第63話 テンタイカンソク
季節7月。俺と小咲は三年に、春ちゃんは二年生になった。そして今、俺たちは通学路を三人で登校している。ちなみに、羽姉は先生という事もあり、登校時では別登校である。
「もう7月か。早いものだな」
「だね。私たちが一年だった頃が、つい最近のようだよ」
「私も月日が流れるのは早く感じるなぁ。それもこれも、蓮さんのお陰だけどね」
俺と小咲、春ちゃんはいつものように話をしながら登校し、学校の校門前に到着し、昇降口を入って上履きに履き替え教室へ向かう。
とまあ、このようにして、俺たちは一日一日を過ごしていく。
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~昼休み、屋上~
「さて、明日は天体観測である」
そして、集が布を取り払った場所には天体望遠鏡があった。……まあ、何処から借りたきたのはいいとして、相変わらず集の交友関係は選手層が厚い。
そんな時、小声で春ちゃんが、
「れ、蓮さん蓮さん。私二年なのに、天体観測に参加していいの?」
「ん、ああ。構わない。てか、羽姉も参加するらしいし。俺たちは三人、皆一緒だからな」
「そ、そっか」
春ちゃん、頬を朱色に染めないでくれ。何か、俺も恥ずかしくなるから。
すると小咲が、
「蓮君蓮君。私、お弁当持ってくるね」
春ちゃんも一緒に作ってくれるらしい。
「お、いいな。休みの学校で弁当か」
羽姉も弁当を作るって言ってたし、俺たち全部食えるかな?まあ、残すことは絶対しないけど。
てか、噂によると、五十年に一度しか見ることができない大規模なものらしい。この流星群を男女が一緒に見て告白すると、その恋が成就するとか。……まあ俺は噂とか信じないが。
「蓮君と春はどう思うかな?この噂?」
「んー、私は信じないかなぁ。自分の行動が全てだって思ってるし」
「俺もそうだな。ヘタレな部分もあるけど」
……まあうん。俺っていつも重要な所でヘタレるんだよね……。マジでこれは治したいわ。
ともあれ、明日の天体観測では橘も参加するらしいし、姉貴たちはこれを使って、橘は再び楽に告白、姉貴も楽に告白をしようって考えてるのかもなぁ。
「この話はまた放課後にでもしよう。俺は、ちょっと楽と集の所に行ってくるわ」
「うん、りょうかいだよ」
「りょうかいしました、蓮さん」
ともあれ、楽と集がいる手摺前に移動する俺。
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手摺に両手を組んで体重を預ける。並びは右から、俺、集、楽である。
「んで、何の話をしてたんだ?」
「おう、蓮か。いやな、楽の恋についてな。そういえば蓮は、学校を卒業したらアメリカに戻るのか?」
これは集の質問だ。
「いや、俺は日本に残るぞ。色々と仕事を片付けないといけないし」
集はニヤニヤし、
「それって、小野寺たちのことか?」
「俺の場合は全員を選んだから、そのことでな色々な。まあ、俺の家柄上心配いらない事だと思うけど」
「なるほどねぇ。蓮の職業上、愛人や複数の恋人がいても問題なさそうだしなぁ。それにしても、姉妹と先生とは驚いたけど」
「あー、そのことに突っ込むのは止してくれ」
いや別にいいんだが、世間で見ると色々とやばいかもだし。先生と禁断の恋とか、姉妹を恋に落とした変態野郎とかのレッテルがね……。
「で、俺のことはいいとして、楽はどうすんだ?二人の好意には気づいてるんだろ?」
「……まあそうなんだけど」
おそらく、楽の中では葛藤があるのだろう。
二人を一緒に選ぶか、どちらか一人を選ぶか、と。
ともあれ、それぞれの想いを胸に、天体観測の日がやってくる。
投稿が久しぶりすぎで不安です、色々と……。
さて、この小説も完結までもう少しですね。