提督と利根さん、とか。   作:zero-45

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にじゅうごにちめ

 

 

 

「のう提督よ、ちょっといいかの」

 

「あ? 何だ利根」

 

「ちょっとシマ〇ラに春の新作をチェックに行こうかと車を出そうとしたんじゃが、ガレージに我輩の車がなくての、もしやお主がまた何かやっておるのではなかろうかと思っておるのじゃが、何か知らんか?」

 

「何だよシ〇ムラ春の新作って、年から年中おばちゃんやガキの服しか売ってねーのにそんなのチェックしてどーすんだよ、あ、車は壊しちまった、すまん」

 

「何じゃと!? 〇マムラのどこがダメじゃと言うんじゃ!? って言うか物のついでみたいに今車を壊したとか言うたか!?」

 

「おう、ちっとした事情でな、ぶっ壊れちまった」

 

「……一体どんな事情があったら車が壊れるのかその辺りじっくり聞かせて貰おうではないか、さて理由を言うてみい」

 

「いやほら、お前の車って零戦のエンジン搭載してただろ?」

 

「ああ、あのクソでかくてクソ煩くて一人ではエンジンも始動できなくて動き出したら止めれない例のヤツじゃな」

 

「おうまぁアレだ、なんのかんのってアレ飛行機のエンジンだったろ? だからプロペラと羽付けたら飛ばねーかなって改造して、そこの斜面から飛ぼうとしたんだけどよ、上手くいかなくてそのままクラッシュしちまった」

 

「一体何をやっておるのじゃお主は!? 幾らエンジンと羽が航空機の物でも本体がオート三輪じゃ空力もへったくれも無いじゃろうが! って斜面から飛んだじゃと!? ……うーわ、崖の中腹にオート三輪がぶっ刺さっておる……」

 

「まぁそんな訳でお前の車ぶっ壊れちまったから、新しい車を調達して整備しておいた」

 

「また随分手回しが良いの、まさかまたとんでもなく古い車とかじゃあるまいな?」

 

「いや、今度は割りとまともってかシャレオツな車を用意したぜ、ほらそこに」

 

「む、工廠の中の……ほぉ、何と言うかちっさくはあるが中々これはカッコイイ車ではないか」

 

「そいつはスズキカプチーノっつってな、軽だがツーシータースポーツなんだぜ」

 

「ほうほう、これは中々……ってのう提督よ、何故またこの車はドピンクなのじゃ? 元々これはこういう色で発売されておるのか?」

 

「あ? いやそんな訳ねぇだろ、ほら、婦女子が乗る車はなんつーか……ピンクじゃね? だから全塗装しておいた」

 

「またしてもお主特有の偏った感性が炸裂しおったのか……はぁ、まあ良いわ、それで? これはちゃんと走るのじゃろうな?」

 

「おおそれは大丈夫だ、ちゃんと整備改修はしておいたから、いつでも乗り出しできるぜ?」

 

「……ちょっと待つのじゃ、今何と言った?」

 

「あ? いつでも乗り出しできるって言っただろ?」

 

「その前の言葉じゃ……整備は良いとして、改修じゃと? それは車の整備に於いては一般的に使う用語ではあるまい……今度は一体何をコレに仕込んだのじゃ……」

 

「ああそれな、んじゃ先ず車に乗って貰おうか」

 

「うむ? 乗るって……こうか?」

 

「んでキーを差して横のボタンを押す」

 

「これかの」

 

「そうそう、それで内蔵されてるAIが作動する」

 

『こんにちはマイケル』

 

「マイケルって誰じゃ!? って言うかコレは提督の車に搭載されとったあの胡散臭いこんぴゅーたーではないのか!?」

 

「いやいや、アレのデータを元に色々試行錯誤と小型化を施して、更に進化させたAIがそれだ」

 

『初めましてマイケル、私の名前はKnight Industries Two Kei Automatic Thousand、愛称はK.I.T.K.A.T、キットカットと呼んで貰っても結構』

 

「何で進化したらこんぴゅーたーがチョコ菓子になるんじゃ!? ってマジでマイケルって誰じゃ!?」

 

「いやそりゃお前人工知能搭載の車に乗ってるヤツっつったらよ、マイケルだろ? な?」

 

『はい、マイケル』

 

「だから何で我輩が乗る車にそんな余計なオプションを装備するのじゃ!? 突っ込み所が多過ぎて運転に集中できんではないかっ!」

 

「まぁまぁ、ほらヘタなカーステより音質はいいし、小粋なアメリカンジョークとか飛ばしてくれっからドライブしてる間は退屈しねーぜ?」

 

「何でカーステよりいい音質で小粋なアメリカンジョークを聞かされねばならんのじゃ……技術投入した結果が丸々無駄になっておるではないか……」

 

「んでまぁこれはデフォのカプチーノと同じなんだけどよ、ルーフのここをこうして……こうすると」

 

「おお、屋根が外れるのか」

 

「そそそ、これからの季節オープンにすっと風を肌で感じつつ走れてゴキゲンなドライブができるって寸法だ」

 

「おおー、これは中々オシャレではないか、我輩ちょっとワクワクしてきたぞ!」

 

「んで屋根を外した時に使える目玉機能ってのがあってよ」

 

「ふむふむ、それは一体どんな機能なのじゃ?」

 

「そこのボタンがあんだろ?」

 

「そこの? ああこれかの」

 

「そそそ、それポチっとするとな、座ったお前ごとシートがお空にシューーーーーーーッ!」

 

「何で我輩が空へぶっ飛ばねばならんのじゃ!? どうしてそんな危険な機能を搭載するのじゃ!? しかもこのボタンエアコンの真横に設置されとるから間違って押す危険があるじゃろうがっ!」

 

「いやまぁ電源取るのにそこが一番都合が良かったからな、んで屋根外してない時は気をつけろよ? 結構デンジャラスな事になるからよ」

 

「屋根がなくともシートごとぶっ飛んだら充分デンジャラスじゃ! この飛び上がるシートは一体何の為に装備したのじゃ!」

 

「ああそれな、ほらアレだ、町に買い物に行ったとするだろ」

 

「……買い物にか、ふむ、それで?」

 

「んでルンル気分でシマム〇へ行こうと出掛けた途中でよ、町中の信号で捕まって一旦停止したりするじゃね?」

 

「うむ? ま……まぁそういう事もあるかも知れんの」

 

「で、そこへ誰かに追われてきたマッチョガイとかヤベーカンジのヤツが拳銃片手に乗り込んできてだな、『おいお前! さっさと車を出せ!』ってカンジでトラブルに巻き込まれそうになったりした時によ」

 

「待つのじゃ! なんでひなびた駅前商店街がやっと維持できとるよーなちっさい町でそんなアクション映画ばりのトラブルが舞い込むと言うのじゃ!?」

 

「んでそういう事態に巻き込まれそうになった時はだ、緊急脱出の為にシートごとお空へシューーーーーーッ!」

 

「お主の脳みそがお空へしゅーーーーーしとるのではないか!? あんなちっさい町で筋肉マッチョが鉄砲片手に車へ乗り込んでくるなんて非常事態は普通発生せんからな! 絶対有り得んからな! お主は夢見る厨二病患者かなにかなのか!?」

 

「まぁ最悪逃げるのが失敗しても、筋肉マッチョとの交渉はキットカットに任せれば安心なんだけどな」

 

『はい、マイケル』

 

「人の事を頑なにマイケル扱いする怪しげなこんぴゅーたーに命を預けとうなんかないわっ!」

 

「まぁ取り敢えず今んトコ改修したのはこの辺りかな、でもまだまだ煮詰めないといけねぇとこが多いから、その辺りはまた使える部品を発掘してからだ」

 

「充分余計な物が装備されとるではないか……これ以上何をどう改修すると言うのじゃ」

 

「取り敢えずプロペラと羽かな」

 

「だから何で車で空を飛ぼうとするのじゃ!? もう改修以前に車の存在意義が真っ向から否定されておるではないか……」

 

「まぁその辺りは筑摩の改装が終わってからの話になるんだけどよ」

 

「……なんじゃと? 筑摩とな?」

 

「おう、筑摩」

 

「筑摩て……どういう事じゃ」

 

「あ? いやお前車の後ろにあるじゃねーか、ほらそれ」

 

「それってこれは前にこさえた母艦ではないか」

 

「おう、推進機関に筑摩の艤装六機積んであっから、名前も筑摩にした」

 

「いやその名称に至った理由はなんとなく察せん訳ではないが、まんま筑摩というのはいささか気持ちが微妙になってしまうの……」

 

「でと、とうとうこの筑摩にもちゃんとした武装を搭載する日がやってきたぜ」

 

「ほう? 武装とな? まさかまたカタパルトとかバリスタとは言うのではあるまいな?」

 

「いや、今度は新設計した酸素魚雷を積む事にしたからよ、これで艦の守りは万全になるぜ?」

 

「酸素魚雷じゃと? 見た感じ甲板や上部構造部に発射管は見えんようじゃが、もしや艦首埋め込み型になっておるのか?」

 

「いや、魚雷を使用する都度甲板に発射機構を固定して使う」

 

「使用する時に? それはまたえらく面倒な事をするのじゃの、あんな重量物を付けたり外したりするのか?」

 

「は? 重量物? 何言ってんだお前、発射機構は塩ビパイプを真っ二つにしたモンを並べるだけだから、全然重くなんてねぇぞ?」

 

「なんじゃと? 塩ビ管じゃと?」

 

「おう、これなこれ」

 

「のう提督よ……これってご家庭の下水や水周りに使用するパイプというヤツではないのかの……」

 

「おうそれそれ、んでそれを真っ二つにしたヤツをこう固定してだな、その上に発射体をこう据えて」

 

「待つのじゃ」

 

「あ? 何だよ」

 

「それは発射体と言うより、ペットボトルロケットという代物ではないのかの?」

 

「あーあー、まぁ似た様なモンだけどよ、これはそれとはちょっと違うんだよな」

 

「いやそんなペットボトルをまんま流用した何かなんぞ誰がどう見てもペットボトルロケットじゃろうが」

 

「コイツはな、先っちょに信管と爆薬が詰め込んであってな」

 

「……うむ、それで?」

 

「発射機構にセットした後はこれで空気を注入して……」

 

「のう提督よ、それはもしや自転車のタイヤに空気を入れるアレではないのか」

 

「そそそ、それな、んでコイツで空気をこう……シュコシュコ入れてだな」

 

「やっぱペットボトルロケットではないか!? 何が酸素魚雷じゃバカモンが!」

 

「なに言ってんのお前、コイツは注入された空気を排出して推進力を発生させんだぜ? 立派な酸素魚雷じゃねーか」

 

「酸素魚雷に充填されとるのは純粋な酸素であって、空気ではないわっ!」

 

「一応これにも酸素は含まれてるじゃねーか」

 

「なに屁理屈を垂れておるのじゃ! て言うかそんな物シュパーしたところで真っ直ぐ進まんじゃろうし、射程距離も知れておるじゃろうが」

 

「いやいや、コイツはちゃんと推進力学を応用した多段式発射体になっててな、射程距離はなんと驚きの1800m!」

 

「ペットボトル如きで1800mも射程距離があるのか!? 一体どうしたらそんな狂った性能を発揮すると言うのじゃ!?」

 

「後はこの対空用噴進砲も使えば艦の守りは万全だぜ?」

 

「のう……提督よ」

 

「ん? なんだよ」

 

「この……トタンの上に並んでおるロケット花火がどうしたと言うのじゃ……」

 

「あ? それはロケット花火じゃなくて試製一八式噴進砲だっつーの、確かに射出するにはライターか線香で着火する必要はあるけどよ、中身は砲弾用高性能爆薬になってっから、射程距離は1000m程あって、破壊力は重巡用三式弾並みのものになってんだぜ?」

 

「それは中身の火薬を砲弾の物に差し替えただけと言うのではないのかの……」

 

「問題は湿気っちまうと火が点かないから取り扱いには注意を要する事にある」

 

「やっぱロケット花火ではないか!? こんな小学生が縁日の後に撃ち合いしそうなセットを用意して対空兵装とか一体なんの冗談なのじゃ!?」

 

「まぁ対策品で細身の塩ビパイプを束ねてそこへ装填する試製一八式噴進砲改っつーのもあるにはあるんだけどな、クローズドタイプだから弾薬の装填に難があるんだよな」

 

「なんかホームセンターで揃ってしまいそうな材料で母艦の武装を整えるとか、幾らなんでも適当過ぎるじゃろ」

 

「ホームセンター? なに言ってんのお前? これ全部例の宝の山から発掘したリサイクル品だから材料費はタダなんだぜ?」

 

「余計にタチがわるいわっ! なんで海軍の防衛装備が産業廃棄物から掘り出した物で作られておるのじゃ!?」

 

「仕方ねーだろっ! ウチは現金での予算が殆ど計上されねーからそのヘンにあるモンで全てを賄わないといけねーんだよ!」

 

「だからって不法投棄されたゴミで小学生の夏休みに作る宿題染みた物で武装するのはどうなのじゃ!」

 

「まぁ他にはリサイクルじゃない新装備が搭載してあんだけどな」

 

「新装備?」

 

「そこの、ほらそれ」

 

「そこの? ……この……ゲタ的なブツはもしや」

 

「いやちょっと母艦の補強部材を先輩とこに発注したらよ、何か作ったけど利用する機会が少ないからやるわって艦娘射出用電磁カタパルトを送ってきたからよ、お前専用カタパルトとして甲板に設置してみた、これで300m程は一気に距離を稼げるぜ? あ、そんでこれいつものダクトテープな、前貼り用の」

 

「サブロォォォォォォォォォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオ!!」

 

 

 


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