この素晴らしい世界にリリカルな魔導師を!   作:ゴマフアザラシ

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活動報告に充電期間と言いつつ、思いついたので書いてしまったぜ☆
困ったもんだ……。


融合騎の少女編
青少年に悩みは付き物だが、相談する相手は選ばねばならない


めぐみんとかすみに『深紅の超絶破壊者(クリムゾン・ノヴァ・ストライク)』と『ゼファーブルーム』をそれぞれ渡してから二週間程度経ったところで、俺以外の六人が奇妙な現象に見舞われていた。

 

「六人揃って同じ夢をねえ……」

 

そう、俺が仕事に行っている間にカズマ達全員が同じ夢を見たらしい。何かの前兆かと気になってしまい、詳しく話を聞いていたのだ。

 

「うん……。誰かは分からないけど、こう……赤い翼みたいなのを持ってる人と戦ってて……」

 

「俺もだ。顔は分からねーが、羽根みたいのだけは覚えてる」

 

「私なんて……海に落とされたような……?」

 

かすみとカズマ、アクアはその中でも同じ人間と戦ってたらしい。その他には、

 

「小さな子に何かを教えていた様な……?」

 

「うむ。その子を叱咤して、攻撃のどこが悪かったのかを叫んでいた気がする」

 

ゆんゆんとダクネスは誰かを指導していたといった内容。

 

「私は大軍に爆裂魔法を撃ったのと……、そ、それに……!?」

 

「めぐみんはいつも通りか」

 

「そ、それだけではなくてですね……。そ、その……」

 

爆裂はともかく、言い難い事らしいのでそれは無理に聞かないで置くとする。どことなく顔が赤くなっているが、気のせいだろうか。

 

「あれ? めぐみんとケンカした様な……? それに……」

 

「そうです! 叩き潰してやろうとか、そんな感じになっていた様な……?」

 

ゆんゆんとめぐみんの会話は、俺としてはなんのこっちゃといった所だが、同じ夢を見たというのはともかくとして、特に体の方には異常はなさそうなので問題ないと考えている。するとカズマが不思議そうな表情でもって。

 

「こんなのってのは結構あるのか?」

 

複数人が同じ時間に同じ夢を見るか……。確か……。

 

「むかーし、なのはと俺が同じ日に同じ夢を見た事はあったな。小さな男の子が怪物と戦ってる夢だ。起きてすぐに二人して顔を見合わせて盛り上がったもんだ」

 

あの夢は魔力を持つ人間、その中でも魔力制御が未熟な者が無意識に受け取ってしまった魔力反応だと知ったのは、しばらくしてからだった。思えばあの夢から魔法に関わる事になったのだと感慨深く思い返していると、

 

「……その言い方だと、一緒のベッドで寝てたみたいだが?」

 

「みたい、じゃなくて寝てたんだよ。当時はほぼ高町家で生活してたようなもんだからな。同い年だし兄妹みたいなもんだからって」

 

「お前はどこのギャルゲー主人公だ!? それだけでフラグじゃねえかああああ!」

 

カズマが相当羨ましいらしく、大声で捲し立てて来たので、

 

「カズマは9歳の女の子と添い寝するのが羨ましいと。今度かすみが一緒の方が良いか? 万が一、何かあったらロリマの名がアクセルに広まる前に、その名が墓標に刻まれるだろうが……!」

 

「何かって……? カズマお兄ちゃんと眠るといけないことがあるの?」

 

「もうちょっと大人になってからかな。今は知らなくていい事だよ」

 

かすみが首を傾げながら困った顔をしていたが、この場でそんなのを教えたりしたらセクハラどころじゃない。

 

「あっ……! そう言えばね! 夢で見た魔法だけど、試してみたら使えるみたい」

 

「それってどんな?」

 

その問いにかすみが右手人差し指をピンと立てて、その真上に魔力の球を造り出していた。ぱっと見ではただの魔力弾だと思うだろうが、これは紛れもなく、

 

「集束なんていつ覚えた!? それはまだ教える気は無かったのに……。つーか覚える必要すらないだろ、かすみだったら」

 

自分の魔力では無く大気中の魔力を集めていたのだ。これ自体がかなりの難易度の筈なのに、さも当然の様にやってしまう辺りが、かすみのかすみ(歩くロストロギア2号)たる由縁(ゆえん)でもある。この子ほどの莫大な魔力ならわざわざそんなのをする必要すら本来はない。

 

「ユウも夢で見て炸裂魔法や爆発魔法を修得可能になったと言ってませんでしたか? 爆裂魔法だって一度見ただけで修得可能になりましたし……」

 

「俺は今までの経験から魔力の運用方法を予想してやれるようになってるんだ! それだって冒険者カード抜きだと使えるまでには早くて数ヶ月、普通なら1、2年はかかる」

 

俺はあくまで理論上可能なだけであり、実戦レベルに持って行くにはそれなりの時間を要するのである。改めて冒険者カードは便利だと思ってしまう。

 

「その話はまあいい。かすみ、しばらく集束は禁止。その位のならまだいいが、集束砲(ブレイカー)級のはまだ駄目、絶対。いいな?」

 

「相変わらずの心配性ですね……。理由は知っていますが、心配しすぎでは?」

 

「何かあってからじゃ遅いんですうー。体が出来てないうちから、その限界を超える出力とか寿命が縮む」

 

「成程、それで、この杖(クリムゾン・ノヴァ・ストライク)を使うようになってから、爆裂後にそこまで体も重くはならなかったのですか……。私の心配もしてくれていたのですね? ……愛を感じます

 

最後は聞き取れなかったが、何となく嬉しそうなめぐみんであった。

 

「お兄ちゃん、わたしとめぐみんお姉ちゃんの杖の設計で、屋敷にいる時でも夜遅くまでモニターとにらめっこしてたよね?」

 

「まっ! 今後の勉強も兼ねてな。まあ、二人して特殊仕様の杖だったから割と面白かったけど」

 

その分、ワンオフでお値段プライスレスだったが。マリーさんという知人がいなければ……、普通に発注していたら、大変な事になっていたかもしれない。主に俺の口座が。

 

「この件はこれで終了として、俺はこれからウィズのとこ行ってくる」

 

「何々? お茶とお菓子でも食べに行くの? 私も行く!」

 

「あのなあ……。万年赤字の店に集りに行くって、可哀想だと思わないのか?」

 

馴染みの店に行こうとしていると、アクアも同行すると言ってきたのだが、別にお茶菓子が目当てなわけじゃない。

 

「……? 店主さんの店に何か注文ですか? あそこは高レベル冒険者用のアイテムも扱っていますから……」

 

「魔王軍に関わりが深い連中に聞きたい事があってな。つっても、あの人達自身じゃなくて、良い訓練場所知らないかって相談だけど」

 

そう、かすみのお礼行脚や専用デバイスの作成。その他がようやく落ち着いたので、今度は自分自身のレベルアップを図って行こうと考えている。戦闘技術に関しては日々の精進は欠かしてはいないが、特に魔力値については伸びる時期が過ぎていることもあり諦めていた。

しかし、この世界での冒険者カードを持っての討伐等なら、もしかしたらまだ伸びしろがあるんじゃないかと考えて、それを試してみようというわけだ。

 

「確か、アクアの見立てだと俺ってレベル50相当なんだよな? 今、冒険者カードのレベルは24だけど」

 

「そうね……。大体の目安だから多少は違うかもしれないけど」

 

アクアは神様であるからか、冒険者としての能力はカンストしているらしい。カンストで知力と幸運が一桁ってのは同情しかないけど。

 

「つまりはお前のレベル上げか……。つーかまだ上を目指す気か? 十分な実力あるだろ?」

 

「それでも勝てない人間はいるしな。アルカンレティアで交戦した槍使いの騎士とか。またあんなのと戦わなきゃならない時の為だ」

 

カズマ達もあの時の事を思い出したらしい。難しい顔をしながら冷や汗をかいていた。

そんな話をして、ウィズの店へと向かって行ったのだった。俺がいなくなった屋敷では……、

 

「ユウって……、何を目指してるのかしら?」

 

「さあな。まあ、あれでもまだあっちの人達には敵わないって言ってたから、それでだろ」

 

「何か協力できることがあればいいのですが……。里の養殖でも時間が掛かりすぎますので」

 

「うん。本気のユウさんとぶつかれる人って限られてるからね……」

 

「魔王軍幹部しか知りえない訓練場所……!? くっ……、これは是非聞いておかなければ……!」

 

などなど、ダクネス以外が結構心配してくれていたらしい。

 

 

 

 

 

 

 

ウィズ魔道具店に到着し、入り口ドアの呼び鈴の音を聞きつつ入店する。

 

「こんちはー! すんませーん。店長か店員さんはいますかー」

 

「おおっ……! 義妹の杖だけで良かったというのに、頭のおかしい小娘の杖まで夜なべして設計していた甲斐甲斐しい小僧よ。小娘には片手間と言いつつ、ネタ魔法の負担を極限まで減らすために知恵熱まで出ていたようであるな。フハハハハハ!」

 

「『対悪魔滅殺法・神拳連崩撃』ッ!」

 

漢字で大層な名前の様に見えるかもしれないが、要は両拳でのゴッドブローの連打である。だというのに仮面の野郎は避けようともせずにしていたが、ある物に気付いてしまい……。

 

「良いのか? 我輩は避けぬ。最もそこで打ち抜いてしまえば、我輩の後ろの爆発物ポーションでこの店が吹き飛び、損害賠償が発生してしまうがな。フハハハハハ!」

 

ヤツは手出しされないの良い事に高笑いしながら挑発してくるが、小刻みに震えながらなんとか耐えていると、

 

「ユウさん……、バニルさんも止めてください! お店が大変な事になりますから!」

 

「あなた達も飽きないわね? もうこれって険悪を通り越して仲良いでしょ?」

 

ウィズとウォルバクさんが俺達を止めに入り、その後、店の来客用のテーブルでお茶を飲みながら相談を持ち掛けてみた。

 

「ウォルバクさん……、一つだけ。俺とこいつが仲良いとかありえませんから……!」

 

「我輩としては、貴様は好ましい人間なのだが……。主にコケにするといった点については」

 

「やっぱりてめえは消し飛ばしてやる! 仮面ぶっこわ――」

 

「良いから止めなさい! 相談に来たんでしょ!」

 

アルカンレティアで一触即発になって以来、ここまでおっかない顔を見せた事の無いウォルバクさんが本気で怒っている様だった。これはまずいと大人しく従う事にした。

 

「良い訓練場所ですか……。王都近郊の世界最大のダンジョンもありますが……」

 

「この小僧では、そこですら生温い。数年単位ではあるだろうが、”ここ”に毎日いるわけではなかろう」

 

「そうね……。高額賞金首のモンスターとかなら、レベル上げと報酬を貰うのと両立できるけど……」

 

魔王軍幹部2名と元幹部1名ですら、簡単には思いつかないらしい。ふと、バニルの仮面を見てしまい、

 

「なあ、お前って残機はいくつあるんだ? 俺がこっちにいる間にバニルの仮面をぴよぴよ丸で斬れば簡単にレベル上げが――」

 

「それを教える気は無い。そして、そのおかしな刀とやらで残機を削らせる気もないわ!」

 

「いいじゃん、いいじゃん! バニルさんのケチー。悪魔ー、鬼ー、オーガー、アクシズ教徒ー」

 

「我輩は確かに悪魔であるが、その手の方法は貴様の最も嫌う所であろう? そして、あの迷惑宗教信者と同列にされるなどプライドが許さぬ」

 

まあそうなんだけどさ。楽して能力が上がったところで、もしかしたら感覚が付いて行かないかもしれないし。

 

「だったら、前のカズマみたいに紅魔の里の養殖場にでも通うのが良いかな? 休日限定だけど」

 

モンスターの強さで言えば、ウィズの言っていたダンジョンが良いのだろうが、利便性を考えると養殖場の方が良い気がする、と……こんな感じで話がまとまりそうになっていたが、店の入り口が開き、

 

「全員揃ってるわね? しかもあなたまで! 丁度良かったわ」

 

「……駆け出しの街に来る魔王ってのもどうかと思います。初心者がいきなり魔王と鉢合わせって普通は無理がありますって、お姉さん……」

 

「その駆け出しの街に幹部が二人もいるからでしょ。それを言うなら、そこのリッチーと女神様に言いなさい」

 

アクセルに普通はいるはずの無い、ちょっと前だったらこの世界のラスボスでもある現魔王さんが店に顔を出していた。どうやら、ウィズ達に用事があるらしい。

 

「俺、席を外した方が良いですか?」

 

その提案にそこまで重要な話では無いので構わないといった回答だった。どうやら幹部としての待遇について確認をしに来たらしいが、

 

「私はなんちゃって幹部ですし……、実際に魔王軍の仕事もしていませんから、お給料とかは頂けません!」

 

「それは私もね。この店で働いてるから、そっちから給料を貰うのもね……」

 

今明かされる事実。魔王軍は給与制だったらしい。ウィズの場合、適当に理由つけて貰っておけば良いと思うのだが……。生活厳しいから……。

 

「店主が月給制になったところで、この貧困から抜け出せると思うか?」

 

「……その金で要らないアイテム仕入れて来るシーンが、お前じゃないのにはっきり見えちまうのが悲しいな」

 

俺の心を見通したというより、表情で大体察してしまったバニルがため息交じりに語っていた。

 

「何となく分かってたけど、一応確認しなきゃならないから……。ところであなたはどうしてここに?」

 

俺がウィズの店にいるのは別に不思議な事じゃ無いのだが、気になってしまったようだ。

 

「ふうん……。良いレベル上げの場所……ね?」

 

魔王城だって強力な相手がいる事はいるが、今更攻め入って争いの火種を作るわけにもいかない。魔王さんがそんな都合の良い場所知ってるとは思わないので、この話はここで終わりにしようと考えていたのだが……。

 

「あるわよ、いい場所が。ダンジョンだけどね」

 

何ですと!?

 

「魔王城近くのダンジョンだけど、人間は入ったりしないわね……。何せ、普通は魔王城の方に行こうとするから」

 

成程、目の前にバカでかい最終目標の城があるのに、わざわざそっちに行くのはいないって事か。

 

「私も……、というか魔王の一族はそこでレベル上げするのよ。それが面白いダンジョンでね。最初は弱いモンスターしか出ないんだけど、下に降りるに連れて強力なのが出てくるし、潜るたびにダンジョンマップが変わるのよ」

 

そういえばこのお姉さん、子供の頃にダンジョン潜って迷子中に無双したって言ってた気がする。つーかそれって不思〇のダンジョンそのものじゃ……。チート持ちが何かしたか?

 

聞くと、このダンジョンはどこまで下の階があるかも分からないので、バニルも手を出さなかった代物らしい。

 

「何だったら、城に寝泊まりしてそのダンジョンに通ってもいいわ! というか……、もうそうしなさい!」

 

「……遠慮します。俺が目の届かない所でかすみが心配ですので」

 

「あの辺だったら、宿泊施設なんてないわよ? 城の客間なら用意するし、何だったら私の部屋で――」

 

こんな感じで押されはしたものの、このお姉さんに隙を見せると色々と失う気がするので、魔王城への寝泊まりについては固辞させてもらった。

 

「だったら、たまにレベル上げの成果の確認でお父様と戦闘してくれない? 引退してから覇気が無くて、老け込んできちゃって……」

 

前魔王さん、仕事一筋で生きてきた人が定年退職して無気力になっちまった様なもんだろうか? 俺の印象やカズマから聞いた戦闘では、まだ十分現役でもやっていけそうだったからなあ……。

 

「ま、まあ……、たまになら良いですよ……。元気付ける方法が戦うってのもどうかと思いますけど……」

 

「男って何だかんだで戦うのがコミュニケーションみたいな物でしょ? 有象無象じゃ駄目だし、相手になりそうなのって、この場にいるのくらいだから……」

 

「お姉さん、俺を戦闘狂(バトルマニア)か何かと勘違いしてませんか!?」

 

「そこまでは言わないけど……、あなただってかなりの負けず嫌いでしょ? じゃなきゃ素質はあってもそこまでの能力は得られないわ」

 

流石にそれは否定できない。この人、結構人の事を良く観察している。人の上の立つ者の素養って奴だろうか?

 

ダンジョン紹介と前魔王さんのスパーリングについては了承したが、バニルが何やら面白そうにしながら口を開き、

 

「うむ。その小僧を自分の城の近くに招き、親交を深めようとする魔王よ。残念だがもう手遅れである。貴様の勝ち目はこの小僧が単身魔王城を訪れた時であるからな。それでどうにも出来なかったのならば、諦めるが吉」

 

「何よ! そんなのやってみないと分からないじゃない!」

 

「だがな、貴様がその時にこの小僧を落とす事に成功すれば、その後、小僧は程なくしてあの義妹によって命を奪われてしまうのである」

 

それって……、カズマ達が占いで見たっていう俺とかすみが相打ちになってしまう光景の話だろうか?

 

「まあ、その場合……、そこの方向音痴魔王は小僧の忘れ形見を――」

 

「「……えっ!?」」

 

バニルからすっごくヤヴァイ発言が聞こえた気がした……。俺とお姉さんがお互い顔を見合わせて困惑していると、

 

「しかし、もうすでに遅し。貴様は千載一遇のチャンスを掴めなかったというわけだ! フハハハハハ!!」

 

「う、嘘よ……!? そんなの信じないからあああああ!!」

 

バニルが完全に相手をコケにするように高笑いをしてしまったので、お姉さんが泣きながら店の外へ走り去ってしまった。迷子になっちゃうかもしれないから、後で探しに行くとしよう。

 

「悪魔め……!」

 

「我輩は見ての通り悪魔であるが? それよりも小僧、貴様は早いうちに結論を出すのが吉。相手を選ばぬという選択肢もあるが……、その場合……」

 

「何だ? その場合は一生独身で寂しく暮らして行くのか?」

 

それならそれで悪くはない……かもしれない……かな?

 

「そんなわけは無かろう。その場合、貴様はロリコンの称号を冠する事となる。それでも良いのなら、そうするがいい! フハハハハハ!」

 

「ふざけんな! 何で俺がそんなのになるんだよ!? ってか前にも言ってたらしいじゃねえか! かすみにでも手を出すってのか!?」

 

コイツ場合、からかっているのか、それとも本当なのかが分かり難い事がある。だがこれはいくらなんでも我慢ならないので、テーブルを思いっ切り叩きながら抗議をしてしまった。

 

「その道も無くはないが……、それを回避したとしても義妹よりも年下の娘を娶り、特にアクセルの男性冒険者からは、ヒカルゲンジケイカクを成功させ、男の浪漫を体現した『偉大なるロリコン』または『最強のロリコン』と呼ばれるであろう!!」

 

「嘘だ……!? 俺はロリコンじゃない……!? そんなの……ある筈が……」

 

「その未来の貴様は公務員をしながら天然温泉付きの宿の経営を手伝い、楽しそうに暮らしているが? 嘘だと思うのなら、今は特定の相手を作らなければ良い。それで後に証明されよう。フハハハハハ!!」

 

信じない……。そんなの信じられるわけがない……。

 

失意のどん底で、無言のままウィズ魔道具店を後にすると、俺が去った後の店内では……、

 

「バニル……、あなた……はっきり言ってドン引きよ?」

 

「何を言うか、ニート神。悪魔は人間の悪感情を喰らう存在。小僧は、あの程度でどうにかなるようなタマではあるまい。それに……」

 

まだ何かあるのかと、どうせまたおちょくられるだけかも知れないが、そこは覚悟してバニルの言葉を聞き入っていた。

 

「小僧の場合、あの兵器の小娘に対し自分の親と同じ事している故、無意識のうちに自身を下に見てしまっておる。その自信の無さがネタ種族の小娘共のアプローチを受け入れられない原因でもあるのだが……」

 

「バニルさん!? そこまで見通してたなら、アドバイスの一つでもすれば良かったじゃないですか!」

 

「我輩の見通す力によると、それをせぬ方が面白くなりそうだったのでな。我輩がどうこうするまでもなく、結局は収まる所に収まるだろう」

 

ウィズとウォルバクさんは、冷や汗をかきながら目の前の悪魔の性格の悪さを再確認してしまっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺はロリコンじゃない……。俺はロリコンじゃない……。俺はロリコンじゃない……」

 

俯きながら、冒険者ギルドまで無意識のうちに来てしまっていた。特にすることも無いのだが、酒場で飲んでいるカズマとそれに付き合っているダスト達を見つけてしまい、思わず……、

 

「カズマあああ……、ダストおおお……、キースううう……、俺は、ロリコンじゃないよな!? なあ!!」

 

「い、いきなりどうした!? 何でお前がロリコンなんだ!?」

 

泣きながら詰め寄られたので何事かと思ったのだろう。3人とも飲むのを止めて俺の話に聞き入ってしまっていた。

 

「うーん、こめっことフラグが立ってる気がしなくもないが……。紅魔の里には銭湯はあるが温泉は無いし……、ひょいざぶろーさんが掘るのか?」

 

「バニルの旦那の力なら信憑性はありそうだが……、下手すればあの義妹の嬢ちゃんに手を出すのもあり得るのか……」

 

「先生もシスコンだが、あの子もブラコンっぽく見える時もあるからな……。それより年下に手を出すか……」

 

カズマ達も腕を組みながら考えてしまったようだが、情報の出所がバニルというのもあり否定し難いらしい。

 

「誰か嘘だって言ってくれえええええ! 俺はそんなのになるはずないって! そう言ってくれ!!」

 

「ああ! 分かった、分かったから! お前はロリコンじゃない! だろ、ダスト、キース?」

 

「そうだぜ! お前は魔王の姉さんのスリーサイズを見逃さずにきっちり測ってたんだ! そんな奴がロリコンなはずはねえ!」

 

「ロリっ娘メイドなんて、それはメイドじゃない! ……って言い切ってたじゃないか! 大丈夫、先生はロリコンじゃない!」

 

そうしてみんなに励ましてもらいながら、カズマ達と飲み明かし朝帰りしてしまった。そして……、次の日の朝、

 

「……カズマはともかく、ユウまで朝帰りとはどういう事でしょうか? カスミも寂しがっていましたが?」

 

「お兄ちゃん……、わたし……夜遅くまで待ってたのに……」

 

「い、いやな……、飲んで忘れたい出来事があって……」

 

正座してる俺の目の前には、パジャマ姿の仁王立ちで腕を組み、瞳が攻撃色になっているめぐみんと、今にも泣きそうになっているかすみの姿があった。

 

「その……な? 俺がロリコンになるかどうかの瀬戸際だったんだ! これには深い訳が……」

 

「意味が分かりませんよ! 何がどうなってロリコンが出てくるのですか!?」

 

「あの仮面野郎の策略だ! 俺は悪くない! そうだ、これからヤツの残機を減らすために俺が拘束してから、爆裂を――」

 

「ええいっ! いつもの様に話を逸らさないで下さい! 普段はしっかり者なのに、どうしておかしな方向に行ってしまう時があるのですか!? もっとこう……、カスミに名前を教えた時の様にキリッとしていれば……」

 

「お兄ちゃん……、わたしの事嫌いになったの? ぐすっ……」

 

めぐみんお怒り心頭で、かすみまで泣き出しそうになってしまった。なのでカズマに助けを求めようとそちらを向くと、

 

「カ、カズマ!? いない!?」

 

「カズマなら、掲示板でクエスト探して来るって出ていったわよ?」

 

速攻で裏切られてしまった俺であった。その後のお説教はもう思い出してはいけない何かとなってしまっていた……。




レベル上げ、みすてぃ編とラブコメがごった煮になりそうな気がする。うまくいかなかったらごめんなさい。

バニルが言っていたのは、ここで誰ともくっつかなければ、かすみルート、それも回避すればルーテシアルートになるって事です。
ルーテシアルートについては、65話の後書にちょっと書いてます。

めぐみんが結構強気な感じになってますけど、これは48話で爆裂道を進むかどうかを迷った時にカズマさんに選ばせずに、自分でどうするかを選んでいるのが効いてると思ってください。多分それが自信に繋がっているはずです。



とある平行世界 ~魔王の娘さんルート~
本編100話のバニル占いで見えた世界です。主人公的にはバッドエンドですが……、他は……?


ノイズの兵器である少女と少年の戦いは引き分けに終わった。少女は氷の柩に封印、しかしながら少年は満身創痍などと言った言葉が生ぬるいくらいの傷で、そのまま生を終えていた。そして、アクセルにいた彼の仲間はその惨状で愕然としてしまっていた。
女神アクアの蘇生ですら不可能と成り果て、自分達はその無力を噛み締める他なかったからだ。その傷だらけの少年の遺体へと寄り添う者が一人。

「……彼の遺体は貰っていくわ。お仲間が来た時に引き渡すから。それはあなた達じゃない、分かるわね?」

魔王の娘は、血だらけで体の一部が欠けている彼の体を優しく抱きあげて城へと持ち帰ろうとしていた。そして、それに文句を言える者はこの場で誰一人いなかった。

「……ねえ、魔王を倒すと勇者って呼ばれるけど、彼は何だったのかしら? 何の報酬も無いのに世界の崩壊を食い止めた愚か者? それとも……」

魔王の娘はカズマ達を一瞥し、遺体を抱えたまま氷の柩に封印された少女も共に城へと転移を行っていた。



一年後、アクセルにて。

「ウィズ……、いつからこの店で赤ちゃん用品扱うようになったのよ?」

「これですか? 魔王さんからの注文で手配したんです。なんでも、お孫さんが生まれたそうで……」

ウィズ魔道具店を訪れていたカズマ達であった。あの事件以降、彼がいないだけの変わらぬ日常を過ごしてはいるが、どことなく無気力となってしまっていた。
アクアが不思議そうに赤ちゃん用のベッドを見てはいたが、めぐみんが怪訝な顔で、

「あの女、結婚したのですか? ユウに唾つけたがっていましたが……、そんなものでしたか」

魔王城の最後の光景。彼の遺体を城へと持ち帰り、ミッドチルダから来たはずの彼女達に引き渡したはず。それについては、自分達が何かを言えるわけではないのは分かってはいるが、納得はいかない。

「ふむ。これはなかなかよく撮れておるな。魔王と言えど、孫の前では形無しといったところか。フハハハハハ!」

「なんだ? 写真か……、このジジイが魔王で……抱いているのが……ま……ご!?」

カズマが魔道カメラで撮られた写真で驚いたのは魔王の姿ではない。当の魔王は、孫をゆるゆるな顔で抱っこし、高い高いしながらジジ馬鹿だと一目で分かる状態だった。問題は赤ん坊の方だ。

「つ、角は生えてるが……、黒髪と、この面影って……!?」

カズマから聞こえた、まるで信じられないといった声色でその写真を覗き込む全員だった。それを見てカズマだけでなく、アクア達ですら同様の想像をしたらしい。

「……バ、バニル、この赤ん坊っていつ頃生まれたんだ?」

「約2ヶ月前であるな」

カズマが何気なく赤ん坊の誕生日を訪ねていたが、今度はアクアから、

「ち、父親は魔族なの?」

「この赤子の父親は人間である。加えるなら、もうこの世にはおらぬな」

そこまでで全員が確信してしまった。2ヶ月前に生まれた子供で、仕込んだ時期と父親が人間とくれば……と、そこまで考えたところで、バニルが詳細を語りだしていた。

「始めは押し倒され、半ば無理矢理ではあったが、そこからは魔王の娘が参るほど激しく攻め立てたため、女は腰が抜けてしまい戦闘には加勢する事も叶わず――」

「や、ややや、止めて下さい! そんな生々しい話など聞きたくありません!」

パーティーメンバーの忘れ形見ともいえる赤ん坊の写真を見ながら、愕然としてしまったカズマ達だった。



これは実はR-18練習用に書いていた物を大幅に削っていたりします。
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