「で、検査結果はどうだったんだ?楽は、あの停電で頭打ったんだろ?」
俺の問いに、楽は頷いた。
「ああ。病院で診てもらったけど、異常はないってさ」
「そうか。大事に至らなくて何よりだ」
「悪ぃな、蓮。心配かけて。……結局、流星を見る事ができなかったけど」
「あー、まあなんだ。次がある……たぶん」
つーか、姉貴と橘がそわそわしすぎである。……これは停電中に、告白をしたのか?聞かれたのか?っていう線が濃厚である。まああれだ、恋愛という面倒事に巻き込まれるかも知れないってことである。
ともあれ、この昼休みに待ち合わせがあるんだったわ。なので、俺は隣にいる小咲に声をかける。
「小咲、後は頼むな。ちょっと行ってくる」
「あ、うん。春によろしく伝えといてね」
「おう、了解だ」
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俺は教室を出て、一階に繋がる階段を下りていく。下まで降りた所で、昇降口前の階段に腰をかけていたのは、俺の恋人、小野寺春だ。
「悪い、春ちゃん。待たせたか」
春ちゃんは此方を振り向き、
「うんん。私も今来たところで、空を見て和んでただけだよ」
ちなみに、今日の天候は快晴である。時折吹く風も、心地良い。
ともあれ、俺も春ちゃんの隣に腰をかける。
「蓮さん。お姉ちゃんは教室?」
「まあな。てか、一人一人の時間を作ろうって決めたばっかだろう。デートでもいいけど」
俺は左手突き出し、人差し指で、春ちゃんの眉間を優しく突く。
「……うぅ、そうだった。私としたことが」
「悪かった。ちょっと意地悪だったな。――話は変わるが、そろそろ夏休みだな」
凡矢理での夏休みの最中にはイベントとして、縁日や花火大会などが開催される。
受験生なのに、行事に現を抜かしてでいいのか?とも思うが、小咲と俺の成績は、全国模試でもトップクラスである。なので何の心配もないのだ。まあ、多少の緊張感は必要だと思うが。
「夏休みの花火大会とかは、四人でお出かけしたいね。どんな浴衣を着て行こうかなぁ……」
いやいや、もうそこまで先の事を考えてるのね。まあいいけど。
ともあれ、俺たち四人は、縁日と花火大会には参加する方針である。……今回も、嫉妬の視線が強いのかなぁ……。偶に敵意剥き出しの視線もあるけど。
「青色を基調にした朝顔の花柄。とか良いんじゃないか」
ちなみに朝顔の花言葉では、『固い絆』『愛情』『あなたに結びつく』って意味があるらしい。まあ俺の豆知識だ。
「うーん、じゃあそれにしよっか。お姉ちゃんと羽さんは色違いってことで。それにしても、前の流星群綺麗だったね」
「まあな。でも、すぐに雲に隠れて土砂降りだったけど」
今となっては、あれも良い思い出である。
「そういえば、千棘先輩と万里花先輩、一条先輩はどんな感じなのかな?結構気になってたりしちゃうんだ」
まあうん、女の子はその手の話が大好物だよね。俺としちゃ、今後の事を考えると胃がキリキリするんだよなぁ。
「そわそわして落ち着かない感じだな。これから面倒事に巻き込まれる感じでもある」
恋愛事は、面倒がつきものだしなぁ。ソースは俺。
「そっか。手伝えることがあったら何でも言ってね。力になるから」
マジで嬉し過ぎる言葉である。
もうあれだな、春ちゃん女神である。まあ、小咲と羽姉にも言えることだけど。
「ああ、了解だ。手が必要になったら頼らせてもらうよ。んじゃ、昼休みが終わるまで学校探索と行きますか」
春ちゃんは苦笑し、
「蓮さん、学校探索って。……まあいいけど」
俺と春ちゃんは立ち上がり、下駄箱で靴に履き替えてから外に出るのであった。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
「若ッ――!お嬢の行き先はご存じないですか!?」
いつものように登校していたら、鶫が凄まじい勢いで正面に立った。ちなみに、羽姉は職員会議がある為先に出た。
そして、鶫の話によると、早朝の時点で姉貴の部屋は蛻の殻であり、姉貴の姿が見当たらなかったそうだ。
「(これはあれだな。職員会議でこの話題が出される感じか?)」
ちなみに、羽姉から職員会議の内容を事前に聞いた所、夏休み中のことについて。ということだった。
「いや、解らん。心当たりは……」
心当たりが有りすぎる、十中八九あの事件?関連だろうなぁ。
ともあれ、学校に到着しいつものメンバーで話あった所、姉貴の姿を確認できた者は居ないらしい。
「み、みんな大変だよ~!!」
羽姉が一枚の紙を持ってこちらに走ってきた。
その内容は、休学届ということだ。ちなみに、休学届は学校のポストに投函されており、本人とも連絡が取れないし、親父に連絡しても口を噤んで肝心な部分は伏せている感じらしい。
「蓮ちゃんたちは、千棘ちゃんから何か聞いてる?こんな状態じゃ、休学届の受理もできないよ……」
まあ確かに、休学届は本人の意思確認と保護者の同意がないと取れないはず。いや、たぶん、知らんけど。
「わ、私は今すぐお嬢の探索に向かいます!」
「っておい!鶫、学校は!?」
楽の問いに鶫は、
「そんなものお嬢の安否に比べれば、どうでも良いわ!私は今から、お嬢が向かうであろう場所を片っ端から当たって見る。連絡は常に取れるようにしておくから、何か解った事があったら連絡をくれ!――首領羽、よろしいですね!?」
そう言って、窓を跳び超え、隣の木の枝に着地する鶫。
「……あ、うん。気をつけてね~」
それから数日間姉貴を探したが、一向に消息を掴む事ができなかった。
……ここまで探しても何も掴めないという事は、国を飛んだ可能性。が濃厚である。いや、俺の予想だが、姉貴ならそれくらい実行できる行動力はある。
ともあれ、何も掴めないまま、俺たちは終業式を迎えてしまった――。
この小説ももう少しで完結ですね(たぶん)
うん、小説って書くの難しいです(-_-;)
ではでは(@^^)/~~~
追記。
前に書いた感じですが、蓮君は羽姉の家に居候してます。