やはり俺がフェンリル極東支部にいるのは間違っている。 作:水無月ゲンシュウ
「覚悟はいいかね?」
「……うす」
神機適合試験。神機使いになるためのいわば通過儀礼。フェンリルの広報によればアルコールパッチテストのようなものと言われているが、目の前に鎮座している台からは、そんな生易しいものではないといわんばかりのまがまがしいオーラを放っていた。できることならそんな危ないもの断りたいものだが、フェンリルの施しを受けている以上、選ばれたからにはやるしかない。呼吸を整えたのち覚悟を決め神機の鎮座する台の前に立つ。
「リラックスしたまえ。そのほうがいい結果が出る」
ただの気休めだろうが正直今の俺にとってはありがたい。神機の柄に手をかける。そういえばいい結果とか言ってたな。あれはどういう・・・そんな俺の思考を無視して突然台の天井が降ってきた・・・俺の手の上にも。その途端、俺の体全身を今まで俺が味わったことのないような痛みが駆け巡った。
「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
あまりの痛さに思わず声をあげてしまう。想像を絶する痛みにもう二度とごめんだ、と思っているとだんだんと痛みが治まっていった。台座が開き手を自由に動かせるようになったので神機ごと持ち上げる。自分が想像していたよりも軽くびっくりするがすぐにそうでないとすぐに気づく。自分が力持ちになったのだ。ゴッドイーターの身体能力の片鱗を見た気がした。
「おめでとう、君がこの支部初の『新型』ゴッドイーターだ。適性試験はこれで終了だ。次は適合後のメディカルチェックが予定されている。始まるまでその扉の向こうの部屋で待機してくれたまえ。気分が悪いなどの症状がある場合はすぐに申し出るように。期待しているよ」
声に従い扉の向こうにいくと先着がいた。そいつの座っているところからできるだけ離れたところに座る。
「ねぇ、ガム食べる?」
「ひゃいっ!」
急に声かけるなよ!変な声出ちまったじゃねぇか。
「あ、切れてた。今食べてるのが最後だったみたい、ごめんごめん」
しかも切れてるのかよ。
「アンタも適合者なの?」
「そうだが」
「俺と同じか、少し年上っぽいけど・・・まあ、一瞬とはいえオレのほうが先輩ってことで!よろしく!」
「お断りします。そういうのいいんで。あと多分俺の方が年上だから」
「えぇ!?なんでさ!」
だって俺お前みたいなやつ好きじゃないから。それどころか全人類嫌いなまでである。あとコイツ戸部に何か似てる。そういいつつもそいつと軽く会話をしていると女の人が近づいてきた。
「立て」
「「え?」」
ダレコノヒトハチマンシラナイ
「立てと言っている!立たんか!」
あまりの迫力に体が反射的に動いてしまう。
「これから予定が詰まっているので、簡潔に済ますぞ。私の名前は雨宮ツバキ、お前たちの教練担当者だ」
……マジ?このどことなく平塚先生に似ているこの人が教官?
「……比企谷、不服かね?」
「いえ!滅相もございましぇん!」
「この後の予定はメディカルチェックを済ませたのち、基礎体力の強化、基本戦術の習得、各種兵装の扱いなどのカリキュラムをこなしてもらう。今までは守られる側だったかもしれんが、これからは守る側だ。つまらないことで死にたくなければ、私の命令にはすべてYESで答えろいいな?わかったら返事をしろ!」
「はい!」
「イエスマム!」
この人怖え、絶対怒らせたらあれなタイプだ。
「早速メディカルチェックを始めるぞ。まずはお前だ」
え、俺から?
「ペイラー・サカキ博士の部屋に一五○○までに集まるように。それまで、この施設を見回っておけ。今日からお前らが世話になる、フェンリル極東支部、通称アナグラだ。メンバーに挨拶の一つもしておくように」
……挨拶しなくちゃだめすっか?
こうして俺の神機使いとしての波乱の人生が始まった。
いかがだったでしょうか。感想待ってます。