Double Servant -Poetry of Brimir-   作:ねずみ一家

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第十九話 平和な日々の過ごし方

ある虚無の休日の前日、リウスはアウストリの広場にあるベンチに座りながら本を読んでいた。

 

アウストリの広場は、学院の主塔、土の塔、寮塔の間にある広場である。

東側の広場であるためこの場所にはぽかぽかと暖かい日差しが差し込んでおり、最近のリウスにとってお気に入りの場所だった。

 

「あの、ミス・リウス。折り入ってお願いがあります」

 

リウスが顔を上げると、何やら思いつめた顔のギーシュが立っていた。

 

「なあに、ギーシュくん。授業は終わったの?」

「今日の授業は午後に一つだけなんですよ。それよりも、ちょっと相談に乗ってもらいたいことが・・・」

「何かしら?」

 

リウスは開いていた本を閉じると、ベンチに添えつけられた丸テーブルに置く。

するとギーシュは少し前のめりになりながら、何やらびっしり文字が書き込まれた羊皮紙をリウスの目前に差し出してきた。

 

「あの、ある女性にプレゼントをしたいんです! 何が喜ばれますか!? 僕としては、このメモに書いたこういった物がいいと思うんですけど、それともこっちの方が」

 

いきなりああだこうだ言い始めたギーシュを、リウスは何とか手で制した。

 

「ちょっとストップストップ。私はモンモランシーの好きな物なんて分からないってば」

「な! なんでモンモランシーって」

「モンモランシーにプレゼントでしょ? あなたの思い当たる物とか、モンモランシーに直接聞いた物の方がいいんじゃない?」

 

ギーシュはプレゼント相手を言い当てられたことに顔を赤らめつつ渋い顔をしている。

何とも器用なものである。

 

「その、ええと、ちょっとモンモランシーを怒らせてしまって・・・」

「何よ、また浮気でもしたの?」

「あの、えー、まあ、そんなところです・・・」

 

呆れ顔でギーシュを見るリウスに、ギーシュはわたわたと事の次第を話し始めた。

 

「それには訳があって。この間の決闘以来、モンモランシーが僕のことを熱っぽく見てくれるようになったっていうか・・・」

「あの時は絶交だって言ってたのでもう許してくれないかもと思いきや、優しく許してくれたんです。 ああモンモランシー、君はなんて慈悲深いんだ!」

「あのいつも険しい顔のモンモランシーがよく笑ってくれるようになって! ぼかぁもう幸せの絶頂というか、ああこの喜びをなんて表現したらいいんだろう! もうこの気持ちは言葉じゃ言い表せない! なんといったってあの瞳が僕を見てくれるだけで」

 

「はいストップ。話が進んでないわよ」

「そ、そうでした」

 

ギーシュはゴホンと気まずそうに咳払いをすると、至って真面目な顔になって話を続けた。

 

「最近モンモランシーとはそんな感じだったんですが、つい先日食堂で困った様子のメイドの子がいたんです。何やら他の男子生徒に絡まれているようで。

 それで僕はその男子生徒達にこう言いました。『平民も貴族も関係などない。女の子を困らせるような者は、このギーシュ・ド・グラモンが許す訳にはいかない』、とね」

 

ふと見ると、ギーシュは何やらポーズを決めながら薔薇の杖を口に咥えている。

こういうギーシュの雰囲気にはもうすっかり慣れてしまったので、とりあえずリウスは突っ込みもせずに続きを促した。

 

「それでその場はどうにかなったのですが、そのメイドの子はすっかり怯えてしまってて。それで慰めている内に近々どこかの店で食事をすることになってしまいまして・・・。それをモンモランシーに見られてしまい・・・」

「また随分とはしょったわね。とにかくそれでモンモランシーが怒ったって訳ね」

「はい・・・」

「その女の子の誘いを断って、モンモランシーに誤解なんだって言えばいいじゃないの」

「もちろんすぐその女の子の所に行って断ったんですが、モンモランシーはそれはもう取り付く島もなくって・・・」

「それでモンモランシーにプレゼント、って言っても、やっぱり私には分からないわよ。キュルケとかに聞いた方がいいんじゃないかしら」

「そ、それはそれで問題が」

 

そんなことを言っていると、少し遠くでギャーギャーと騒いでいる声が聞こえてきた。

 

「何でアンタまでこっちに来るのよ!」

「こんな良い天気なんだもの、お茶だって外で楽しみたいものだわ」

「それならヴェストリの広場にでも行けばいいじゃないの!」

「いやあよ、あそこ暗いもの。ほら、お茶を飲みたいのなら貴方の分だってあるわよ? ルイズはミルク多めの方がいいかしら。どことは言わないけど成長するかもしれないわね?」

「ななななんですって! いい言うに事欠いて!」

「あら、どことは言ってないじゃない。ヴァリエールったら何のことを想像したのかしら」

 

わいわいと騒がしいルイズ、キュルケ、タバサの三人組がアウストリの広場へ向かって歩いてきていた。といっても、騒がしいのは二人だけである。

いつものように黙ったままのタバサに向かってリウスが軽く手を振ると、タバサもこちらに気付いたようで小さく手を振っている。

 

「さっきも言ったけど、私は何が良いかなんて分からないわよ。タイミングよくここに来たし、キュルケに聞いてみれば?」

 

リウスはとりあえず向き直ってギーシュに告げる。

するとキュルケとルイズもこちらに気付いたようで、リウス達の方へと近付いてきた。

 

「あら。ギーシュったらモンモランシーに振られたからって、次はリウスに手を付けようってこと?」

「き、君は人を何だと思ってるんだい。それにモンモランシーにだって振られてなんかいないよ、たぶん・・・」

 

キュルケの言葉を聞いたルイズはじとっとした目でギーシュを睨み付けている。

 

「ちょっとギーシュ。ふざけないでよね、リウスがそんなの相手にする訳ないじゃない」

「一理ある」

 

ルイズとタバサの言葉にギーシュは冷や汗ダラダラである。

ちゃんとした理由を言わなければまたひどい誤解を受けてしまいそうだ。

 

「ほら、聞いてみたら?」

 

リウスがそう言うと、引きつった顔のままだったギーシュは観念したかのように溜め息をついた。

 

「このことは口外無用に頼むよ・・・」

 

 

 

広場に置かれた丸テーブルに簡単な紅茶セットが広げられている。

一通りの説明を終えたギーシュは、自分の前に置かれている紅茶を一気に飲み干した。

 

「そりゃあ一緒に馬で遠乗りでもしなさいよ。プレゼントを渡すだけじゃなくって」

 

にやにやと楽しそうなキュルケ。

ルイズはむっつりとしながらも興味はあるようだが、一方のタバサは全く興味なさげに本を読み進めている。

 

「いや、だからだね。モンモランシーはホントに取り付く島もないんだ」

 

ルイズはキュルケをちらっと見てから口を開く。

 

「モンモランシーでしょ? 普通に、香水とか秘薬の材料でもプレゼントすればいいじゃないの」

「これだからトリステインの女は駄目よねえ。一緒にいる中で愛を示さなきゃ意味ないじゃないの。

 タバサはどう思う?」

「興味ない」

 

キュルケは騒ぎ立てるルイズの反論にもどこ吹く風といった具合である。

こういった色恋沙汰はキュルケの方が得意分野のようだ。

 

「そうねえ、ギーシュが懸命にアプローチすればモンモランシーは付いてくるでしょ。謝りたいってことを伝えて、お詫びがしたいとでも話してからトリスタニアにでも行ってえ。そこでモンモランシーにその場の雰囲気でプレゼント。それから劇場にでも行ってディナーを楽しんでから、ベッドで愛を囁けばいいんじゃないの」

 

最後の言葉にギーシュとルイズが顔を赤くしている。

キュルケは楽しそうにしながら悪戯っぽい顔で付け加えた。

 

「まあ、愛想を尽かされてるなら駄目だろうけど」

 

当のギーシュは赤い顔で何か言い返そうと口をぱくぱくさせている。

そのまま軽く咳払いをすると、気を取り直したようにギーシュが口を開いた。

 

「ま、まあ最後はともかく、今のプランはいいかもしれないね! ええっと、ミス・リウスはどう思います?」

「私? そ、そうね。何かのプレゼントでいいかなって思ってたけど、キュルケが言うならそれがいいと思うわ。明日は虚無の曜日みたいだし」

「そうですか! いいと思いますよね! そうと決まればこうしちゃいられない!」

 

ギーシュが息巻いて立ち上がると、その勢いでテーブルが少し揺れる。

 

「おおっと、すまない! じゃあ恩に着るよ、みんな! 早速モンモランシーを誘ってくる!」

 

そう宣言したギーシュは足早に立ち去っていった。

ルイズとリウスがほぼ同時に紅茶を一口啜ると、キュルケがすっと身を乗り出す。

 

「そうそう。二人とも、私たち明日トリスタニアに行くけど一緒に来る?」

「なに? ギーシュの後を追おうとでもいうわけ? ずいぶん悪趣味ね」

 

ルイズが心底呆れたような声を出すと、キュルケは首を横に振った。

 

「違うわよ、気にはなるけど追う程じゃあないわ。ちょっと本の買い物にね」

 

へえ、とリウスが相槌を打ってから口を開く。

 

「シルフィードで行くの?」

「そう」

 

リウスの問いに、タバサが本に目を落としたまま答える。

ルイズはそのリウスの反応にピンときた。

 

「リウスも行きたいわけ?」

「うーん。ダメかしら?」

「しょうがないわね。それなら私も一緒に行くわ」

「よし、それじゃ決まりね。明日のお昼過ぎに出る予定よ。準備しといてね」

 

ルイズは納得のいっていない怪訝な表情をキュルケへと向けている。

 

「なんなの? いきなり誘ってくるだなんて。どういう風の吹き回しかしら」

「あら、お言葉ね。せっかくの虚無の休日に部屋にいるなんて勿体ないじゃない」

「それはそうだけど・・・」

 

なおもルイズは不審そうな顔をしているが、リウスが行きたいのなら、とキュルケに言いたい文句は紅茶を飲んでごまかすのだった。

 

 

 

 

 

「うわあ、凄いわね。ほらルイズ、こんなに高いわよ」

「ま、まあまあね。ちょ、ちょっとリウス、あんまり動かないで」

 

リウスが嬉しそうな様子でいる一方、ルイズはあまりの高さに出来る限り下を見ないようにしている。

キュルケはその様子に目を細めて微笑むと、シルフィードの青く輝くウロコを撫でた。

 

「やっぱりシルフィードはいつ見ても惚れ惚れするわねえ」

 

キュルケのその言葉にシルフィードがきゅいきゅいと鳴いている。

その声を聞いたタバサが、手に持った長い杖でシルフィードの頭を軽く叩いていた。

 

 今日も、とっても良い天気だ。

 

キュルケは頬で風を感じながら青く澄んだ空を仰いだ。

 

私達を乗せたシルフィードははるか上空にいるにも関わらず、周りで吹いている風はそよ風くらいのものだ。

こうしている間にも、タバサが私達の周りの風を操ってくれているのだった。

 

キュルケがそんなタバサのさりげない優しさに感謝していると、次第にトリスタニアが見えてきた。

背後に座っているルイズもようやくこの高さに慣れてきたようで、落ち着いた言葉とは裏腹に、遠くに広がるトリスタニアの風景を見て嬉しそうな声を出している。

 

(やっぱり連れてきて良かったわ)

 

こないだからというもの、キュルケはルイズの様子が少しおかしかったのに気付いていた。

事あるたびにリウスを心配そうな顔で見たと思うと、不思議そうに首を傾げていたのだ。

 

ただルイズにも何か明確な悩みがある訳でもないらしく、リウスと話している時の様子も、からかった時の反応もいつもと変わりがある訳ではない。

たぶん私の杞憂なのだろうが、二人ともシルフィードの背には乗ったことがなかっただろうし、楽しんでもらえたのなら何よりだった。

 

キュルケがそうこう考えていると、シルフィードは高度を下げてトリスタニアの城門から少し離れた場所に降り立った。

全員がシルフィードの背から地面に降りると、タバサの指示を出されたシルフィードが飛び去っていく。

一行はそれを見送ってから順々にトリスタニアの城門へと向かっていった。

 

 

 

 トリスタニアで売られている本は高級雑貨の類である。

 それはトリスタニアで売られているからではなく、羊皮紙で出来たまともな本というものが高級な嗜好品であるからだ。

 活版印刷があるとはいえ、結局のところ羊皮紙代やインク代などで相応の値段がかかるために、庶民は複数人でお金を出し合って本を回し読みするのが一般的である。

 

リウスは昨日の時点でそのように説明を受けていたため、多くの書籍工房が立ち並んでいるこの通りにここまでの人がいるとは思ってもいなかった。

通りはそこまで狭くもないのに、人を避けながら歩かなければならないくらいである。

 

「凄い人ねえ。いつもこんな感じなの? あ、ルイズ。ちゃんと付いてこないとはぐれちゃうわよ」

「こないだ、ある小説の続きが出たのよ。多分そのせいだと思うわ。私もそれを買いに来たって訳」

 

リウスとルイズがキュルケに付いていくと、少し先の店に多くの人だかりが出来ている。

その人だかりがある店には、でかでかと文字が書かれた羊皮紙が掲げられていた。

 

「ええと。『禁断のロマンス、待ちに待った新刊発売!』・・・?」

「これよこれ、やっと買えるわ。あ、ちょっと失礼」

 

キュルケが慣れた雰囲気で人混みをかき分けて入っていくと、しばらくしてから小さい皮袋を手に戻ってくる。

 

「ロマンス本ねえ。人気あるのね」

「そうよお。いいわよこれ、リウスも読んでみる?」

 

皮の小袋をぶらさげながら、キュルケは今来た道を引き返していく。

先ほど別行動を取ったタバサを探しているのだろう。

 

「ふーん。どうせロクでもない本なんでしょうけど、どういう本なわけ?」

 

憮然とした声でキュルケの横に立つルイズが聞いているが、リウスはその様子にピンときた。

案外ルイズもこういった本に興味があるのかもしれない。

 

「ある平民のメイドが偶然ある男性と知り合って恋に落ちるけど、実はその彼っていうのがお金持ちの貴族の息子なの。二人は周りに反対されながらも愛で乗り越えて・・・。

 いいわねえ、障害のある方が恋も燃え上がるわ」

「なな、何なのよその本、貴族と平民が愛だの恋だの・・・。不謹慎よ不謹慎」

「まだお子ちゃまのルイズには分からないかもしれないわね。ほら、この本買いにきてるのは平民だけじゃないわよ? 男の人だって買う人がいるくらいなんだから」

 

ルイズとリウスが先程の人だかりへと振り返ると、数は多くないが確かに身なりの良い貴族の女性もあの本を購入しているようだ。

しかしルイズはそれでも納得できていないようで、小走りにキュルケに近づいて文句を言っている。

 

「わっと」

「きゃっ。ご、ごめんなさい」

 

リウスがぶつかった女性の手から皮袋が落ちてしまったので、リウスは屈んでその袋を拾った。

ふと前を見ると、キュルケもルイズも気が付かなかったようで先に行ってしまったらしい。

仕方がないとばかりに、リウスは手に持った皮袋を目の前の女性に差し出す。

 

「ごめんなさい、ぶつかっちゃって」

「こ、こちらこそ・・・。あれ? リウスさん?」

 

リウスが袋を手渡しながら顔を見ると、ぶつかった女性はシエスタだった。

 

「あれ、偶然ね。シエスタもお買い物?」

「偶然ですね! 私は今日お休みなので、他の皆と一緒に日用品を買いに来たんです。ちょうどマルトーさん達が買い出しがてら馬車を出してくれるってことだったので。

 あ、もしかしてリウスさんもあの本を買いに来たんですか?」

 

シエスタが先ほど渡した小袋を手に嬉しそうな顔をしている。

 

「ここの通りには来たことがなかったから、ルイズとキュルケとタバサと一緒に来たのよ。シエスタもあの本買いに来たの? 凄い人気ねえ」

「あ、そうだったんですか。あの前作を読みましたがとっても素敵ですよ。お貸しすることも出来ますので、ぜひ読んでみてください。皆でお金を出し合って買いましたけど、リウスさんに貸すなら皆オーケーしてくれるはずです」

 

そう言うシエスタの後ろから数人の女の子が近付いてきていた。

みな学院で見たことのある顔だったので、リウスは彼女達と軽く挨拶を交わす。

 

「じゃあそろそろ行きますね。あ、すみませんリウスさん。出来ればあの本を買いに来たことは貴族の方々にはご内密に・・・」

「分かってるわよ。誰にも言わないわ」

 

リウスが笑顔で返すと、安心した様子のシエスタ達は会釈混じりにその場を去っていった。

 

そうしてリウスがはぐれてしまったキュルケとルイズを探しながら通りを歩いていると、今度はタバサの姿を見つけた。

 

「どう? 良さそうな本はあった?」

 

リウスがそう声をかけると、タバサはいつもの眠そうな目をしながらリウスの顔を見上げる。

 

「これとか、役に立つと思う」

 

タバサがそう言いながら差し出してきた本を受け取る。

その表紙には『トリステインの文化と歴史 ~アナタの故郷も完全網羅!~ 』というタイトルがあった。

 

「あ、これいいわね」

「この本なら持ってる。学院に戻ったら貸す」

「借りると汚しちゃうかもしれないし、お金も持ってきてるから買っちゃうわ。

 ただ分からないところがあったら聞いてもいいかしら?」

「そう。わかった」

 

言葉少なげなタバサが目の前の店員に他の本を渡すと、タバサはどうやらここのお得意様だったようで、その店員はリウスが買おうとしていた本も一緒に値引きしてくれた。

 

リウスとタバサが歩きながらキュルケ達を探していると、少し先に二人の姿を見つけた。

ルイズもこちらに気付いたようで、桃色の髪をなびかせながら小走りに近寄ってくる。

 

「何はぐれてるのよ。探しちゃったじゃない」

「ごめんごめん。でもタバサのおかげで良いものが買えたのよ」

「もう、ご主人さまをほっといて何やってるのよ。ちゃんと付いてきてよね」

 

そう言ってリウスの手を引くルイズ、そして自分の横を歩くタバサを見て、キュルケは満足そうに微笑みを浮かべた。

 

リウスの手を引くルイズは随分と嬉しそうで、目の前を歩く二人はまるで仲の良い姉妹のようだった。

リウスもリウスで、初めて会った頃に比べるとずいぶん肩の力が抜けているように見える。

先ほど合流した時のタバサも、無表情なのは変わっていなかったが少しばかり楽しそうな雰囲気を漂わせていた。

 

(知ってはいたけど、やっぱり私はすごいわがままなのよね)

 

さっきルイズをからかいながら歩いている時、少し遠目にギーシュとモンモランシーを見つけた。

あれこれと話しかけているギーシュに対して、モンモランシーは少し頬を染めながらツンと澄ました顔で歩いていた。

たぶん、ギーシュの思惑は上手くいったのだろう。

 

辛く、悲しいことがあっても時々ならいい。

ただ、人生は楽しいことの多い方が良いに決まっているのだから。

 

(あとは、素敵な殿方でもいればもっと良いんだけど)

 

キュルケはそう思いながらも、年相応の少女らしさを伺わせながら、楽しそうな学友たちと一緒に通りを歩いていくのだった。

 

 

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