オーバークロック〜change his destiny   作:ルイージ大佐

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前回のあらすじ:勇者になった。


#3 追想の正体

朝日が昇ると共に、小鳥はさえずり、今日という1日の始まりを告げる。

リョーヘイは目覚めると、

 

「あれは現実なのか、追想なのか…?」

 

と、昨夜見た夢についての疑問を呟いていた。

リョーヘイは顔を洗い、軽く支度をして、一階の食堂へと向かった。

いかにも家庭的な雰囲気の食堂には、目玉焼きや温野菜、スープなどが食卓に並べられており、リラックスして今日の冒険に備えられそうだった。

 

「おはよー、リョーへー。もう食ってたぞー」

「私も先に頂いてました。」

 

フェリックとジョーは、リョーヘイよりも先に朝食を食べていた。

リョーヘイもそれにならい席について朝食を食べ始めた。その途中、

 

「あ、そういえばさ…」

 

そう切り出し、リョーヘイは昨夜見た不思議な夢の話をした。

 

「…というわけだ。」

「つまり…」

 

フェリックが何か変なことを言いたげである。

 

「ちっぱいで幼女なマリーよりも胸の大きなお姉さんの方がリョーヘーの好みだと言うことだな♪」

「いやいやいや、どこをどー解釈したらそーなるの?いやいや、マリーもじゅーぶんかわいいよ?むしろアリアに勝る魅力があると言ってもいいくらいだからね?」

「へーそーなんだー」ニヤニヤ

 

リョーヘイはたじろいた。

「リョーヘイ、そんなことをマリーにでも聞かれたら勘違いされますよ。しかし、始まりの勇者ですか、確かに実在した英雄の一人でしたし、仲間の名前も一致してますね。」

「やはりそうか…。」

「しかし…彼らは結局この世界を救えないまま、とくにライラス様は戦えないほどの後遺症を背負うほど傷を負ってしまったのですよね…」

「確かに思い出してみればそうだったな。そうでなければ今頃俺らはこんなことしてないもんな。」

「そーいえば前線を退いたライラスって、アリアというやつと結婚したんだよな。ということは…」

 

フェリックはニヤニヤしながらリョーヘイを見る。リョーヘイは首を激しく横に振り、フェリックの考えを否定する。

 

「まあまあ、ライラス様のことは今を生きているリョーヘイとはなんの関係もありませんよね。」

 

「今のところはな…」

リョーヘイはうなずきながら答えた。

 

3人が朝食をとっていると、階段の方からドタドタと足音が聞こえてきた。おそらく寝坊したマリーだろう。

 

「すみません少し寝坊しましたー!」

 

マリーが謝りながら階段を下りていた。が、

 

「うわっ!」ガタガタガタドーン

派手に階段から転げ落ちた。

 

「大丈夫か、マリー!」

「だいじょーぶかー」

「大丈夫ですか?」

 

三人が次々に心配して声をかける。

 

「大丈夫です!いつものことなので!」ニコッ

 

マリーが心配いらないと言わんばかりの笑顔を振りまく。

そして、朝食の続きをとる。

 

「…で、この体験は実際ただの追想なのですか?それともやはり過去の改変なのですか?」

「あ、そうそう、それを確認する手段を一つ用意してたんだよ。ジョー、マジック・ボンバーって言ったらなんのことかわかるか?」

「おお!まさしくLTGの代表格じゃないですか!あれ、結局科学技術が発展したおかげでドリルとかが普通に使われるようになったり、罠や攻撃に使うにしても、普通にに魔法を打った方が早いとかで、使われなくなったんですよ!でも爆発って男のロマンじゃないですか!」

「だろ?」

「だな!」

 

男子三人組は大興奮している

 

 

 

「…男の人の趣味ってやっぱりわからないです…」

 

話の途中から加わった上、自分の興味ない話を聞かされマリーはつまらなさげだ。

 

「それが出土したら…ぐふふ…」

 

多分ジョーは前にマリーに語ったバズーカを作りたいのだろうか。いつものジョーなら見せないきたない笑顔を見せている。

「で、それでどうやって証明するんですか?」

「あ、それはだな。過去でてにいれたそれをこのレーシアの町付近に埋めておいたんだよ。他の人は正確な位置を知らないから、爆発させれるのは俺だけのはず。」

「確かに、位置だけイメージすれば誰が魔力を込めても使えたらしいですからね。」

「そう、だから飯終わったら軽く外へ行って爆発させよう、てわけ。」

「面白そーだな。おれも見に行くか。」

 

マリーも行きたそうにしている。リョーヘイはそのもじもじした姿を見てニヤニヤしている。

 

「ち、違います!別に男の人の趣味に興味があるわけじゃないですからね!ただ、皆さんが行くから気になる、というだけです!」プウッ

 

マリーが顔を膨らます。リョーヘイはニヤニヤしている。

 

「んじゃ、飯食ったら行ってみますか。」

 

全員は同意し、とりあえず朝食を完食した。

片付けを手伝った後、さらわれた人々の救出に行く前に、先に話してた通り爆弾の所在について確認することにした。

 

リョーヘイは夢の光景を思い出しつつ、そこへと案内した。

 

「確か、ここら辺だったな。じゃ、少し離れて。じゃあやって見るぞ。」

「うーん、勇者は確かに実在しましたが、過去を改変できるというのは、やはり見たことも聞いたことも…」

 

ジョーが疑問に思っている中、リョーヘイらは埋めた爆弾の位置を思いながら指パッチンをした。

パチッドガーーーーーン

 

 

 

 

「…」

「…」

「…」

「…マジかよ。」

 

あまりにも反応速度が早かったので、4人は固まってしまった。

 

そしてリョーヘイの顔は、これからのことを思ってか他の3人よりもまして青ざめていた。

「マジかよ…」

 

リョーヘイが漏らす。

 

「これでリョーへーは完全にライラスを通して過去を改変してた、てことになるな…」

「まだなにもしてないがな…」

 

リョーヘイは気の抜けた返事をした。

まあ、自分が英雄の運命を変えるために戦うなんて想像もしなかっただろうから。しかも自分が本人となり戦うのだからなおさらである。

マリーはその場でぽかんと口を開けて突っ立っていた。まあ、実際リョーヘイが言ってたことが事実だったことよりも、爆弾の爆発の威力が凄まじかったことの方が原因だったらしいが。

そんな中、ジョーは、

 

「いやー本当にありましたか!マジック・ボンバー!!まさかリョーヘイの言ってたことが本当になるとは!だって、LTGが目の前にあるんですよ?ホンとに発明がはかどりますね!グヘヘヘへ」

 

ジョーはこの世で一番の喜びを感じたのか、悪い科学者が世界を震撼させるような発明を完成させた時に発するような、この世のものとは思えないほど汚い笑顔を見せながら興奮している。

 

「ジョーさん笑ってるのに気持ち悪いです…」

 

こんなジョーを初めて見たのか、マリーは口が塞がらないまま引いている。

「んで、どうするんだ?リョーヘーもう二度過去の世界へタイムスリップしないとはわからないわけだろ?」

 

「まあ、そうだな。」

 

リョーヘイは答える。

 

「今は、レーシアのさらわれた人々を助け出すために全力を注ぎ込む。そしてまた過去に飛ぶなんてことがあったら、何とか勇者としての役目を果たせるよう、全力を尽くす。それだけだ。」

 

そうして、リョーヘイは気持ちを新たにした。

 

「そういえばリョーヘー」「ん?なんだフェリック」

フェリックは一つ疑問があるようだ。

 

「そういえばさあ、リョーへー過去で冒険してあっちで眠りに着いたら目覚めたんだろ?」

「まあ、そうだな。」

「単純に疲れないか?だって一日中起きてたみたいなもんだろ?」

「いや、そんなことはないさ。」

「まじで?」

「ああ、俺が過去に行ってる間もこの体はしっかり眠っていたらしく、目覚めたら昨日の疲れはとれてたんだよ。まあ、あちらでも一日を過ごしてたようなもんだから違和感は感じてるけどな。」

「そっか…そういうもんなのか…てか言葉おかしい」

「知ってた」

 

この間ジョーは爆発元を探しており、

 

「やった見つけました!!会いたかったです!L・T・G!」

「男の人ってやっぱり変です…」

 

マリーは呆れていた。

 

「リョーヘイ!ジョー!目的のものは見つけたので早く帰りましょう!」

「いや、目的はそれじゃなくてリョーヘイが過去を変えれるのかを調べてただけだから…」

「確かにフェリックの言うとおりだが、もう用件はすんだから帰りますか。行くぞ、マリー!」

 

「はーい今いきます!」

 

そうして4人はレーシアの町へ帰り、今日の本題のために準備を始めるのだった。日はちょうど30°くらい登ったくらいの時間だった。

「さて、行きますか。」

「今日こそ、ポッドを助けるッス…!」

「ポッドって誰ですか?テッドさん」

 

マリーが質問をする。ポッドという名前は初めて聞くからだ。

 

「ああ、俺の息子ッス。5歳なんスけど、いつも元気いっぱいではしゃぎ回ってるような男の子なんスよ。俺や母さんのことが大好きな子ですからね…今頃寂しがってるだろうな…」

「お母さんは分かりますがお父さんも好きだなんて、そう言われているということはテッドさんは結構優しいお父さんなんですね。」

「そう言ってくれるスか、マリーちゃん。ありがとうッス。」

「いえいえ、こちらこそ。おうちでは普段どうされているのですか?」

「うーんとッスね…俺は普段畑仕事をしてるんスが、それが終わって家に帰ると、すぐにポッドは俺に飛び付いてくるんスよ。それはとても可愛らしくて。そのあとは、どちらかがくたくたになるまで相撲やおいかけっこをしたり。一人っ子である寂しさを感じさせないように、かなり遊んであげてるんスよ。まあ、そのおかげで毎日かなり疲れるんスけど、ポッドの笑顔が見られるんスから幸せッスよ。」

「いいですね…。うちは結構お父さんが厳しい人だったんですよ。」

 

ソンチョと今日の作戦について話し合いながら歩いていたリョーヘイはマリーの過去の話になぜか反応し、ソンチョとの話を話半分に聞きながらマリーの方に耳を傾けた。

「実は私ちょっと昔に家出してきたみたいな感じで旅に出てきたんです。私ってほら、人とはすこーし違う魔法を使うじゃないですか。普段から魔法の修行で普通の魔法がうまくいかなくてイメージが悪かったのですけど、ある事件がきっかけでそれをお母さんやお父さんに見られた時、何か奇妙な物を見たかのような目で見られたので、何て言うか、悲しくなっちゃったんですかね、逃げるように家出したんですよ。そこで、旅を少ししてたら、リョーヘイさんたちに会って、一緒について行くことにしたのですよ。」

「ほうほう」

「ちょっとリョーヘイさん!何で聞いているんですか!?どこから聞いていたのですか?」

 

マリーはリョーヘイたちには聞かれたくなかったのにと言わんばかりに顔を赤らめて問いただした。

 

「うーんと、『お父さんが厳しかった』辺りかなあ…」

「結構聞いてるじゃないですか!ああもう恥ずかしいです!聞かなかったことにしてくださいね!」

「へいへい」

 

リョーヘイは生返事をした。全く反省の素振りは見られない。油断してたら他の人に漏らしそうだなとマリーは思い、しばらくリョーヘイを監視することにした。

 

そうこうするうちに森の中にさしかかった。

よく見れば木々の種類や木漏れ日のさしかたは場所によって違うのだが同じような風景が、続いているので迷いこみそうである。しかし、昨日も来たところなので、道順はだいたい覚えていたので、それほど迷わずに、モンスターとの戦闘も抑えながら来ることができた。そして、昨日は時間の都合で突入をあきらめた、ゼロ・ブラスフェイムのアジトと思われる洞窟の目の前までやって来た。

洞窟の入り口では、見張りだと思われる兵士が、ネズミ一匹通さんと言わんばかりに血眼になって侵入者を探している様子だった。

 

「どうするの?リョーヘイさん。こんなに監視が凄かったらネズミ一匹通れないよ…」

 

マリーが心配そうに尋ねる。

 

「どうするリョーへーここまできたらやるしかないよな…」

「ああ、フェリックの考えが手に取るようにわかるぜ…」

リョーヘイとフェリックはなにやら意見が一致したようだ。

 

「「いつも通り強行突破だ!!見張りなんて全員ぶっ倒す!!」」

 

 

 

「…いや、強行突破は初めてですよ?」

 

ジョーが突っ込みを入れる。

 

「強行突破となれば攻撃力が高いいつもの4人でいきましょう!」「行くぜぇ!突撃!」

 

「待ってください準備全然できてないのですけど」

 

そんなジョーをほっとき、リョーヘイ達はそれぞれの武器を構え、見張りをしているやつらに突撃していく。

 

「とりあえずそこをどけぇー!!」

 

リョーヘイが先陣を切って飛び出す。

 

「侵入者かっ!」

「くそっやはりバレていたようだな…」

「俺らも命がかかってるからな…」

「給料もな」

「だからお上の命令通りネズミ一匹も通してたまるか!!」

 

見張りのやつらもいろいろ背負っているものがあるらしく、簡単には通してはくれなさそうである。

 

 

 

「あいつらにも給料があったんスね。意外とホワイトなんスねゼロ・ブラスフェイム」

「しかもあいつらもネズミ一匹通さないといってますね。そんなに流行っているんでしょうかその表現」

 

戦いの陰で荷物を見張っているテッドとソンチョが誰もが気になっていたであろうことを呟く。

場所は洞窟の入り口に戻る。

リョーヘイとフェリックが果敢に連続攻撃を繰り出すが、見張りは必死に受け流し、なかなか通そうとはしない。

 

「くそうらちが明かない…」

 

そこにマリーが、

 

「凍りついてください!!フリーズ!!」

 

魔法で相手の足元を凍らせ、身動きできなくしようと試みる。しかし、かわされ、地面を凍らせるだけにとどまった。

 

「皆さんごめんなさい…足元悪くなってしまいました…」

「気にすんな、アクシデントを生かして戦うのも戦略の内だよ。」

 

リョーヘイがフォローを入れる。

 

「しかししつこいですね…ただの見張りがここまで必死になれるなんて…ここまで組織がしっかりしてるからこそ何百年と侵略を続けていられるんですかね。」

「でもどうしましょうジョーさん…しつこくてらちが明きません…」

「うーんどうしましょうか…凍った地面…あ、そうだ!」

「何か思い付いたのですか?」

 

マリーの予測通り、ジョーは何か打開策を思い付いたようだ。

 

「まあまあ見ていてください。」

 

そうジョーは言い、銃を構え狙いをつける。どうやら脚を狙うようだ。

 

「喰らいなさい!!」

 

ジョーは引き金を引く。見事見張りの一人の脚に命中した。

 

「うおっ!?」

 

なんと、見張りの一人は体勢を崩し、凍る地面で滑り転んでしまったではないか!

 

「どうした!?」

「しっかりしろ!!」

 

突然の出来事に見張り達は動揺する。そこをマリーは見逃さなかった。

 

「一気に方をつけます!『スプレッドマジック・サンダー』!!」

 

雷の形をとった魔力が敵へと向かって行く。その魔力は敵の近くに行くと突如拡散し、見張り全員を的確に撃ち抜いていく。

 

 

「うわーっ!!」

「ぐはっ!!」

「金ぇ!!」

 

一人だけ断末魔がおかしいのだが、そんなことはどうでもよい。とにかく見張りは全員倒れ、洞窟への道が開かれたのであった!

 

「よし、洞窟の中に行くぞ!」

「ああ!」

 

荷物を見張っていたテッドとソンチョも合流し、一行は洞窟の中へ入って行った。

リョーヘイ達は洞窟に元々住んでる魔物達や、ゼロブラスフェイムの一般兵などと戦いながら、半分迷宮のような洞窟を探索していた。

 

「うう。洞窟暗いですぅ。」

 

そう言いつつ、無意識のうちにマリーはリョーヘイの腕にしがみついている。その理由を、リョーヘイはたずねる。

 

「…だからといってなんで俺にしがみついてんだよ」

「ふえっ!」

 

マリーはあわてたようにリョーヘイから離れる。

 

「べ、別に理由なんてありません!ただ、そこにリョーヘイさんの腕があったからだけです!こ、こわいからしがみついたわけではありません!」

 

マリーは意地を張って言いわけをした。確かに、明かりがたいまつでしかまかなうことができない中、15か16に見える少女がこの洞窟を探検することは、少し恐怖を感じることなのかもしれない。そんな中リョーヘイはしがみついていた腕が離れ、少しがっかりした気持ちをこめながら苦笑いをしている。そのほほえましいましい光景を見て、まわりの人々はニコニコしているようだ。

 

「おっと、行き止まりですか・・・」

 

ジョーが一足先に気づき、周りのみなに伝える。それを聞き、一行は逆戻りをしようとした。しかし、それと同時に、

 

「おいジョー、あれって」

 

フェリックは何かがあるのに気がついたようだ。

 

「どうやら宝箱のようなものがありますね…」

 

ジョーがそう言うと、皆はその宝箱のようなもののまわりに集まっていった。マリーは中身はなんだろうかと目を輝かせている一方、ソンチョとテッドは罠がしかけられているのではないかとびくびくしている。そのような中、ジョーは、

 

「では、開けますよ。」

 

罠を見落とさないよう、細心の注意を払いながら、宝箱のようなもののフタを開けた。すると、リョーヘイ達が持っているものよりも性能が少しだけ良さそうな装備が入っていた。

 

「しっかしなんでこんなところに装備の入った宝箱のようなものがあるんだ?」

 

リョーヘイがたずねる。

 

「おそらく様々な形の襲撃」

 

これを持って帰るかどうか、リョーヘイ達の中で意見が飛び交う。まずはジョーが意見を出す。

 

「開けてはしまいましたが、他人のものは他人のもの。例えゼロブラスフェイムの奴らのものだったとしても盗むのは道徳的にどうでしょうか…」

 

対してフェリックが自分の意見を述べる。

 

「いや、奴らに情けはかけてはいけねえと思う。装備を盗むことによって、おれらは強くなり、あいつらの蓄えが減る。いいとこばっかりじゃないか。」

「俺も賛成ッス。あいつらには容赦してはいけないッス。」

 

ポッドが続ける。そしてリョーヘイが結論を出す。

 

「うーんまあ、フェリック達が言ってるようだし、持っていきますか。まあ敵同士だし、ものを盗んだところが見つかったとしても見つからなかったとしてもどうせ戦うことになるんだからいいだろう。」

 

他のみんなはなんとなく納得し、中身を持ち帰ることにした。持ち帰った装備の中で使えそうなものは早速装備してみる。

 

「爪と剣は強めのがありましたね。」

「まあありがたいな。」

「私のはなかった…」

 

マリーは自分が使えるものがなくて少ししょんぼりしているようだ。

 

 

そうしてところどころ行き止まりにあった宝箱のようなものの中身を回収しつつ、またゼロブラスフェイムの兵士などと戦いながら、リョーヘイ達は奥へと進んでいく。

 

「マリーも自分の装備見つかってよかったな。」

 

たくさんの宝箱の中にはマリーが使う用の杖や魔導書もあった。先ほど装備が無くてしょんぼりしていたマリーも、機嫌が戻ったようだ。リョーヘイは何かマリーに聞きたいことがあったようだ。

 

「結局マリーは杖を使うのな。」

「あ、はい。やっぱり、杖の先の魔法陣からぽーんって出てくるのがいいんですよ。」

「魔導書だと指の先の魔法陣からぽーんって出せるけどな。」

「いや、私は杖から出るのが好きなんです!あと杖だと万が一囲まれた時に振り回して追い払えるのがいいですね。」

「確かにそれはいいね」

 

リョーヘイが何を思っているのか口元が緩んでいる。それをマリーは見逃していない。

 

「…ちょっとリョーヘイさん何を思っているのですか?」

「へ?べ、別に何もやましいことは考えてないよ?」

「…ちょっと怪しいです。まあ、いつものことですから仕方ないでしょう。」

「えー、いつものことで済ますの…」

 

その後特に2人の空気が悪くなるということはなかった。

 

 

 

 

「さて、そろそろ奥まで来たかな…」

 

リョーヘイが最深部だと思われるところへ到着したことを告げる。

 

「この奥にいるんスね。」

 

テッドは緊張を高めている。

 

「さあ、行くぞ!」

 

一行は洞窟の最深部だと思われるところに入っていった。

洞窟の最深部だと思われるところに行くと、コンサートホールのような広い空間が広がっていた。やはりこの空間どこかに大切なものがあるのか、ところどころかがり火がおいてある。そこの中心には銀白色のゴーレムが何かを守るように鎮座していた。その意味するものにまだ気づいていないのか、

 

「なーんだ、ただの像が置いてあるだけじゃーん。余裕余裕!」

 

フェリックは油断していた。

 

「んじゃ、ちゃちゃっと探索して捕まっている人たちを助け出しますかぁ!」

 

そう言ってさらわれた人々を探しだそうとしたその瞬間、

ゴゴゴゴゴ…

ゴーレムが動き出した。

 

 

「うーわマジかよ…これ倒さなきゃ通しませんよーって感じかよ…」

「まあさしずめ最終防衛ラインを守るガーディアンと言ったところですかね。少し気合い入れて戦わないとすぐ全滅してしまいますね。」

 

 

ジョーが気を引き締めるように言う。

 

「んーじゃあメンバーどうしようか…ジョー何か案ない?」

 

リョーヘイがジョーに意見を求めた。ジョーは少し考えたの後、

 

「えーと、今いるメンバーの中で一番安定感高そうな選出をしましょうか。リョーヘイ、マリー、ソンチョさん、テッドさんお願いします。私とフェリックは出てきた方が有利な局面で出ることにしましょうか。」

 

ジョーの指名を受け、各自士気を高める。

 

「あいつさえ倒せばテッドを助けることができる…!死ぬ気で頑張るッス!!」

 

「いやいやテッドさん!?死んじゃダメですよ!?テッドさん死んだら一気にやられますよ!?まあ、それほど気合いをいれなきゃいけない相手ていうのはわかりますけどね。」

 

「そうですね。そうならないように私がしっかり守りますよ!!」

「そーやってソンチョさんが死んだら元も子もないですけどね…」

 

各自気合いは十分入ったようだ。そして、

 

「いくぞ!」

 

リョーヘイの号令で、戦うメンバーはそれぞれの武器を構え、戦闘体勢をとった。

 

「先手必勝!」

 

リョーヘイはいつものように意気揚々と駆け出し、斬りかかった。しかし、その気合いを削ぐかのように、ゴーレムのその体はリョーヘイの剣を跳ね返した。

 

「固っ!!マジかよ…剣じゃ全然切れねえ…こいつなにでできてんだ?金属か?何かの結晶か?」

 

リョーヘイが文句をたれながしている隙に、マリーが魔法を放つ。

 

「物理が効かないなら魔法で!ファイアー!」

 

マリーが持つ杖の先に描かれた魔方陣から火の玉が飛び出し、ゴーレムを襲う。しかしゴーレムはびくともしない。

 

「炎が効かないなら別の属性で!フリーズ!」

 

マリーが持つ杖の先に描かれた魔方陣から冷気が放たれ、ゴーレムを襲う。しかしゴーレムはびくともしない。

 

「氷も効かないなら!サンダー!!」

 

マリーが持つ杖の先に描かれた魔方陣から雷が放たれ、ゴーレムを襲う。しかしゴーレムはびくともしない。

 

「雷もダメなら別の属性で!」

 

しかしゴーレムはこの流れに飽きたのか、マリーが魔法を唱えるのを待たずにパンチを繰り出してきた。魔法の詠唱に集中していたマリーはパンチをもろにくらってしまった。

 

「痛たたた!ソンチョさんしっかり守ってください!」

「ごめんマリーちゃん!間に合わなかった!」

「大丈夫ッスか!ヒール!」

「ありがとうございますテッドさん!」

 

斬撃も魔法も効かないとなり、リョーヘイたちはかなり苦戦している。

 

「くそう…スキを突いて何回も攻撃してるんだが全然ビクともしないな…」

 

ゴーレムの斜め後ろの位置で間合いをとり、攻撃のチャンスを伺うリョーヘイが漏らす。その思考の隙を突いてゴーレムが回し蹴りを放ち、リョーヘイをとらえる。

 

「ぐはっ!!」

 

リョーヘイはたじろく。ゴーレムはそれを勝機ととらえたのか、追撃をリョーヘイに加えようとする。だが、

 

「今回は間に合いましたよ!!」

 

ソンチョが間一髪でそれを防ぐ。そしてさらに、パンチを弾かれ、よろめいているゴーレムにソンチョが体当たりを仕掛ける。

 

「微力だけどくらいなさい!!」

 

なんと、ゴーレムは今までとは違う反応を見せた。ゴーレムはさらによろめいたのだ。しっかりダメージが入っているように見えたジョーは、打開策を思い付いたようだ。

「リョーヘイ!!壊撃ならダメージを与えられそうですよ!!」

 

「そうか、なら!」

 

リョーヘイは、打撃のプロフェッショナルの名を呼んだ。

 

「フェリックさん!お願いします!!」

「よっしゃ!まかせろ!」

リョーヘイの呼びかけに応えるようにフェリックは飛び出した。

 

「なんでフェリックさんなんスか?フェリックさんだって格闘家とは言っても爪使いじゃないスか。斬撃には変わらないんじゃないスか?」

 

テッドが疑問をぶつける。

 

「ああ、その理由ね。フェリックさんは確かに爪使いだ。だかしかし、テッド達はまだ見たことないだろう?フェリックさんの必殺技」

 

「うおおおお!!」

 

リョーヘイがテッドに説明しているなか、フェリックは必殺の一撃の準備をしている。

 

「フェリックさんは原理はあまりよくわかってないけど強力な打撃技を持っているんだ。その時にフェリックさんの拳が獣のように変化するみたいに見えるんだ。だから、フェリックさんはその技をこう呼ぶんだ。」

 

それが幻覚かどうかはまだ定かではない。フェリックはリョーヘイの説明通り、拳を獣のように変化させ、ゴーレムへ飛びかかった。まるで狼のように。

そして叫んだ。

 

「『ビーストストライク』!!」

 

フェリックはその変化したように見える拳でゴーレムを思い切りぶん殴った。

強烈な一撃により、ゴーレムが後ろへ後ずさる。かなりダメージが入ったようだ。フェリックはこれをチャンスと見るや否や、

 

「このまま畳みかける!!」

 

さらにゴーレムに連撃を叩き込む。

 

「すごいッスねフェリックさん。」

「そうだろ?いけ、フェリック!!このままやっちまえ!!」

 

しかし、ゴーレムはまだ余力があったのか、連撃を加えるフェリックを振り払った。

「うがっ!!」

 

フェリックがしりもちをついて動けないなか、ゴーレムは自分の傷を修復してしまった。

 

「マジかよ…まだ足んねえのかよ…」

「そうですね…どうしましょうか…」

 

ジョー達はもはや打つ手無しと思っているのか少し絶望が垣間見える表情をしている。

しかし、フェリックは少し違う表情をしている。フェリックにはまだ策があるようだ。

 

「あれをするしかないのか…いや、あれをやってしまったら…」

 

フェリックがぼそぼそとつぶやいている。その策をとることに迷いがあるみたいだ。その表情を、リョーヘイが汲み取った。

 

「フェリックさんどうしました?何か迷っていることがあれば聞きますよ?こんな状況ですが。」

 

その一言を聞いたフェリックは、少し考えた後、口を開いた。

 

「マリー、リョーヘイ、ジョーさん、少し聞いてくれ。こんな状況だけど」

 

「あ、何か話すんですね?ゴーレムの攻撃は私が食い止めておきますので存分に話してください!」「まあ、ソンチョさんと俺がついていればなんとかなるッス!」

 

「ソンチョさん、テッド、ありがと」

 

自分に気づかいをしてくれた二人にフェリックは礼を言う。そして自分の境遇について語り出した。

 

「みんな、半獣人属、て知ってるよな?」「ええ、普段は人間の姿をしていますが、自分の意思で獣の姿に形を変えられる、と言うあの半獣人属ですね。」

「そうですね。私も本で読んだことがあります。でも、その不思議な特長のせいで、人里におりたら人間からひどい目にあう、ということもあるんですよね。とてもひどい話だと思います。」

「説明ありがと。でもな、普通の人は口ではそういうが、実際に目の前で実物を見ると、やはり気味悪く思う人もいるんだよ…」

「そんなこと…」

 

マリーは何も言い返さなかった。フェリックは続ける。

 

「そして、俺はその一族についてこんな噂を聞いたことがある。この世界には、ゼロブラスフェイムに里を滅ぼされ、逃げた先でもひどい目にあい、生きるために半獣人属であることを隠して旅をする格闘家がいるんだってさ。」

 

「え、それって」

 

皆は一つの結論を頭に思い浮かべていた。しかし、まだそれが信じられない。フェリックはその表情を見つめながらその結論の答えを提示した。

 

「俺のことだ」

 

「!!」

「!!」

「!!」

 

3人は今まで知りもしなかった事実に戦慄した。

 

「リョーヘー、マリー、ジョーさん、これでお別れだな。」

 

フェリックはその姿を変化させていく。

 

「うおーーー!」

 

フェリックの体が変化していく。その姿はゴリラに狼の毛が生え頭も狼のようだ。拳も先に見せたビーストストライクの時と同様の物に変化した。その雄々しい姿とは裏腹にその表情はどこからか悲しみが感じられる。フェリックがみんなに告げる。

 

「ははっ、こんな姿を見せちまったらもうそばにいられ…」

「うわー…」

 

しかし、マリーや他のみんなの反応はフェリックの予想したものとは違っていた。

 

「かっこいい…!本で見るより100倍もかっこいいです!!」

「ああ、どこが不気味なものか。」

「そうですね。その拳、自信を持ってふるってきてください!」

 

「みんな…ありがとう。」

 

自分を受け入れてくれた皆にフェリックが礼を言う。

「んじゃ、いくぜ!」

 

そう言ってフェリックは再びゴーレムの元へ飛び出していった。先ほどよりもさらに強力な一撃を叩き込むために。

 

「さぁ、フルパワーのこれが耐えられるか?くらえ!『ビーストストライク』!」

さっきと技名は同じである。しかし、本来の姿と言っていいのかは定かではないが、この姿で放つその技はさっきとは桁違いの威力を誇った。

 

その強力な一撃にさすがのゴーレムも耐えきれるはずもなく、ゴーレムは音を立てて崩れ去った。

 

「やったぜ…!」

 

一行は見事にゴーレムを打ち倒した。

「よかったですよ!フェリックさん!」

「フェリックさんかっこいいです!」

「まあ多少驚きましたが…結局は倒せましたね。」

 

三人が次々とフェリックに称賛の声をかける。自分を受け入れてくれた三人にフェリックが泣きそうになりながら自分の思いの丈を語る。

 

「俺は今まで…この姿になったらさんざんひどいことを言われ続けていたんだ…。だから今まで一人で旅してきた…。お前らという仲間ができたあとでも、この姿を見せたらお前らが怖がったり軽蔑してくるのが怖くて…この力は使わなかったんだ…。本当に…本当にこんな俺でも、これからも仲間として受け入れてくれるのか?」

 

リョーヘイ達は当たり前だといわんばかりに、強くうなずき、グッドサインを出した。

 

「ありがとう…本当にありがとう!!」

「まあ俺らは気にしない、てとこよ。な、ジョーさん、マリー!」

「そうです!!だってあれカッコいいじゃないですか!!」

「そうですね…。あ、そういえば早くさらわれた人たちを助けないとですよ。」

 

ジョーの提案により、一行は人々が閉じ込められている場所を探すことにした。洞窟の広間を探していると、

 

「皆さん!!それっぽい扉を見つけたっす!!」

 

テッドが監獄だと思われる場所の扉を見つけた。

 

「しっかし鍵がかかってるな…いったいどこにあるんだ…」

「リョーヘイさんありましたよ」

 

鍵を探そうとしていたリョーヘイがソンチョに呼ばれ、振り向いたらその手には監獄のものと思われる鍵があった。

 

「ソンチョさんナイスです!それを持ってきてください!」

「あいよ」

 

それが本当の監獄の鍵かどうか怪しいという不安の中、ソンチョは鍵を差し込み、回した。すると、カチッという音と共に鍵が開き、その不安が杞憂だったことがすぐにわかった。

扉の中に入ってみると、一同の予想通り、やはりそこは監獄だった。通路の両側には鉄格子があり、その内側には捕まっている老人たちがいた。

老人達は、助けに来てくれたリョーヘイ達の姿を見るや否や、歓喜の声を上げた。

 

「勇者さまたちが、助けに来てくれたぞ!!」

「ありがたや、ありがたや!!」

「これで、狭苦しい監獄とはおさらばじゃ!!」

 

老人達が喜ぶ姿を見て、一行はほっと一息をついた。

 

「喜んでもらえてよかったな、リョーヘイ!」

「ああ!!って、あれ…?」

「なんだ、リョーヘイなんか変なことでもあったか?」

 

何か忘れ物をしたかのような不安がリョーヘイを襲う。

 

「牢屋の鍵って…どこ…?」

「あっ…」

 

ソンチョが持っている鍵はよく見ると一本しかなかった。普通は鍵は扉ごとに別々にするのが常識であり、そう考えると確かに鍵が足りない。

しかし、

 

「あ、開きました」

「本当かよ」

 

ソンチョがもつその一本の鍵で、牢屋の扉まで開いたのだ。

 

「警備そんなんでいいのかよ…」

 

リョーヘイが呟く。

 

「ありがとうございます!ありがとうございます」

 

老人達から、次々と感謝の言葉をかけられるリョーヘイ達。その人たちの中にはなんと、

 

「おや、まあ!テッド、お前さんもいたのか!」

「お前も助けに来てくれたのか!」

「あっ!!父ちゃん!母ちゃん!」

 

テッドの両親もいたのだ。親子の再開の場で、彼らはこれまでのことを語り合う。

 

「いやぁ父ちゃん母ちゃん、大丈夫だったスか?ご飯とかまともに食べれたんスか?」

「それがねえ、父さん」

「ああ、あいつら優しいのかどうか知らんが、わしたちを閉じこめている割には飯はきちんと出してくれていたな。」

「意外とまともな集団ッスねゼロブラスフェイム…」

 

その意外性に驚くテッドである。

 

「しかし、まさかお前が助けに来るとはなあ、母さん」

「そうだね…少し臆病なところもあったテッドがここまで成長するなんて、長生きしてみるものだね…」

「いや、ポッドもさらわれていたッスからね…助けを求めるだけでなく、自分でもなんとかしなくちゃと思ったッス」

「自分の子供のために、か…。お前も成長したなあ…。」

「でも少しはわしらのことも思ってくれてもよかったんじゃないかなぁ…。」

「それはすまかなったッス」

 

あはははと三人は笑う。

「それでポッドはどこにいるっぽいスか?」

 

同時に連れてこられたはずだから、居場所がわかるのではないか。そう思い、テッドは両親に尋ねる。

 

「ああ、わからん。」

「え!?」

 

しかし、期待した返事は返って来なかった。

 

「子供たちは子供たちでまとまってそうだから探してみるといいよ。」

「わかったッス。母ちゃん、ありがとッス!」

 

そうお礼を言うと、テッドは周辺をくまなく捜索しに向かった。

一方リョーヘイ達は分担して老人達を安全に誘導する準備をしている。

 

「とりあえず魔物が出てきた時の備えもしなくてはだからね。」

「そうですねソンチョさん。では、最後尾をお願いできませんか?」

「よし了解した。」

「ジョーさんとフェリックさんは両サイドで脇からの攻撃にある程度備えましょう。」

「わかったぜリョーヘー」

「わかりました。」

「んで、俺とマリーとテッドは先頭、と。」

「皆さん皆さん!!ちょっと聞いて下さいッス!!」

 

突然、子供たちの捜索をしていたテッドが、慌てた様子でやって来た。

 

「どうしたテッド!」

「ソンチョさん!!実は…」

 

「何?」

 

『子供たちがいない!?』

予想もしない事態に、全員が大声で叫んだ。「うわ本当かよ…。」

「本当ッス。ポッド…どこにいったンスか…?」

親はやっと救出できた。だけどなぜ息子はいない。おそらくテッドは今そういう気持ちだろう。しかし、

 

「まあテッド落ち着きなさい。なぜいないのか、その考察は帰ってからにしましょう。」

 

ジョーが今やるべきことを提案する。

 

「そうッスね…とりあえず母ちゃん達を村に送らないっとッスね。」

 

テッドも渋々了解する。

「えーと、それでは、はぐれないようにかたまって行動するようにしてください!俺達が誘導しますのでついてきてください!」

 

リョーヘイの呼び掛けに老人達はしっかり返事をする。

 

「それでは、出発します!」

 

リョーヘイの掛け声で、一行は村への帰途についた。

途中、様々な魔物が襲いかかって来ることもあったが、6人は連携をとり、無事レーシアの町にたどり着いた。辺りはもう日が沈み始めていた。

集会所に着くと、ソンチョや老人達からお礼の言葉があった。

 

「いやいやリョーヘイさん達、助けていただいてありがとうございます。」

「いえいえ、困っている人を助けるのが俺達の役目なので。まだ子供達も助け出していないですし。」

 

リョーヘイの目からは、このくらいでは満足せず、更なる責務を果たそうとする意志が感じられる。

 

「それでは引き続き任せても大丈夫ですか?」

「大丈夫です!!」

 

リョーヘイ達は力強く返事をした。

 

「いや前町長それ私がいうことだと思うんですけど。」

 

しかしソンチョは、町長である自分を差し置いて村代表でお礼をするお爺さんのことがすこし気に入らないようだ。

 

「まあ細かいことは気にするな。お前も町長であるにも関わらず、よく助けに来てくれたな。ありがとう。」

「まあ町のためですから。」

 

褒められたソンチョは少し照れている。

 

「後テッド、お前もよく頑張ったな…あの泣き虫が強くなったな。」

「やめてくださいその話は…。あと、まだポッドが…。」

 

テッドはいまだに救出できてない息子のことが心配のようだ。

 

「まあ、ポッドは無事でいる、そう信じろ。」

 

前町長がテッドを励ます。

 

「それでは、子供達が帰って来たら、収穫祭、やりましょう。皆さん、今日はお疲れのようなのでゆっくり休んでください。」

 

ソンチョが一回この場を切り上げた。

 

リョーヘイ達4人は宿屋へと向かった。

 

「それでは、夕食の間にでも明日の作戦会議をするとしましょう。それぞれやりたいことがあるでしょうし。」

「それはお前だろジョー。今朝みつけたあれで何か作るんだろ?」

 

フェリックが疑いの一言をかける。

 

「…ばれました?」

 

どうやら図星のようだ。

「バレバレです。」

「まさかマリーにまで見透かされるとは…」

「んじゃ、俺らは夕食まで風呂とか済ましとこうぜ。」

 

リョーヘイの提案に賛成し、それぞれの行動に移る。

 

 

 

リョーヘイは温泉に浸かりながら、昨日から今朝にかけてのことに思いを馳せていた。

 

「今夜もやるのかな…ライラス。まあ構わないけど、常に起きてるみたいで疲れるなあ…」

 

自分が過去の英雄になる夢を見る。しかもそれは現実となり現在(いま)に影響を与えている。普通だったら頭が混乱しそうになる話だ。しかし、

 

「まあ、気楽に、楽しんでみるか…!」

 

リョーヘイはその状況すらも楽しもうとしていた。

 

 

 

こちらはジョー。今朝見つけたマジックボンバーを前にして、なにやら考え事をしている。

 

「これ…ああしてこうしてこうやれば…ついに私の望みのものに…!ぐふふふふ…」

 

今朝もしていた、マッドサイエンティストが見せるような汚い笑顔をジョーはしている。

 

ジョーは妻と子を持つ身でありながら、リョーヘイが引き受ける依頼を解決する傍ら、ロストテクノロジーと現代機械を融合させる研究をしている。そして、その研究室は、今リョーヘイ達がいるウェスティア地方の中心都市、セントウェスティアにあるジョーの家の地下室にある。

 

「あ、もしもし、今私レーシアの町にいるんだけど、家の研究室にあるあれとあれとあれ、工具箱と一緒に送ってくれる?」

 

そして、ジョーは携帯のような端末で彼の妻に連絡し、研究室にあるものを送ってもらうよう頼んだ。

魔法と科学技術が発達したこの世界では、歩いて1日半かかる距離でも、彼が温泉に入って上がってくる時間で物を届けることができる。

 

「さあ、古代のパーツも手にいれたことですし、夜なべして完成させましょう。」

 

しかし時とは残酷なものである。

 

「ジョーさーん!ご飯でーす!」

「あーはい、今行きます!」

 

マリーに呼ばれ、ジョーは夕食を食べに食堂へと向かった。

 

彼は、いったい何を作るのだろうか?

 

 

 

 

 

「それにしても、子供達どこにいるんだろうな、リョーヘイ。」

 

フェリックが明日の冒険について切り出す。

 

「そうだな…洞窟ではないとすると、いったいどこになるんだろうな…ジョーさん地図あります?」

 

ジョーはソンチョから貸してもらった地図を取り出す。しかし、

 

「うーん、この地図は洞窟の入り口位までしか載ってないですね…」

「それではここらいったいくまなく探すというのはどうですか?」

 

マリーが提案するが、

 

「マリー、それだと時間かかる。」

 

フェリックが一蹴する。

 

「確かにフェリックさんのいう通りだ。しかも、洞窟方面に向かったという証言がある以上、洞窟方面という線は捨てられないな。」

「洞窟に向かっておきながら別なところに向かった、というのはないんですか?」

「それもない。だってゼロブラスフェイムのやつが入り口にいたんだし、しかもゴーレムまで配置している。」

「フェリックが倒したやつですね。あとお年寄りの方々と別にした、というのも気になります。」

 

うーんと全員が考え込んでしまった。その中、フェリックが業を煮やしたのか、

 

「あーもう埒が明かねえ!!今日は考えるのやめて明日もっかい洞窟いこう!」

「フェリックさんのいう通りだな!んじゃ今日は飯食ってもう寝よう!」「そうですね!このとり鍋美味しいですよ!皆さん食べましょう!」

 

マリーのかけ声が響き渡る。そうして4人は会議をやめ、美味しい食事を楽しんだ。

そしてジョー意外の面子はさっさと寝てしまったのだ。

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