「のう提督よ」
「何だ利根」
「お主は一体何をしておるのじゃ?」
「何をって見て分かんねぇか?」
「いやその、お主の突拍子の無い行動に最近慣れたと思っておったのじゃが、朝の事務(絵日記)を済ました途端ドカチンみたいな格好でツルハシ担ぐ海軍士官を見て我輩に何を察しろというのじゃ?」
「あ? いや土木作業っつーか、ちょっと風呂作ってくる」
「何でいきなり風呂?」
「いや、色々事情があって作らないといけない状況になってな」
「事情?」
「ん、見てみっか? これだ」
「うーわ昨夜まで何も無かった断崖にドアがポツンと
「んで中は、こうだ」
「……提督よ」
「何だ」
「何で岩肌に張っ付いた不自然なドアを開けたらいきなり岩風呂なんじゃ?」
「いやだから事情があるっつったろ?」
「……その事情というヤツを聞かせてもらおうかの」
「ん、ほらウチってさ、資源関係ヤバいだろ?」
「ヤバいと言うか鉄、ボーキ、燃料、弾薬が普通の鎮守府で言う資源じゃが、ここではキノコ、山菜、川魚、木材じゃからの」
「で、この前何かあった時出撃はどうすんだってお前言ってただろ?」
「言うたの」
「んで良く考えたら流石に現状はまずいって俺も思った訳よ」
「今更じゃのぅ、それがどうして岩風呂に繋がるんじゃ」
「いや燃料とか弾薬関係は現状無理としても、鉄とかボーキ辺りはこう……採掘とか出来ねーかなって思ってな」
「……それで?」
「そんで石が露出した辺りを横に掘り進んで、後は2マスの直下掘りでy11辺りまで……」
「待て、待て待て、何でそこでマ○クラみたいな事しとるんじゃお主は、なんじゃy11て、お主の脳内には座標でも表示する機能が備わっておるのか?」
「あ? 知らんのか利根、y11辺りで横方向にブランチマイニングしたら効率良く採掘が出来るんだぞ?」
「だからマイ○ラから離れんか! アレはゲームの中の話でこんな山肌を掘り抜いても丸石程度しか資材は入手出来んぞ!」
「なん……だと、それじゃマグマダイヴしてもリスポン地点が近くになるようにって用意したベッドは無駄だったってーのか……」
「昨日いきなりベッド作ってたと思ったらそんな事考えておったのか! むしろ溶岩にドボーンなんぞしたら普通人生がゲームオーバーじゃからな! リスポンなんぞせんからな!」
「くそ……そうだったのか、何てこった、どうりで幾ら掘っても石とか土ばっかだと思ったぜ……」
「お主はもう少し現実と言う物を見つめ直す必要があると我輩は思うのだが」
「ああ……まぁ資源の入手はもう少し検討の余地があるってのは判ったが、なぁ利根よ」
「……何じゃ?」
「そのお陰で温泉を掘り当てたし、今日から天然温泉掛け流し放題が可能になったから無駄じゃなかっただろ?」
「手掘りで源泉を掘り当てるとか、人としておかしいという感覚はお主には無いのか?」
「いや前からお前ドラム缶風呂は嫌じゃー嫌じゃーとか言ってたじゃねーか、なら今回のコレは結果オーライなんじゃないか?」
「ああ……あの断崖の端っこに据えてあるアレか……何であんなトコに風呂なんじゃ? 足滑らしたら死ぬぞアレ」
「いや、折角外に風呂置くなら景色がいい場所で風呂に入りたいじゃねーか? 360°絶景パノラマを楽しみつつまったりと」
「360°見られ放題の我輩の気持ちを察しろと何度言えば……」
「普段からそんなハレンチな制服着といて今更羞恥心アピールすんのかお前」
「ぶっ飛ばされたいのかお主は、コレは軍から支給されたれっきとした制服なのじゃ、ちなみに下もちゃんと履いてるからな!」
「いやお前が履いてようが履いてまいが俺には関係ないんだが」
「変に話題を振っておいて投げっ放し状態で殺しに掛かるのは止めんか!」
「あーあー落ち着け、そんなカリカリしてたら更年期障害で生理が止まっちまうだろ、ほらデザートでも食って落ち着け、な」
「我輩はそんなに歳食ってはおらんわっ! ったく……ん、リンゴか、何かウチのデザートってアップルパイだのリンゴタルトだのやたらとリンゴ率が高いのは何でじゃ?」
「ああ、樫の木切ったら苗木とリンゴがドロップするだろ? それの有効活用だ」
「だからリアルでは樫を切っても苗木もリンゴもドロップなんぞせんのじゃ! リンゴはリンゴの樹からしか収穫は出来ん!」
「いやそんな事言われてもな、ドロップするモンはドロップしてるし」
「そこで何故思考を停止するのじゃ…… 普段からいつも言うておろ? 思い付きで行動するなと、お陰で最大傾斜40°の出撃トロッコとか、裸でログハウスから風呂まで行かねばならんハレンチロードとか、大抵我輩が被害を被っているではないか」
「まぁその辺のお悩みとかはこの岩風呂が完成すれば取り敢えず解決だろ? もちっと我慢しろよ」
「うむまぁ今回のコレは素直に喜ばしい結果と言えなくもないが…… と言うか見た目完成しとる様に見えるのじゃが、後は何を施工するつもりなのじゃ?」
「ん、照明が無い、今回は岩風呂っつーか洞窟風呂の形になってるからな、ドア閉めたら真っ暗で何も見えん」
「成る程の、しかし明かりならログハウスから電気を引いてくるか、面倒ならランタンでも置いておけばいいではないか、何故そんなドカチンスタイルで気合を入れる必要があるのじゃ?」
「あー、ランタンだと光量不足で暗いし、電気引く為の資格俺持ってねーし」
「ログハウスとか材料集めから始めて建築してしまう癖に変なとこで律儀じゃのぅ、それでどうするつもりなんじゃ?」
「ああ、今から黒曜石掘って来ようと思う」
「黒曜石?」
「ああ、ほらグロウストーンだとリソース不要だし1マスで納まって見た目スッキリするし」
「待て、待て待て、この世には別ディメンションなんて世界は存在せんからな! 黒曜石積み上げて着火してもゲートなんぞ出現せんからな! 一体どこまでマイク○ネタ引き摺れば気が済むんじゃお主は!」
「え……でも先輩この前ネザスケの頭集めて鎮守府の艦娘全員でウィザー討伐したって……」
「サブロオォォォォォォォォォ!」