Muv-Luv〜wing of white steel〜   作:lancer008

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シュミレーター戦闘

黒鉄は、シミュレーターに入り機体の装備を確認した。フル装備で行なった場合、訓練にならないだろうと思い兵装からプロトフィンファンネルを外した。

 

黒鉄「ランサー1、準備完了。いつでもどうぞ」

 

ブレイド1「こちらも同じく」

 

伊隅「では、これより戦闘を開始します」

 

黒鉄は、深呼吸をし集中した。目の前のモニターにはカウントダウンが表示され刻々と時間が進んだ。そして0になり、第1ウェーブスタートの文字が表示された。

 

黒鉄「ランサー1より全機へ、射撃系兵装の使用を控えろ。近接戦のみで仕留めろ」

 

「「「「了解!」」」」

 

ブレイド1「こちらブレイド1、先行する。各機フォーメション、アローヘッドワン。3分で終わらせるぞ、行くぞ!」

 

ブレイド2、3「了解!」

 

ブレイド隊が先行し、どの機よりも先にBETAに一撃を加えた。

統合軍内で最強を誇る近接戦のエキスパート部隊、元はファング隊に選ばれたメンバーだが、伊藤との模擬戦闘にてその類い稀ない操縦技術が際立った。当時、伊藤自身が手を加えカスタマイズした心神に対引き分けまで持っていった衛士たちだ。そこで黒鉄はこの衛士だけで編成された部隊を作った。

それは、ランサー隊と同じくデルタ大隊の最強の矛となる部隊、第1部隊"ブレイド隊"を結成した。それにともない専用の機体も作られた。その後も、飛行する力を持ち圧倒的火力を持って対地攻撃を行う第4部隊"バイパー隊"が結成された。

 

ブレイド隊は、機体のスピードを利用し着地地点にいたBETAを薙ぎ払った。他の部隊が使っているジェスタと違って段違いのパワーを持つ。物凄い勢いで地面は真っ赤になった。

 

黒鉄「ランサー1より、ヴァルキリーズへ待機していろ。10ウェーブまではあいつらだけで行く。出来るな、ブレイド1?」

 

ブレイド1「そのぐらい容易いですよ」

 

黒鉄「という事だ。待機しろ」

 

第10ウェーブまで行くにはそんなに時間がかからなかった。10ウェーブ毎に弾薬などの補給物資が送られるようになっている。

 

黒鉄「次は、光線級以外は1000体ほどだ。光線級は任せたぞ。他のは、全て俺がやる。ブレイド隊は15ウェーブまで休憩。各機準備は?」

 

伊隅「完了です」

 

11ウェーブがスタートした。

BETAは、突撃級を先頭に真っ直ぐ突っ込んで来ていた。黒鉄はそれにロングメガバスターを向けた。トリガーを引いた。青白い光の塊がBETAに命中し、BETA集団の中央に大きな穴が開いた。

 

黒鉄「行け!花道は作ってやる」

 

伊隅「了解!ヴァルキリーズ行くぞ!」

 

「「「「了解!」」」」

 

黒鉄は続けてトリガーを引き続けた。突撃級を殲滅したのを確認し、ビームサーベルを取り出しBETA目掛けて突撃した。他の機体よりも少し大きいが動きはデュランダルと同じく滑らかに動いていた。重力があるにも関わらず、その重力が無いかのように自由自在に動いていた。ほぼブレイド隊と同じ速さでBETAを殲滅していた。

その頃、ヴァルキリーズは低空飛行にて光線級に接近しつつあった。確認しただけで既に部隊を超える30体が確認されていた。

 

伊隅「全機、被弾するなよ!」

 

だが、光線級による弾幕網は激しかった。

 

伊隅「(このままでは)」

 

黒鉄「いつまでやっている。時間がかかり過ぎだ。下がっていろ俺がやる」

 

伊隅たちの横にはウェイブライダー形態になり、飛行しているデルタカイがいた。デルタカイはスピードを上げ真っ直ぐ光線級に向かい、到達する直前にMS形態になり両手に持ったビームサーベルで掃討した。

伊隅たちヴァルキリーズがスタート地点に戻っている途中、黒鉄が追いついた。

 

黒鉄「時間のかかり過ぎだ。何やってるんだ!」

 

⁇?「お言葉ですが中佐、貴方の機体とこちらの機体では性能差があり過ぎるんです。無茶を言わないで下さい」

 

伊隅「速瀬、やめろ」

 

???「私も1つ、そんなに焦らせて部下を死なせたらどうするんですか?」

 

伊隅「宗像!」

 

黒鉄「大尉、大丈夫だ。このくらいは慣れている。なら俺からも速瀬中尉、確かに機体の性能は段違いで違う。だがそれは乗っている衛士で性能も変わるんじゃ無いのか?」

 

速瀬「その通りです」

 

黒鉄「もし、貴女がこの機体に乗ったらしよう。俺の予想ではこの機体の約半分程の力しか出せないと思っている。もしかしたらそれ以下かもしれない。理由はその操縦技術だ。この時点で既に機体のどこかでアラーム表記が出ているだろうがそれでは駄目だ。その表記は被弾した時に出るようにしなくてはいけない。ただ、回避運動を行なっただけで表記が出るのではまだ訓練兵と同じだという事だ。機体の性能のせいにする前に自分の腕をもっと磨け!

宗像中尉、部下を焦らせて死なせると言ったな。それは大きな間違いだ。仲間が友軍が他のBETAを抑えている間に早く終わらせなければ、その分仲間の死が増えるという事だ。光線級がいる間は、砲撃支援や航空爆撃も行えない。撤退時は超低空で逃げるしか無い。仲間を死なせないためにはレーザーヤークトを担当する者たちが迅速に行い光線級を殲滅するしかないんだ!」

 

少しの間、全員が黙ったままになった。

 

黒鉄「全員、休憩しろ。ウェーブを30まで飛ばす。ヴァルキリーズは機体を変えろ。現在、統合軍使用しているF-3 心神を使え、装備も自由に選んでいい。この先は地獄になるからな気を引き締めていけ。さっきみたいに援護することは殆ど不可能だ。自分の限界まで力を出しきれ」

 

ブレイド1「リミッターの使用制限は?」

 

黒鉄「1ウェーブのみだ。それ以上は許可しない」

 

ブレイド1「了解」

 

黒鉄「予告だ。ここからは制限時間はなし。一定数倒すと次のウェーブに進む仕組みだ。前のウェーブで出現したBETAは倒すまでそのまま、最悪1人で約1万のBETAとやらなければいけない絶対にエレメントを崩すなよ」

 

 

 

シミュレーター終了後

 

伊藤「お前ら大丈夫か?」

 

伊藤は全員に水を渡した。流石のブレイド隊も下を向いたまま動かなくなっていた。最終的に40ウェーブまで進んだ。40ウェーブに残ったのは、黒鉄、ブレイド1、2、伊隅、速瀬、宗像だった。6機での討伐数は1機あたり1万を超えていた。

伊藤は机を並べ始め、黒鉄の差し入れを並べ始めた。

 

伊隅「伊藤少佐、黒鉄中佐は?」

 

伊藤「さっき帰ったよ。あいつもやる事があるからな」

 

伊隅「そうですか」

 

伊藤「何か質問とかあるのなら俺から伝えておくが」

 

伊隅「あの機体、心神をこちらにも配備させて貰えないでしょうか?」

 

伊藤「わかった。検討してみるよ」

 

既に配備の承認は貰っていたが、ユーコン基地での奪取の件もあり配備を延期にするべきだとの声が高まっていた。

 

 

 

黒鉄は車を運転しながら考えていた。

 

黒鉄「あいつら伸び代がまだあるな。俺も練度を上げないとな」

 

 


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