この素晴らしい世界にリリカルな魔導師を!   作:ゴマフアザラシ

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今回はちょこっとセクハラっぽい内容もあるかもしれません。


子供は時に大人の想像を軽く超える

今日も今日とて、休日を利用して魔王城近くのダンジョンへと潜っている俺達であった。カズマやゆんゆんにアクセルの屋敷をテレポートの転移地点に登録してもらい、同じくダンジョン内での下の階に降りる階段も登録して貰えば、わざわざ魔王城へかすみを預けることなく行き来が可能となる。だというのに……、

 

「お兄ちゃん、今日はお城に行かないの?」

 

かすみさん、魔王城が気に入ってしまったらしい。先日初めてダンジョンに潜った際に、託児所代わりとしてかすみにそこで待っていてもらったのだが、先代魔王さんからケーキご馳走になったり、遊んで貰ったりしていた。その他には、

 

「……何でお菓子をこんなに貰って来てるんだ?」

 

「これは……貴重な……もはや滅んだ国の金貨だ!? 歴史的な価値も相当な……!」

 

などなど、そこにいた魔族達からも色々とお土産を貰ってきてしまったらしい。お菓子はともかく、この金貨は一枚とはいえ貰ってきて良い物か……と悩んでしまう。この子も魔性の妹の素質があるのだろうか?

 

お土産はこれだけでなく、ぺらっとした紙が一枚。

 

「何々……? やられたらやり返すのが教義。信者からは”散々貢がせた挙句、こっ酷く自分を振った男をどん底に突き落としてくれた。”とか、”結婚詐欺を働き、全財産を巻き上げた女を無一文にしてくれた。”などの御利益があると聞こえています……」

 

これ以上この内容を読んではいけない様な気がするので、クシャっと入信書っぽい紙を丸めてゴミ箱へシュート。綺麗な弧を描きながら、その紙はこの世から存在を消し去られたのだった。

 

「この紙はもう貰ってきちゃ駄目だからな? いけないオーラを感じるから」

 

「優しそうなお姉さんだったけど……。この金貨を自分にくれたら、入信しなくても傀儡と復讐の女神の祝福があるからって――」

 

「……かすみ、お兄ちゃんとしては……そんなおっかなそうな宗教とは関わり合いにはならないで欲しいなあ……」

 

傀儡と復讐の女神って、昔かすみと戦ったもう一方の神様じゃないのか? なんてのを思い出してしまったが、それを教えてしまうとその神様の縁者とか何とか言われて、ややこしい話になりかねないので黙っていよう。

 

「そんな暗ーい内容の名も無き女神の信者なんて放って置いて。今日もダンジョンに行くの? だったら私も連れて行きなさい! 回復が役に立つわ」

 

「あのダンジョンは私の理想の様な場所だ! 早く行こう、すぐに行こう!!」

 

などと、アクアやダクネスに引っ張られてレベル上げに繰り出すことになった。しかもテレポートを使えるカズマとゆんゆんがいないといけないので、彼らはほぼ強制参加だったりする。残りのめぐみんとかすみはアクセルの屋敷でお留守番なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

そんなのを思い出しながら、ダンジョンを攻略する事、数時間。階段を降りてすぐに、サッカーボール位大きさの何かがゴロゴロと転がって来ていた。暗がりで何かと思ったが、ゆんゆんの足元に止まっても特に危害を加えられているわけではないので、彼女はその謎の物体を手に取ると……、

 

「はあ……はあ……はあ……! 地肌が見えているというのに、際どい所で隠れている見事な谷間……! そのネクタイの様に自分も挟んで――」

 

ゆんゆんが持っているのはボールではなく、かなり懐かしいがベルディアとは違うデュラハンの首である。デュラハンもかなり上位のアンデッドと聞いているが、持っている物の正体を知ったゆんゆんの顔が見る見るうちに青ざめていき、

 

「いやあああああああ!?」

 

首なし騎士の首の部分を全力でぶん投げていました。

 

「……デュラハンってのは、あんなのしかいないのか……?」

 

「首が離れるとやってみたくなるのかも……。こう……やっちゃいけないけど、やってみたいみたいな?」

 

カズマと呆れながらベルディアと戦った時を思い出していたが、すぐにその首の主が自分の左手に頭の部分を乗せ、

 

「人間の冒険者とは珍しい。特にそちらの谷間は素晴らしいの一言に尽きる。さあ、この自分と――」

 

「……『スティール』」

 

カズマがスティールを発動させる。アクセルに来たばかりの頃は流水で弱体化させなければ、レベル差でスティールは効かなかったが、現在ではカズマも高レベル冒険者である。なので例えデュラハンであっても当たり前の様にスティールは有効な手段となるのだ。

 

「……何で、首が盗まれるんですか?」

 

デュラハンさんも、これに関しては想定外も良い所だろう。普通は良くて武器を奪うのが関の山のスキルで自分の本体ともいえる頭を奪われてるんだ。はっきりいって気の毒以外の何物でもない。

 

「すまん、俺のゴッドブローで浄化して止め刺すか。良いよな?」

 

「ちょっと待て。コイツに聞きたい事があるからな」

 

カズマからストップが掛かってしまったが、何をするつもりだろうか?

 

「……お前、『死の宣告』を使えるだろ? どうだ? それを俺に教えたら、この場は見逃してやってもいい……。悪くない話だろ?」

 

「ちょっとカズマ、何でアンデッドの汚らわしいスキルなんて取る気なのよ! こうなったら私の宴会芸スキルをポイントの許す限り、修得させてあげるわ!」

 

「『死の宣告』など……、何に使う気だ?」

 

アクアやダクネスの疑問も最もだが、その答えは――

 

「なーに、この先アイリスやかすみに変な虫が付きそうになった時の為さ。もしこれ以上、おかしな事をするのなら呪って、解呪して欲しくば言う通りにしろと――」

 

満面の笑顔でそのセリフを口にするカズマに、

 

「自分もドン引きなんですが……」

 

『死の宣告』の修得者であるデュラハンさんも、どう返したら良いかも分からなくなってしまったようだ。

 

「ええと……、その……、いくらなんでも良心が痛むのでそれは遠慮したい……」

 

デュラハンから、その回答が聞こえたその時、

 

「『セイクリッド・ターンアンデッド』ッ!」

 

「アクア!? 何しやがる!」

 

「何って……迷えるアンデッドを天に返してあげただけよ。スキルを教えるのを躊躇うくらいには、良い子みたいだったしね」

 

アクア的にはこれ以上アンデッドのスキルは覚えて欲しくはないらしい。というか……、

 

「一応、俺のレベル上げだから、止めは譲ってほしかった……」

 

「「あっ……!?」」

 

二人して忘れてたのかよ、と言いたかったが、それは我慢してダンジョンを進むとケルベロスだのミノタウロスだのオルトロスだのと言った、それはヤバそうなのばかりと遭遇し、何とか全て倒してテレポートで帰路に着く事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まだ夕食には早い時間帯。リビングでみんなとゆったりしながら雑談している中、

 

「そうだ、来週は多分ダンジョンは無理かも。ちょっとだけ面倒事が舞い込むかもしれない」

 

「もしかして、大きい仕事で休日も帰れないと……?」

 

「仕事っちゃ……仕事だが……はあ……」

 

溜息しながらの受け答えに不思議に思ったらしい。ダクネスが何かを察したように、

 

「気の乗らない仕事もしなければならないのは仕方ないだろう? 冒険者の様に自由に生きているわけではない。私も立場上、そういったのは分からなくもないが……」

 

「その通りなんだけど……、出来れば誰かに変って欲しい。自分の部署の仕事ならともかく、広報部で出してるパンフレットの人物紹介で俺を使いたいとか……」

 

「「「「パンフレット!?」」」」

 

一同が見事にハモり、こちらを見詰めている。嫌な予感がする。

 

「何? パンフレットって……? どうしてそんな話になってるの?」

 

興味津々とばかりにアクアからの質問が飛んできていたので、

 

「ほら……俺のとこって、軍隊とかも兼ねてるだろ? 要は結構な戦力があるわけで、普通の人からすれば、得体の知れない部分もあったりするわけだ。そんな人達に、こんな感じで仕事してるんですよーって紹介したり、普段どんな感じで生活してるとかを写真付きで載せたりと――」

 

「つまり……ここに取材に来るのね!? 異世界にもアクシズ教の素晴らしさが認識される日が来るなんて……!」

 

ここに取材に来るとか言ってないし、アクシズ教徒はこの世界だけで留めておきたい。ほんとにマジで。

 

「もしかすると……私の爆裂魔法も異世界で紹介させると……! そういうことですね!?」

 

「魔王を倒した男として、一躍有名人に……か。とうとう俺の時代が来たああああ!」

 

めぐみんとカズマまで勝手に盛り上がっている。

 

「普通に名前を言っても大丈夫ですよね!? それともあだ名呼びで済ませてもらうとかの方が……」

 

ゆんゆんまで……、何でここに来る前提だよ!? 俺は適当に仕事風景とかだけでお願いしようと思ってたのに……。

 

「だ、だから……仕事してる所とか、あっちの宿舎の方で料理でもしてる風景で終わって貰うつもりで――」

 

「「「「えっー!?」」」」

 

そんなに残念そうな顔するなっての。何で……こうややこしくなりそうな方に話を持って行く必要があるってんだか……。

 

「そんなんだから、来週は週末でも帰るのが遅くなるかもしれない。悪いがかすみを頼む」

 

そうして、ちょっとだけ強引に話をまとめてこの件は終了となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……家族と一緒に過ごしてるシーンもですか?」

 

「ええ。最近噂になっている妹さんと遊んでいる場面などあればもってこいですね」

 

本局広報部執務室にて、パンフレットに関する打ち合わせをしていたところ、そんな希望も持ち上がってしまっていた。いつの間に、そこまでの噂になっていたのかまでは分からないが、かすみに関する詳細事項は『秘匿』となっているので、そこまでは知ってはいないようだ。かすみを本局に連れて来た頃、一緒に歩いていたりして見られていたから、それでだろう。

 

「正直なところ……、高町ニ尉(エースオブエース)やハラオウン執務官の方が良い宣伝になると思うんですが……」

 

「そちらはもう真っ先にやってしまいまして……。やりつくした感もありますので、彼女達の近くにいた人の特集という意味もあるんですよ」

 

「俺は目立たないくらいで丁度良いんですよ。あいつらに比べたら、そこまでじゃないですから……」

 

「何を仰いますか。今やエースの一人にして、本局、地上部隊でも名の知られている方が」

 

そんなのを担当者から言われてしまった。ともあれ、これならば仕方ない。色々と準備をしなければ……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

長く生きてるあたし達でも、腐れ縁ってのがあるとしたらこんなのを言うのかもしれない。最初に出会った時は敵同士。まあ、もう一人の方に比べたら弱っちいガキだったが、最近じゃあ実力を伸ばしてあたしだって油断ならない相手だ。

それに……、このところ雰囲気が落ちついて来てるのもあるが、それは多分……義妹(実質娘)が出来たのもあるのだろうと思ってる。あのクソ生意気なガキンチョが……、あたしを”エターナルチビィータ”って呼んで、取っ組み合いの喧嘩をしてた奴が、そうなってるのは少しずつでも成長してるんだろうな……。そう思うと、それはそれで面白い。

だというのに……、

 

「かすみも取材されるんだって! ここはフリフリのドレスとかでおめかしして、髪型も可愛くして、アクセサリーとかも何かセンスのある奴を……」

 

何でこの馬鹿は……、それを簡単にひっくり返しやがるんだ!?

 

「あたしのちょっとした感動返しやがれ、ゴラアアア!!」

 

「いきなりキレてんじゃねーよ! こっちとしちゃ一大事と八神家に相談に来たってのに!!」

 

「日常生活を取材つってんだろうが! いつも通りで良いんだよ! いつも通りで!!」

 

「ヴィータ、それはな……、建前って奴だ。本音ではやっぱり可愛らしい写真とか必要な筈だ! というわけで、同じくらいの体格のヴィータちゃん秘蔵のアクセサリーとかあったら貸して! でもでも呪いウサギは無しで。あれは口が縫われてたりで割と怖いから」

 

「あたしの趣味が悪いってのか!? いつかの決着付けるか、てめええええ!」

 

義妹との写真も欲しいと言われたので、ちょっとだけオシャレをさせた方が良いと、勤務後に女性率の高い八神家を訪ねて相談していたのだが、何故か突然ヴィータにキレられながら喧嘩を売られるわで少々困っていた。そこへ……、

 

「あー、ちょう落ち着いて。ヴィータの言う通りや。ドレスなんて着せたらドン引きされるよ?」

 

「……そうかなあ。せっかくだから、可愛くしたいんだけど……」

 

「かすみはそんなん着なくても、可愛いと思うよ? むしろ下手に飾り付けると可愛さが半減やで。そのままの方が引き立つタイプの筈やから」

 

「な、成程……、それは一理あるか……。流石はやてだ。かすみはシンプルイズベストが一番可愛いと」

 

はやての説得で納得している俺の様子を、

 

(流石は主。あれの暴走をうまく制御したか……)

 

(はいです。何と言うか……、はやてちゃん慣れてます)

 

(悠君もあれで、一旦躍起になると止まらないから……。最近だと珍しいけど……)

 

などなど、念話で会話しながら疲れたように姐さん達が俺を眺めていたらしい。

 

「そんなに気張らんでも、撮影は任せておけば、可愛く撮ってくれるやろ。何せプロの仕事や」

 

「そうか……、そうだよな! 騒がせてしまって済まない。というわけで、俺は本局の宿舎に戻る――」

 

頭を下げて八神家から立ち去ろうとしていたが、

 

「そういえば……、今週は地上の方で任務ちゅうとった気がするけど……、泊って行く?」

 

「良いのか? ってか、その年で普通そんなの言うか? 割と心配になるぞ……」

 

「昔、航空武装隊試験受ける時も、試験勉強で海鳴の方の家に泊まり込んどったやろ? 今更や」

 

まあそうだけど。特に姐さん所属の首都航空隊なんてのは難関だったからな。机に山のように参考書を積んでたよ。

思い出を振り返るのは良いとして、客間を用意してくれるらしいので、ここはお言葉に甘えるとしよう。

 

(今、一人にしたらまた暴走するかもしれへん……。出来るだけ監視しておかな……)

 

そんなはやての思惑などは知る由も無く、その日は八神家にお世話になり久々に姐さんと語らったり、ヴィータとゲームで対戦したりと楽しい夜を過ごしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、取材当日。

こちらの世界での取材は日常生活の方のみで、仕事風景やインタビューに関しては勤務中に概ね終了している。

 

「初めまして。今日は宜しくお願いしますね」

 

「はい……。こちらこそ……」

 

広報部の職員がにこやかにかすみへと挨拶をしているが、当の彼女は緊張している様で、ガチガチに固まった挙句、歩く際に同じ方の手と足が出てしまっている。

 

これはまずい……。顔も強張ってるし、これじゃあ撮影どころじゃない。ならば……!

 

「散歩風景とかでいいなら、一緒に歩きますので、ちょっと離れた所から撮影して貰って良いですか?」

 

「その方が良さそうですね……? 人見知りな方みたいですし」

 

担当者はそれで納得してくれたようだ。なので適当に手を繋ぎながらアクセルの街を散歩していると。

 

「カスミか……。今日はユウも一緒でご機嫌のようだ」

 

「あっ……、ねえ、飴食べる? 丁度貰ってきたところでさ」

 

テイラーとリーンにバッタリ出会ってしまったので、世間話をしながら立ち止まっていると、

 

「ちょっと意外でした……。准尉はもっと硬い雰囲気がありましたから……」

 

「こっちにいる時だと大体あんな感じだけどな。むしろ仕事中のあいつはどんな感じなんだ?」

 

「やる時はきっちりやりますが、出会った頃と比べても砕けて来ましたからね。あの頃みたいな感じなのでは?」

 

仕事中とプライベートはきちんと分けているという事だろう。そう感じたカズマ達だった。広報担当者が続けて、

 

「エースオブエースの幼馴染にして捜査だけでなく、教導もこなし……、とある事件解決に尽力して、その名が知られるようになったエリート魔導師というのが、私達の認識でしたから……」

 

「とある事件ってのは?」

 

「詳しくは話せませんが……、巧妙に隠されていた広域犯罪組織の本拠地を見つけて単独で出動し、後から駆けつけた増援が加勢するまでも無くほぼ全員を捕縛していたとか……」

 

あいつならその位はやれそうだ……。と考えてしまったが、敵側も魔法使いがいるとなれば、そう簡単な事では無いかも知れない。アクアが何かを思い出したように、

 

「もしかして、ユウってそんな状況は慣れてるの? 前にアクセルの男性冒険者を一気に相手した時もあったから……」

 

「そうですね……、准尉ほどの実力なら、というか単独で動ける方というのもそうそういませんので……。大体がチームを組むのが多いですが、手が回らない場合も多くて……。一人で出動できるのも強みではあります」

 

「単独行動できるのがメリットですか……。紅魔の里や、かすみの時もそうしてましたから……。でも、だから一人で無茶するのも当たり前の様になってしまっていたのでしょうか……」

 

少しだけ寂しそうにめぐみんが昔を振り返っていたようだった。

 

しばらくして遠方からの写真撮影も終わりになり、そろそろ慣れて来たという事で目の前にカメラがある状況での撮影となったのだが……、

 

「やっぱり緊張してるのか? うーん、これならどうだ! うりゃ!」

 

「お、お兄ちゃん!?」

 

いきなりだったので驚いてしまったらしいが、かすみを肩車してみると、あちらも良い画が撮れそうとの事で、楽しみながら撮影を行っていた。それも一通り終了して今度は撮影ではなく、かすみにちょっとしたインタビューをしたいらしかった。家族からの一言とかそんなのが欲しいらしい。

 

「ええとですね……、准尉じゃなかった、お兄さんに何か言いたい事とかありますか?」

 

「いつも帰ってくる時は、お土産買って来てくれてありがとう! お休みだと遊んでくれるし、一緒にいるとすっごく楽しい!」

 

普段から面と向かって言われてはいるが、人の前だと結構気恥ずかしいもんだ。

 

「ねえねえ、ユウもちょっと照れてるわね? あんな顔見るのも悪くないわ」

 

「まっ、あいつは仕事も頑張ってるからな。かすみだってその辺は分かってるんだろ」

 

「私は……最近こめっこには、姉ちゃんはおこりんぼとかさみしんぼとかしか言われてませんね……」

 

「めぐみん、それはそれでコミュニケーションの様なものだろう。あまり気にするな」

 

カズマ達がこちらに聞こえない様にヒソヒソ話をしていると、まだかすみに対して質問があるらしく、

 

「でしたら、お兄さんにお願いとかはありますか?」

 

かすみの俺に対するお願いか……。出来れば毎日帰ってきて欲しいとか、休日ももう少し一緒にいたいとか……。それとも旅行でアクセル以外の場所に行ってみたいとかかな?

 

そんな想像を頭の中で巡らせていたが、その予想を裏切る回答が飛び出していた。

 

「ううんと……。だったら……、弟か妹が欲しいです!」

 

意外過ぎる言葉に一瞬固まってしまったが、そのままになっていてはいけない。なので、

 

「か、かすみ? それを言ったらエリオやキャロだって弟や妹みたいなもんだぞ? 何でまた……」

 

「だって、下の子がいればやっぱり楽しいってめぐみんお姉ちゃんが言ってたし、リンディさんの家で抱っこした赤ちゃんも可愛かったから……」

 

かすみさんの希望はともかく、これはパンフレットに載せる際はちょっと修正して欲しいなと思い、広報の方へ、

 

「今のは……オフレコでお願いできますか? そのまま記載するのは……」

 

「あら、良いじゃないですか。小さい子らしいお願いですよ」

 

良いのかよ。俺って17歳ですよ。どっかで子供拾って来いとでもいうのだろうか?

 

一通りインタビューを終えて、あちらの担当も取材は終わりいう事で戻って行った。だが屋敷に帰ってから、かすみがうんうんと唸っているのでどうしたのかと尋ねると。

 

「ねえ……、赤ちゃんってどこから来るの?」

 

それは、子供を持つ親が一度は経験するであろう難問である。この年でこんな質問されるとは思わなかったが、どうしたもんか。

 

周囲の様子を見ると、カズマ達も困った顔をしていた。これがダクネスの親父さんや、めぐみんのご両親ならうまく答えられるんだろうが、親になった事の無い俺らにはあまりにも難解過ぎた。どうやって教えれば良いだろかと、脳内で色々と考えていた。それはもう、一秒が十分くらいに感じる程に脳内思考を加速させて頑張った。

 

日本だと、コウノトリが運んでくるとか、キャベツ畑に実ったのを拾ってくるとかってので誤魔化していた筈。そして、ここは日本文化が伝わっている異世界。だったら……、

 

「赤ちゃんはね。キャベツ畑に実ったのを、空飛ぶキャベツが運んで来るんだ」

 

その答えにシンと静まり返る屋敷のリビングだった。程無くして、

 

「「「「そんなわけあるか(ありません)!」」」」

 

俺以外の全員が、大声張り上げて否定していた。

 

「ちょっと待て!? もしかしてこっちって……、子供にもちゃんと教えるのか!? 異世界舐めてた……」

 

「違います! それは違います! しかし何でキャベツが出てくるのですか!? 大体、経験値の為に捕まえるのですから、赤ちゃん運んでいないのは一目瞭然でしょう!」

 

めぐみんの言う通りだが、だったらどうやって誤魔化すか……と、またまた思考を加速させていたが、かすみの方を向くと、

 

「お兄ちゃん……何で嘘ついたの? わたし以外は知ってるし……仲間外れ?」

 

「ち、違うんだ! そうじゃない。これは……そう、大人にならないと知っちゃいけないんだ!」

 

自分だけ除け者にされたと感じてしまったかすみは涙ぐんではいたものの、

 

「そ、そうよ! 良い? 大人になってからじゃないと、知っちゃいけない事もあるの。だから今はまだ……ね? 手品見せてあげるから!!」

 

アクアにしてはかなり気を使ってくれていた。女神様と言えど、これは難儀な案件だったらしい。

 

「もう教えちまえばああああああ!? 何で槍だしてんだ!?」

 

「当り前だ! どうしろってんだ!? 良いか、おかしな言動したら覚悟しろ……!」

 

フォルテの穂先をカズマの鼻先に突きつけて、威嚇していると、

 

「まあまあ、落ち着いてください。良いですか、弟や妹でしたら今すぐというわけでは無く、気長に待っていてください。そうすればそのお願いは、いつの間にか叶っているかもしれませんよ?」

 

「そうだね……。あんまりお願いするとユウさんも困っちゃうから程々にね」

 

「ああ、今度、私の従妹も紹介する。今の内はそれで我慢してくれ」

 

俺とカズマの混乱は何処へやらといった雰囲気で、アクア以外の女性がかすみを優しく諭していた。

 

それにしても……弟か妹か……。技術部での事はまだ全然話して無いのに、偶然なのか……それとも何かの勘が働いたのか、子供ってのは怖ろしいもんだ。

 

そんなのを考えてしまい、かすみの説得で疲れ果ててしまいながら、技術部でマリエルさんから提案された事を思い返していた。




弟や妹でちょっとずつ融合騎フラグが立っていますね。

しかし、かすみさんもかなりの魔性かも知れない。
デュラハンに関してはかなり勝手な想像です。もしかしたら本当に真面目なデュラハンさんもいるかもしれませんが……。

主人公、ちょっと前に17歳になってます。
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