罪の王がダンジョンに居るのは間違っているだろうか   作:ユーリ・クラウディア

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エイナさんは基本チョロい

「探せ―!!」

 

「どこ行きやがった!!」

 

「この逃げ足王!」

 

「チッ、こっちにはいねぇ!他当たるぞ!」

 

 

 

 

「…………」

 

逃げる事3時間と少々、死に物狂いで逃げ回り、一瞬だけではあるがヴォイドの使用まで解禁して逃げ切った集はギルドの応接室に身を隠していた。

 

「全く…、君は一体何をしたの?」

 

正面で呆れているのはアドバイザーのエイナさんだ。

 

「あ…あは…、アハハハ…」

 

最早言葉も出てこない。

大体撒いたにも拘らず、今だに現在進行形で鬼ごっこが続いているのだ。

下手に此処から顔を出せばサーチ&デストロイ待ったなしの絶望的状況だ。

 

「ま…まあ、何と言いますか、オラリオを散策していたら広場でライブ?をしていたので少し顔を覗かせてみたら、いつの間にか機嫌を損ねてしまったみたいで…、会場に居た観客全てに追いかけまわされていま。」

 

全く持って意味が分からない

 

「ふぅ~ん…、ライブかぁ~…ん?ライブ?」

 

と此処で何か思いついたような表情をする。

 

「そう言えば最近下級冒険者の間で異常な程人気が出てる歌手が居たわね…しかも神」

 

神がライブ?

 

「ただ不思議な事にファンは下級冒険者ばかりでレベル3以降の有名な冒険者は一切見向きもしないって事なのよね。」

 

「…なんか嫌な予感しかしないんですが…」

 

「今ギルドでも神の力使って強制的に魅了しているのではないかと議題に上がる事があるわ。」

 

「もう殆どアウトですよね…それ」

 

「それがそうでも無いのよ、確かに魅了っぽい力は働いているらしいんだけど、どれだけ調査しても一切力は使われていないって結果がでてるの。」

 

「それはまた、困りましたね…」

 

どうしようもなくなってきた気がしてきた集は肩を落として項垂れる。

この応接室から出られない時点で詰んでいるのだが、それは言っても詮無き事である。

 

「それで?結局何て言う神様なんですか?その神は」

 

「え~と…、確かミューズだっかたしら…。詳しくは知らないけど、なんでも世にも珍しい多重人格の神だそうよ」

 

「多重人格ですか…」

 

なるほど、ミューズとはミュージックの語源であり英語の読みだ。原典は古代ギリシャ語であり、現地の言葉に訳すとムーサ、又はムサと発音するらしい。

そして、日本では古代ギリシャに置いて歌の女神と言えばミューズ、と言う印象が強いため勘違いされがちだが、実際には複数の歌い手をまとめた総称をミューズと言うのだ。確か場面により3柱、4柱、9柱の枠組みがあり、その人数や歌い手に一概にコレ、というものが無かったと思う。

 

以前颯太に頼まれて某二次元アイドルグループのPV動画を編集した時に、色々調べたからこれだけの情報を知って居たけど、日本でマイナーな神の事なんて殆ど分からないんだよな。

まあそれでも颯太の影響でそこそこの知識があるんだよな。色々やらされた時は若干困ったけど今になって凄い感謝の念を抱けるよ。

 

それは兎も角として、この世界、事この都市は元の世界の神話が色濃く反映されている。

それでも差異は其れなりに存在しているが、神の気性、と言うか本質は殆ど変わらない。

そういう意味に置いては、神に挑戦する為の言わば反神仏的建築物と言う説があるバベルは、神が建てたことで最高に皮肉が効いたネタ建造物と化している。

その内天罰は無くても、何か厄介な理由で倒壊とかしないだろうかと少々心配しているのだが…まあ、この点については今は関係ないし放置するとしよう。

 

まあ、つまりがこのミューズと言う神、最低でも3柱以上の神格を持ち合わせているチート女神の可能性があるという事だ。

まあ、本来の神としての神格が他の神より低い可能性も十分にある為、神格を複数持ってても強いとは限らないのだが、人間である俺にはあまり関係のない事だろう。

 

「それで?君は如何するの?なんか物凄く厄介な事になってるみたいだけど?」

 

「んー、実際もう既に結構詰ん出る気がするんですが…。エイナさん、そのミューズって言う女神の経歴って分かりますか?性格なんかも分かると良いんですけど…。」

 

「そう言われてもな~、ギルド職員としての守秘義務的にあんまり迂闊な事は言えないのよね。」

 

「そうですか…エイナさんは僕にアレの犠牲になれと言うのですか」

 

「い…いや、そういう訳じゃ…」

 

取り敢えず、泣き()し的精神で揺さぶる事にしてみた。

 

「あ~、僕の平和なオラリオ生活も此処までか…エイナさん、今までお世話になりました。さようなら。」

 

集は席を立ち出口に足を向けた。

出来るだけ哀愁を漂わせて。

 

「あぁーーもう!!分かったわよ!言えばいいんでしょ!言えば!」

 

基本的に善人で、超が付く程のお人好しであるエイナは、こういった場面に置いて結構チョロいのである。

 

「はい、有難うございます。」

 

集はエイナの返答を聞いた瞬間待ってましたと言わんばかりに椅子に座り直し、満面の()()笑みでお礼を言う。

 

この光景を昔の友人達が見たら集を偽物だと判断するだろう。

昔に比べると随分と黒く逞しくなったものである。

 




集が暗黒面に落ちたぞッ…!?
あの気弱な集は何処に行ってしまったんだろうか…
暗黒面と言えば原作でも思いっきり染まってましたけど、こっちは違うベクトルで暗黒面ですね。

そして、颯太君はオタクだったのかな?
その某二次元アイドルグループってアレじゃん、ぜってーラ〇ライ〇!じゃん。

とまあ、勝手に颯太君のキャラ設定を弄ったのです。
〇ブラ〇ブ!とか私は見た事無いのですが、友人曰くグループ名の設定はミューズから来ているそちゃんとキャラが作品内で明言しているそうです。
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