遅咲きの日本人魔法使いはホグワーツの外交官です。   作:音符と黒猫

7 / 12
短く簡潔に文を書けるようになりたい。
魔法省後編?
措置編です。


#6

昼食を食べ終わると、措置が始まった。

ダンブルドアは各寮監が準備しているうちにレイラに説明をする。

「これから、君の身体の時を11歳まで戻す。6年分、君の身体の時を巻き戻すのじゃ。その後はまた6年かけて今の君の姿に成長する。この魔法は一度かけると解くことができない。君が死んだ時、巻き戻された6年間が加算される。良いかの?」

「ええ。要するに、私は今から6歳若返ると。そして、また6年かけてこの姿に戻る。死んだ時、一気に6歳分、歳をとる。」

「そうじゃ。君は魔法界では1980年生まれとして登録しておる。マグル界とは生年が違うから気をつけるように。」

「……年齢詐称して大丈夫なんですか?」

「心配ない。さて、始めよう。」

 

ダンブルドアがそう言うと、スネイプが何やら毒々しい色をした液体の入ったガラスのゴブレットを持ってきた。

「魔法薬じゃ。薬を使うから措置を食後にしたのじゃよ。」

ダンブルドアが言う。

「……液体なんですね。」

レイラは呟いた。

「……液体じゃない薬があるのか?」

スネイプがレイラの呟きを聞き取って言う。

「魔法界には液体以外ないんですか?」

錠剤とかカプセル剤とか粉剤とか、とレイラは薬の形態を羅列する。

「……よくわからないが、マグル界にはそういうものがあるのか?」

「……世界が違うことが改めてわかりました。」

レイラはそう言うと、スネイプからゴブレットを受け取った。

(毒々しい色。何が入ってるのよ?)

紫色の毒々しい液面を見つめた後、レイラは意を決して一気に呷った。

(あの薬、相当苦いはずだが……。)

(得体の知れぬ薬を一気に呷るとは、なかなかの勇気じゃのう。)

スネイプとダンブルドアは驚いてレイラを見ていた。

 

最後の一滴まで飲み干し、レイラがハァ、と息をつく。

「……苦い。」

ボソリと呟いた。

相当苦かったのだろう、眉間に皺を寄せ、左手で口を覆っている。

「大丈夫か?」

スネイプがレイラに声をかける。

「ええ、まぁ。一気に呷って正解でした。」

そう言いながら、レイラは口から左手を離す。

レイラはなんとなく、身体の内側が変わっていくのを感じた。

 

「落ち着いたかの?では、次の行程に移ろう。」

ダンブルドアは言った。

レイラは部屋の中央に立たされる。

レイラを囲むように、スプラウトが何やら植物を並べていく。

ダンブルドア、マグゴナガル、フリットウィックがレイラを囲んで杖を向ける。

「今からわしとマグゴナガル先生で君の身体を縮めていく。同時にフリットウィック先生が服を縮めてくれるから、服がだぼだぼになる心配はない。では、スプラウト先生、点火してくれ。」

植物に火がつけられ、ダンブルドアとマグゴナガルの杖から白い光が飛び出し、レイラを覆う。同時にフリットウィックの放った黄色い閃光が白い光に巻き付く。

 

(あ、縮んでる縮んでる。)

レイラは身体が徐々に縮んでいくのを感じた。眩い光に包まれているため目が開けられないが、確実に身体が小さくなっていくのを感じる。

(11歳の私ってどんなんだったっけ?)

小さくなりながら、レイラはそう思う。

11歳。学校を諦めた年齢。そして、人生全てに絶望した年齢。

学校に良い思い出は特にない。15歳まで日本に仕事以外で行ったことは無かったが、それでも外国ではレイラは日本人として扱われる。日本人であるハンディキャップはレイラの学校生活の障壁となった。もちろん、仲良くしたり、親切にしてくれた人もいたが、差別され、虐められることも多かった。よって、護身術の訓練が欠かせなくなった。

そして、めまぐるしく変わる環境。ホテル暮らしで自分の家は無く、両親は常に仕事で直接話ができるのは主に飛行機での移動中だけ。場合によっては言語すら通じない状況に1人置かれ、死にものぐるいで言語を勉強せざるを得ないこともあった。そして、世界を相手にする場合は子供であっても大人と同じ対応が求められる。しかも、2つの別世界の架け橋だ。求められる対応は並ではない。

そんな世界と自らの将来に絶望を抱いていた11歳のあの頃。

今は世界を俯瞰するだけの知識と能力、対魔法界外交官としてのスキルを持っているため、絶望を感じることはなくなった。それだけの努力をし、胆力がついたのだ。

(人生って不思議ね……。)

レイラは微笑んだ。

 

白い光が消えていき、薬草の香りも薄くなった。

ふと目を開けると、景色がいつもと違って見えた。

「成功、じゃの。」

ダンブルドアがレイラを見て言う。

「ええ。本当に小さくなってる。」

そう言うレイラの声が、先ほどよりも高くなっている。

手を握ったり開いたり、髪を触ったり、軽く跳ねたり。レイラは身体を確認していく。

どこからかマグゴナガルが全身鏡を取り出し、レイラの前に置いた。

少し毛先がうねった黒茶のロングヘア、ややつり目がちな大きめの茶色い目、控えめについた小さめの鼻と口。11歳でも17歳でも大して顔は変わっていない。身長が150cm弱まで縮み、全体的に小さくなっただけだ。ただ、髪の長さは変わってないので17歳の時はセミロングヘアだった髪はロングヘアとなり、前髪が目にかかっていた。

「ヘアピンって持ってますか?」

レイラはマグゴナガルに聞く。

「ええ。前髪ですか?」

マグゴナガルがヘアピンをレイラに手渡しながら言う。

「そうです。邪魔なのでとめようと思って。」

そう言ってレイラは前髪をヘアピンでとめる。広めの額が露わになり、レイラは11歳よりも大人びて見える。

「明日返すので、今日一日借りても良いですか?」

「もちろんですよ。」

マグゴナガルはレイラを見て微笑む。そして、魔法で全身鏡を片付けた。

「では、聖マンゴへ行きましょう。身体は大丈夫そうですが、検診は受けてもらいます。」

マグゴナガルは歩き出した。

レイラもスーツケースとショルダーバッグをひっ掴み、後に続く。

 

「では、後はマグゴナガル先生に任せて、帰るとするかの。」

ダンブルドアと残りの寮監はホグワーツへと帰って行った。




やっと次回で8/9が終わります。
1日の出来事を書くだけなのに長い過ぎですね。

早く原作本編に入れるよう、頑張ります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。