提督と利根さん   作:zero-45
<< 前の話 次の話 >>

23 / 29
2018/01/06
 誤字脱字修正反映致しました。
 ご指摘頂きました対艦ヘリ骸龍様、有難う御座います、大変助かりました。


にじゅうににちめ

 

「のう提督よ」

 

「なんだ利根」

 

「今年もそろそろ終わりじゃのう」

 

「ああまぁなぁ」

 

「ここに飛ばされて一年とちょい、割と色々あったのう」

 

「飛ばされたとか言うな、飛ばされたとか、でもそうさなぁ……執務棟作って、風呂作って、畑耕して、んで色々拠点整備して」

 

「何を言うておる、お主は訳判らん車とか武装とか作ったり、後は狩りしてただけじゃないか」

 

「ばっかお前働かざる者食うべからずだ、働らかねぇと餓死しちまうじゃねぇか」

 

「あの諺は労働しなければ食うていけんという事を比喩しとるだけで、物理的に食う物を採取せんと死ぬという直接行動の事を言うておる訳では無いわバカモンが」

 

「仕方ねぇだろ、食うもの買う予算がねぇんだからよ」

 

「ほんにここはどういう区分で運営されとるんじゃ、年次予算が20万ちょいとかバックパッカー以下の生活しか出来んぞ」

 

「の割には今かなり便利な生活環境になってるだろ?」

 

「……まぁの、何故かシアターシステムがデーンと鎮座しとるリビングとか」

 

「執務室だ執務室、んでこの機器は例の宝の山から再生したモンだから、掛かった資金はゼロだ」

 

「どこをどう見たらゲームだのシアターシステムだのが転がっとる執務室があると言うのじゃ」

 

「お前用の巨大クッションとか、スイーツ専用冷蔵庫とかもあるけどな」

 

「仕方なかろ、我輩の部屋は何故か藁製のベッド以外は照明はランプ、後はコンセントすら設置されとらんのじゃから」

 

「あったりめぇだろ、お前アルプスの頂上まで電気通ってると思うなよ? 何甘えた事言ってるんだ」

 

「何で我輩の部屋だけ頑なにハ〇ジの部屋のままにしとるのじゃ!? 無茶苦茶殺風景過ぎて逆に身の置き場が無いわっ!」

 

「お前あの部屋にテレビとか冷蔵庫とか入れたとこ想像してみ? ムッチャバランスがアレで折角の統一感がブチ壊しじゃねぇか」

 

「だーかーらぁ、何で部屋のイメージが貧乏前世紀の位置に固定されとるのじゃ!」

 

「わーったわーった、んじゃ近いうちにリフォームしてやっから、それでいいだろ?」

 

「リフォームぅ? 部屋のか?」

 

「おう」

 

「……それで? あの部屋をどういう形にリフォームするつもりなのじゃ」

 

「えーっとそうだな、基本ヨーロピアン的なデザインで、丸石も相当溜まってきてるし消費しねーとな」

 

「……丸石ぃ?」

 

「ああその内経験値トラップタワーでも拵えようと思ってよ、ブランチマイニングしつつ溜めてたんだよ」

 

「ブランチマイニングて何じゃ!? てか経験値TTてリアルじゃそんなモンないわバカモンがっ!」

 

「いやほらお前、ピッケルとかに幸運エンチャ付けようと思ったらそれが一番効率いいし、矢とか火薬も入手できて一石二鳥だろ?」

 

「現実にはそんなモン存在せんから一石も二鳥もないわっ! 今年も漸く終わろうかと言う時にそんなマイクラネタをぶっ込んで来るでないわっ!」

 

「まぁそんな訳で石材もあるし、今度はヨーロピアン調の建造物にも挑戦しようと思ってな、どうよ?」

 

「どうよって何じゃ、どうしてマイクラネタから我輩の私室に繋げるのじゃ……しかしヨーロピアンとな、まぁその辺りだけは興味を惹く話ではあるが、一階が歪なログハウスで、二階が小粋なヨーロピアンとか少々構造的に破綻してはおらんか」

 

「まぁその辺りは一階の躯体を補強するとかせんとダメだな、でとデザイン的な物は……ちょい待てえっと……そうそうこのDVDに……」

 

「何でそこで小〇女セーラのDVDが出てくるんじゃ!? どうしてハイ〇の簡素な部屋からセ〇ラの屋根裏部屋へリフォームするんじゃ!」

 

「いやお前、それ以外だとほら、フ〇ーネの家くれーしかねぇぞ?」

 

「それはツリーハウスじゃろうが! 何で我輩の私室はハ〇ス子供劇場基準でしか無いのじゃ! しかもその中でも指折りの質素な部類ばかり選択しとるのはどうしてなのじゃ!」

 

「あ? 何か不服か? んじゃハック〇ベリーの家とかもあっけど」

 

「それもツリーハウスじゃ! しかもどんどん質素化が進んでおるではないか!」

 

「わーったわーった、じゃ映像資料渡してやっから、そっから自分で選べ、ほら」

 

「ナ〇シカと未来少年コ〇ンのDVDからどう部屋のデザインを選択すると言うのじゃ! どっちも世界が崩壊しておる作品ないではないかっ!」

 

「あれいいよなぁ、特にコナン、銛一本で鮫から始まってお前、戦艦とか飛行艇とか相手にガチるんだぜ? 戦闘の参考になるわ」

 

「あのアニメに娯楽を求めるんじゃなく、戦闘資料としての価値を求めとるのはお主だけでは無いのか……」

 

「あ? いや前居た部隊じゃお前、コ〇ンとかその辺りは教練ビデオになってたが……」

 

「どんな教育しておったのじゃ懲罰部隊!? てかそれ実行しようとするお主らもお主らじゃ!」

 

「懲罰部隊言うな、てかもうすぐ年明けだからよ、初詣の準備しとけよお前」

 

「む、そう言えば今年は年が明けたら初詣に行くと言うておったな、我輩着物は持っておらんから、いつもの格好でも良いか?」

 

「別にいいんじゃねぇの? ただ神社へ行くにはそこそこ険しいルートを進むからよ、それなりの装備は必要だかなら?」

 

「……険しい? 装備?」

 

「ああ、ザイルとかピッケル、後はピトンに……」

 

「ちょっと待つのじゃ」

 

「ん? どうしたよ?」

 

「今お主は初詣の事を言うておるのじゃの?」

 

「おうそうだけど?」

 

「何で初詣に行くのにそんな登山装備が必要なのじゃ?」

 

「あ? 登山装備じゃないぞ、クライミング装備だ」

 

「何で初詣がクライミングに繋がるのじゃ! お主は一体どこに初詣へ行くつもりなのじゃ!」

 

「どこにってお前、初詣は神社へ行くに決まってるだろうが」

 

「だーかーらぁぁ! 何で神社へ行くのにクライミングが絡むのじゃと聞いておる!」

 

「え、お前知らないの? 村の神社て岬の向こうのほら、崖があるだろ?」

 

「……岬の向こう? あの50m程ある垂直の断崖の事か?」

 

「そそ、神社あの上だから」

 

「待つのじゃ、確かあそこって微妙に陸から切り離されて断崖の柱みたいになっておるのでは無かったか?」

 

「おお、昔の地震でああなっちまったらしくてな、神社に行くには崖登らねーと行けねーんだよ」

 

「行けねーんだよ、じゃないわっ! なんじゃそれはそんな場所に神社があっても誰が命懸けでクライムしてお参りなんぞすると言うのじゃ、おかしかろ? 第一誰がそこ管理しとるのじゃ」

 

「あ? そりゃ神主がやってるに決まってるだろ?」

 

「神主!? 標高50mの崖上に乗っとる神社に神主!? それどうやって生活しとるのじゃ!?」

 

「あ? いやそりゃ普通に生活してんじゃねぇの? 前に会った事あるけどよ、普通の70歳くれーののジーサンだったけどよ」

 

「70の老人が崖上の神社で神主をしとるじゃと!? それって崖を上り下りして移動しとると言うのか!?」

 

「別に普通じゃね? 初詣の時もジーサンバーサン崖登ってくし」

 

「村の老人が50mの崖をクライミングして初詣って何じゃそれは!? どんな体力しとるのじゃ!?」

 

「まぁ子供の頃からそういうのが当たり前だったら、ジーサンバーサンになってもそういうのは当たり前のままって感じになるんじゃねぇのか?」

 

「そんな事になる訳なかろ!? どういう理論じゃそれは!?」

 

「神社って言や成人式とかもあそこでやるらしくてな、毎年ロープ一本で体縛って崖から飛ばねーと、村じゃ成人として認めて貰えねーらしいぞ」

 

「成人式でバンジーてどこの部族の話なのじゃ!? どんな掟が蔓延っとるんじゃあの村!?」

 

「まぁそんな訳でザイルとか持ってかねーと、神社に行けねーからよ、持ってねぇなら俺の予備貸してやっけど」

 

「何でお主はそういう特殊な環境を当たり前に受け入れておるのじゃ!? 我輩は新年早々ロッククライミングなんぞしとーないわ!」

 

「あ? だってお前前からそういう節目の縁起事は海軍では特に大事だからってよ、初詣は行くべきだっつってたろ?」

 

「だからその初詣が凄まじくハードルが高い物になっておるから無理じゃと言うておる」

 

「あーそんでよ、神社の境内じゃ屋台とか出てるらしいぞ、たまにはそういう店で買い食いとかもいいかも知れんな」

 

「屋台!? 地上50mの断崖の上で屋台!? テキ屋はどうやってそんなとこに屋台とか材料を運んでおると言うのじゃ!?」

 

「え、普通に崖登って運んでんじゃねぇの?」

 

「テキ屋凄過ぎじゃろ!? 幾ら仕事じゃからと言うても命を懸け過ぎじゃろうが!?」

 

「お前が好きそうな甘酒とか綿菓子もあるだろうからよ、ほら帰りにどうよ」

 

「……わたがしとな? う……うむ、それはちょっと魅力的じゃの……そうか、わたがしか……」

 

「まぁそんな訳で先ずはクライムの用意だ、ほらこれ」

 

「……のう提督よ、これは一体何なのじゃ?」

 

「あ? それ布テープ、ダクトテープより強度は劣るけどよ、手で綺麗に千切れるし加工がし易いからよ、ちっちゃく千切れば乳首用にも使えるから、ほら」

 

「……もう下着の事で突っ込むのはこれで何度目になるのかのう、のう提督よ、我輩は履いておるとずっとずっと言っておろうが……」

 

「あー今回はちっと重量的にシビアにしねーといけねぇからよ、こっち使うか?」

 

「……油性マジック? これを我輩にどう使えというのじゃ」

 

「いやそのまんまだが? ほら張る訳じゃねぇから毛の被害はねぇし、黒く塗っときゃ目立たねぇって事で、履かない派のお前に取って公序良俗も守れて究極の軽量化になるんじゃねぇかって、この前先輩の所から送ってきたんだけどよ」

 

「サブロぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおお!」




※この小説はログインせずに感想を書き込むことが可能です。ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に
感想を投稿する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。