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二日目 〇八:〇〇 海軍省軍令部 元帥執務室
「おはよう。島風」
「提督。おはよう」
「昨夜はどうだった?」
「よく眠れたよ」
「何かされなかったかね?」
「腕を抱き枕代わりにさせてもらったけど、おにーさんは何もしなかったよ」ニコ
「…上条君は?」(いい表情をするようになった)
「おにーさんは二度寝してる。私が起きたら『おやすみ』って言ってそのまま寝ちゃった」
「そうか。報告ご苦労。待機してくれ」(腕にしがみつかれてたから眠れなかったっていうところか)
「了解。島風、待機任務に入ります」
命令を復唱して、島風は執務室を後にする。元帥は暫くの間扉を見つめてから、静かに口を開いた。
「大淀、比叡を呼んでくれ」
「了解しました。…元帥執務室です。作戦本部付戦艦比叡は元帥執務室に来てください」
「…とある鎮守府には金剛が居たな」
「とある鎮守府に居るのは戦艦が金剛、榛名、山城の三名。空母が赤城と蒼龍の二名、重巡が青葉と最上の二名です」
「そこに比叡と摩耶を入れると過剰戦力すぎるか?」
「どの鎮守府も戦艦や空母は持て余し気味ですから」
殆どの鎮守府はその鎮守府の近海を守備することだけで手一杯な状況であり、海軍省軍令部も横須賀鎮守府と共同で日本列島の太平洋側の海域を守備しているのが現状である。
「比叡にとっての問題は金剛がいることだが」
「それはおそらく問題にならないと思います」
「どういうことだ?」
「艦娘としての意見を言わせていただきますと、ラバウル鎮守府の金剛ととある鎮守府の金剛は別人として認識しますので、問題が無いと判断します」
「ふむ…。比叡もそう考えると?」
「私は他の鎮守府の大淀を別人として認識していますし、他の艦娘も鎮守府ごとに別人だと認識していますから。連絡が取れる同型艦同士で情報交換をしている艦娘も多いですよ。大淀は秘書艦が多い関係で他の艦娘の連絡を取り持つこともありますから」
「そういえば、ラバウルは金剛が秘書艦をしていたが、大淀はどうしたんだ?」
「ラバウルの大淀は、比叡在籍時の提督のときから間宮と一緒に食堂で働いているそうです。それはそれで楽しいようですよ」
「現ラバウル提督は秘書艦を金剛にしたままなのか?」
「金剛が元提督代理だったからかもしれませんが、そのようですね」
「ラバウルもだいぶ落ち着いたように見えるが、それでも比叡を戻すわけにはいかんしな」
「そうですね。ラバウルの金剛は比叡に負い目を感じていますし、我々も同様ですし」
「うむ。そうなると必然的にとある鎮守府に任せるのが一番ということだな」
「…彼は受けてくれるでしょうか?」
大淀の問いに、元帥は小さな笑みを浮かべて答える。
「受けるしかないと思うがね。S級提督資格者である時点で軍の監視下に入るのは確定している。それに他に行くところもなさそうだしな」
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二日目 〇八:一五 海軍省軍令部 元帥執務室
「戦艦比叡、参りました」
そう言って元帥執務室に入ってきた比叡は、正規の艦娘の制服を身に着けていた。
「ご苦労。比叡、昨日はよく眠れたか?」
「はい」
「それは重畳。戦艦比叡、マルキュウマルマルより演習場にて射撃演習を行え。標的の用意や観測は工廠に任せる」
「了解しました。比叡、気合、入れて、行きます!」
元気良く言うと、比叡は執務室を出て行った。そんな比叡を見送り、大淀は執務机の上のマイクのスイッチを押す。
「元帥執務室です。マルキュウマルマルより演習場にて戦艦比叡の射撃演習を行います。比叡の艤装、標的の用意と観測員の手配をお願いします。…提督、急な演習場の使用は今回限りにしてくださいね」
「いやすまんな。比叡を見たらなんとなく砲を撃たせてみたくなってな」
「ふふ。気持ちはわかります。見学しますか?」
「うむ」
「では、作戦室に行きましょうか。私は工廠に寄ってカメラを積んだ水偵を飛ばしてから向かいます」
「よろしく頼む」
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一日目 二二:三〇 海軍省軍令部 大浴場
浴槽に浸かる島風と摩耶。連装砲ちゃん達は二人からやや離れた場所でお湯の中を浮かんだり沈んだりしている。
「なあ島風、連装砲ちゃん達って沈んでるときもあるけど大丈夫なのか?」
「今は弾が入ってないから大丈夫。連装砲ちゃんたちって泳ぐの得意なんだよ」
「へえ、意外と丈夫なんだな」
「えへへ。すごいでしょ」ニコ
「そうだな」ナデナデ
「今日はおにーさんと一緒に寝るんだ。楽しみだな」
「一緒に寝るって、試〇一〇二か?大丈夫なのか?」(普通なら比叡が担当だよな?)
「てーとくが比叡さんか大淀さんがいいか?って聞いたら、おにーさん、島風がいいって」ニコ
「……変なことされたら大声上げろよ。アタシが助けに行くから」(島風を指名したってことか?)
「おにーさんは変なことなんてしないよ。比叡さんもおにーさんのおかげで普通の格好に戻ったし」
「比叡が普通の格好に戻った!?」(娼婦まがいのことをさせられていた名残だとは聞いているけど、いったいどうやって戻したんだ?)
「比叡さんのあの格好は、比叡さんの前のてーとくの命令だったことを見抜いて、てーとくに艦娘の制服でいるようにって新しく命令させたんだよ」
「へえ。前の提督の命令だったのか、アレ」(…ただのエロ野郎ってわけでもなさそうだな)
楽しそうな島風を見ながら、摩耶はこのまま島風が笑顔のままでいられることを願わずにはいられなかった。
「うーん、おにーさんと寝るって、制服で行けばいいのかな」
「あのなあ、一緒に寝るだけだろ。普通に寝間着姿で行けばいいに決まってるだろう。変なことされないように布団に入ったら腕に抱きついてさっさと寝ちまえ」
「おうっ。それでいいんだ」
「ああ。もしそれでも変なことしてくるようだったら、大声上げるんだぞ」
「うん。そうするね。ありがとう摩耶さん」ニコ