やはり俺がフェンリル極東支部にいるのは間違っている。   作:水無月ゲンシュウ

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第九話 それぞれの思い

 俺は逃げながらも思考を巡らせていた。

 

 何故アラガミが近づくのに気が付かなった?

 

 何故神機の強化を怠った?何故あの時ほかの案を考え付かなった?

 

 何故、何故、何故。

 

 今俺の頭の中を駆け巡るのは後悔の一言。今までの人生でおそらく一番後悔している。そんな思考も背負っているアリサのうめき声でかき消された。と、ほぼ同時にソーマの声で現実へと引き戻される。

 

「一体追いかけてきやがる!」

 

 本来なら攻撃をしつつ、隙を見て撤退するのがセオリーだが現状ソーマ以外は手がふさがっていて相手をできそうにない。

 

 だが、一つだけ4人だけなら助かる方法がある。それは・・・

 

「おい、ソーマ」

 

「どうした?」

 

「俺が囮になる」

 

 一人が囮になり、そのすきにほかの全員が逃げる、種も仕掛けもない単純明快な方法。古来より人類がたびたび用いてきた他人を犠牲にして生き延びる方法。

 

 俺は驚いた顔をするソーマたちをよそに言葉を続ける。

 

「この中で戦えるのは俺、ソーマ、コウタだけだ。そして襲われたときそいつらを守ることができるのはソーマだけだ。その点からソーマはおとりにはできない。コウタは遠距離型だから敵の正面に強引に入って防ぐことができない。だから消去法で俺がやる」

 

「おい!」

 

「ちょっ!」

 

 制止しようとした二人にアリサを預け(正確にいうのであれば押しつけ)アラガミと対峙しに行く。このヴァジュラもどきは炎属性に弱いことはさっきの戦闘で確認済みなので炎属性のバレッドを準備する。普段の俺ならまずしないであろう行動の一つ『相手の注意を引く』を意識して行う。幸いなことにヴァジュラもどきは俺の挑発に乗ってくれた。奴の注意を引きつつバレットを放つ。

 

ドンっ!!ドンっ!!!

 

 続けざまに放つがことごとくよけられる。そのうえ、攻撃の合間を縫ってどんどん近づいていく。

 

 背中を冷たい汗が流れる。ここまで死を体感したのは初陣以来だ。

 

 その一瞬が命取りだった。

 

 思考をほかのことに向けてしまいアラガミの攻撃に対する反応が遅れた。

 

 アラガミの放ったツララを俺は防ぐことができず、もろに受けた。

 

「ぐあっ!!」

 

 全身を痛みが襲う。ただの人間であれば即死であるが神機使いはこの程度では死なない。だがそれは裏を返せば死んだほうがましだと思える苦しみが続くことを意味する。

 

「ゴホッ」

 

 口から大量の血を吐く。そりゃそうだ。体にでかい風穴開ければだれだってそうなる。

 

 ヴァジュラもどきがとどめを刺しに近づいてくる。どうやらここまでのようだ。

 

 ……最後に小町に会いたかった……

 

 己の死を覚悟しそっと目を閉じるが、いつまでたってもその瞬間は来なかった。不思議に思い目を開けるとそこにはヴァジュラもどきの攻撃を防いでいるソーマの姿があった。

 

「……なんで戻ってきた」

 

「……リンドウのやつは全員生き残れといった……ただそれだけだ」

 

「アイツらは?」

 

「先にアナグラに返した。おそらく救援部隊と合流しているだろう」

 

「……そうか」

 

 俺はそう言い残すと意識を手放した。どうやら思いのほか出血がひどかったらしい……

 

「フンっ!」

 

 俺と出撃した奴は大抵すぐに死ぬ。故にアナグラでも嫌われていた。そんなことは別にどうでもいい。だがこいつは違った。俺が『死神』呼ばわりされているのを承知の上で俺とミッションをよくやった。理由を聞いたら意外な答えが返ってきた。

 

―おまえとだと特に何も会話しなくていいから楽だから―

 

 正直ふざけてるのかとその時は思ったが、どうやら本気でそんな理由らしかった。実際よくしゃべる奴とはこいつは全然任務に行かない。だがもしこいつが俺とのミッションで死んだら皆口々にこういうだろう。

 

―死神に近づく物好きだしね死んでも仕方ないさ―

 

 それだけは許さない。俺への侮辱はどうでもいいが俺のせいで死んだ奴らを馬鹿にはさせない!

 

 そう強く決心しソーマはヴァジュラもどきへと、向かっていった……

 

その後、ソーマの奮闘もあってか新種のアラガミはどこかへと、立ち去って行った……




投稿がだいぶ遅くなってしまいました・・・

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