遅咲きの日本人魔法使いはホグワーツの外交官です。 作:音符と黒猫
ちょっとレアな?シナリオです。
「どうやって魔法省まで行くのですか?」
レイラは歩きながらスネイプに聞いた。
「魔法省から地下鉄の切符が渡された。マグル式で行くらしい。」
そう言ってスネイプはレイラに切符を渡した。
「ウェストミンスター駅で降りる、ということはあの電話ボックスですか。」
レイラは切符を一瞥して言う。
「魔法省、行ったことあるのか?」
やや驚いてスネイプが言う。
「9歳の時に顔を出したっきりですけどね。それ以降もロンドンには来ていますが魔法省には行ってません。」
レイラは言う。
「Mr.スネイプは地下鉄乗ったことあるのですか?」
「子供の頃に何度か。ここ数十年は乗ってないが。」
そう言ってスネイプは懐から羊皮紙を取り出す。
どうやら、魔法省への行き方が書いてあるらしい。
「……もしかして、駅の場所を調べてます?」
ヒースロー・ターミナル1,2,3駅なら向こうですよ、とレイラは指差す。
「駅の場所、知っているのか?」
「ヒースロー空港内の地図なら頭に入ってます。」
そう言ってレイラは歩き出す。
スネイプもそれに続いた。
改札を通り、ピカデリー線に乗車する。
ガタゴトと電車に揺られること数分。レイラが口を開いた。
「てっきり、姿現しとかポートキーで魔法省に行くんだと思ってました。意外ですね、マグル式なんて。」
「我輩としてはそちらの方が楽なのだが……。魔法での移動も慣れてるのか?」
「そうですね。多分魔法界の移動手段は、ほぼ全部体験していると思います。今回もてっきり魔法で行くんだと思ってました。」
「そうか。」
会話が終わる。
(まぁ、あんまり話すのが好きじゃないんだろうし、あとは放っておこう。)
レイラはそれ以上会話を続けなかった。レイラ自体話すのが得意ではない。立場上必要なので必要最低限の話術を持っているだけだ。話さなくても良いのなら話さない。
一方、スネイプはレイラの態度に驚いていた。
(我輩が家族を殺したというのに、憎むそぶりも全くなく、普通に接してくる。この子は、何なんだ?)
ただ単にレイラの冷淡で執着心が薄い性格ゆえの態度なのだが、まだレイラのことをよく知らないスネイプからすれば異常な人間に見えるだろう。否、知っていても異常な反応であるのは変わりはないのだが。
ちらりとレイラを見るが、表情に変化はない。微笑みさえも浮かべている。
(本当に、この子は何なんだ……?)
スネイプはレイラに畏怖の念を抱いた。
ピカデリー線に乗って約40分。ディストリクト線に乗り換えるならアールズコートで乗り換えだが、どうやら降りないらしい。グリーンパークでジュビリー線に乗り換えるのだろうか?
そしてまた約10分が過ぎる。次の駅がグリーンパークだが、全く降りる素振りのないスネイプにレイラが声をかける。
「Mr.スネイプ、次の駅で乗り換えですが。」
「乗り換え……。あ。」
羊皮紙を見て、スネイプが青ざめる。
「もしかして、アールズコートでディストリクト線に乗り換えでしたか?」
「……。」
スネイプは何も言わない。
その沈黙を、レイラは肯定と取った。
「別に次の駅でジュビリー線に乗り換えて行っても、到着時刻は変わりませんから大丈夫ですよ。」
レイラはクスッと笑って言う。
「……そうか。」
スネイプはぶっきらぼうに返す。
「この調子でよくヒースロー空港までたどり着けましたね。」
からかうようにレイラが言う。
「……空港までは姿現しで来たんだ。」
「あ、なるほど。」
「地下鉄に乗るのがあまりにも久しぶりでな。」
「魔法使いの方ならそうでしょうね。」
さぁ、乗り換えです、とレイラはグリーンパーク駅のプラットホームに降り立つ。その後ろ姿を見ながらスネイプは思った。
(……この子1人で魔法省まで来れたんじゃないか?)
ジュビリー線に乗車し、一駅分電車に揺られ、ウェストミンスター駅で降りる。
スコットランドヤードという通りに入り、赤い電話ボックスに入る。
「6,2,4,4,2と」
レイラはダイアルし、告げる。
「レイラ・K・ミナヅキです。ホグワーツの用件で来ました。引率者はMr.スネイプです。」
「了解しました。Mr.スネイプに関しては先ほど受付をしておりますので守衛室に行かなくても大丈夫です。アトリウムから地下5階、国際魔法協力部へ向かってください。」
女性の音声が応答し、カチャリという音と共に銀色の四角いバッジが出てくる。レイラ一人分だけらしい。
レイラがバッジを付けると、電話ボックスは地下へと吸い込まれていく。
「久しぶりですね、この感じ。」
レイラは懐かしそうに言う。
「電話番号も覚えていたのか。」
スネイプはレイラに言う。
「覚えるも何もMagic、ですからね。」
粋ですよね、とレイラはどこか嬉しそうに言う。
そして、地下8階、アトリウムに着き、エレベーターに乗る。
「地下5階です。」
アナウンスと共にエレベーターの扉が開く。
「よく来たの、Ms.ミナヅキ。引率ご苦労じゃった、セブルス。」
扉の前で出迎えてくれたのは、ホグワーツの校長、ダンブルドアと魔法大臣、コーネリウス・ファッジだった。
完全に立場が入れ替わったレイラとスネイプ先生。
引率する側が逆に引率されてます。
困ったスネイプ先生を書くのは難しいけれど楽しいです。
マグル界育ちのスネイプ先生ですから地下鉄には乗ったことあるでしょうが、普段からそんなに外出する感じはないので久しぶりに乗ることになるかなと。おそらく魔法使いは飛行機に乗ることもないと思うので空港に行くこともないでしょうし……。
と言うわけで困らせてみました。
スネイプ先生の口調が微妙にわかりません……。こんなのでいいのでしょうか?