この素晴らしい世界にリリカルな魔導師を!   作:ゴマフアザラシ

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例外はそうそう現れないから例外(きしょうかち)という

いきなり銃を突きつける謎の赤髪のお姉さんに、はやて達が接触した軽薄そうな桃色のお姉さん。そして何故か俺達を知っている全く覚えのない人達に、その上……マテリアルまで復活。

これだけの事態でタダで済むわけはない。俺達全員がそう直感していた。

 

そんな中、通信でちょっとだけ話しただけだったが、フェイトとアルフ……、特にフェイトの様子がおかしい。本人は大丈夫と言うものの、どう見たって大丈夫じゃない。あの顔は……始めて出会った頃と同じ顔だ。辛いのを隠して我慢してるような……そんな……。

その様子を察したのか、なのはとユーノが、

 

「ゆーくん……、お願いできる?」

 

「僕達よりも、今は……さ」

 

要は俺がフェイトの方に行けって事だ。けど、それだったら……。

 

「なのはが行った方が良い気がするけど……? それこそ俺なんかより」

 

「むー。わたしよりゆーくんの方が良いの! ゆーくん面白いから」

 

「面白いってなんだ⁉ 俺ってどう見られてんだ⁉」

 

幼馴染は俺をどんな目で見ていたのか、はっきり言って気になってしまった。

 

「いや……、僕やなのはより雰囲気を明るくするのは得意でしょ?」

 

「狙ってやってるわけじゃないけど……。俺ってもしかしてムードメーカー?」

 

「どっちかって言うと、面白芸人?」

 

ユーノの俺の評価が何となく分かってしまった。結構癪に障るので、ヤツの頬っぺたを引っ張りながら、

 

「……あんまり期待はすんなよ? 俺だってあそこまでだと話しかけ難いからな」

 

「ふぉめん! ほふははふはっははふぁは‼ (ごめん! 僕が悪かったから‼)」

 

謝罪をさせた後、フェイトのいる海鳴の上空のある地点へ全速力で向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこにはフェイトとアルフがおり、若干というか、一目で分かるほどイラついていたアルフが、かなりの剣幕でもって事情を説明してくれた。

 

「つまり……二人共プレシアさんの欠片と戦ったのか?」

 

「ああ……! あたしはともかくフェイトにそんなのをやらせたんだ……。ただじゃ置かないよ!」

 

フェイトを良い様に利用していたとはいえ、本人にとってはたった一人の母親だったんだ。そんなのをさせるなんて……、そんな事を考えてしまい、一気に頭に血が上ってしまっていた。それはアルフも同じようで、

 

「とっとと原因をとっちめるよ!」

 

「ああ……、さっさと済ませるぞ!」

 

二人してマジ切れ状態で意気投合してしまっていた。

 

「ちょっと……二人共……⁉」

 

その様子をオロオロしながら、止めようとするフェイトを半ば無視する形で、マテリアルっぽい魔力反応のある地点へと向った。

 

ちなみにこの二人、魔力光は同じ茜色である。最近ミッドチルダで流行っている『魔力光色別性格診断』では、茜色の魔力光の持ち主は”人情家で感情の起伏が激しい”らしい。血液型性格診断と同じく、科学的根拠なんてのは全然ないが、二人が激高したのは果たして偶然だろうか……。

 

海鳴市海上のある場所にて、水色フェイトを見つけたのでそのまま接触すると、

 

「むっ? ボクのオリジナルのペットの犬と弱っちい紺色!」

 

3ヶ月前は無理してカッコいいセリフと雰囲気を出してた気がするが、そんなのはこの際どうでも良い。あちらをアルフと二人で睨みつけ、

 

「うるっせえぞ! このやかましい水色が!」

 

「あんたらだろう? 闇の欠片なんてモンをばら撒いて人に嫌な思いをさせて……」

 

俺らに会ってテンションが高くなっていた目の前の水色は、少々引き気味になってしまい、

 

「えっ⁉ 断片発生は別にボクらの意志じゃ……」

 

言い訳っぽい事を言っていたが、こっちには関係ない!

 

「覚悟しろ! お前ら三人捕まえて、早くこいつを終わらせる!」

 

「バリアブレイクはあたしがやるから、その隙に一撃喰らわせてやりな!」

 

こうして、水色フェイトに怒り心頭で突っかかって行くと、

 

「やだ、なんなのこの二人、ボク、怖い~っ⁉」

 

相手はアタフタしながら、戦闘態勢へと入って行った。

 

その後、アルフと二人がかりで戦っていたのが良かったのか、それとも相手がこっちの勢いに押されたのかは分からないが、どうにか水色を追い詰める事には成功した。あちらは、信じられないといった表情を浮かべて視線が定まっていない。

 

「何で? どうして? ボクの攻撃が全然……‼」

 

実力で言えばおそらくあちらが上にも拘らず、追い詰められてるのが信じられないらしい。

 

「大人しくしてな。シャマル先生に教わった封印術式、試してやるからさ!」

 

「ふぇ⁉ ふ、封印……⁉」

 

アルフの勢いに続き俺自身も、

 

「これ以上暴れるなら、カートリッジ限界まで使って全力で拘束する。なのはには及ばないけど、バインドは伊達に結界魔導師(ユーノ)から教わってないんだよ!」

 

もう身動き取れなくするだけだ。そう思って二人でその準備をしようとしていたが、

 

「あう……、ぐすっ……ぐすっ……。ひっく……」

 

「……えっ⁉」

 

その様子――こちらに反撃を試みるわけでもなく、仲間を呼んで再度戦闘でもなく、ただ涙を流してしまった、水色っ子が、

 

「うう……うぁあああああーーーーーん! なんだよー‼ 何でいじめるんだよー!」

 

とうとう大声でわんわん泣き出してしまっていた。泣く子と地頭には勝てぬとは言うが、俺達二人共、この光景に呆気に取られてしまい、どうしたもんかと目を見合わせてしまう。

 

「わーん! お前らなんか嫌いだ! 嫌いだーーーー‼」

 

ついには自分の装備品の手袋まで投げつけて来る始末。完全にこっちが悪役である。二対一で少女を思いっきり泣かしている悪者にしか見えない。すると、飛行の風切り音と共に、

 

「どうしたの? 何の騒ぎ?」

 

フェイトが漸くこちらに合流してきたが、自分そっくりの少女が泣いているのを見ると、

 

「マテリアルの子、泣いてるじゃない」

 

「いや……、戦ってたらいきなり泣き出して……」

 

俺達がいじめたとでも思ったのだろうか。少しばかり冷たい目をされてしまった。

 

「ね、久しぶり。私の事、覚えてる?」

 

「ぐすっ……。忘れるわけないだろーが。ボクのオリジナルなんだから」

 

フェイトが優し気に語り掛けて来たので、安心したのだろう。まだ涙を浮かべながらも……。

 

「ごめんね。こっちの二人が何か酷い事言ったのかな?」

 

「断片が人に嫌な思いさせるのを、ボクのせいにされた!」

 

そう言えば泣きわめきながら、副次効果とか言ってた気がする。

 

「二度と蘇らない様に、ふん縛ってから世にも恐ろしい封印術で、封印されながらでも地獄の苦しみを味あわせてやるって‼」

 

「人聞きの悪い事、言ってんじゃねえ! この嘘つきチビ!」

 

ふん縛って封印するまでは良いが、地獄の苦しみ味あわせるなんて、誰も言ってない!

 

「なにおー! ボクにはレヴィって名前があるんだ! そっちこそボクと背丈変わらないチビじゃないか! チビ!」

 

「俺にだって浅間悠って名前があるんだ! チビなんて呼ぶな!」

 

「めんどいから紺色チビのコンチビで良いだろ? コンチビ!」

 

「変なあだ名つけんな! 水色チビ!」

 

お互いをチビチビ言い合っても勝てないと感じたらしい。レヴィが俺の全身をじっと見詰め、

 

「大体、デバイス二つも使ってるなんて狡いぞ! 男だったら一つに決めれば良いだろ!」

 

「余計なお世話だ! ストレージだって良い物なんだよ! デバイス二つ使っちゃいけないなんて言われてない!」

 

「二刀流なんてカッコ良いから、ボクだってやってみたい! 今度、シュテるんのルシフェリオン借りてから、いざ尋常に勝負!」

 

「人の使って、うまく戦えるのかよ! この紙装甲! 俺でもダメージ与えられる位じゃねーか!」

 

今度はもうどうでも良い話題で、口喧嘩を勃発させてしまったが、それを聞いていたフェイトが、

 

「……チビ、……紙装甲。……はぁ」

 

レヴィに言い放った悪口でダメージを受けていた。レヴィはフェイトを元にしているので、欠点はそのままフェイトへ攻撃になってしまうのだ。

 

「やーいやーい! オリジナルまでいじめてる! 悪いんだー!」

 

「元はと言えば、お前がおかしな嘘つくからだろうが!」

 

口喧嘩は更にヒートアップ。お互い牽制しながら、本来の目的からかけ離れてしまっていると、

 

「レヴィが荒ぶる鷹のポーズ取って威嚇してる……」

 

「悠は悠で天地魔闘の構えしてるね。カウンターでも決める気か? 何やってんだか……」

 

完全に俺達二人のケンカに手出しできなくなっているフェイトとアルフだったが、このままでは埒が明かないと考えたらしい。

フェイトがレヴィにソーダ飴をあげたりして、色々と話を聞いていた。『砕け得ぬ闇』――システム『アンブレイカブル・ダーク』、これは特定魔力の無限連環機構らしい。うん分かんない。その様子を察したらしいレヴィが、

 

「どうだ、コンチビ! ボクは君より賢いんだぞー?」

 

「言動はガキンチョだけど」

 

「なんだとー!」

 

また喧嘩が始まりそうだったのをフェイトに諌められ、レヴィがソーダ飴を食べ終わると、

 

「うん。この水色のまーるいのは、なかなか美味しかった。やっぱり水色な物に悪い物はないな!」

 

一人おやつを食べ終わり、ご機嫌なレヴィは続けて、

 

「ごちそうさま。そんじゃボクは行くよー! スプライト、ゴゥー!」

 

レヴィのバリアジャケットがソニックフォームっぽい形態へと変化し、一瞬にして遠方へと飛び去って行った。それを見詰めていたフェイトが、さっきまでより表情が緩んでた気がする。聞くと、俺とレヴィの喧嘩を見ていたら、悩んでるのが馬鹿らしくなったとか……。明るくなったのは良いが、釈然としない。俺ってユーノの言った通り、面白芸人なんだろうか……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは海鳴市内の山中。一般の登山客の通るコースとは少しだけ離れた、奥がそこまで広くない洞窟の内部で、

 

「カズマ! 良く分からないけど、私、褒められた様な気がするわ! ”水色な物に悪い物はない”って!」

 

椅子からガタっと立ち上がるかのような勢いで、アクアが何やら訳の分からない事を言っていた。カズマが確認したい事があるらしく、

 

「アクア! 神様ならこれの原因は分からないのか? 過去に戻るなんて……」

 

「私にだってさっぱりよ……。時間移動なんて……。どこかの誰かが特典でも使ったのかしら?」

 

「ってか、この時代のお前だっているだろ? だったら当時を何か覚えてないか?」

 

アクアが腕組をしながら、うーんと唸り、

 

「全く覚えがないわ!」

 

それに対し、ため息をつくしかないカズマだった。しばらくして、

 

「ただいまー! ごはん買ってきたよー!」

 

「お店のドアは勝手に開くし、”かっぷめん”ってのもありましたけど、良く分からないのでおにぎりにしました」

 

かすみとゆんゆんがコンビニに行って全員分の食事を袋一杯に入れて、帰って来たのだが、

 

「ゆんゆんとカスミだけズルいです! 私も街を見てみたいのに……」

 

「仕方ねーだろ! かすみはワンピースだったから良いけど、他の服装だと目立ちすぎるんだ! ゆんゆんだってギリギリなんだからな!」

 

カズマはジャージ着て来れば良かったと後悔してしまったらしい。他のメンバーの中世な服装では、いくらなんでも歩かせられない。ちなみにお金に関しては、かすみがたまに海鳴に遊びに行くこともあるので、日本円をお小遣いで渡していたのが良かったようだ。そのお金はちゃんとカズマが製造年を確認したうえで使わせている。

 

「しっかし、あいつは何でこんな洞窟知ってるんだ……」

 

「うーんとね、お兄ちゃんが、適当に散策してたら見つけたって……。秘密基地は男の浪漫だーって言ってた」

 

ロケットパンチといい、あいつはやっぱり方向性がめぐみんやダクネスと似通ってる部分があるのか……、と少々呆れ気味のカズマであった。

 

「しかし、これからどうする? いつまでもこのままというわけには行くまい。わ、私としては、薄暗い洞窟でモンスターにでも遭遇できれば僥倖ではあるが……」

 

「この世界にそんなのはいねー! だったら外にでも行ってろ! その鎧姿なら注目を浴び放題だ!」

 

ダクネスも現状を打破する解決策を考えてはいたが、そんなのは思い浮かぶはずも無く、それよりも問題は、

 

「爆裂を……一日一爆裂を……! カズマ、爆裂を撃てる場所を知りませんか⁉ 早く爆裂を撃たないと、どうにかなってしまいそうです!」

 

「止めろ! 空に撃ったって、隕石かミサイルの爆発って話で大騒ぎになるぞ! あんまり我儘言うなら、ドレインタッチで魔力吸い取るからな!」

 

めぐみんは爆裂を撃つ途中でこの時代に跳ばされてしまったために、爆裂魔法を撃ちたくて仕方なくなったらしい。ソワソワしながら、外に出ようとしている。どうにかカズマに羽交い絞めにされた上に、魔力を吸われて大人しくなりつつ、恨めし気にしていたらしい。

 

これからどうしようかと――帰る方法を探すにも、情報が足りない。いっそのこと、保護を求めた方が良いか……。そんな案も出たが、

 

「それで歴史が変わったらどうするんだ⁉ もしかしたら、かすみが助からないとか……、あの世界がまだ魔王軍との戦いが続くとかになったりするかもしれない!」

 

実際に未来の人間が過去に干渉して、その先の未来が変わるかどうかは分からないが、カズマとしては、ある意味SFの法則に従って行動するべきだと意見を出していた。

 

「じゃあこのまま、この洞窟でジッとしてるの? カスミだってこの原因っぽいのを探してるけど、一人じゃ時間が掛かるって言ってるわよ?」

 

「……ごめんなさい。変な反応は結構あるんだけど、多すぎて絞り切れないんです……」

 

この場で頼りになるのは最年少のかすみのみであった。おかしな反応を調べようにも、他の人間では検索すら出来ないからだ。期待通りに行かないのが、申し訳ないとばかりにシュンとしていたのを見逃さずに、

 

「大丈夫だから! あんまり気負わないで! 探索だったら私も行くから……ね?」

 

ゆんゆんがかすみを元気付けようと笑顔を向けて、安心させようとしている。すると……、

 

「敵感知に反応があった! 誰か来る……! 数は二人……、ここを知ってるって事は……ユウと誰かか?」

 

カズマの敵感知で何者かを察知したらしい。予想通りなら良いが、もしかしたら敵かもしれない……。そう考えてしまい、全員が身構えてしまっていた。

あちらからの向かってくる二人の会話が聞こえ、

 

「ここは……、どういった場所ですか?」

 

「昔、パパが見つけて遊び場にしてた場所らしいです。何かがあるわけじゃなくて、隠れるのが面白かったって言ってましたけど」

 

「小さな頃から、山籠もりの様な事をされていたのでしょうか……? それであそこまで……」

 

その声は二人共、女性の物だった。その様子から察するに、子供というわけではなく、自分と同じくらいか……とカズマは予想していた。来訪者の姿が見えると、その通りで一人は金髪をサイドアップにしている、もう一人は碧銀の髪でツインテール、そして右側には大きな赤いリボンを着けている、自分やダクネス位の年の女性。

そして、一番の特徴は両名とも左右の瞳の色が違う虹彩異色(オッドアイ)だ。存在するのは知っていたが、そんな人間を見るのは初めてだったので、思わず見惚れてしまったカズマだった。

 

「え……、ええっ……⁉ かすみさん?」

 

「……?」

 

金髪の方の女性がかすみを見て驚きの声を上げていた。まるで自分を知っているかのような反応にどう返したら良いかも分からなかったが、あちらは続けて、

 

「カズマさん達も……⁉ みんな若い……⁉」

 

「ヴィヴィオさん、少し落ち着いて……」

 

「アインハルトさん、だって……」

 

あちらも狼狽えてはいたが、カズマ達も目の前の二人は覚えが無いといった表情をしていた。かすみとしては、二人に戦う意志は無いといったのは何となく分かったが、それでも自分達を一方的に知っている人間に、隙を見せてはいけないと考えてしまう。すると、アクアが何かを思い出したようで、

 

「ああっーーー! そっちの金髪の娘、そけっとの占いに出てた人じゃない⁉」

 

紅魔の里の占い師に未来を占って貰った時に見えた映像を思い出したらしい。それでカズマ達は女性二人がどんな存在か、何となく理解してしまった。

 

「悪い。そっちの知ってる俺はいくつだ? 答えて貰えないか?」

 

「えっ……、ええと、パパと同い年だから、23歳ですけど……」

 

「俺は、今……、16歳だから7年差があるか……」

 

カズマは二人が自分達と同じく未来から来た人間だというのは理解したものの、()()()()()()()()()()()()()()()()()()、これだけのおかしな事態なのでありえなくはないが、結局解決策は見つからなかった。

 

「と、ところで……、パパというのは……ユウですか?」

 

「あっ……! はい。正確にはパパみたいな人って感じですけど……」

 

「では実の娘というわけでは……」

 

「はぁ……。わたしにも色々ありまして、ママとも血が繋がってるわけではないんですが……」

 

めぐみんがそこまで聞いた所で、あまり踏み込まない方が良いかも知れないと思い、今度は簡単に自己紹介を済ませて、現状について整理をしていた。

 

「しっかし、そっちはこの時代の13年後からか……、俺らの時代からすれば7年後。何がどうなってるのかさっぱりわからん……」

 

「一応、クリスにわたし達が転移してきた反応と同じ物を探してもらってはいますけど、ここにも似た様な反応があったので、来てみたらカズマさん達でした」

 

見た目ウサギのぬいぐるみのデバイスが、自分は頑張ってるんだぞーってなジェスチャーで必死に自分の働きを表現していた。すると、

 

「気にする必要はありませんよ、お嬢さん。俺達も途方に暮れていたところでしたから。か弱い女性お二人ではさぞ不安だったでしょう?」

 

急にカズマが紳士的な態度で接していたので、アクア達が呆れたように。

 

「カズマったら、急に態度が変わったんですけど! 分かりやすすぎでしょ!」

 

「まったく、困ったものです。まあ予想はしていましたが」

 

「うむ。野獣の様な眼光でチラチラ胸元を見ている気がするが、どうせなら私にその視線を向けて欲しいものだ」

 

「最近、私も視線を感じる時が……」

 

いつもの事ではあるが、自分達にとって初対面の人間にそれはどうかと、少々引いていた。

 

「あはは、相変わらず面白いですね? わたしの知ってるカズマさんと一緒です」

 

結構、好感度高いか? 未来の俺、グッジョブ! ……と、その時代の自分に少しだけ感謝していたカズマだったが、

 

「ヴィヴィオさん、いつまでもこのままというわけには行きませんので、そろそろ元に戻りませんか?」

 

「そうですね。じゃあ……」

 

ヴィヴィオとアインハルトの二人が光に包まれてから姿が変わり、次の瞬間。

 

「……へっ⁉」

 

目の前のありえない光景に、茫然としてしまったカズマであった。それもそのはず。十代後半と思っていた二人がどう見ても制服姿のローティーンの姿に変わっていたのだから。

 

「そ、その……お二人は、何歳?」

 

「10歳でーす!」

 

「私は12歳ですけど?」

 

ヴィヴィオは手を上げながら元気よく、アインハルトは礼儀正しく答えたが、それで固まってしまったカズマだった。

 

「ちっくしょーーーーー! あいつの知り合いなんて大っ嫌いだーーーーー!」

 

「うける! ちょーうけるんですけど! ねえロリマさん、何も知らずにそんな子供達に色目使ってどんな気持ち? プークスクス!」

 

カズマの絶叫を他所にアクアが地面をドンドンと叩きながら爆笑し、その他のかすみ以外のメンバーは必死に笑いを堪えている。その後も、ヴィヴィオとアインハルト、特にヴィヴィオは自分の事を色々と教えていた。

 

「かすみさんは、わたし達みんなのお姉さんみたいな人で、よく遊んでもらってたんですよ」

 

「そうなの? ……そっか、ヴィヴィオ達の時代だと、わたし……15歳だから……」

 

「はいっ! 魔法も凄くて、美人で優しくてスタイル抜群なお姉さんです! 自分より年下のかすみさんなんて新鮮ですね」

 

ヴィヴィオはニコニコしながら、自分との関係について教えていた。続いて、

 

「ちょっと前ですけど、キャベツ狩りにも参加した事があるんですよ! 飛んでくるキャベツを拳で打ち落としたりして、良い練習になりました!」

 

「……そ、そうなのか? もしかして、やっぱり魔法……得意なのか?」

 

「魔法も使いますけど、本業は格闘技(ストライクアーツ)ですね! アインハルトさんもです!」

 

「そ、そうなんだー。は、はははは……」

 

10歳の少女が激突すると結構痛いキャベツを拳で殴って落とす……。その光景を想像したカズマは乾いた笑いしか出せなかった。やっぱり、ヤツの知り合いは普通じゃないと。

 

「なのはママも参加したいって言って付いて来たんですけど、その時はパパに、”お前が参加するとキャベツ全部撃ち落とすからダメだ”……って必死になって止められてました」

 

ちなみにその時は、ヴィヴィオとキャベツ撃墜数勝負をしたかったらしいが、そんなのをすると、まず間違いなく他の冒険者の報酬が減るので、ユウは全力でなのはを羽交い絞めにしていたらしい。

すると、めぐみんが何か気になる事があったらしく、

 

「……先ほど、カスミをスタイル抜群のお姉さんと言いませんでしたか?」

 

「はい……。そうですけど?」

 

ヴィヴィオの返事と共に、自分よりも年下の子達の先ほどの大人モード――特に胸部を思い返し、

 

「……例外、私だけが……例外なのですか……」

 

(こうべ)を垂れ、地にひれ伏してしまっていた。その雰囲気から、気軽に話しかけられなくなってしまったが、『例外』――そのキーワードで何の事だか察知してしまったカズマ達だった。

 

「ふぇ⁉ ど、どうしたんですか? 具合でも悪いんですか……⁉」

 

「す、少し横になっていて下さい! あちらに……」

 

格闘少女の二人はめぐみんを心配し、オロオロしていたが、カズマが遠い目をして、

 

「いいんだ。今……、めぐみんは如何ともし難い格差社会の波に飲まれまいと必死になって抵抗しているから、そっとしておいてやるのが優しさってもんだ……。誰も悪くないから、気にしちゃいけないよ?」

 

それはとても優しく語り掛けておりました。流石にからかう気にはならなかったらしい。

 

「ヴィヴィオ? あの……転移反応の検索を一緒にして貰って良い?」

 

「はい! クリスだけだと、検索も大変ですので、むしろこっちからお願いします!」

 

かすみとヴィヴィオが、お互いこの事態を打開するために協力を合意している一方では、

 

「なーお!」

 

「にゃーん‼」

 

黒猫と子猫っぽい豹がお互いを威嚇し合い、一触即発になりそうなのを、

 

「ティオ! ”めっ”ですよ!」

 

「ちょむすけもやめなさいな! イタッ⁉ あの邪神の半身だけあって凶悪ね! 今度文句言いに行かないと……」

 

アインハルトとアクアが頑張って止めていた。ちょむすけの飼い主は未だに立ち直っていないらしく、周囲が暗黒にでも包まれているような雰囲気で誰も話かけられないでいる。

 

この二人が合流して、何とかこのおかしな状況がどうにかできれば良いと思いつつ、いつものパターンなら恐ろしく面倒な事態に陥るのでは……と、内心愕然としていたカズマであった。

 




この主人公、本編より勝率が良いぞ⁉ なんて思った方は二対一なので、大目に見てください。



おまけ ~魔力光の関連性は?~

なんてことだ⁉ これは大発見かも知れない! キャロとミウラ、なのはは違うが、おそらくは平行世界的な翠屋の白い天使のなのちゃんが該当するのだろう。この法則で行けば……。

「めぐみん、大事な話があるんだ……」

「な、なな……何ですか⁉ いきなり……」

「めぐみんの魔力で魔法陣を展開してみたいんだ。 構わないか?」

俺の予想が正しければめぐみんの魔力光は桜色のはず! ならばめぐみんは『例外』ではない!
俺のお願いを聞き入れてくれて、めぐみんの魔力でミッド式の魔法陣を展開すると、

「……真っ赤だな。すまん、勘違いだった!」

その場からサッと立ち去ろうとしていたが、何か感じ取ってしまったらしいめぐみんに思いっ切り肩を掴まれてしまい、

「おい! 説明して貰おうか? 私の魔力光が何だって?」

「……てっきり桜色だと思ってたんだけどな。うーん、世界は不思議に満ちている……」

「どういう事でしょうか? 教えていただけませんか?」

丁寧な言葉使いとは裏腹に凄まじい威圧感を纏っているめぐみんに逆らってはいけないと本能的に感じ取ってしまった。

「い、いや……あのな? 桜色の魔力光の持ち主は、貧に……、スレンダーな方が多く見受けられるので、もしかしたらと思いまして……」

これだけで、めぐみんがブチっとキレる音が俺にまで聞こえてきましたよ。

「……23歳にもなって、そんなくだらない事に血道を上げているのなら、覚悟して貰おうか!」

その後の恐怖は、しばらく忘れられないトラウマになりましたとさ。ちゃんちゃん。
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