1 いざ、妖精の尻尾へ
俺はバカみたいにデカいリュックと、キャリーケースを持ってとある国まで来ていた。
マグノリアと呼ばれる国はある漫画のファンならピンと分かるほどの国である。
人口は6万人と小規模だが町の賑わいは元俺が住んでいた東京にも負けない。
飲酒は俺が元々住んでいた日本と違い15歳からオーケーと言うが前世から「お酒は二十歳から」というのが頭に染みつき未だに飲んだことはない。というかあまり好きじゃない。
さて、俺がマグノリアに来たかというと目の前にそびえ立つ木組みで作られたギルド。
名前を「妖精の尻尾」という。
俺は一度大きく呼吸をし、ギルドのドアに手をかけた。
中からは喧騒が聞こえてくる。
正に原作通りだな、と口元は笑っているが内心、心臓はバクバクとドラムロールのように響いていた。
履歴書はちゃんと持っている。大丈夫、完璧だ。
と言っても原作を見た限りだと履歴書もなにもいらなそうだったが...
あぁ、そうだ。
説明し忘れていたが、この俺、「ジョニィ・アルバート」は転生者というやつだ。
俺の説明をしよう。
俺は一度死んだ。比喩ではない。マジだ。
死因は覚えていないが日本の何処かの県に産まれて、のんびりと暮らしていた。
それなりの人生を送っていた俺だったが、いつの日か真っ白な部屋にいた。
あの光景は鮮明に覚えている。
そんな白い世界の中に凄く偉そうな人が俺の前に立っていた。
それはとても美しい人だった。
モナリザという作品があるがそれを遥かに凌駕する美しく、綺麗だった。
そんな美しい人は俺を見て一言言った。
「──お前は死んだ」
でしょうね。
と同時の俺は思った。
そりゃ、こんな白い世界にいたら誰でも死んだと思うわ。
俺は何か突っ立てるのも何だか恥ずかしかったので正座して話を聞くことにした。
で5分間ぐらい話を聞いてわかったのが
・真っ白な世界は死と生の境目の世界
・目の前にいる人は神様
・お前は死んだ。
・死んだ理由?そんなの知るかマヌケがァ
・情けで何かやるよ。3つぐらい。
・お前が行くのフェアリーテイル世界
・前世の記憶は消される
・・・途中に気化冷凍法でダイアーさん殺した人みたいな言葉使いが出たが気にしないで欲しい。
何故フェアリーテイル?と聞いたらサイコロで決まったとの事。結構軽く決めちゃってるのね。というかどんなサイコロ使ったのかが気になるところだ。
どうしようもないので仕方なく納得し、特典とやらを決めようと思った俺だがフェアリーテイルの単語をふと思い出して頭を悩ませた。
フェアリーテイルって死亡率高くね?
フェアリーテイルは週刊少年マガジンに掲載されているバトル漫画である。
滅竜魔法を使う主人公、ナツ・ドラグニルとその仲間たちの熱い冒険だ。
だがバトル漫画だ。俺は格闘術なんぞ習ったこともない。そんな世界でどうしろと?
しかし決まってしまっている為、いまさら「男子高校生の日常の世界にして!」なんてことは無理である。
ありとあらゆる漫画知識を総動員させジャンプとヤンジャン、そしてラノベに出て来た必殺技や能力を思い出した結果。
・写輪眼
・凄い武器
・もし万華鏡写輪眼が開眼した場合失明のリスクをなくしてくれ
という3つ。
最近見た漫画がナルトだったのが目に見える。
しかし写輪眼は凄いのだ。
相手の技をコピー(ただし出来ないものもある)、先読み、目を見ただけで相手を幻術に嵌めたり出来る超高性能の目である。目がえぐられたら即終了だが...。
他にも輪廻眼や、別作品ではあるが直死の魔眼などがあるが、前者は動体視力などには影響しないため却下。直死の魔眼は月姫の志貫君が「死が見えていたら正気でいられない」なんてことを言っていたから却下だ。
そして武器。この武器であるがこれは神様頼りだ。だって神様が作った武器って強そうだし。あと男のロマンというやつだ。
まぁ三つ目は言わんでもいいだろう。
失明したらあの世界では行けていけない。
さて、この三つの能力を持った俺だが待っていたのは困難だった。
名前がジョニィ・アルバートになったことは別にどうだっていい。ジョニィと聞いて爪飛ばせるか試したが何も出なかったことは地味にショックを受けたりした。
おっと、話が脱線しかけたな。
まず俺の困難その一は格闘術の経験がないことだった。
生前帰宅部だった俺に秘密結社の戦いや、世界をかけた死闘なんてもちろんなかったのでヒョロヒョロだった。
そしてその二。魔力が少ない。
主人公ナツの魔力を100とするなら俺は15しかない。
俺よりルーシィの方がおそらく魔力が高いとか言う悲しい真実。
しかし死亡率高めのフェアリーテイル。
俺は死ぬ気で頑張った。
俺の住んでいた家から近い実戦形式に近い格闘術を教わり、結構上の方の魔法学校も卒業した。
魔法学校を卒業した俺はフェアリーテイルに入団することに決めていた。
黒魔道士ゼレフだったかな?そいつが攻めて世界を滅亡させるような話までは見たからそれまでに力をつける。その点日頃から争いごとが多いフェアリーテールがうってつけというわけなのだ。
日本のことわざでいうならあれだ。虎穴に入らずんば何たらをえず、ということだ。
...きっと意味が違うだろう。
そんなこんなで俺の回想は終わりだ。
神様のミスか記憶は保持していたが別段困ったことはなかったため良しだ。
さて、いい加減このドアを開けよう!
かっとビングだ!俺ェ!
「おじゃまし「ざけんじゃねぇ!」」
え?俺何で入る前から拒否されてるの?
泣くよ?泣いちゃうよ?エシディシみたいになっちゃうよ俺?
と思っていたら目の前にふと影が現れた。
顔を上げてみると意外!それは人だッた!!
「──え?」
名前も知らない人が俺の顔面にぶち当たった。全てがスローモションの錯覚を覚える。この時俺は前世でみたマンガのセリフである鋭い痛みをゆっくりと、というセリフを思い出していたりする。
そして俺は気を失った。
ふと思いついた作品。
どうなるかは作者も不明。