提督と利根さん、とか。   作:zero-45
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にじゅうさんにちめ

 

 

 

「のぉ提督よ、ちょっと聞いて良いかの?」

 

「何だ利根?」

 

「お主は何をしておるのじゃ?」

 

「あ? 見て分かんねーか? 執務室(ログハウス)の大改装してんだよ」

 

「いやその何やら改装をしてるのは見れば分かるのじゃが、何故執務室(ログハウス)の一階ドアを開けたらすぐキッチンなのじゃ? これはアレか? 超大昔TVCMでやっとった玄関開けたら二分でごはんとかアレでも目指しておるのか?」

 

「何かクソ昔のCM持ち出してきたなおい、いやこれはちょっとした事情があってよ、改装しねーといけなくなったんだよ」

 

「……また事情とか言い出しよった、今までそのパターンから始まる話に我輩まともな物が無かった記憶しかないのじゃが……で? 今回の事情とやらはなんなのじゃ?」

 

「あー、ちょっと前大本営から連絡があってな、驚愕の事実が発覚した」

 

「大本営からじゃと? それで一体何があったのじゃ?」

 

「ウチってほら、鎮守府って事でここに居を据えてるだろ?」

 

「うむ、そうじゃな」

 

「んでよ、ちくっと物資関係の書類を大本営に提出したんだけどよ、事務方から内容間違ってるって書類が返って来たんだよ」

 

「物資関係の書類と言うと先週送ったヤツかの? おかいしの、我輩もあれチェックしたがおかしな部分は無かった筈なんじゃが……」

 

「これがその書類なんだがよ、ほれ」

 

「なになに……ってなんじゃこれは、いきなり一行目が赤ペンで修正されておるではないか……」

 

「それな、マジビックリしたぜ」

 

「……びっくりも何も、この修正されとる部分て拠点名称が書かれとる欄ではないか!? これはどういう事なのじゃ!?」

 

「あーそれな? 一応確認したらよ、軍で今鎮守府ってなってんのは横須賀に呉、舞鶴に佐世保、後は大坂だけって事になっててよ、ウチは鎮守府じゃねぇらしいんだよな」

 

「あーあーそういう、確かに鎮守府と言えば内地の要所じゃからの、こんなド田舎の僻地にある拠点が鎮守府と言うのはよう考えればありえんというのはまぁ納得じゃ」

 

「まぁ鎮守府って俺らが勝手に言ってただけだしな、まぁその辺りは仕方ねぇって感じなんだけどよ」

 

「して? ウチは結局どういう区分の拠点になるのじゃ? 規模的には泊地どころか基地も怪しい規模なのじゃが……」

 

「倉庫」

 

「……なんじゃと?」

 

「倉庫だっつってんだろ、海軍管轄備蓄倉庫、ウチはそういう区分になってんだとよ」

 

「まて、まてまて倉庫じゃと? 提督と艦娘が着任しておる拠点が倉庫ぉ? どういう事なのじゃそれぇ!?」

 

「どういうもこういうもそういう事らしい」

 

「お主はそれを聞いて何とも思わんのか!?」

 

「あー、だから年間予算少ないのかとは思ったけどよ」

 

「待つのじゃお主! よう考えてみい、ここが軍管轄の倉庫という事はじゃ、お主と我輩は倉庫番という事になるのじゃぞ? そんな一瞬一世を風靡したゲームタイトルみたいなポジに提督と艦娘がなっとるのはおかしいとお主は思わんのか!?」

 

「お前今回は古いネタばっか持ち出してくんな? まぁアレだ、取り敢えずはだ、今問題なのはウチがどういう区分の拠点なのかではなく、これからも予算が年間20万程度しか支給されねーって事で、それをどう有効活用してこの先生き延びるかという事になる訳だがよ」

 

「生き延びるってなんじゃ!? 軍務に就いてて仕事をするよりサバイバルを優先せんといかんってどういう状況なのじゃそれは!?」

 

「まぁこれまでも色々工夫してなんとかやってきたからな、要するに今まで通り活動しつつ、より利便性の高い生活環境を整えていくという方針は変わらねぇって考えりゃよ、な? 別にそれ程問題はねぇかなって」

 

「問題大ありじゃ! そもそも海軍の管轄の、しかもこんな山のテッペンの倉庫て一体軍ではどう活用されると言うのじゃ!?」

 

「まぁそこでこの改装になる訳だ」

 

「……のぉ提督よ、一体何をどうすればその話がその台所に繋がるのか我輩にも理解できるよう説明してくれんかの」

 

「あーそれな、先ずウチは光熱費は大本営持ち、予算は年間20万前後なのは決定事項な訳だ」

 

「年間20万て、月に換算すると1万6千円ちょいじゃぞ、幾ら光熱費の心配が無いからと言うてそれで一体何をせよと言うのじゃ……」

 

「それ! それそれ!」

 

「む、それって何じゃ?」

 

「ウチはゲンナマ支給が壊滅的な代わりによ、光熱費……つまり電気ガス水道は大本営持ち、つまりそっちは使い放題になってる訳だ」

 

「……まぁ確かにの」

 

「で、この状態で生き延びていこうとしたら、自活する分以外に自力で予算を獲得しないといけない訳だ」

 

「予算を獲得て……一応我々は特別国家公務員じゃからの、前も言うたようにバイトとかは禁止されておるぞ? それはどうするつもりなのじゃ」

 

「確かに個人としての労働は軍では禁止されている、だが拠点でという縛りの内なら例外的に公費に充てるという前提で多少の経済活動は容認されてんだよ」

 

「あーあー、軍の懐事情も厳しいらしいからの、確かに拠点運営に回すならばそういう事も許可されておるようじゃが……」

 

「そこでアレだ」

 

「アレってなんじゃ……ってうーわ!? 道路の脇に何ぞ小屋っぽい何かが建っておる!?」

 

「ウチで経済活動をしようと思えば、木材、山菜、山で獲れた獲物を使った何かか主力商品になる」

 

「……軍の拠点が活動して出した結果が、山間集落の特産品染みたブツとか笑えん状態じゃの……」

 

「で、それらを加工してあそこに並べて販売すりゃほら、現金収入が!」

 

「……のう提督よ」

 

「あ? 何だよ」

 

「……あれってもしかして世間一般で言う所の無人販売所というヤツではないのかの」

 

「おう、まぁ人里離れてっから売れるかどうか心配だったんだけどよ、日持ちのするスイーツとか猪肉の燻製とか並べてみたらよ、ボチボチとハケるのが分かったから、これはイケるって事で増産体制を整える事にしたんだよ」

 

「増産体制ぃ? ってもしやこの台所の拡張工事というのは……」

 

「商品を作るのに今までの規模じゃ追っつかねぇからよ、大型の調理機材を色々と設置してみた、んで電機やガスは使い放題だし、そこんとこは経費が0だから丁度いいなって思ってよ」

 

「何で海軍拠点が野山の幸を加工して無人販売所で売り出すという活動に勤しまねばならんのじゃ!? しかもそれをせっせと作っとるのは海軍提督とかもう訳がわからんぞ!?」

 

「バッカお前ほら、横須賀とか行ってみ? 海軍カレーとか売り出して商売してんじゃねーか」

 

「アレは日々の糧を得る為にカレーを売っとる訳じゃなくて、軍のイメージアップ効果を狙って活動しとるのじゃバカモンが!」

 

「何だよ文句ばかり言いやがってよ、結局お前予算獲得したいの? したくねーの?」

 

「何でお主はいつもいつも問題をそうミニマムな位置に設定するのじゃ!? 我輩が言っておるのは予算獲得の活動が問題と言うておるのではのうて、やり方がおかしいと言うておるのじゃ!」

 

「まあそうカリカリすんなって、ほらあそこで販売してんのは特産品だけじゃねぇぜ?」

 

「だから我輩が言うておるのは取り扱い品目がどうのというのではなくてじゃな……ってうーわ、提督よ……アレは一体何じゃ」

 

「ここは一応海軍拠点だからな、一応それっぽいモンも売ってた方がいいだろ?」

 

「……だから?」

 

「村で余りまくってるイ級の外殻を組み立てて、剥製として商品化してみた」

 

「こんな鬱蒼とした山奥にポツンと設置されとる無人販売所で、特産品に混じってリアルイ級が並んでおったとしたら不気味極まりない絵面(えづら)になるとお主は考えんかったのかの……」

 

「割と人気商品なんだぜこれ、ほらコイツなんて頭押したら泣き声が出るギミックが仕込んであるし」

 

「キモッ!? なんじゃこれゲギョゲキョ言うておるぞ!?」

 

「他にもよ、マスコットとしてお前のフィギュアなんかも作ってみた、ほらこれ」

 

「なんじゃと? お、おう……これは……随分とデフォルメされておるが確かに我輩っぽい造りをしとるの、しかし何故我輩の人形なんぞ作ろうとしたのじゃ?」

 

「それな? ほらやっぱこういうのってマスコット的な華が必要じゃねーか」

 

「華か……ふ、ふむ、確かにそう言われればそうかも知れんの」

 

「それに俺自身の人形作ってもネームバリューなんかねぇしよ、そう考えたらお前の人形ってなんだろ?」

 

「ま……まぁの、我輩という艦娘をモチーフとした商品を作るとなれば、確かにそれは目玉商品になる事は請け合いじゃの」

 

「色々特徴出すのには苦労したけどよ、ほら、こうしてスカートめくったら一発でお前って判る仕様にしたからその問題は解決できたぜ」

 

「待つのじゃ!? なんでこの人形下に何も履いてないのじゃ!? て言うか布でこさえた絆創膏を股間に装備させるでないわっ!?」

 

「いや、そこは忠実に再現しねーとよ? この人形がお前って分かんねーじゃねーか」

 

「我輩という認識がされる特徴がそこだけってどういう事じゃ!? むしろ我輩は履いておるといつも言っておるではないかっ!?」

 

「んでまぁこの人形もここに並べてっと」

 

「イ級とイ級の真ん中に我輩の人形をそっと並べるでないわっ! なんでお主はそういう悪意に満ちた陳列でそれらを売ろうとするのじゃ!?」

 

「あ? 悪意じゃなくてだな、ほら、こうしときゃ抱き合わせ販売かって思ったヤツがセットで買ってくかも知んねーじゃねぇか」

 

「我輩とイ級を抱き合わせにしようとするでないわっ!?」

 

「そんで人形のスカートをこう……勢いよくめくったらお前が歌ってた例の豊胸音頭が……」

 

「またんかっ!? お主あの歌を録音しとったのか!? 寧ろそんなギミックを仕込むとかやり過ぎじゃろうがっ!?」

 

「んでついでに余り気味のこいつも並べときゃ、もしかしたら売れるかもって事で」

 

「……何じゃコレは? 我輩の名前が書かれた箱?」

 

「あーそれな、先輩んとこからほら、履かないならせめてって気を使って定期的に送られて来るダクトテープ、折角お前用にって特別に配布してくれてんのにちっとも使わねーからよ、そのまんま放置してたらどんどん貯まっちまってて邪魔になってんだよな」

 

「サブロォォォォォォォォォォォオオオオオオ!!」

 

 



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