この素晴らしい世界にリリカルな魔導師を! 作:ゴマフアザラシ
このすば勢は、前話から数ヶ月後になります。
『闇の書の残滓』――闇の書の闇を破壊した際に飛び散った破片。闇の書事件から数日後に、みんなの姿を象った姿の『闇の欠片』を造り出していた。その事件も程なく解決し、それから3ヶ月……俺達は小学生として、魔導師として、それなりに忙しいながらも充実した日々を過ごしていた。
クリスマスやお正月から3ヶ月、つまりはあと一週間足らずで、俺もなのは達も4年生になる。簡単に言うと今は春休み。春休みはパラダイスだ! 何故って? 他は知らないけど、海鳴市の私立聖祥大附属小学校では春休みには宿題が無い! 春休みには宿題が無い! 大事な事なので二回言いました。春休みは短いのが欠点だけど、世の子供達を悩ませる物が存在しないので、今はオフタイムという事で、とある世界でユーノの化石探しの手伝いをなのはと一緒にやっているんだ。そんなほのぼのとしたひと時に、何故――
「あの……すいません! 地元の方ですか?」
「あ……、ええと……」
「地元じゃないですけど……」
俺とユーノの目の前には、どこか切羽詰まったような様子の赤い髪を三つ編みにした青いジャケットのお姉さん。空を飛んでいるので、この人も魔導師だろうか? そんな疑問が頭を過ったが、そのお姉さんは続けて。
「いきなりですいません。助けて頂けないでしょうか?」
助けを請う言葉とは裏腹に、持っている銃っぽい武器からカチャ……っと撃鉄みたいな音が聞こえてすぐに、
「治癒術を使える方か、AC93系の抗ウィルス剤が必要なんですっ‼」
その銃を俺らに突き付けて、薬くれって懇願……というか脅迫をしていました。
「ちょ……⁉ ちょっと落ち着いてください! 銃を向けないで……、まずは話を聞かせて欲しいです」
「非礼なのは重々承知ですが、当方非常に急いでおりますっ! 妹を止めないと大変な事になるんですっ! 薬か治癒術をお持ちですか⁉ お持ちでないですか⁉」
……ユーノは治癒術使えるはずだから、どうにかできるかもしれなかったが、あちらもかなり興奮しているらしい。ほとんど追剥ぎみたいに襲い掛かって来ていた。
右手には、3ヶ月前に受け取ったばかりのインテリジェントデバイス――『ファルシオン』、左手にはその前から使っていた支給品のストレージデバイスを持ち、戦闘態勢に移行しながら、
「ユーノ! ユーノシールドで防御よろしく。 攻撃は俺が……」
「ええっ⁉ ちょ……いきなり……⁉」
自分が盾替わりにされるとは思ってなかったのかもしれない。しかしこれは戦術的には理にかなっているのだ。
「ユーノは硬い代わりに攻撃が得意じゃないし、そこはまだ俺の方が向いてるから、適材適所! オーケー?」
「ああもう! 分かったから!」
何だかんだで、俺の言い分を理解してくれたユーノがお姉さんの攻撃を防いでくれていた。ユーノって防御に関しては、ヴィータが本気出さないといけないくらい硬いのだ。そして俺は、
「ロードカートリッジッ!」
まだみんなに比べれば、弱っちいしカートリッジ数発ロードなんて危険で出来ないが、それでも全く戦えないわけじゃない。ユーノがお姉さんの攻撃を防御している間にストレージで誘導型魔力弾を数発造り、それを発射。そうして隙ができた相手に接近し、近接形態のファルシオンで一閃。
「あうう……」
ダメージ自体はそう大きくないはずだけど、お姉さんの声から力強さが段々と無くなっているのは何となくわかった。すると……、
「う、動き回ったせいでウィルスが余計に……⁉」
そのまま、お姉さんがヒューっと音を立てて自由落下してしまった。襲い掛かって来た相手が突然落下し、俺達がポカンとしていると、
「二人共ー。向こうでおっきな化石見つけたよ。凄い発見かも! 見に来て、見に来て―!」
今まで戦闘していたこちらとは対称的に、通信でなのはの、のほほんとした声が響き渡っていた。
「えっとな? そっちはいきなり襲い掛かって来るお姉さんとかいなかったか?」
「ふえっ……? お、襲われたの? わたしがすぐに!」
「その……戦ってたら勝手に落下して、助けたいし合流するか?」
それに頷くなのはだったが、今度はアースラにいるシャマル先生から通信が入り、俺らのいる付近に変な反応があるから、現地に向かっている調査員に協力してくれないか、という話を聞かされた。それに二つ返事で了承し、調査員と合流してその『変な反応』の調査を行った。
その後、なのはと行動している時に例のお姉さんを見つけて、病気について聞くと、”気合で治った”らしい。結局逃げられてしまったが。後はリーゼ達がいたりと色々あったが、海鳴に戻る頃にはすっかり日も暮れて暗くなってしまっていた。
「「ばっくれつばっくれつ、ランランラン!」」
スキップしながら、一日一爆裂の為にお気に入りの爆裂スポットへ向かう、かすみとめぐみん。そして、その後ろを少々離れながら付いて来ているカズマ達の姿があった。
「……あいつら楽しそうだな。かすみまで爆裂狂にならなきゃ良いけど……」
「二人共、杖を造って貰ってご機嫌だしね。設計した本人は仕事でいないけど、ピクニックって事で良いじゃない」
「専用の武器か……。めぐみんにも何だかんだで杖を造るとは思わなかったが」
「爆裂専用の杖なんて、めぐみんしか使いません。ワンオフだったから結構大変だったって言ってましたよね?」
楽しそうな二人とは違い、少しばかり呆れている様子だった。程なくして、巨大な岩が転がっている爆裂スポットへ到着すると、めぐみんは声も高らかに。
「さあ、今日もこの『
「めぐみんお姉ちゃん。あの岩が良いよ!」
かすみが成人男性の身の丈の数倍以上の巨大な岩を指差し、それを目標にしためぐみんが決めポーズをとる前に、
「ユウも……そろそろカスミの封印を解いても良いと思うのですが……。もう、魔力の使い方に関しては合格点を貰っていますし、専用の杖まであるのですから……」
「お兄ちゃんは、そこまで大きな力なら使い所も限られるし、万が一があるといけないからって」
それに対し、めぐみんは若干不満そうに、
「カスミの魔力封印を解けば、二人で爆裂の比べっこもできます! 今度お願いしてみましょう!」
アクセルには爆裂魔法を使える者が四人いる。
一人目は『頭のおかしい爆裂娘』ことめぐみん。
二人目は魔王軍幹部である『アンデッドの王』、リッチーのウィズ。
三人目は同じく魔王軍幹部にして『怠惰と暴虐を司る女神』、ウォルバク。
四人目は神から『厄災』と恐れられたかすみ。
ちなみにかすみを『厄災』と呼ぶと、『アクセルの大魔王』が本気でキレるので、魔王ですらそれは禁句となってる。影ではシスコン野郎と呼ばれているとか……。
最強魔法にしてネタ魔法と呼ばれる爆裂魔法を使用できる者が、駆け出しの街に集まっているのはどうかと考えてしまうかもしれないが、生態系狂わせたり、騒音被害を出していたりするのは一名のみであり、その一名が要注意人物として知られているだけだ。
「さあ! 今日もレッツ爆裂タイム!」
意気揚々とポーズを取り、杖を大岩に向けて狙いを定め、
「永遠を破却する者――」
今のめぐみんの詠唱は通常の爆裂魔法とは異なっている。本人曰く、その場のノリでカッコいい詠唱を唱えているのだとか。しばらく詠唱を続け、後は爆裂を放つだけとなったところで、
「何アレ? 空が光ってる……」
「何でしょう? モンスターでしょうか?」
アクア達も不思議がっていると、次の瞬間――
「「「「うわあああああああ⁉」」」」
6人ともどこかの空から落下していた。下にはビル群やコンクリートで舗装された道路も見えてはいるが、そんなのに気を取られている余裕ははっきり言って無い。
「カズマさーん⁉ 浮けるでしょ⁉ 早くみんなの手を掴んで!」
「おい、ちょっと待て! 俺一人の浮力で全員ぶら下がったら落ちる! アクア、お前は風呂敷広げてムササビみたいに滑空しろ!」
「何でよおおおおお⁉ 女神の私が落下して亡き者になるなんて、一千万人のアクシズ教徒が暴動を起こすわよ! それでも良いの⁉」
カズマとアクアがスカイダイビングしながら口論している横では、
「くっ……⁉ この高さから地面に叩きつけられれば、どれほどの苦痛が……。いや、しかし……」
ダクネスは頬を赤くしながら、未だかつて経験した事の無い状況をそれなりに期待しているらしい。
「ゆんゆん⁉ ユウから飛行を教わっていませんか⁉」
「私には、というか……あの世界だと空戦はそこまで必要じゃないし、訓練も時間かかるからって教えて貰ってない!」
紅魔族の二人もアタフタしてそのまま落下している。流石にこのままではカズマ以外は真っ赤な潰れたトマトになりかねない。なんてのが頭を過ってしまったが、
「『フローター』ッ」
かすみが全員に掛けたのは対象に浮遊効果を付与する魔法だ。そのおかげで、落下は止まったが一方で、
「カスミ……、ここは礼を言わなければならないだろうが……、出来れば地面すれすれでのスリルを味あわせて欲しかった……」
「ダクネスお姉ちゃん……。変な事言ったら、ララちゃんって呼んで懲らしめろって、お兄ちゃんが言ってたよ……」
「あの男は飽きもせずによく……!」
ダクネスはもう少しこれを続けていたかったらしいが、かすみに諌められて空中で体育座りしながら、のの字を書いていた。それにいちいち文句を言うのも面倒なので、そちらは無視してカズマが、
「ここって、何処だ? 見覚えと言うか……、あの世界じゃないのは確かだが……」
「カズマ、カズマ⁉ 直方体の城みたいな大きな建物が沢山あります! ここは超文明の未来都市ですか⁉」
「全然知らない風景……。でも道は凄く明るいし、部屋の明かりも窓から見えてる……」
「うむ。アクセルでも王都でもない。ここは一体……?」
カズマ、めぐみん、ゆんゆん、ダクネスが狼狽えている傍では、
「ねえ、ここって日本よ! 日本! どうやって……⁉」
「あれ? ここって海鳴市だ。お兄ちゃんの故郷。遊びに来た時に、高い”びる”って建物の屋上から風景を見たから間違いないよ!」
かすみの一言に目を見開いてしまった全員であった。すると、めぐみんから、
「ここがニホン……。凄まじい戦場をイメージしていましたが、平和そうですね?」
「めぐみん、本当にそう思ってたの? 言ったでしょ? 平和な国だから転生者には特典渡して戦えるようにするって」
めぐみんの日本観は、魔王軍が裸足で逃げ出すような戦乱の地だったらしい。
「なあ、かすみ。ここがあいつの故郷なら、元の場所には帰れるんだよな?」
「うん。確か……、すずかお姉ちゃんの家に転送用のポートがある筈だから、それを使えば本局までは行けるし、そこからはお兄ちゃんに事情を説明すれば大丈夫だと思う」
その説明に一同がホッとした表情を浮かべてはいたが、
「ねえ、せっかく日本に来たんだから、観光もしたいわ! めぐみんもダクネスもゆんゆんもそうでしょ?」
アクアが日本で遊んで行きたいといった提案をしていた。
「確か……あいつの家の鍵は、なのはさんの実家で預かってもらってるとか言ってたな。だったら泊って帰っても文句は言わないだろ」
「ユ、ユウの自宅ですか……。ちょっと緊張しますね……」
「お、お土産とか持ってくれば良かったかな?」
海鳴市では太陽も沈んでおり、時間も遅いので一泊してから戻るといった話になっていたが、その時、
ビィーーー‼
かすみが身に着けていたペンダント――それに付いている五枚の花弁を持つ花の飾りから警報が鳴り響いていた。
「魔力反応? そこまで大きくは……。一つだけ大きいのがあるけど、他に向かってる……。けどこっちにも向かって来てるのが?」
かすみがペンダントを操作して魔力反応の位置を確認している。その横で、
「敵でしょうか? 流石にここで爆裂はできませんし、戦えるのはカスミだけでしょう……」
「これだったら、空飛ぶ方法を教えて貰えばよかった……」
めぐみんとゆんゆんは自分が戦力外だと理解しているらしい。
「カズマ! 浮けるんだったら戦えるでしょ? 後は頼むわ!」
「この駄女神⁉ 神の癖して飛ぶくらい出来ねーのか⁉」
「出来るわけないでしょ⁉ 私は飛ぶように出来てないの‼」
カズマとアクアが喧嘩をしてはいるが、敵と思しき反応が近づいているので、このままだと戦闘になる。そう考えたかすみは。
「行くよ。『ゼファーブルーム』」
自分のペンダントを手に取ると、それが杖へと変化しかすみも自身の魔力光と同じ薄い緑色を基調としたバリアジャケットを身に纏い、戦闘態勢へと入ったのだった。
ゼファーブルーム――かすみ専用のデバイスではあるが、人格も無く、魔法をあらかじめ詰め込んでおくストレージデバイスでもない。ただし、かすみ本来の強大な魔力行使に耐えられる程の頑強さを備える長杖型のデバイスだ。その製作には、同じ設計思想である夜天の主のシュベルトクロイツのデータも使用されている。
ちなみに設計者曰く、かすみにしか扱えない機能も追加したそうだ。
「やっぱり一瞬で衣服が変わるのはカッコいいですね……」
「覚えれば良いだろ! 爆裂よりはずっと役に立つかもしれないぞ?」
「私は爆裂魔法に全てを捧げた身。それは爆裂に対する裏切りになります!」
めぐみんもセットアップはやってみたいらしいが、バリアジャケットを自分の魔力で造ると爆裂が撃てなくなるかもしれないので、自重しているらしい。
「来る……!」
年齢一桁にも関わらず、もう一端の冒険者兼魔導師の様な面構えとなっているかすみが、その来訪者を見据えていた。だが、その姿を見た瞬間、彼女だけでなく全員が、
「「「「えっ……⁉ ユウ(さん)(お兄ちゃん)? 何で……」」」」
ありえない者を見る感じで、目の前の少年を見詰めていた。するとその対象から、
「……どこかでお会いしましたか? えっと……妹はいないはずですが……?」
敵と思われたのは、カズマ達が良く知る少年だった。ただし、見た目はかすみよりちょっと年上程度で、白いコートも着ておらず、デバイスはファルシオンの他にゆんゆんの稽古でよく使っているストレージデバイスも握っている。その様子を見て、
(おい⁉ 何だあれ? あいつ……変身魔法でも使って任務中か?)
(その割には、私達を初めて会う人みたいに見てるわ!)
(うむ。前に温泉でなった位の年齢だろうが、あの時より年相応の雰囲気を纏っている)
カズマ、アクア、ダクネスがヒソヒソ話で状況確認をしている横では、
「「かっ……可愛いっ⁉」」
「……?」
小学三年生に見惚れる紅魔族の二人に、不思議そうな表情を浮かべる少年。彼もカズマ達の様子をジッと観察し。
……浮遊制御を行ってるのは、一番小さい女の子。自分以外にも五人……、いや四人も浮遊魔法を掛けてる? 俺と同じくらいなのに、下手すればなのは並じゃないのか?
どう考えても不審者にしか見えない一行を警戒しながら、とりあえず。
「こちら管理局です。あの……ちょっとお話よろしいですか?」
「「「「お仕事モードだ⁉」」」」
お仕事モードって何だろう……、と少年は思ってしまったが、実際今は仕事中なのでそこはどうでも良い事だ。それよりも、
「そちらの方、一人で浮遊制御は大変ですよね? 結界も張っていますし、手近なビルの屋上にでも行きませんか?」
「えっ……? あっ……、はい」
目の前の一行からは戸惑いはあっても敵意は感じられないと判断して、足を着けられる場所への移動を提案して相手もそれに同意した。
そして、とあるビルの屋上で、
「こちら管理外世界です。渡航には許可が必要ですが、パスはお持ちですか?」
嘱託とはいえ管理局員として対応しているのを目の当たりにして、
(どうする? どう考えてもおかしいよな? まるでこの姿が普通みたいな感じが……)
(う、うむ……。これはどうしたら良いか、判断に迷う)
(みんな、ここは私に任せなさい。私に掛かれば一発よ!)
小声での相談の後、自信満々な態度で胸を張り、カズマ達よりも一歩前に出るアクアであった。その当人は神妙な面持ちで、
「ごめんなさい……。あなたの言う渡航許可は持ってないの……。けど、私にはそんなのは必要ないわ。なぜなら……」
アクアは嘘をつかない。渡航許可があるなんて言っても、すぐにバレるのが分かっている。なのでここは正直に。
「この私は、アクシズ教が崇める御神体、水の女神アクアだからよ‼」
自分は偉大だと言わんばかりの態度でもって、質問に答えると、少年はサラサラっと何かを記入し。
「職業……自称女神っと。ああ……、とりあえず詳しくお話を聞きたいので、ご同行願えますか?」
数秒間、周囲は静寂が支配していた。その数秒間の後、カズマはアクアに期待したのが愚かだったと言わんばかりに……、
「この馬鹿があああああああ!」
「だってだって本当の事じゃない! 私は水を司る女神様よ! 嘘なんてついてないわ‼」
アクアに掴みかかり、叫び声をあげていた。すると、
「喧嘩はよして下さいね? それで一緒に来て頂きたいのですが? 今日は無断渡航者が多いもので、何かあったのかもしれませんし」
この場で最年少組かも知れない、年齢9歳の子供に諌められていた。
「あの……お兄……じゃなくて、あなたは何歳ですか?」
「9歳ですけど……」
かすみの何気ない質問とその回答に、少年と向かい合っていた全員が驚愕の表情を浮かべていた。
(多分嘘じゃないよ。ゼファーブルームには趣味で嘘発見機能も付けたって言ってたから……。だったらここって……⁉)
(過去の世界か⁉ 何で……)
(という事は、あれは正真正銘、私達に出会う前の子供のユウですか?)
(そうみたい。あっ……、だったらまた”ゆんちゃん”って呼んで貰えるかな?)
目の前で井戸端会議を始めてしまっていた。その中で若干一名があだ名で呼ばれた時を思い出してしまったらしい。
不審者と思しき一行をどうしたもんかと考えながら、様子を窺っていた少年が、
「事情がおありでしたら、お聞かせ願います。出来る限り対応しますので」
相手を警戒させない様に、ゆっくりと近づいてきたが、
「『バインド』ッ!」
カズマは盗賊スキル――バインドで動きを封じようとしていた。……が。
「無機物操作って……、お兄さんも魔法使いですか? いきなり締め上げようとするなんて……。こっちも実力行使に出ますよ?」
「そのバインドの縄を当り前みたくぶった斬って何言ってやがる⁉ やっぱりガキでもお前は変わらねー!」
「とりあえず、大人しくしてください!」
カズマの呆れかえったような叫びを他所に、今度はダクネスが前に出て、
「済まない。同行は出来んが、質疑には応じよう。さあ! 皆の前で尋問でも拷問でも好きにするがいい! 全てに耐えきって見せりゅ!」
「あ……いや。尋問はともかく拷問なんてしませんよ? お姉さん、もしかして凄く大変な苦労をされた方ですか? 良かったら、その辺も含めてお聞かせ願えれば……」
「な、何だ……⁉ この透き通った純真な瞳は……! こ、この子供の前であんな……くっ……⁉」
ダクネスは自らを恥じながらも、小刻みに震え、顔を紅潮させて新たなプレイに目覚めそうになっていた。当然であるが、魔導師とはいえ9歳の少年にダクネスの性癖なんて理解できるはずもなく、具合が悪いのかと本気で心配している。
(カズマ⁉ 何でバインドなんてやったのよ⁉ ややこしくなるじゃない!)
(SF物のお約束を知らないのか? 未来の人間が過去に干渉すると歴史が変わるって言うだろ!)
(そ、そうなのですか? ではあまり接触しない方が良いのですね?)
(ならば仕方あるまい。どこかに隠れられそうな場所は……)
(わたし知ってる。お兄ちゃんが秘密基地にしてた場所があるって)
かすみの提案でその秘密基地とやらを目指すことになったので、カズマが、
「かすみ、手加減なしで思いっきりやれ! 俺らの事は気にするな!」
「うん! 『フローター』ッ!」
かすみが全員を浮遊させたと同時に、
「全力で逃げます! カズマお兄ちゃんもお姉ちゃん達もごめんなさい!」
おそらく謝れるうちに謝っておきたいのだろう。なぜなら……、浮かび上がった6人の内、かすみを除いた5人は、
「「「「ぎゃああああああああ⁉」」」」
空を猛スピードで移動しながら、悲鳴を上げていた。これは当然で、空戦魔導師のトップスピードに慣れていない人間からすれば、気絶したっておかしくはないのだから。
少年はそれを追いかけようとはしたが、あの少女は自分以外の5人の浮遊も制御したまま、彼のトップスピード以上を出しているので、追跡は現実的ではない。なので、報告を最優先させるために通信をしようとした時、
「ゆーくん」
「悠」
なのはとユーノの二人からほぼ同時に通信が入った。聞くと二人共、見慣れない格闘型の騎士と思しき人間と交戦したと聞かされた。
それよりも不可解だったのは……。
「どっちも自分の事を知ってるっぽい、全く知らない人と会ったって?」
「ゆーくんは六人も⁉ 大丈夫だった?」
「こっちは大丈夫。ただ……恰好が古代ベルカって言うか、中世っぽいというか……。一人はミッド式を使ってたけど、こっちを拘束しようとしてた人は魔法陣すら展開させてなかったし……」
三人とも先ほど起こった事について情報交換も行っていた。その中で、はやてとリインフォースからのマテリアル復活の報告もあった。
「とりあえず、一旦休憩をとってアースラに報告をしてから、探索を続けよう」
ユーノの案に同意して9歳の少年少女達は一か所に合流し、今後の行動についての話し合いを行っていた。
深紅の超絶破壊者(クリムゾン・ノヴァ・ストライク)
魔王城編(102話と104話でチラッと出てた爆裂専用の杖です。命名めぐみん。これで使える魔法は爆裂のみ。ただしそれだけに特化しているので、作中にもある通り、使用者には結構な恩恵があります。実質めぐみん専用ですね。(筆者的には命名は結構適当です)
ゼファーブルーム
こちらはかすみ専用のデバイスです。
ニリンソウ――英語で『Soft windflower』といわれる花を参考に命名しています。かすみにしか使えない機能は、その花の姿に由来します。といっても大したものではありませんが。
外伝のベリーショートストーリー ~その時代のアクア様は?~
「何よ? せっかくの休憩時間なのに……」
何処からか非常事態を告げる情報が日本担当の女神の元へと届いていた。
「最近多いわね? 次元震とか……。まあ良いわ、管理局が出張ってるなら何とかなるでしょ!」
そうしていると、今度は手紙らしき物が届き、
「闇の書って何だったかしら? ああもう! 下手に干渉できないんでしょ! だったらこんなのはゴミ箱にポイよ! 次の人連れて来て!」
一応、年若い魂は導いていたらしいが、それ以外は基本的に干渉出来ないので放って置いたらしい。地上には未来の自分がいるとも知らず……。