「のぉ提督よ」
「何だ利根」
「お主は一体何をしておるのじゃ?」
「ん? 見てわかんねーか? パーティの飾り付け」
「パーティ……パーティてこれが?」
「ああ、今日はほらクリスマスじゃねぇか、あんま豪勢な事はできないが気分だけでもと思ってな」
「いやお主、この何と言うか……色素が妙に目に優しいと言うかぶっちゃけ白一色なお遊戯会みたいなこの有様は……」
「いつも言ってんだろ、ウチは使えるブツが限られてるんだから、何かをしようとしたらその辺に生えてるモンとかリサイクルしたヤツで何とかするしかねーんだよ」
「うーわ、この紙の鎖とか垂れ下がった紙切れとか裏面に呪文とか書かれとるぞ!? 何じゃ悪魔召還か!? 儀式でもするのか!?」
「ばっかお前それは提出してダメ出し食らった報告書だ」
「一日一枚か二枚の絵日記如きでこんなに大量のダメ出し書類が貯まるとか、何をしとるのだお主は」
「ネタが弱いとか、話がオチてないとか色々注文が煩いんだよ! 毎回ネタを搾り出すこっちの身にもなれってんだ!」
「何じゃそのお笑いスター誕生みたいなシステムは? 一体大本営はウチに何を求めておるのじゃ?」
「知らねぇよ! そんなの吹雪に直接聞けよ、ホラこんな感じで毎回書類が返ってくんだよ!」
「うーわホントじゃ! 何じゃこの赤ペ○先生が返してきたプリントみたいなブツは、て言うか吹雪!? あやつはアホなのか? 元身内に無茶振りして何をしとるんじゃ!」
「いやお前あんまカリカリしてると小皺が増えるぞ、落ち着け、ほら今日は料理も豪華だからこれでも食って落ち着け、な」
「誰のせいで我輩がヒートアップしてると思ってるのじゃ、ったく……む? 何じゃこの妙な形の物体は」
「ああ、何か欧米じゃパーティにニシンのパイとか出すのがトレンドらしいからな、近所に作ってくれるお婆ちゃんなんか居ないし仕方なく俺が作ったって訳だ」
「お主がどこからそんな知識を仕入れたのが我輩分かってしまったぞ……むしろ提督のトレンドは何年前に遡った辺りを彷徨っとるんじゃ! あのアニメは古いからな! むっちゃ古いからな!」
「そうなのか? まぁ取り敢えず冷める前に食っちまおうぜ、ほら切り分けてやるからよ」
「う……うむまぁそうじゃの、っておいこの中身は何じゃ? えらく極彩色な惨状になっとるが」
「いやこの辺ってニシンなんて獲れねーだろ? だから麓の池で泳いでた鯉を代用にだな」
「鯉!? と言うかお主コレ良く見たら錦鯉ではないか!? 食えるのかコレ……て言うか何で野池に錦鯉が泳いでおるのじゃ」
「あー、あの池な、実は錦鯉の養殖業者が作った人工のため池らしいんだが、その業者てのは倒産しちまって設備とかそのままほっぽって夜逃げしちまったらしいんだよな」
「折角のクリスマスに我輩そんな世知辛い話は聞きとうなかったわ……」
「ああすまんすまん、じゃ気分を変える為にメインディッシュといこうか、ほれクリスマスと言えばチキン、今日は奮発して鳥の丸焼きを作ってみたんだ」
「デカッ!? 何じゃこの鳥、無茶苦茶デカくはないか!?」
「ああ、昨日裏山に罠を仕掛けてたらクジャクが掛かっててな」
「クジャク!? クジャクてあのわっさーと羽を広げる、動物園とかにおるあのクジャクか!?」
「おう、そのクジャクだ」
「何でそんな鳥がこんな田舎で生息しとるのじゃ!?」
「ばっかお前、クジャクってのは本州の山ん中じゃタヌキとかイタチ並みに居るんだぜ?」
「そうなのか、それは知らんかったぞ」
「んでコイツは結構凶暴でなぁ、山ん中でばったりエンカウントしたらクチバシでガスガス攻撃してきてそりゃお前……」
「折角のクリスマスに我輩そんな夢のない話は聞きとう無かったわ……」
「まぁそのお陰でチキンが準備出来たし、ツリーの飾り付けが出来たし」
「ツリー……もしやお主が言うておるのは、あの部屋の隅っこで植木鉢にぶっ刺さっとる珍妙なオブジェクトの事を言うておるのか?」
「珍妙とか言うな」
「どこぞの木から折ってきた枝を植木鉢にぶっ刺して、それに訳のわからん物をプラプラさせとる物が珍妙と言わずに何と言うのじゃ」
「いやだからあれでも精一杯ファンシーさを表現しようとだな……」
「クジャクからむしった羽をおっ立てて、先っちょにヒトデを串刺しにしたアレがファンシー!? どう見てもアレはクリスマスツリーなんぞじゃなくてモズの早贄現場じゃろうが!」
「仕方ねーだろ! ウチにゃ使える資源が殆どねーんだよぉ!」
「ほんにお主は器用なんだか不器用なんだか……まぁ今日の所はそのケーキに免じてこの辺にしておいてやるのじゃ」
「ケーキ?」
「うむ、そこのほれ、テーブルの端っこに鎮座しとるほら、そのケーキじゃ、それはブッシュ・ド・ノエルかの? お主にしては気の利いた物を作ったではないか」
「ブ……ブッシュ……ブッシュマン?」
「ブッシュ・ド・ノエル! 丸太の形を模したロールケーキじゃ! お主自分で作っておいてそんな事も知らんのか?」
「ああ……あーあー、アレってロールケーキだったのか? なーんかドラマとかのパーティなんかでやたらと珍妙な飾りが目に付くなと思って取り敢えず雰囲気で作ってみたんだか、ケーキなのかアレ」
「……のう提督よ」
「何だ利根」
「ケーキじゃないとしたら一体それはなんなのじゃ?」
「あ? これ? 薪に石膏塗ったくってそれっぽく作ってみたんだが」
「アホかお主は! 何でわざわざ薪に蝋燭なんぞおっ立てて食卓に飾る必要性があるというのじゃ!」
「いや欧米のなんか……ほら、宗教的なアレかなと思ったんだが……」
「だからいつも言うておろ? 何でも考え無しに作るでないと……お主の作る物はヘタに再現率が高いからタチが悪いのじゃ……」
「ああ何かすまん、何でそんなに落ち込んでるか知らんがほれ、今日の主役のプレゼントだ、これでカンベンしてくれ」
「プレゼントじゃと?」
「おう、クリスマスと言えばプレゼントだろ? ってそんな顔すんなよ、そいつだけは俺の手作りじゃなくて既製品だからな、ちゃんとした商品だから」
「お主……懐が厳しいと言うておったじゃろ、なのにこんな物を……」
「まぁお前にはいつも負担を掛けっ放しだったからな、こんな時ぐらいはって思ってだな、それにほら、何も用意してないのにプレゼントだけホレって渡すのもアレだと思って」
「何の脈絡も無くパーティが始まったと思ったらそういう事じゃったのか……うむ、そうか、その、アレじゃ……ありがとう」
「お……おう、まぁ色々これからも苦労を掛けると思うがヨロシク頼むぜ」
「うむ、しかと頼まれたぞ! で提督よ、このプレゼント開けても良いか?」
「おう、本当は俺がチョイスした物をとか思ったんだが、どうにもそっち系はとんと判らなねぇから知り合いに頼んで調達して貰ったんだ」
「ふむふむコレは服……かの? えらく真っ赤で派手な……」
「まぁ常用できる様な作りらしいから物自体はしっかりしたブツとか言ってだが」
「……のぉ提督よ」
「何だ利根」
「何で婦人用の服に髭がセットで入っておるのじゃ?」
「髭?」
「て言うかコレは例のサンタ衣装ではないか!? しかもスカートの後ろだけムチャムチャ布地が短いとかエロい魔改造されとるぞ!」
「うん? 良く分からんが先輩が言うにはソイツは明石セレクションクリスマス限定の利根用ふんどしメイド服とか言ってた気が」
「サブロオォォォォォォォォォ!」