Muv-Luv〜wing of white steel〜   作:lancer008

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・ほぼ文書です。


番外編
番外編 黒鉄 1


「はぁ…、はぁ…、n_i_t_r_oを起動して既に1時間かあれだけの数を葬ったのにまだ出てくるか」

 

既に約10万以上のBETAを殲滅していた。だが次々に湧き出てくるように向かってくるBETA群。弾薬、燃料も残り僅かになっていた。

 

「これが最後の戦いか。ここを死守しなければ今まで助けた命が無駄になってしまう。行くぞ!デルタカイ必ずここを守りぬくぞ!」

 

デルタカイが応えるように関節部から青い炎が吹き上がった。

 

 

それから数時間後

 

気が付いた時には周りには何もなかった。あったのは戦闘によって出来た大小のクレーターのみだった。機体の状況を見てみると破損している部分や負荷が掛かっていたとこもあったがなんとか小破でおさめられていた。

自分の身体には何も異常が見られなかったため、あいつらの元に戻ろうと思った時、突如、胸が苦しくなった。頭に声が響いて来た。

 

「俺にその身体を寄越せ。そうすれば楽になるぞ」

 

もう1人の自分が出てこようとしていたのだ。

正気を保っていられるのも時間の問題だなと思った。そのため、宇宙にあるFOBに目的地をセットし、自動操縦で向かうことにした。距離的には結構あったため身体を乗っ取られないようにする為、強制的に眠りにつくことにした。

 

 

 

 

長い時間、眠っていた為か身体が思うように動かない。一体どのくらいの間、寝ていたのだろうか。パネルを操作し現在の日付を見た。驚くことに1年も眠っていたのだ。その間に機体は少しずつであるがFOBに近づいていった。

 

そろそろランデブーポイントなのだが近くに人工物は何もなく本当にここでいいのかと思いレーダーを確認するが発信源はここで間違いなかった。FOBにアクセスしたところ突如、目の前に巨大な艦が出て来た。「まさか!」と思ったがそれはマクロス・クォーターだった。甲板上から誘導ビーコンが発射され、それに従い着艦した機体はエレベーターに乗り艦内に降りていった。

艦内に入ると中には何も無かった。だが壁には整備ロボットだろうかなんらかのロボットがいた。機体から降り艦橋に向かった。艦長席に座り椅子についてた。コンソールを操作すると目の前に大きなパネルがあらわれた。そのパネルには現在の艦内状況が出ていた。機体の整備をしたかった為、パネルを操作しロボットを起動した。続々とロボットがあらわれはじめ機体の整備をしていった。あれだけ眠っていたのにまた眠くなってきたため、士官室に行き寝た。

 

 

目覚めた。

2日ほど眠っていた。腹が減り何か食べようと思ったが何年も食べてこなかったこともあり、軽い軽食で済ませた。艦内を探検する事にした。デルタカイ以外にも他の機体があるのか調べてみると砲座にあるデストロイドしかない事がわかった。現在はパイロットがいないため自動で動いていた。デルタカイの元へ行くと整備が終わっていた。

 

久しぶりに出る事にした。

 

「HQへ、出撃する」

 

「HQリョウカイ」

 

AIが応える。

 

出撃した。

 

機体の調子はいつも通り。右腕に持っているロングメガバスターを構え宇宙に漂っている岩石に向かって発射した。命中し、まだまだ腕は落ちていないことがわかった。

n_i_t_r_oを使用としたが、また暴走するのではないかと思った。帝都防衛戦時の後半の記憶が殆ど無いのだ。戦闘記録を見てみると明らかにありえない機動をしてBETAの攻撃を回避、更には攻撃まで加えていた。

戦闘中、別の人格が出なかったかわりにn_i_t_r_oを使い過ぎていたせいか暴走を起こしていたのだ。そのため戦闘中の記憶がなかったのだ。別の人格に対しては現在治療中である。

まだ、n_i_t_r_oを使用するのはやめとこうと思い帰投した。

 

 

この艦に名をつける事にした。

マクロス・クォーター級可変ステルス攻撃宇宙空母アクロススカイ

 

 

 

それから1年とちょっとが過ぎた。その1年間は新機体の開発、新武装の開発を行っていた。開発といっても資源などは限られているため殆どが設計のみになっている。時々、月に向けて出撃している戦闘の感覚を忘れないためだ。宇宙空間のため、光線級の攻撃は簡単に避けれるだが、本来は地上戦が主なためスラスター出力を下げて戦闘を行っている。そのためいつもより速い反応が求められた。

そこでn_i_t_r_oを使ってみた。不思議な感覚がした。何かが身体を包み込む様な感覚があったからだ。しばらく使用してみるとリミット限界までいっても身体に異常はみられなかった。帰って調べてみると機体と調和していたのだ。そのため、別の人格が出る事もなく使用出来たのだ。

 

 

これでやっとあいつらの元へ戻れると思いアクロススカイに帰投した。目的地を地球圏にセットし向かった。結構な距離があるため、伊藤にメールを送った届くのは来年の6月くらいだった。その間はコールドスリープを使い寝る事にした。

 

 

 

 

本編に続く


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