2020/09/01
CBさん、水上 風月さん、柱島低督さん、フウヨウハイさん、誤字脱字修正ありがとナス!!
「のう提督よ、ちょっと良いかの」
「あ? 何だ利根」
「いや何だという台詞は吾輩が言いたい物なのじゃが取り敢えず様式美というヤツで、敢えて問うが、今提督が一生懸命こさえてるそれは何じゃ?」
「あ? コレ見て分かんねーか?」
「いや…… 吾輩の記憶が確かなら、今提督がこの炎天下の元で汗だくになって組み立ててるのは世間一般でいう処のイ級というヤツではないのか?」
「そうだと言いたい処だがちょっと違うぜ、見ろよココ」
「ココとはどこ…… ぬ、そのひょっこり出っ張った何というか頼りないヒョロっとした足みたいなヤツは何じゃ?」
「足
「いや足が生えようが空を飛ぼうがイ級はイ級じゃろうが」
「ばっかお前ナニ言ってんの? イ級が空飛ぶとか熱射病で頭パーンしちまったのか?」
「微妙に煽りが入った受け答えをするのはやめんか! って言うか確かにイ級にも色々諸々あるのかも知れんがの、結局それらは類別的にはイ級で間違いなかろうが!」
「いいや違うね、コレは断じてノーマルのイ級じゃなく、イ級界の出世頭。駆逐イ級後期型クンだ!」
「吾輩今日までお主とそれなりに付き合いを重ねてきたと思うておったのじゃが、それでもお主が必死になるツボというのが今一理解できんぞ。して、提督はどうしてこんなクソ暑い陽気の元イ級アーマーの復元作業をやっておるのじゃ?」
「あーそれはちょっとした事情があってだな」
「……今回はその常用句に辿り着くまでそれなりに言葉のキャッチボールが続いたの。まぁそのキャッチボールが相手の頭を狙ったビーンボールの応酬じゃったのは横に置いておくとしてじゃ。その提督の言う事情とは一体どんな事情なのじゃ」
「ん? いやまぁほら、もうちょいしたら夏休みで観光シーズン真っ盛りになるじゃねぇか」
「深海棲艦からの脅威から国民を守る我々海軍に長期休暇なんぞは存在せんが、まぁ世間一般でという話ならばそうじゃの」
「んで漁協じゃこの季節は特に目玉になる魚は採れんし、養殖の方もそれなりに手隙になるらしーんだわ」
「また漁協絡みとか、吾輩嫌な予感しかせんのじゃが……」
「んでこの閑散期に何かできねーかって事でよ、無駄に広い砂浜を整備して海水浴場にしようって話になったらしい」
「ふむふむ、確かに村の近海は入り江になっておるし、沖にネットでも張れば海水浴程度なら可能じゃろうの」
「で、海水浴場って言ったら海の家だろ?」
「まぁ確かにの。アレが無くば海水浴場とは言えんかも知れんの」
「で、ただ海水浴場に海の家ってだけじゃ特徴もなんもねーし、集客効果が無ぇ」
「かも知れんの」
「そこで駆逐イ級後期型クンの出番って訳だ」
「待つのじゃ提督」
「あ? 何がよ?」
「物事は起承転結で説明せんとお互いに致命的な認識の祖語が発生するのじゃ。先ず漁協は閑散期を利用して海水浴場を整備して観光客を呼び込もうとしておるのだな?」
「おう」
「で、海水浴場につきものの海の家を作ろうと言う話になっておるんじゃろ?」
「おう」
「で? そこから何をどうしたらイ級の出番になるのじゃ? おかしかろうて?」
「イ級じゃねーよ、駆逐イ級後期型クンだ」
「いやいやいや問題はその復元したイ級アーマーの名称じゃなくて! 海水浴場におけるイ級アーマーの用途と言うかポジションがまったく説明されとらんからおかしいと言うとるんじゃ!」
「だからよ、ただの海水浴場じゃインパクトがないからゆるキャラ的なマスコットとしてこの駆逐イ級後期型クンを使うんだよ!」
「……待つのじゃ」
「何だよ」
「ゆるキャラぁ? その復元したイ級アーマーがぁ?」
「駆逐イ級後期型クンな」
「名称なんぞどうでも良いわ! お主が組み立てておるのは中身こそ空っぽじゃが、ガワはモノホンのイ級じゃぞ? そんな見た目ヤバ気なモンをゆるキャラ的にとか、全然ゆるくもクソもないではないか!」
「いや、良く見ろお前。このつぶらな瞳とか。ちょこんと生えた頼りない足とか」
「それ以前にリアル過ぎて巷のお子様達は卒倒もんじゃぞ!! 何をどうしたらリアル人類の仇敵をマスコットなんぞにしようと思ったのじゃ!!」
「それはまぁ? 形状的に中に空気を張ればバナナボート的な使い方とかできるだろうし?」
「いや確かに水上戦闘を想定した生物じゃからそういう使い方に適した形状はしておるじゃろうが……」
「貸し出す前はちゃんとゲンさん達がプレイするとこ見せて安全をアピールするっつってたしな」
「……のう提督よ、それはもしやあの黒騎士漁師達の事を言っておるのか?」
「おう」
「もしやその……そヤツらは、フルプレートを装備したままバナナボートプレイを慣行するとかではないじゃろうの?」
「ばっかお前、あのフルプレートは今やゲンさん達には欠かせない漁具なんだぜ? 当然着たまま駆逐イ級後期型クンに乗るに決まってんだろ?」
「いや……バナナボート的に浮かぶイ級に跨った黒騎士という絵面は、果たしてどういう評価をすれば良いのか吾輩少し混乱してきたぞ……」
「因みにコレは人気が出るのは当然のアトラクションって事で客が殺到するという予想の元、漁協のおばちゃんとか、ヨシゾウさんとかも駆逐イ級後期型クンを使用する際の説明係に出るから人手の心配もなく、安全安心のレジャーが確約されるって寸法だ」
「遊具に対する安全面を考慮する前に、それらに跨るのが黒騎士だのアマゾネスだの鎧武者という基本的かつ致命的な部分に思い至るという感性はお主らにはないのかの……」
「まぁ全員古式泳法を習得済だからよ、沈む心配もねぇぜ?」
「誰がそんな心配をしとると言うのじゃ! それ以前の問題と何故分からんのじゃッ!」
「そして当然海の家にある食堂では駆逐イ級後期型クンが調理するというサービスが……」
「腹が減って海の家に行ったらイ級が焼きそばを焼いてたり、カレーをよそってたりとかエクストリーム過ぎて誰も寄り付かんと思うのは吾輩だけではないと思うのじゃ……」
「で、食事は全て俺監修のかき氷各種とかビールとか、大人から子供まで満足できるメニューも網羅済だ」
「メニューの多様性に心を配る前に、サービスの提供という段階で既に破綻しておるの、それは」
「まぁそういう訳で利根はどっちにするんだ?」
「……何がじゃ」
「調理係か配膳係。若しくは駐車場で車を誘導する係もあるぜ?」
「何故そこで当然の如く吾輩も参加という事になっておるのか納得のいく説明はあるのじゃろうの?」
「まぁどっちにしても駆逐イ級後期型クンに入るのは決定だからコレ渡しとくわ」
「……ふむ、またダクトテープか。取り敢えずオチは見えておるが一応コレは何をする為のアイテムなのかを聞いておこうかの」
「いや、駆逐イ級後期型クンを組む時に足のカッコイイポーズの相談をセンパイとこにしてた時によ、利根って見えるか見えないかギリのとこじゃ絶対下着履かないだろうから、無理にでもダクトテープで危険エリア(意訳)を封鎖しとけって言ってたからよ」
「今回はいつにも増して性癖が救い様のないものになっとるのはなんでじゃぁぁぁぁぁぁぁぁサブロォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォオオオオオオ!!!」