罪の王がダンジョンに居るのは間違っているだろうか 作:ユーリ・クラウディア
「今日は随分街が賑やかですね。」
「確か今日は
「ああ、通りで。」
時は昼時、普段よりかなり遅い時間帯に集は自宅兼ホームの部屋でダンジョンに潜る準備をしながら納得する。
「それにしても、今日も行くのか?折角の祭りだ。今日ぐらいゆっくりすればいいではないか…?。昨晩は別件で動き回って居たろうに…」
「アハハハ…」
昨晩集は偶々路地裏で少女が襲われている所に遭遇しそれを救出、更にはその主犯から芋ずる式で判明した他のグループを一晩掛けて根絶やしにしていた為、この様な日が昇りきった時間帯からダンジョンに行く事になったのだ。
まあ、集はそんな事件があった事や祭りを無視してダンジョンに潜るつもりでいる。
いのりを助けたい一心で此処にいる集は祭り程度で進行を遅らせるつもりは微塵も無かった。
「ハァ…、お前と言う奴は…仕方ない、行ってこい。」
「はい、行ってきます。」
「ああそれと、今日私はガネーシャの奴にパーティーに招待されていてな。顔を出してくるから帰っても居ないかもしれない。」
「分かりました。」
集はネメシスの言葉に返事をしてそのままダンジョンに向かって行った。
「全く…、一体何に憑りつかれているのやら…」
ネメシスは集のダンジョンに向ける異常なまでの思いに頭を悩ませるのであった。
***********
「思っていたよりも賑わってるなぁ~」
集は街の賑わい方が思っていたよりも凄かった事に驚く。
「此奴はポーチにしまっておけばよかった…」
集は人の背負っている大剣に目を向けながらぼやく。
普段の倍は居る人の波にこの体験はハッキリ言って邪魔だ。
集の背負う黒塗りの大剣、銘を【
集は人混みの中を抜け、何とかダンジョンの前まで辿り着いた。
「ふう…、やっと着いた…」
集は一息ついて早速ダンジョンに入ろうとしたその時
ドゥゥゥゥン
後方から大きな音が聞こえて来た。
それに耳を澄ますと多くの悲鳴が聞こえて来る。
「…………ハァ…行かない訳にはいかないかな…」
集は今までの人生経験からこの様な状況で誰かを見捨てるような行動は精神的にとれなくなっている。
集は背負い過ぎたのだ。
罪も罰も業も後悔も、優しさも嬉しさも幸せも、全てを引き受けてその小さな背中に一心に背負う。
集は全てを肩代わりする。
それは最早呪いに近い。
限界を越えて更に多くを背負っているが為に今更追加で背負う事に全く躊躇することは無い。
集は人波をかき分けて悲鳴の中心点へ足を前に進める。
***********
集が悲鳴に気が付いた少し前
ショーの為に用意されたモンスターが檻を抜け出して街で暴れまわって居るとの報告を受けて偶々祭りを回って居たロキファミリアのトップランカー達が鎮静に動いて居た。
「アイズ!こっちは終わったよ!」
「こっちもだよ!」
「うん、こっちも今終わった…」
「報告に上がっていたモンスターは後一匹です!報告ではダイダロス通りに入って行ったそうです!」
ロキファミリア所属Lv.5の三人、アイズ、ティオナ、ティオネの三人とLv.3のレフィーヤだ。
集合地点にしていた広場に集まった四人
「皆ごくろーさん、ほなさっさともう一匹もやってまうか。」
そして、神ロキ本人
四人はと一神は祭りを純粋に祭りを回って居た為に丸腰だったが、流石は高Lv冒険者と言うべきか丸腰でもショーに出すような上層のモンスター程度容易に屠る。
「それにしても、ダイダロス通りか…厄介な所に入られたわね…」
「仕方ないよ、さあ、さっさと行きましょう!」
そして、それぞれがタイダロス通りに向かおうとしたその時
ドゥゥゥゥゥン!!
地面が揺れ、広場のタイルに亀裂が走る。
亀裂から現れたのは大きな緑色の触手だ。
「な…何!?」
そして、全容が露になる。
大きな花のよな巨体、植物型モンスターだ。
よく見れば触手には棘のようなものが無数に生えている。
「こんなの報告に有りませんよ!!」
「泣き言は後よ!レフィーヤ!ロキ様を連れて下がりなさい!安全を確保しだい魔法でデカいのをお見舞しなさい!それまで時間を稼ぐわ!」
ティオネがすかさず指示をだす。
「は…はい!ロキ様此方へ!」
そして残った三人は散開して相手を攪乱する。
しかし、撹乱は意味を成さずモンスターは複数ある触手で正確に三人を狙ってくる。
「クッ…!此奴ショーに出すような上層のモンスターじゃないわよ!」
「Lv.4並…」
今は拮抗しているがLv.5である三人だからこそ素手で此処まで出来ているのであって普通なら瞬殺されるレベルである。
三人は強くてもLv3前半だろうと思っていたが予想が大きく外れた事に若干の焦りを感じていた。
そしていくらレベル的に格下とは言え流石に丸腰では抑えきれず少しずつ押されていく。
均衡が状況が崩れたのは必然と言えただろう
最初に触手が直撃したのはティオナだった。
その事に一瞬意識が向いてしまったティオネがその隙を突かれクリーンヒットを喰らう。
アイズも二人が吹っ飛んだことで空いた触手が殺到し攻撃を喰らう。
そして三人はそこで気づいた。
屋台の陰に少女が一人取り残されている事に…
勿論、モンスターがそこに少女が居る事に気づいて居ない訳がない。
案の定モンスターは触手を少女に向けて振り下ろす。
「「「な…!!」」」
三人は全力でそれを防ごうとするが完全に間に合わない。
「ひぃぃっ…!!」
少女も完全に腰を抜かし手で顔を覆い目を閉じてしまった。
しかし、何時まで経っても来るはずの衝撃が来ない…
ドゥゥン!!
少し離れた所に何か大きな物が落ちたような音が聞こえた。
その事を訝しみ少女は恐る恐る指と指の間から目を覗かせる。
その目に映ったのは…
大きな黒塗りの剣を片手に持ち立つ少年と触手が両断され苦しそうに暴れているモンスターの姿だ。
「間に合ってよかった。もう大丈夫だよ。」
少年、集は目線を少女に合わせて声を掛ける。
「その道を真っ直ぐ人が沢山いる所まで走って。決して振り向いたらダメだよ。いいかい?」
少女は集の言葉にただただ首を縦に振り物凄い勢いで走り去っていった。
「さて…、そちらの三人は大丈夫ですか?」
集は唖然としているアイズ達に声を掛ける。
「問題ない…」
「ええ、何とか…」
「君凄いね~!」
「そうですか、ではここは僕に任せて引いて下さい」
三人は集の提案に再び驚愕する。
それもそうだ、三人がLv.5の猛者だという事は街の殆どの人間が知って居る。
それなのに差も同然のように自分達を逃がすと言っている。
「舐めないでくれるかしら?私達はLv.5よ。当然私達も戦うわ。」
しかし、ロキファミリアのトップランカーとしてのプライドがある三人が引く事は無い。
集もその目を見てそれを理解せざいるを得なかった。
「ハァ…分かりました。僕が前衛として前に出ますんで。三人は援護をお願いします。」
集はそれだけ言うと王の権能を使い身体を強化してモンスターへ突進していく。
三人は強烈な違和感を覚えた。
それは、目の前で戦っている少年の動きに対して物だ。
動きからしてLv.4は確実にある。下手をするとLv.5に到達しているかもしれない。
しかしそれは身体能力的な事だ。身体能力に対して技術が追いついて居ない。
技の駆け引き、剣の振り方、足運び、低レベル冒険者よりは大分マシではあるがそれだけだ。
例えるなら…そう、まるで一撃必殺の攻撃を確実に当てるだけの脳筋攻撃のようなそんな感じだ。
褒めるとするならば回避だけはやたらと上手い…
非常にアンバランスだ
彼女達の疑問は言い得て的を射ている。
集は元々ヴォイドによる圧倒的火力とその多様性でで相手を捻じ伏せる戦法が主だった。
この世界に来てから駆け引きや剣の太刀筋、体裁きを重要視した戦闘を心掛けるようになった。集の豊富な戦闘経験とステイタスがその成長を促し、短時間で最低限の動きが出来るまでに至っただけであった。
「ハアアァァァ!!」
集迫りくる触手を悉く切り落としていく。
しかし、触手は切った端から再生し続けている。
全く決定打を打てていない
「このままだとキリがないか…だったら!」
集は剣をモンスターの胴体に向けて投擲する。
剣はモンスターの胴体に突き刺さりモンスターは苦痛に悶える
『罪を背負いし王は、此処に罪を受け入れる!』
「…ッ!!」
集は身体を更に強化して突っ込む。
魔法に反応したのかアイズ達三人に割り振られていた触手も全てが集に殺到する
集はそれを全て躱しんがらポーチから邪龍シリーズのを取り出し胴体へ向けて次々と投擲していく。
触手は徐々に勢いを無くしていく
そして、集は最初に投擲した悪王が刺さる場所まで到達した。
集は悪王を勢いよく引き抜きモンスターの直上まで跳躍する。
「アアアアアァァァァァッ!!!」
そしてそのまま落下に任せて悪王を突き立てる。
悪王はモンスターの中心にあった魔石に届き破壊した。
モンスターは塵と消え、辺りに静寂が支配した。
戦闘パートは矢張り上手く行きませんね…