太陽が出て早6時間とちょっと。
春風がふわりと肌を撫で、妙に湿っているのか湿ってないのか分からない中、俺は自称弟子から弟子にランクアップエクシーズチェンジしたサクラの鍛錬に付き合っていた...というか付き合わされていた。
これを話すには6時間前に遡らなければならない。
そう...あれは朝の6時だった。
『アールさん、朝ですよー』
ゆさゆさと体が揺さぶられる感覚。
何故サクラが部屋の中に入り込めているのか不思議ではあったがその時はそれ以上に眠かった。
声を無視して布団に潜る。
布団はいい文明。はっきり分かんだね。
『もう、起きないと...こうだ!』
グサッ!!と頭に何か突き刺さった。
こう...包丁じゃない。コンパスとかドライバーとかで刺されたような気がする。
俺の頭蓋骨からメシッ!と聞こえたのは気のせいだと信じたい。
そんな事されて起きない訳もなく布団から飛び出しニコニコと笑うサクラに近所迷惑も考えずに叫んだ。
『お前!馬鹿かっ⁉︎というかなに突き刺したんだよ!』
『プーン』
サクラの手の中にはプルプルと震えるメル。原作でいうならばプルーと呼ばれる鼻(というかドリル)の先端に真っ赤な鮮血が付着していた。
『メルを武器に使うなアアァァァァ!!!』
そして冒頭に至る訳だ。
というかメルで頭に攻撃するってRAVEでもあったよな。
というかふと思えばRAVEとフェアリーテイルの関係性はどうなっているのだろうか?
エルザの鎧はハートクロイツ製と呼ばれるものであり、RAVEでも同じくハートクロイツという単語が出てきたり、ジェラールの使う魔法も出てたり、更にはエーテリオンという単語もある。
更に考えればエドラスエルザはRAVEの主人公であるハルが使う武器テンコマンドメンツもあるしなぁ...
とそんなことをぼんやり考えつつサクラの振るう木の棒を、同じく木の棒ではじき返している。
「一秒を切り刻め。早く鋭く。足と手も使え」
「はい!」
サクラの動きはまだ無駄が多い。
足の幅も広すぎたり狭すぎたりするし、手の振りだって大振りで隙が多い。
正直なところ俺が本気を出せば5秒で5回は殺せてる自信がある。
いや、しないからね?そんなサイコパス見るような目やめて。俺に効く。
という感じで朝から四時間。
休みを入れながらひたすら木の棒で撃ち合っている。
「やぁ!」
上段から斬りおろしてきた木の棒を体を回転させることで避け、サクラの踏み込んでいる足をちょいと前に押してやるとそのまま転び地面にドサリと倒れこんだ。
「あぁー!また負けちゃいました...」
「お前さ...本当初心者なの?」
「初心者に決まってるじゃないですか!」
いや嘘だろ、と俺は思った。
だって師範代みたいにエゲツないほどキツイ練習をしてるわけじゃないのに初めて俺が剣持って3ヶ月ぐらいの動きをしてるんだぜ?
疑っちゃうよね!
「何ですかその疑いの目は...」
ムスーと頬を膨らませるサクラ。
嘘をついているようには見えない...と言うか可愛い。剣を握ったことがあるとかないとかどうでもいいくらい可愛い。
「プーン」
「あ、そうか...もう昼だな」
「話逸らしましたね」
メルがガクガクと震えながら時計を指したのを見てようやく昼だと気付いた。それを利用して視線から逃れる。我ながら上手い作戦だ(上手くはいってはない)。
持ってきたバスケットから買ってきたパンを取り出しサクラにパス。そしてプルーには店で売っていたアメちゃん(カレー味)を。
木陰に入り食べる頃には12時30分。
本来ならこのぐらいまで寝ていたのに...クソッ!
「やっぱり運動の後の食事は美味しいですねー・・・」
「プーン」
俺は心の中で愚痴を唱えながら某モナリザの手を見てエクスカリバー(意味深)を大きくさせた変態殺人鬼のように木にもたれてスタイリッシュにパンを食う。
メルは何事もなさげにカレー味のアメちゃんを食っているが美味しいのだろうか?
カレー味のアメちゃんなんてコーンポタージュ味の○リガリ君と同じようなものと思うのだが...
「そういえば今日ってナツさんとエルザさんが戦う日だったんじゃないですか?」
「そういえば...すっかり忘れてたな」
ララバイのクエストから帰って死体のように眠っていたから記憶が失われていた。
そういえばそんなのあったなぁと思いつつ、カツサンドを口にひょいと投げ胃袋に直行させる。
「間に合うかどうか分からんが言ってみるか?」
「魔道士同士の戦い...私、気になります!」
「おいそれパク(ry
訓練所から妖精の尻尾までは近い。
およそ5分もしないうちに着くぐらいなのだ。
今日は平日なので一通りは少ないがギルドに近づくにつれガヤガヤと音量が増していく。
人と人の間に無理やり入り込み、前へ進んで行くと丁度ミラさんの姿が見えたのでミラさん目掛けて一直進。
「あらジョニィじゃない。今来たの?」
「はい、ちょっと色々あって...でナツどうなりましたか?」
「あぁ、ナツなら──」
「くっそぉ...次は倒してやるからな...」
「あと10年は早いな」
「あぁ...(察し)」
ナツが地面に横たわりほぼ無傷のエルザが両手を腰に当てて胸を張っていた。
しかし原作の最初だというのにまぁ強い強い。何食ったらあそこまで強くなれるんだ?
「ナツー!お前に金かけてたんだぞー!」
「そうだそうだー!もうちょっと粘れー!」
「うっせーぞ!ならお前らもやってみろよ!」
おちょくる観衆にナツが吠える。
実際問題エルザに勝つなんて50キロの重りつけたまま24時間マラソン走れってレベルだしな。
「おいジョニィ!お前やってみろよ!」
「はぁ?俺?」
ナツと目があったせいで俺が標的にされた。
もっと周り見てくれ。グレイとかエルフマンとかジェット、ドロイ等々がいるだろ?
俺は午前中から付き合わされたせいで疲れてるんだよ。はっきり言って帰って寝たい。
「いやー・・・エルザも疲れてるだろうし・・・」
「それほど疲れてはないぞ?」
「おいエルザ!それって手ェ抜いてたってことじゃねぇか!」
「抜いてはない。早く終わっただけだ」
何だか色々違う気がするぞ⁉︎
視線でグレイに訴えかけるがさっと視線を外す。エルフマンはどうかと見てみるがこれも回避。
お前らひでぇよ...今度飯の中にタバスコぶち込んでやる。
「あっ!俺弟子の訓練に付き合わないとイケナインダ!それじゃ──」
「私はいいですよ?」
「この馬鹿弟子がああぁぁぁぁぁ!」
なんなの?どんだけ俺とエルザで戦わせたいの?
ページ数でいえば3ページもしないうちに終わる戦いをみて何が面白いと⁉︎
「いいんじゃない?強さを知るためには強い人と戦わなきゃならないわ」
「ミラさん...俺に死ねと?」
既に俺首は断頭台の手前に位置する。
俺が愚痴及びツッコミを入れてる間に野次馬がやれやれー!とか言い始めだした。
「私もまだ動き足りないのでな。かかってくるといい」
「・・・」
いや、行きたいわけじゃないんですけど...
エルザ・スカーレット。
今更紹介する必要もないが取り敢えず戦う前なので脳の整理を行っておこう。
妖精の尻尾でS級に位置する女魔道士であり、二つ名は妖精女王とか騎士。
使う魔法は換装と呼ばれる別空間に置いてある鎧や武器などを使用する。
片方の目が義眼であり目による幻覚は無駄になる。
...勝ち目ねぇ。
「ジョニィ!お前に賭けたぞー!勝てー!」
「無の極みの実力見せろー!」
「リア充死ね!」
あれ?1人関係ないやついたよね?
いや...今は無視しよう。
対面するのは美人なお姉さん的なキャラではあるが中身はベジータも涙目の戦闘力を持つ怪物である。
ただ見に来ただけなのに何で俺こんなことしてるんだろ...泣きたい。
「どうした?そんな死んだ魚のような目をして?」
「あはは...何でもないです」
すんごい嫌だけど換装し刀を握る。
対するエルザは普通の剣を握る。
──思考を変える。
相手が格上だとか格下だとかどうだっていい。
俺をぶつけろ。魔法がありになればエルザが有利になるが、なしになると俺とどっこいどっこいになる...と信じたい。
「ふぅー・・・」
ナツの時とは比べ物にならない覇気だ。
俺のことを舐めてるようには見えない。目の前の弱者にも一瞬の隙も見せない。
「レディー・・・」
審判役のミラさんが手を高く上げる。
腰を低くし、手を前方に伸ばす。
作戦は決まった──
「ファイト!!」
声と同時に足に万力の力を込め、弾き出す。
俺が練った作戦、それは──
「八門遁甲──第一門開門!」
すぐ決着をつける──!
持久戦にしろ短期戦にしろ俺の方が部が悪い!
なら開始同時に全力を叩き込むしかない。
魔力で開いた脳のリミッターは40パーセント。
それに身体強化を施すことで終了した後の体の負担を減らす。
エルザを中心に円状に走る。
早すぎるせいか砂埃が舞い上がる。
「身体の制限を外す技か...面白い、来い!」
俺は一歩踏み出し、また加速した。
前回エルザは八門遁甲を見てますがそこら辺は気にしないでください。
お約束というやつです。
誤字報告、感想ありがとうございます!
感想を書いてくれると作者の執筆速度が上がるかもしれません(上がるとは言ってない)
ネタ
宝具:
ランク:C+
説明:プルーを投擲することで生み出された恐ろしき必殺技。
何処に当たっても死なない。