後、いもーとさんの名前をパンセちゃんに決定ー、おねーさんの名前もいつかだすかも。
では、どうぞ。
あの出来事から数日。
「ポケモントレーナーになる準備って具体的には何すればいいんだろうな?」
俺はまだ見ぬ相棒に胸を膨らませつつタマゴに視線を向けるが返事が返ってくる筈もなく。
「ホント、何すればいいんだか……」
行き詰まった感じが俺を襲う。
このまま何もしないで旅に出たりなんてして醜態を晒す羽目になるなんて俺は嫌だ。出来ることならやれることをやってから旅に出たい。だとすると、やっぱり他の誰かに教えて貰った方が良いんじゃないだろうか? と考えてもみるが、俺の周りにポケモンバトルを教えてくれそうな人もいない。縁のあるポケモントレーナーは預かってるポケモンがポケモンなだけにその縁のあるトレーナーは色々駄目だ。
そうやって、頭の中で消去法で消していくと――誰もいなくなった。
「あぁー、駄目だ。教えてくれる人なんていないぞ……」
カランカラン
「はーい、ちょっと待って下さい」
俺が思考の海にもう一度潜ろうとした時、入店を知らせるドアベルが鳴ると、俺は急いでカウンターの所に行く。
「すみません、今他の人は手が離せなくて……って、貴女は……ライチさん?」
「ああ、そうだよ私はライチさ。……にしてもあの姉妹、人を呼び出していながら時間を空けてなかったのかい。私も暇じゃないんだけどね」
島クイーンのライチ。島の皆からの信頼も厚くそのうえ、若くしてしまクイーンの座に選ばれるほどのその実力者。まさに俺が望んでいたような人である。
このチャンスを逃すわけにはいかない……。
「ああ、そういえば名前を聞き忘れていたね、名前……何してるんだい?」
「俺にポケモンバトルを教えてください!」
カントー地方より遠きアローラ地方のウラウラ島に流れ着いたらしいお願いの最終形態。相手より極限まで下からそれこそ頭を地面につけて頼み込む、その名も『土下座』である。
「何だってこんな体勢をとっているんだい?」
「人に本気で頼み込む時はこれだと聞いたので」
「……ハァ、バトルをレクチャーするのは別にかまわない。けど、あんたは一体何の為にそこまで人に頭を下げようとするのか聞かせてくれないかい?」
何の為か……アイツを倒す為。ポケモンと触れ合うため。世界を知る為。理由なら色々あるけど一つの言葉に集約するとしたら、お姉さん達に聞いたこの言葉が適当だと思う。
俺は顔を上げてライチさんの目を見据えてはっきりと答えた。
「――島巡りの為」
「!? いいよ、バトルのレクチャーの件受けてあげるよ」
「ありがとうございます!」
俺はもう一度頭を下げた。
「やめなよ、顔を上げな。改めて聞くよ、名前は?」
「ハーネスです!」
こうして、俺はこの人にポケモンバトルを教えてもらうことになった。
その時、ガチャっと後ろのドアが開いて突然店の奥からパンセさんが出てきた。
「いやー、戻ってきたらハーネスがライチさんに土下座してるから怒らせちゃったのかなと思ったけど無事解決出来て私ほっとしちゃった」
「あら、パンセちゃんじゃない、結局用件って言うのは?」
「あー、あれならもう解決しちゃってるじゃないですか。ハーネスのことビシバシ鍛えてやってくださいね!」
それだけ言ってパンセさんは店の奥に戻っていった。
ライチさんを呼んだのはパンセさんだったのか、道理で出来すぎていると思った。頼んでくれてたわけだから俺の早とちりだったのか……。
「ところで、ハーネスはポケモンは?」
「あー、まだタマゴで……」
ポケモンバトルのことを教えてくださいといったのはいいけど実際俺まだポケモンもってないんだったのをすっかり忘れていた……どうしようか。
俺がウンウンと唸っていることで大体のことを察したのかライチさんは俺が返事をする前に話し始めた。
「そうかい――本来、旅の中で自分で気付いて欲しいものなんだが先に教えておくとするよ」
「へっ?」
ポケモンなしで出来ること、そんなものがトレーナーの中に存在するなんて初めて知った。
ポケモンのことは多く知っていてもポケモンバトルのことは精々テレビで見たり少しだけ生で見た程度だ。しかもそれは周りへの配慮もしつつのバトルだったから激しさもあんまりないものぐらいでとてもバトルを知っているとは言えない。そんな俺が思いつくことといえば精々トレーナーはポケモンに指示を出すこと、だから物事を把握する力……とかかな?
「ちょっと、失礼するよ」
「え、ちょっ!?」
近い! そして、恥ずかしい……肩を揉まれたり手を握られたり兎に角体中を触られた。
「へぇ、手首と肩がかなり良い。なんか鍛えてたのかい?」
「いや、そんなことはないですけど……あっ、恥ずかしいんで離れて良いですか?」
「好きにしていいよ――まあ、恐らくこの牧場での仕事の一つの成果ってところね」
「あっ!」
そういえば、水ポケモンの餌を撒いたりする時、手首を使っていたり重いものを押したりしていたことがあった、と今までのことを振り返って思う。まさか何気ない日常の中には自分の力が付くようなものが隠されていたとは……。
「で、具体的には何をするんですか?」
「基礎のモンスターボールの投球練習、それと――ボールハンドリングさ」
◇
場所は変わってオハナ牧場敷地内の手の入っておらず、黄金色のススキが今尚無造作に生い茂っている野原にまでやって来ていた。
「じゃ、説明するよ。これを持ちな」
そう言って渡されたのは赤と白で上下に色がわかれた俺もよく知る、そうモンスターボールだった。
「モンスターボール? 中には誰もいないけど……」
「ポケモンバトルはポケモンだけがやるんじゃない、トレーナーもまた技術を磨かなくちゃならない。例えば、おいうちという技がある。あれはボールに戻そうとしたポケモンを攻撃する技だけど」
「ふむふむ」
「熟練のトレーナーはそれをさせないスピードでポケモンを入れ替える」
「!?」
ポケモンの技に人の技術が追いつくこともある、簡単に言うようだがこれは……種族の壁を乗り越えるというとんでもない事であり、それが熟練のトレーナーの中ではごく普通の事だという。
「ま、そういう事だからちゃんとやっておくべき事なんだよ」
「勉強になります……」
「但し、一つだけ覚えておきな」
「何ですか?」
「ハーネス確かにあんたは他の新人トレーナーより優れることになるかも知れないけど決して慢心してはいけないよ」
「わかってますよ」
「……まぁいいさ。じゃ、教えるとするよ」
そして、ボールハンドリングは練習が始まった。
「腕の力だけじゃなくて手首の力で、最短距離を選ぶのではなく最速で腰のボールを手にして、目の前の標的に投げつけるんだよ」
「はい!」
しかし、まだ体がその動きに慣れていないのでボールを掴む動作は拙く。
「その投げ方ならもっと腕を上に上げて! 無理なら下投げでもいいから的に当てる!」
「はい!」
ボール投げの方もコントロールが身に付いていないという有様だった。
けど、トレーナーの新しい一面を知って夢中になって俺は日が暮れるまで練習を続けた。
追記 今回の話、旅出るまでに十話ほどかかることに気付き省略するために割と巻きで話を進めています!
あと、キャラはどんどん出してくよ!