Lv.0の魔道士   作:蓮根畑

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なんか見返してたらイラッときたので書き直しました。
前回とは違いネタはほとんどない(少しはある)。




22 裏蓮華

 

 

 

人気のない夜にソイツは待ち伏せするように潜んでいた。

ジェット、ドロイ、レビィの3人チームで家に帰る途中にソイツは姿を現し、不意打ちに等しい奇襲を仕掛けた。

まずジェットとドロイを1分も経たないうちに倒し、残るレビィを痛ぶるように攻撃した。

レビィも優れた魔術師ではあるが使う魔法がどちかというと中距離から遠距離。

それに対してソイツはバリバリの近距離で、相性も悪かった。

 

レビィは戦っている最中にソイツの名前に聞いた。

ナツと同じく滅竜魔法の使い手。

鉄竜の力を持つ男。ガジル・レッドフォックス。

 

「ギヒヒ...流石は弱小ギルド。弱ェやつしかいねェなぁ...」

 

圧倒の言葉に尽きる。

ただガジルの前にひれ伏すしかない。

魔力は切れ、傷を負い、立つ力もままならない。

 

「3人一緒に吹き飛びな。鉄竜の──」

 

大きく呼吸をする。

滅竜魔法の一つであるブレス。

ナツは火竜の力を持つため火のブレスを、ガジルら鉄竜の力を得てるためブレスをした時に金属片が混じる。それが高速で飛来する事で以上なまでの攻撃力を持つことになる。

 

「──咆哮ッ!!」

 

高速で迫る竜巻と鉄片。

あまりの恐怖で目を瞑ったレビィの耳に草を踏む音がふと聞こえた。

 

「──真空の翔破(メル・フォース)!」

 

ゴゥ!と暴風が吹き荒れ、ブレスと衝突し爆風を生み出した。

木が震えるほどの衝撃は鉄のブレスをかき消した。

レビィが目を開けると目の前に立っていたのは夜のせいで見えづらくなった黒のジャージを着た男の姿。

ジャージ姿の男なんて分かりきった存在だった。

 

「ジョニィ...!」

「大丈夫...じゃないな。サクラ、頼むぞ」

「分かりました」

 

素早くレビィを肩に担ぎ、もう片方にジェットを。ドロイはまだ軽傷な方で何とか走れる状態だった。

 

「ジョニィ...そいつ、強いぞ...」

「サンキュー、ジェット。知っているけど頑張ってみるわ」

「それじゃアルさん。また後で」

 

ガジルは馬鹿を見るような顔で走って行くサクラ達を見ていた。

何故あんな雑魚達のために出てきた?

と思っていたからだ。

基本的にガジルは人に頼らない。

仲間と呼べる存在もいない。

だから何故助けたかも分からなかった。

 

「何であんな奴らを助けたか?みたいな顔してるから教えてやるよ」

 

心を読んだかのようにジョニィが刀を鞘から抜き出しながら言った。

 

「と言っても俺は仲間がなんだとか家族とか言わねぇ。そういうキャラじゃないからな」

 

闇に浮かぶは赤眼。

その瞳には怒りの炎のような黒炎が灯っているかのように見える。

 

「女の子が傷ついてるんだ。それを助けなかったら男じゃねぇ」

「何言ってんだよ雑魚が。そういうなら俺を倒し──」

 

トンという音がガジルの胸元から聞こえた。

ガジルが目を下げるといつの間にかジョニィが拳を軽く当てていた。

本当に雑魚だな、とほくそ笑み拳を高く上げた瞬間、建造物がぶち当たったかのような衝撃が体に走った。

その威力は完全に体を伝わりガジルの背後にあった木をへし折るほど。

 

「立て。地獄を見させてやるよ...ただし余興だけな。本番はウチのドラゴンスレイヤーがやってくれる」

「ギヒヒ...言うじゃねぇか。お前も火竜も俺が地獄を見させてやるよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

カッコつけたものはいいものも絶対負ける。

そう俺は思った。魔法なしの体術戦なら絶対負けない自信があるがこれは喧嘩のようなもの。ルールも何もない。

知っていると思うが鉄の滅竜魔法について説明しておこう。

 

まず一つ。体を鉄に出来る。

...ずるくない?俺ただの体術使いだよ。木は凹ませることは出来ても、鉄殴ったら痛いだけだよ。

 

その二。体を武器に出来る。

言っておくがアンリミテッドなブレイドワークスではない。ただ腕を剣や、槍にしたり、足の裏から剣を出して天井に逆さまに立てたり出来る。

これによって俺の得意とする関節技が封じられた。

 

どう勝てと?

ナツは鋼鉄とかしたガジルの体に傷をつけることが出来たがアレはやはり滅竜魔法を使ったことが大きいだろう。

それに対して俺は体術9割、魔法1割男。

木の棒で魔王倒しに行くのと同じである。

そして戦う前に言うのもなんだが俺はナツに負けている。つまりガジルにも負ける。

オワタ...明日の朝俺が磔になってるんだろうなぁ...

 

「考え事してるんじゃねぇよ!」

 

ガジルの腕が剣となり俺の立つ場所に伸びてくる。その距離なんと5メートル。

なんとか回避し、ガジルの剣が木に当たると爆発したかのように横に倒れた。

あいつ俺を殺す気じゃないよな?

 

「くそっ、換装!」

 

空間から神様から貰った刀取り出し握りしめる。

ラビットステップを発動させ、一歩だけを加速させ5メートルの間合いを一瞬で詰める。

 

「──シッ!」

 

体を回転させながら腕を振り抜く。

身体強化された腕は通常よりも何倍もの速さで宙をかけたが、ガキィンと鉄とぶつかる衝突音が聞こえると同時に俺の刀の動きが止まった。

 

「え?マジ?」

「鉄竜を舐めんじゃねェ」

 

いや、そうじゃなくて。

神様から貰った刀どうした⁉︎

1ミリもくいこんでねぇじゃねぇか!

 

「鉄竜槍!」

「うぉ⁉︎」

 

俺の腹にガジルの鉄柱と化した腕が命中し、伸びる。足で地面を蹴り威力を軽減するがとんでもない馬鹿力だ。

身体強化でなんとか相殺できる。

 

「八門遁甲──第一門、開!!」

 

抑制された脳のリミッターが一部外れ、あり得ないはずの高速移動を可能にした。

鉄柱の下に潜り、そのまま接近しガジルの顎に蹴りを叩き込み、上空に舞い上がらせた。

効くかはどうか分からない。いや、効く可能性は少ないだろう。

空中に舞い上がったガジルの背後を取り、魔力で作った糸で縛り付け、掴む。

高速回転しながら地面に落ちて行く。

常人が喰らえば即死は間逃れない。

 

「──表蓮華!!」

 

地面まで残り5メートルを切った途端ギヒヒと笑う声が聞こえた。

 

「こんなものか」

 

ブシュッと肌が切られた感覚。

その証拠に俺の手からは鮮血が溢れ出していた。

チラリと見るとガジルの腕が剣となっていた。これで魔力の糸ごと切ったのだろう。

ガジルは空中で俺を蹴り少し上に行くと大きく息を吸う。

 

「鉄竜の──」

 

マズい!警鐘が響く。

全ての魔力を総動員させ風の魔力を手に集中させる。

ガジルの口が大きく開いた。

 

「──咆哮ッッ!!」

真空の翔破(メル・フォース)!!」

 

ゴッ、と嵐が吹き荒れる。

魔力がどんどん吸い取られる。

飛んできた鉄片が体に刺さり、軽傷を増やして行く。

 

「ヤバ...これ、は...持たないぞ...!」

「散りな!!」

 

カッ!とガジルの魔力が増大し、俺の真空の翔破(メル・フォース)は完全にかき消された。

 

「うおぉぉ⁉︎」

 

なす術なく、咆哮を喰らった俺は地面に衝突し見事にダメージを受けた。

鉄片が体に食い込み、血が溢れ出す。

目の前がクラクラする。幸運なのは目が傷つかなかったことだろう。

 

「ぐっ...はぁ、イテェ...」

 

足に刺さった太い鉄片を抜く。

ドクドクと血が溢れ出る。この一撃は師範代の拳とは違う痛みた。

魔道士になって初めてこんな痛みを味わった。

 

「無様だな。これが王者かよ」

 

足で頭をグリグリされた。

痛い。普通に痛い。

こんな事をされてもあんまり怒りが湧かない。

ただ帰ったら頭洗おうと思うだけだ。

 

「ふっ...」

「あぁ?何笑ってんだよ」

 

思わず自分の情けなさに笑ってしまう。

このあとさらにボコボコにされて磔なんだなと、ぼんやり考える。

まぁ、レビィ達がされるよりいいか。

 

「テメェの後はさっき逃げた女どもだ。最低3人はやれって言われてるからな」

 

いやいや、間に合わないだろ。

と思って時計を見るとなんと1分しか経ってなかった。これだけ戦ってもたった一分...⁉︎

嘘だろ。俺ラストエイジスやったウルティアなみに頑張ったんだけど。

 

「あの刀女も磔にしてやるよ」

 

ギヒヒ、と言う。

サクラの事か。結局磔は3人。

いや、それだけは阻止しなくては。

犠牲は俺だけで充分だ。

 

「八門遁甲──第二休門、開」

「アァ?」

 

体力がみなぎる。

ガジル。俺はお前に負けるだろうがそれでも一発はぶち込ませてもらう。

 

「第三生門──開ッッ!!」

 

ガジルの足元から俺の姿が消えた。

 

「ッ⁉︎何処行きや──」

「遅い」

 

振り向きざま顔面を掴んで地面に叩きつける。

その驚き顔が見たかった。

 

「テメェ、何しやがった」

「言っても分かんねェだろッ!」

 

拳を叩き込む。

ガジルは体を硬化させるが関係ない。

 

「──オラァ!」

 

容赦無く叩きつける。

拳というものは案外脆い。

俺は道場に通っていたが空手のように拳を鍛えたりはしてない。つまりガジルにダメージを与えたとしてもさして拳が持つかどうかなのだ。

 

「調子乗ってんじゃねぇ!」

 

拳が迫る。が、遅い。遅過ぎる。

写輪眼と第三生門まで開いた俺には圧倒的に遅過ぎる。

簡易魔法術に魔力を通し指先を軽く濡らす。

ガジルの拳を避けると同時にガジルの目に水をかけた。

 

「目潰しか...!」

「これでも優しい方と思え!」

 

本来なら指でついてたんだぞ。

一瞬の隙を狙い顎を下から叩き蹴り、上空に刎ねあげる。その後を追い俺も飛び上がり更にガジルに蹴りを入れる。

 

「効かなェな!」

「第四傷門──開ッッ!」

 

俺の体の速さが更に上がる。

第四傷門まで開いたのは約2年振りだ。

勿論人には使っていない。ただの練習だった。

 

「そんなもんやったところで俺には無駄なんだよ!」

「やってみなきゃ分からねェだろ」

 

その言葉を最後にガジルの視界から俺が消えた。

途端、衝撃。

背中から殴られ前に飛ぶ。それに先回りして更に拳を叩き込む。

 

「見えねェ...!」

 

俺が読んでいた忍者漫画の超高速体術。

その動きは視認することは出来ず、なおかつ早く、強い。

ガジルを地面に向かって殴りつける。

地面に着く手前、ガジルの体に巻きつけて追いた糸を思いっきり引っ張り俺の方に寄せる。そして引っ張った事によって俺の体もガジルに近づいた。

 

「──ハァァァァ!」

 

万力を込める。

筋肉からブチブチと嫌な音が聞こえた。

ガジルの鳩尾狙って肘と膝を叩き込む。

あまりの速さのせいか空気が歪んだ。

 

 

「──裏蓮華!!」

 

 

余す事なく伝わった威力は地面に叩きつけられたガジルが物語っていた。

爆音が響き、砂埃が大量に巻き上げられる。

これが体術によって引き起こされたなんて誰が信じるのだろうか。

 

「...あぁ、もう、無理だな...」

 

目の前が真っ暗になるのを感じながら俺は気を失った。

 

 




NEW SKILL

真空の翔破(メル・フォース)...元ネタはRAVEの10の姿を持つテン・コマンドメンツの一つである真空の剣(メル・フォース)。
前に進めないほどの突風を生み出すだけであるが、シンプル故に使えやすい。

裏蓮華...表蓮華の上位版。第二休門で体力を回復させ、第三生門から裏蓮華に入る。視認不可能な速度で相手を滅多打ちにする。使ったら高確率で筋肉を切る。



どうだったでしょうか?
個人的には頑張ったんですが...
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