 

伊藤「時間か……。」

 

上総「そのようね。」

 

光がどんどん明るさを増していく。

 

伊藤「上総!まだ黒鉄に会いたいと思うなら、絶対に黒鉄という人物を忘れないことだ!どんな世界に行ってもどんな事があってもだ!」

 

上総「分かったわ。唯依、伊藤また会いましょう!」

 

上総は光に包まれた。

残ったのは伊藤と唯依だけだった。

 

伊藤「行ったか。」

 

唯依「そうね。結局、同期は私と伊藤だけになったな。」

 

伊藤「それでもやらなければいけない事は沢山ある。」

 

唯依「上総が帰って来る頃にはある程度終わらせとかないとね。」

 

伊藤「そうだな。それが今ここにいる俺たちの役目だ。」

 

伊藤は唯依と分かれた後、自身の機体がある格納庫に向かった。夕焼けに照らされた機体を見ていたところ声をかけられた。

 

坂井「伊藤少佐、空母蒼龍から明後日には受け入れ準備が完了するとの事です。」

 

伊藤「分かった。ご苦労。」

 

坂井は報告を伝えると宿舎に帰っていった。

伊藤は夕日を見た。

 

伊藤「お前は以前、俺に言ったな。“立ち止まるな、前に進め”と。」

 

伊藤は続けた。

 

伊藤「その通りだ。いつまでも立ち止まっている訳には行かない。この世界からBETAを駆逐するまではな。」

 

 




かなり時間がかかりましたが完結です。
この作品に関しましては再編集するか全く別の内容に書き直すか迷ってるところであります。
今までありがとうございました。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。