よろしくお願いします。
風が吹き荒れる荒野で二人の少年が向かい合っている。
「俺は、
一方の少年の掛け声と共に白鎧を纏ったようなデザインをしたロボットがもう一人の少年のもとへ背中のブースターを用いて突撃し、そのまま拳を振り抜く。
「うわぁぁぁぁ!!」
大山祐太
LP1800→0
「そこまで!勝者、
審判の勝利宣言と同時にそれまで荒野だった周囲の景色がみるみるうちに無機質な競技場へと変貌する。
負けた方の少年は当然悔しそうな顔をしていたが、勝った方の少年、刹那も何故か唇を噛んでいた。
「やはり...このままでは...」
「何勝ったのにそんな顔してんだよ刹那」
顔を下に向けていた刹那の肩に手が置かれる。
そちらの方を見ると刹那と同じ舞網市内ナンバーワンのデュエル塾『Leo Duel School』、更に言えば同じシンクロコースを受け、その中で1番の成績を修めている友人、刀堂刃がいた。(因みに刹那の成績は2番目である。デュエルの成績は同じ位だが筆記や知識で刃が勝っている。)
「ああ、刃か。実は少し悩んでることがあってな...」
「何だよ、悩んでることって?」
刹那は少し目を伏せてから、意を決したように刃の方へ向き直り、口を開いた。
「ど う し た ら ク オ ン ダ ム に な れ る ?」
「...へ?」
刃は理解ができなかった。何が、ではなく全てがだ。
クオンダムは知っている。先のデュエルでも大活躍した彼のエースモンスターにしてフェイバリットカードだ。
だが、クオンダムになるとは?
そのまま理解は出来ないが悩みを言ってくれた手前、何かアドバイスでもしなければと思い
「と、とりあえず思いきって行動してみたらどうだ?」
とこの場においてアドバイスにすらなってないようなことを言ってしまった。
「そうか、やはりそうだな」
刹那は1人で得心したような、吹っ切れたような顔をして
「ありがとう、刃。これで決心がついた」
と言い残し、その場を去っていった。
「な、何だったんだ?」
数日後、刹那は『LDS』を辞めた。
☆
ここは舞網市の数あるデュエル塾の1つ、『遊勝塾』。決して『LDS』のような裕福な塾ではないが、塾長である柊修造と幾人かの子供達が所属している慎ましやかなデュエル塾である。
「ねぇ~、私達も融合とかシンクロとかエクシーズとか使いたいよー」
「そ、そうは言ってもだな...」
「基本もしびれる位にやり尽くしたぜ...」
「うーむ...」
塾生の年長者である榊遊矢と柊柚子が外から帰って来てない今、修造は子供達相手に困惑していた。
勿論、修造自身は彼らの要望に応えて、更なるデュエルの可能性を拡げてもらいたい。
だが近年にデュエルにおいて新しく発見された融合召喚、シンクロ召喚、エクシーズ召喚は教えてくれる場所は『LDS』等の大手しか無いのだ。
なので『遊勝塾』では教えられないのが現状である。
「どうしたものか...」
その時、遊勝塾のドアが開いた。
「邪魔をする」
一人の少年が中に入ってきて、修造の前に立ち止まった。
「入塾希望の者だが...」
「にゅ、入塾希望!?」
「あ、明日は槍でもふるのかぁ!?」
子供達2人がノストラダムスの予言を初めて聞いた人のような反応をする。
「君達はウチを嘗めすぎだ!」
そう言っている修造が実は一番驚いている。
「?何か問題でもあったのか?」
「いやいや、無いよ。何時でもウェルカムさ!ところで、君の名前は?」
「光晶刹那だ」
そう、この少年こそ先日LDSを辞めた光晶刹那その人である。
「何で、ウチに来ようと思ったのかな?恥ずかしい話だが、ウチは貧乏塾だ。LDSだったり、梁山泊塾でも良かったんじゃないのかい?」
「そ、そんな事言ったら貴重な生徒が逃げちゃうよ!?」
「そうだぜ!塾長!?」
「君達はちょっと黙っててくれないかな!?」
そんな漫才も尻目に刹那は遊勝塾に入る理由を話す。
「それで、理由だが...」
「理由は...?」ゴクリ
この場にいる遊勝塾の面々が生唾を飲み込む。
「俺は、まだクオンダムにはなれない。だが、クオンダムと共に戦うことはできる!」
・・・・
その場の空間が沈黙に支配された。
子供達2人は何がなんだか分からない顔をしている。
「えーと...つまり?」
「し、しびれる位訳わかんねーぜ...」
そして修造だけが納得したような顔で
「分かったよ、君の熱意は充分に伝わった。確かに、それはウチに来るのが一番だ」
子供達が「え、分かったの!?」という表情で修造の方を見る。
「じゃあ...」
「ああ、入塾を認めよう!ようこそ遊勝塾へ。エンタメデュエルの世界へ!」
「「え、えぇぇぇぇぇぇ!!!??」」
☆
「じゃあ、先ずは君の実力を見せて貰おうか!」
そう言って修造はデュエルディスクを起動させ、構える。
「あぁ、分かった」
それに応対するように刹那もデュエルディスクを起動させ、構える。
「戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が!」
「カードと共に地を蹴り、宙を舞い、フィールド内を駆け巡る!」
「見よ、これぞ、デュエルの最強進化形!」
「アクショーン...」
「「デュエル!」」
SHUZO VS SETSUNA
アクションフィールド『マジカル・ブロードウェイ』
周囲がみるみるうちにネオンが輝くラスベガスのような夜の繁華街へと姿を変える。
「俺のターンからいかせてもらう!」
「来い!熱血指導だぁ!!」
「俺は、
チューナー・効果モンスター
星1/水属性/機械族/攻 500/守 500
「水晶機巧-クオン」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):相手のメインフェイズ及びバトルフェイズに発動できる。
手札からチューナー以外のモンスター1体を効果を無効にして特殊召喚し、
そのモンスターとこのカードのみを素材として機械族Sモンスター1体をS召喚する。
刹那の前に身の回りを水晶で包んだ小さい少年型のロボットが現れる。
「カードを1枚セットして、俺はこれでターンを終了する」
光晶刹那
LP4000
手札:3枚
モンスター:水晶機巧-クオン
魔法、罠:セットカード1枚
「セットカード1枚に攻撃力500のモンスターを攻撃表示..」
「あのセットカードはモンスターを守るためのカードかな?」
子供達は自分達の推測を述べながら彼らのデュエルを真剣に見ている。
「俺のターンだ!ドロー!」
修造はドローしたカードを見て、ニカッと爽やかに刹那に笑いかけた。
「さぁ!全力で行かせてもらうぞ!俺はガッツマスター・ファイヤーを召喚!」
ガッツマスター・ファイヤー
効果モンスター
星4/炎属性/戦士族/攻1700/守1700
(1):1ターンに1度、手札から「ガッツマスター」モンスター1体を特殊召喚できる。
(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、
1ターンに1度、このカード以外の自分フィールドの攻撃表示の
「ガッツモンスター」モンスターは戦闘では破壊されない。
修造の前に剣道の防具を身につけ、竹刀を持ったモンスターが現れる。
「そして、ガッツマスター・ファイヤーの効果を発動!手札から『ガッツマスター』モンスターを特殊召喚!来い!ガッツマスター・ヒート!」
ガッツマスター・ヒート
効果モンスター
星4/炎属性/戦士族/攻1600/守1600
(1):1ターンに1度、手札から「ガッツマスター」モンスター1体を特殊召喚できる。
(2):1ターンに1度、このカード以外の自分フィールドの攻撃表示の
「ガッツマスター」モンスターが攻撃対象にされた場合、
その相手の攻撃モンスター1体を対象として発動できる。
ダメージ計算後、その対象のモンスターを破壊する。
今度はラグビーボールを持ち、赤と白のボーダーの服を着た、まさにラグビー部といった巨漢のモンスターが現れる。
「さらに、ガッツマスター・ヒートの効果を発動して『ガッツマスター』モンスターを手札から特殊召喚!来い!ガッツマスター・レッド!」
ガッツマスター・レッド
効果モンスター
星4/炎属性/戦士族/攻1500/守1500
そしてグローブを手に着けたボクシングをしているようなモンスターが現れた。
「1度に3体も...」
「さぁ!
ファイヤーが手に持った竹刀を振り上げ、真っ直ぐにクオンに攻撃してくる。
「俺はクオンの効果を発動!手札から水晶機巧-スモーガーを特殊召喚して、レベル3、水晶機巧-スモーガーにレベル1、水晶機巧-クオンをチューニング!」
すると刹那の前に虎の形を模した白いロボットが現れ、クオンとスモーガーがその姿をそれぞれ緑の輪と小さな光の玉に変えた。
「西方の守護獣よ、集いし結晶と共にその力を顕せ!」
刹那が宣言すると緑の輪の中に小さな光の玉が集い、1列に並ぶ。
「シンクロ召喚!」
そして一際大きな光を放つ。
「
シンクロ・チューナー・効果モンスター
星4/水属性/機械族/攻1800/守2000
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
(1):相手のメインフェイズ及びバトルフェイズに発動できる。
このカードを含む自分フィールドのモンスターをS素材としてS召喚する。
(2):S召喚したこのカードが戦闘・効果で破壊された場合、
Sモンスター以外の自分の墓地の「クリストロン」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを特殊召喚する。
光が収まり、所々に金をあしらった白鎧を纏ったロボットがそこに現れた。
「往くぞ、クオンダム!」
「し、シンクロ召喚!?」
「し、シビレるぅ~!!」
「そうか、シンクロ召喚!いいぞ!熱血だぁ!」
「クオンダムの攻撃力は1800!フィールドのどのモンスターよりも高い!」
「俺はガッツマスター・ファイヤーの攻撃を中止してターンを終了する」
柊修造
LP4000
手札:3枚
モンスター:ガッツマスター・ファイヤー、ガッツマスター・ヒート、ガッツマスター・レッド
魔法、罠:なし
「俺のターン!ドロー!手札から禁じられた聖杯を発動!これでこのターン中、ガッツマスター・ファイヤーの攻撃力を400上げて効果を無効にする!」
禁じられた聖杯
速攻魔法
(1):フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
ターン終了時までそのモンスターは、攻撃力が400アップし、効果は無効化される。
ガッツマスター・ファイヤー
ATK1700→2100
「戦闘破壊に耐える効果を無効にしてきたか!」
「バトルだ!クオンダムでガッツマスター・ヒートにアタック!」
クオンダムがそのブースターを用いてヒートに突撃する。
「おっと、まだ倒させるわけにはいかない!」
修造はガッツマスター・ファイヤーとガッツマスター・レッドに互いの腕を組ませ土台にして、そこに飛び乗り、自らの跳躍力と2体の力を使い宙に高く跳んだ。
「アクションカードゲット!アクション魔法『奇跡』を発動!」
そしてそのまま空中にあったアクションカードを取り、発動させる。
「『奇跡』の効果でガッツマスター・ヒートは戦闘破壊を免れ、その戦闘で発生する自分へのダメージは半分となる!」
修造は宙で1回転してから着地する。
水晶機巧-クオンダム WIN!
ATK1800
VS
ガッツマスター・ヒート LOSE...
ATK1600
柊修造
LP4000→3900(『奇跡』の効果によりダメージ半減)
「くっ、防がれたか...!」
「これが榊先輩のエンタメデュエル!まさにモンスターと共に地を駆け、宙を舞うデュエルだ!」
「これが、エンタメデュエル...!ターンを終了する」
光晶刹那
LP4000
手札:3枚
モンスター:水晶機巧-クオンダム
魔法、罠:セットカード1枚
「俺のターン!ドロー!」
修造はドローしたカードを見て真剣な顔つきとなり、刹那に宣言した。
「さぁ、これからがデュエルの佳境だ!防いでみせろ少年!それが熱血だぁ!!」
「来い!柊修造!」
「俺はデッキから上1枚を墓地へ送り、手札からアームズ・ホールを発動!」
アームズ・ホール
通常魔法
このカードを発動するターン、自分は通常召喚できない。
(1):デッキの一番上のカードを墓地へ送って発動できる。
自分のデッキ・墓地から装備魔法カード1枚を選んで手札に加える。
「この効果により、俺はデッキから団結の力を手札に加える!」
団結の力
装備魔法
装備モンスターの攻撃力・守備力は、
自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体につき
800ポイントアップする。
「じゅ、塾長の必殺パターンだぁ!?」
「シビレるぜー!」
「そして、団結の力をガッツマスター・ファイヤーに装備!団結の力の効果によってガッツマスター・ファイヤーの攻撃力は自分のフィールドにいる表側表示のモンスターの数×800ポイント上昇する!」
ガッツマスター・ファイヤー
ATK1700→ATK4100
「これで攻撃が全部決まればお兄ちゃんのライフは0になる!」
「これで決まるかー!?」
「バトルフェイズ!ガッツマスター・ファイヤーで水晶機巧-クオンダムに攻撃!」
「まだだ!往くぞ!クオンダム!」
刹那は跳び上がり、クオンダムの肩に乗り、クオンダムを動かして空中にあったアクションカードを取ろうとする。
(は、速すぎる...!これがお前が、クオンダムが見ていた世界なのか...!?)
「うおぉぉぉぉ!!」
しかし、気合いも空しく刹那はクオンダムのスピードについていけず、指先がアクションカードを掠めただけで、刹那の手は虚空を掴んだ。
「しまっ...!」
そしてクオンダムの目の前に竹刀を振りかぶったガッツマスター・ファイヤーが現れ、無情にもそれが降り下ろされる。
ガッツマスター・ファイヤー
ATK4100 WIN!
VS
水晶機巧-クオンダム
ATK1800 LOSE...
「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
光晶刹那
LP4000→1700
クオンダムを破壊された衝撃で空中にいた刹那は勢いよく吹き飛ばされ、建物の外壁に叩きつけられる。
「ガハッ...!」
「まだ往くぞ!立て、少年!」
「くっ...水晶機巧-クオンダムの効果発動!このモンスターが戦闘、効果で破壊された場合、自分の墓地から
効果モンスター
星3/水属性/機械族/攻1000/守1800
「水晶機巧-スモーガー」の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
(1):自分フィールドの表側表示のカード1枚を対象として発動できる。
そのカードを破壊し、デッキから「クリストロン」チューナー1体を特殊召喚する。
この効果の発動後、ターン終了時まで
自分は機械族Sモンスターしかエクストラデッキから特殊召喚できない。
(2):墓地のこのカードを除外して発動できる。
デッキから「クリストロン」魔法・罠カード1枚を手札に加える。
「これ以上の攻撃は出来ないか、俺はこれでターンを終了する!」
柊修造
LP3900
手札:3枚
モンスター:ガッツマスター・ファイヤー、ガッツマスター・ヒート、ガッツマスター・レッド
魔法、罠:団結の力(装備者:ガッツマスター・ファイヤー)
「俺のターン...ドロー...」
刹那は内心悔やんでいた。
(俺が至らなかったばかりにクオンダムを破壊してしまった...!俺がもっとちゃんとしていれば、クオンダムは...!)
頭が負の思考で満ち溢れそうになった時、修造から声がかけられた。
「少年よ、悩むのは良い!それも青春であり、熱血だ。しかし!そこで立ち止まるのが一番ダメだ!トライ&エラー!何でも思い切って行動しよう!何度失敗しても、立ち上がれば道が見えてくるはずだ!」
そこで刹那はかつての学友、刀堂刃の言葉を思い出した。
(そうだ、俺は刃にアドバイスを貰って、後押しをされて此処に来たんだ。だったら、立ち止まるのは刃に失礼だ!そして何より、それはクオンダムから逃げることだ!)
刹那の眼に生気が甦る。
「よし、その眼だ少年!熱血だぁ!」
「クオンダムよ!もう一度、俺にチャンスをくれ!リバースカードオープン!リビングデッドの呼び声を発動!」
リビングデッドの呼び声
永続罠
(1):自分の墓地のモンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。
そのモンスターを攻撃表示で特殊召喚する。
このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは破壊される。
そのモンスターが破壊された時にこのカードは破壊される。
そして大きな光が夜のネオン街を包み込み、光が収まった後、周りを見渡しても刹那の姿はなく、クオンダムが在るのみだった。
「あれ!?お兄ちゃんは!?」
「ど、何処を見ても居ないぞ!?」
子供達が首を左右に、上に、果てには下に動かしても何処にも刹那の姿は見えない。
「ここだ」
刹那の声が周囲に響いた。
「え、ま、まさか...!」
「マジかよ!?」
「「ロボットの中ぁ!?」」
そう、刹那はクオンダムに乗り込んでいたのだ。
「なるほど、それが君の出した答えか!」
「あぁ!これならクオンダムに着いていける!」
「ならば来い!正しいかどうか試してみろ!」
「バトルフェイズ!往くぞ!クオンダム!水晶機巧-クオンダムでガッツマスター・ファイヤーに攻撃!」
背面のブースターを起動させ、高速移動の準備を行う。
「攻撃力の一番高いガッツマスター・ファイヤーに攻撃力で負けてる水晶機巧-クオンダムで攻撃した!?」
「ど、どういうことだぁ!?」
そして、クオンダムは突撃した。
「あ、アクションカードを取るつもりなんだ!」
「確かに、それなら勝ち目はあるけど...!」
そう、さっきは確かに失敗した。だが、刹那は先程とは違う。
(これなら着いていける!いや、この感覚は...!そうか...そうだったのか...!)
「 俺 が 、 ク オ ン ダ ム だ ! ! 」
クオンダムは刹那が乗っていないときよりも寧ろ速く、その動きはまるで閃光であった。
クオンダムの手が自らのと重なる。風を感じる。クオンダムを、感じる!
そして
「アクション魔法『マジカル・パレード』を発動!効果により、クオンダムの攻撃力を1000ポイント上昇させる!」
水晶機巧-クオンダム
ATK1800→ATK2800
「ダメっ!まだ足りない!」
「ダメージステップ!魔法発動!
リミッター解除
速攻魔法(制限カード)
(1):自分フィールドの全ての機械族モンスターの攻撃力は、ターン終了時まで倍になる。
この効果が適用されているモンスターはこのターンのエンドフェイズに破壊される。
水晶機巧-クオンダム
ATK2800→5600
リミッター解除が使われてクオンダムが薄紅色の輝きを放ち、その軌跡を残しながらガッツマスター・ファイヤーに突撃していく。
「凄いっ!ガッツマスター・ファイヤーの攻撃力4100を越えた!」
「シビレるーッ!!」
「そしてさらに!魔法カード禁じられた聖槍をガッツマスター・ファイヤーを対象に発動!」
禁じられた聖槍
速攻魔法
(1):フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターはターン終了時まで、攻撃力が800ダウンし、
このカード以外の魔法・罠カードの効果を受けない。
「この効果によりガッツマスター・ファイヤーは禁じられた聖槍以外の魔法、罠効果を受けない!よって!団結の力の攻撃力上昇は受けなくなる!」
ガッツマスター・ファイヤー
ATK4100→ATK900
クオンダムがその手に聖槍を持ち、ガッツマスター・ファイヤーに突きつけようと機体を弓のように引き絞りながら、移動速度をさらに速める。
「来い、クオンダム!熱血だぁ!」
「往くぞ!クオンダァァァァァァムッ!!」
そして、その薄紅色の一筋の流星はガッツマスター・ファイヤーの胸に刺さり、その体を貫いた。
水晶機巧-クオンダム WIN!
ATK5600
VS
ガッツマスター・ファイヤー LOSE...
ATK900
柊修造
LP3900→0
光晶刹那 WIN!
☆
「スッゴーい!」
「シビレるデュエルだったぜー!」
子供達は先程終わったデュエルへの興奮の熱が引いてないようで、刹那に詰め寄って話しかけていた。
「私、鮎川アユっ!」
「俺は原田フトシっ!」
「「よろしくねー!」」
「あぁ、よろしく頼む」
自己紹介が済んだところで修造が刹那に話しかけてくる。
「刹那君、君は十分に強い。基礎の方はもうやらなくても充分だ。エンタメデュエルの方に集中して欲しいんだが...」
「そうだ!シンクロ召喚を見せてよ!」
「凄いカッコ良くてシビレたぜ!」
「...と言うことなんだ。もし良かったら授業料を少し負けるから、この子達にシンクロ召喚を教えてくれないか?」
「それくらいだったら引き受けよう」
「「やったぁ!」」
「ありがとう、刹那君。じゃあ、今日はもう疲れただろうから帰っていいよ。後日、ここに居ない面子も集めて改めて君の歓迎会を開かせてもらうよ。」
「ありがとうございます」
「またね!刹那お兄ちゃん!」
「またねー!」
こうして、刹那は遊勝塾に入塾した。
彼の中でクオンダムになるという目標はすでに変わっており、最強になるという目標になっていた。当然
刹那は今までに無いくらい満足気な表情で帰路に着いた。
遊矢「じゃあ、まずは自己紹介をしてもらいましょう!好きなものは?」
刹那「クオンダムだ」
遊矢「趣味は?」
刹那「クオンダムだ!」
遊矢「さ、最後に自分の名前を!」
刹那「クオンダムだ!!」
遊矢「もういいよ!」