「聞いてくれ利根よ! 俺はとうとうやったぞ!」
「藪から棒に何じゃ突然、て言うか今回はそっちからアプローチしてくるのじゃな……で? 一体何がどうしたと言うのじゃ」
「これを見てくれ! コ・レ!」
「何か微妙にウザキモイポーズで皿をこっちへ押し付けるでないわっ……て言うかこれは……厚揚げ?」
「そう、ア・ツ・ア・ゲ!」
「何で厚揚げ如きにお主はそう興奮しておるのじゃ?」
「ばっかお前厚揚げっつーのはな、大豆レシピのある意味究極点なんだぞ!」
「究極? 大豆の?」
「おう、豆を煮て絞って固めて整形して揚げてという行程を経て、漸く厚揚げは完成するんだ」
「ふうむ、そう聞くと中々手間が掛かっておるのとは思うのじゃが、そうまでして手間を掛けて食いたいもんかのぉ、厚揚げ」
「うむ、それがちょっとした裏技で七面倒臭い手間が簡略化される事に気が付いた」
「ほう?」
「先ず雑草を刈り取って種を採取する」
「……雑草とな?」
「次いで採取した種を植えて大豆を育成、そこから豆乳バケツをクラフトして、それを1ブロックマスに投入、暫く待つと絹ごし豆腐ブロックが出来上がるから……」
「待つのじゃ」
「……あん? 何だよ?」
「雑草から大豆とか、絹ごし豆腐ブロックとかちょっと聞き慣れん名称がお主の言葉に含まれておるみたいなのじゃが……」
「ん? 何お前豆腐C〇aft知らねぇの? マジで?」
「マジでと問い質したいのはこっちじゃバカもんが! 何じゃ豆腐Cra〇tて! のっけから思いっきりマ〇クラネタが炸裂しておるでは無いか! 良いか? リアルでは豆腐は豆乳を漉して作る物じゃ! 何じゃ1ブロックに入れたら完成て!」
「後この豆腐な、上から重石を乗せてたら水分が抜けて強度が増すんだぜ? それで出来た鋼豆腐使ったら鎧とかも作れるんだ」
「だーかーらぁぁ! 幾ら豆腐の強度が増しても豆腐は豆腐じゃ! 何じゃはがね豆腐って!」
「因みに剣もツルハシも作成可能だ」
「誰もそんな事聞いとらんわっ! 珍しくそっちが冒頭から会話を振ってきたと思ったらコレじゃ! 何をしておるのじゃまったく!」
「因みに豆腐ワールドって別ディメンションが存在してだな、そこにはダイヤ並みなレアの金剛豆腐鉱石ってのがあってだな……」
「何じゃそのいつもデースデースとか言ってそうなヤツをイメージする物体は……いい加減そんな非現実的な物から離れんか、と言うか提督よ」
「ん? 何だよ、今ちょっと豆腐ハンバーガーに挑戦してっから手が離せないんだよ」
「バーガーって何じゃ、豆腐万能過ぎじゃろ……まぁ良い、大本営からお主宛に手紙が来ておったぞ、ほれ」
「大本営から? 何だよまたクソ面倒な指令が来たんじゃねーだろうな?」
「まぁの、秋刀魚漁だの菱餅の回収だの定期的におかしな命令が発布されとるからお主がそう思っても不思議ではないの」
「えーっと何々? ああこの前の秋刀魚漁の報酬を送ったって書いてんな、何だこれ? 大漁旗?」
「ほんに上層部は何を考えておるのかのぅ……で? 大漁旗以外には何も貰えんのか?」
「いや、他にネジが四本配布されるらしい……」
「ネジぃ? ネジで何をどうすれば良いと言うのじゃ?」
「あー、まぁいいや、丁度お前の車を改装してる途中だったし、それにでも使うか」
「……ちょっと待つのじゃ」
「うん? 何だよ?」
「今何と?」
「え? ほら前からお前車のキャタピラは嫌じゃ嫌じゃつってたろ?」
「……言うておったの」
「繰り返し言うから仕方なくだな、その辺りを改良する事にしたんだよ、ほれ」
「む? 何じゃ一体ってうーわ! ガレージの中になんぞ……のう提督よ」
「ん? 何だ?」
「あれは一体何なのじゃ? オート三輪の下に何と言うか、凄まじく巨大なタイヤが三本セットされておると言うか、タイヤの上に車が乗っかってると言うか……」
「あーあれな、何かほら、ふっつーにタイヤくっ付けただけじゃ華がねぇだろ? だから車体の補強したついでにタイヤもメガサイズのを装備して、踏破性を向上してみた」
「踏破性て……気のせいじゃなければアレ、フロントに廃土板とか刺々しい何かがおっ立ってるみたいに見えるのじゃがの……」
「あースクラップ置き場に転がってたミニユンボをバラして使ってみた、これでアナーキーロードを疾走しても大丈夫だぜ? どうよ?」
「どうよってどうなのじゃそれ……そう言えばお主昨日マッド〇ックスのDVDを見ておったな!? これはアレか? 例の暴走族の車両の真似した物か!? どうせ作るなら何故V8インター〇プターじゃ無いのじゃ!?」
「突っ込み入れてる割には詳しいのなお前? てかそっちは既に作ってゲンさんとこに納入してあっから材料がねぇんだよ」
「何じゃと?」
「何かオトヨさんが街に出る足が無いとかってよ、何かねぇかって相談されたもんだから、んならって感じで作ってみた」
「待て、待て待て!」
「あん?……何だよ?」
「オトヨさんと言うのは、もしや……」
「あーほら、ゲンさんトコの母ぁちゃんで、村の町内会長の」
「何度聞いても村の町内会長というワードが耳についてしまうの……て言うかあのお年寄りが、マッドマック〇カーで街へお買い物じゃと?」
「ゲンさんも流石に心配だったんだろうな、暫くは船のヤツらと連れ立ってトラックで後を付けてたらしいぜ?」
「マッドマッ〇スカーで疾走する老人に、それを追走する黒騎士の一団って世紀末にも程があるじゃろう……」
「まーそんな訳でお前の車、モンスターカー(オート三輪)な」
「何じゃその微妙に噛み合わんちくはぐな車はっ! て言うか何じゃこれ、前後長が短いのに車高が高過ぎてヤバくは無いか? 主にバランス的な面において……」
「イメージはチョ〇Qだ」
「変な部分で遊び心を発揮するでないわっ! て言うか……くっ、運転席まで高くて手が届かん……」
「あーそれな? ほら、ボディの横にあるレバー引いてみ?」
「何じゃ意味あり気にぶっ刺さっておるこの鉄筋はレバーじゃったのか……っておお、座席がウィーンと下がってきおったぞ!?」
「福祉車両の技術を応用して、運転席をそのまま乗降装置として組み込んでみた」
「ほぉ、中々これは便利じゃの、たまにはお主もまともな物を作れるでは無いか」
「たまにはって、何か含んだ言い方しやがんなぁ」
「今までの事を思い返せば色々含みたくもなるわ……ん? 何じゃこれは……」
「あん? どしたよ?」
「……のう提督よ」
「何だよ?」
「この……座面前中央の何と言うか、カセット的な物体は何なのじゃ?」
「ああそれな、ほらその車って車高が高いだろ?」
「そうじゃな」
「で、お前が乗り降りする時は、周りから見ると当然下から見上げる形になる訳だ」
「ふむ、確かにそうじゃの」
「で、そうなった場合当然……な、色々見えたりする可能性もあるんじゃないかって思ってよ」
「……それで?」
「で、お前が乗り込んだ後キーを捻るとだな、ガションってカンジでカセットがせり上がって、股間にダクトt」
「待つのじゃ! 何で強制的にそんな機構を組み込んでおるのじゃ! 寧ろ我輩はいつもいつもいつもちゃんと履いておると言い続けておるじゃろうが! て言うかダクトテープはお肌と毛に優しくないと何度言えば理解するのじゃバカモンが!」
「いや、何かほら、その辺り利根って脇が甘いし忘れっぽいし、それ以上に滅多な物を一般市民へ見せちまったら処分案件だって、前に先輩とこで聞いた気が……」
「滅多な物って何じゃサブロオオォォォォォォォオオオオオ!」