この素晴らしい世界にリリカルな魔導師を!   作:ゴマフアザラシ

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今回は融合騎の独自解釈と考察があります。ご注意ください。


子供の将来について悩むのは10代では早すぎる?

「ユニゾンデバイスの研究ですか?」

 

「うん……。今取り掛かろうと思ってる所でね。まだ案だけの状態だけど……」

 

アームドデバイス、『フォルテ』を受取った際にされた技術部所属のマリエルさんからの提案がそれだった。

 

ユニゾンデバイス――融合騎とも呼ばれるそれは、古代ベルカ特有のデバイスで、文字通り術者と融合する事により内部から補佐するためのデバイスだ。お互いの魔力を相互に使用可能になったり、同一魔法を使用する事で威力が倍加するなど極めて高性能なデバイスと言って良い。

 

ここまで高性能なデバイスが大量生産されなかったのは理由がある。まず術者にも融合するための適性が必要。そして、デバイス側の相性も必要になり、どんな融合騎とでも融合できるわけではなく、中には融合事故と呼ばれデバイスが主を乗っ取る事例もあったのだそうだ。それが『闇の書』では毎回起こっていたりと、様々な問題があったらしい。

 

「それならリインのデータがあるんじゃ……。それだけだと足りないとかですか?」

 

「もしかしたら……、古代ベルカ時代の融合騎とか発見されるかもしれないし、その時のためのノウハウがあった方が良いかもしれないから……っていうのが、理由だけどね。メンテナンスとか修復とかのだけど」

 

ユニゾンデバイス製作技術自体が、古代ベルカの終焉と共に失われた技術となっているはずだ。リインを生み出した時だってユーノの無限書庫での参考図書探索や技術部の試行錯誤の末、2年の歳月をかけて完成させている。

 

「悠君の戦闘データ……、かすみちゃんと戦った時のだけどね。他者の魔力を受取るだけじゃなくて、その魔力で感応速度も魔力量も桁違いになってた上に、身体的な変化まで現れてたでしょ? ただ魔力を受取るだけじゃ、あんな風にはならないもの。これってユニゾンと同じ現象だから……」

 

確か昔……、海上でジュエルシードが暴走しかけた後に、なのはがフェイトに魔力を渡した事もあったはず。あの時は、そんなのは起こってない。

 

「つまりは他者の魔力と……、ある種の相互作用と言うか……、共鳴と言うか……、そんなのがあるのが融合適性だって事ですか?」

 

「表現としては難しいんだけどね。それにしたって誰の魔力でも良いってわけじゃないし、相性が重要って点では、ドナーとレシピエントの関係に近いかも」

 

確かに……、誰とでも融合できるなら、古代ベルカの時点で大量生産されてユニゾンデバイスだらけになってただろうな。

 

ユニゾンデバイスについてのマリエルさんの説明に耳を傾けていると……。

 

「失礼します」

 

「失礼しまーす!」

 

長い金髪で赤い瞳の誰が見ても美少女と口にするであろう執務官と、その補佐官をしているメガネっ娘が入室してきた。

 

「よ、よう……」

 

「う、うん……。ちょっとだけお久しぶり……」

 

アルカンレティアで一騒動あって以来、顔を合わせていなかったのだが、お互い少し硬い感じの挨拶を交わしてしまった。すると、メガネっ娘の補佐官――シャリオ・フィニーノが目を輝かせ。

 

「これが噂のミッド式アームドデバイスの試作機ですか? フェイトさん経由でなのはさんから聞いていましたけど、現場の試験運用は悠さんがするんですか?」

 

「まあな。相変わらず好きだな、お前さんも。フォルテもそうだが、丁度シャーリーが好きそうな話題が飛び出してたぞ?」

 

「何ですか、何ですか? 私の好きそうなって言えばデバイス関連ですか?」

 

この二人は定期メンテナンスに出していたバルディッシュを受取りにここに来たらしい。そこにうまい事かち合ったというわけだ。

しかしながらシャーリーは相変らず人見知りって物を知らない。この雰囲気を作り出すのは天性のものかも……。俺も昔、ユーノに面白芸人みたいと言われた事があるが……。

 

「ユニゾンデバイスに関する研究ですか……。文献だと人間サイズでは融合相性は極めて厳密になってしまって、リインさんみたいな小型サイズだと、融合相性に少しだけど融通が出来るんですよね?」

 

ユーノが無限書庫で発掘(あそこはある意味ダンジョンと言うか魔境なので、この表現が正しい)した文献によるとシャーリーの言う通りで、開発初期はアインスみたいなサイズ。後期ではリイン程度の大きさで、複数人とのユニゾンが可能となる。その後期型にしても、融合してデバイスの能力を十全に発揮できるかどうかは、相性が重要らしい。

 

「……? 悠君? どうしたの……?」

 

「あっ……。いや、話聞いてて違和感と言うか……、そんなのを感じて……」

 

頭の中にモヤモヤした物が漂ってるような感じだ。うまく表現できないが何かが引っかかる。

 

「ちょっと落ち着いて。何がおかしいと思ったのかを、まずは教えて欲しい」

 

「ええっとな……? 相性さえ合えば、他のデバイスを圧倒する性能はあるが、あくまで道具として見た場合だけど……、そこまで不安定なデバイスを一時期でも生産しようとした経緯ってのが、どうも見えなくて……」

 

「だから、結局は製品化には至らなかったっていうのが通説だよ」

 

フェイトの言う通りだけど、古代ベルカでは少なくとも研究するに値する戦果が出ていたから、人間サイズが小型サイズになったりと試行錯誤がされていたはずだ。

 

……リインははやてのリンカーコアをコピーしてコアの大本にしている。守護騎士達とも融合は可能だが、リイン自身の性能を100%発揮するには、はやてと融合する必要がある。

古代ベルカの融合騎制作方法が、はやてのリンカーコアをコピーしてコアの大本にしたリインと類似しているとしたら……。

 

「……あっ」

 

「「「……?」」」

 

俺以外の女性三人が不思議そうにこちらを見詰めていた。何か思い当たったのなら教えて欲しいといった感じである。

 

「何となくだけど……、融合騎は造ってから相性の合う適合者を探すんじゃくて、元々は適合者に合わせて造られてたんじゃないのか? インテリジェントデバイスみたいに。でもって、適合者に一番合う融合騎って言ったら、術者のリンカーコアをコピーして造り出した者って事じゃ……。何せ元々は自分のだから、相性なんて抜群だろうし。はやてとリインみたいに」

 

「うーん……。じゃあ……、ユニゾンデバイスが製品化されなかったのは……」

 

「融合事故が一番の原因ってはそうだと思うけど、一番最初の相性抜群の術者が戦死したり、戦列を離れたりすると、次の適合者が見つかってもデバイスとしては性能を十分に発揮できない事例でも多発したんじゃないかな? 人間サイズだとそもそも適合者が見つからなかったりとか」

 

その意味で言えば、アインスは例外中の例外といって良い。闇の書の転生機能で主を探す際は、他の次元世界含む数十億人どころか数百億人から『適合者』を探す。そこまでの母数があれば、人間サイズの融合騎の極めて厳密な相性を満たす存在が見つかる可能性は高くなるはずだ。

 

「まあ……、結局は推論の域を出ないから、その辺は考古学者の先生(ユーノ)にでも任せておきたいところだな」

 

「その理屈で言ったら、悠君のリンカーコアを大本にしたユニゾンデバイスなら、その子との融合で双方能力を発揮できるって事になるけど……」

 

マリーさんは何やら言いたそうに、シャーリーは先ほど以上に目を輝かせ、フェイトはちょっと困ったように俺を見ていた。

 

「……製作にはリインのデータがあるので、あの時ほどの時間は掛からないでしょうが、俺はやるとは言ってませんよ?」

 

「私も無理強いする気は無いけど、できれば協力して欲しいかな?」

 

「融合適性のデータ取りならどうぞ。ですが……、それ以上は考えさせてください」

 

俺にユニゾンデバイスあってどうするんだ、というのもあったが、どうも踏ん切りがつかないので融合適性調査のための身体検査等は了承したものの、デバイス製作についての返答は濁したままで技術部を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあああああああああ!!」

 

「うおおおおおおおおお!!」

 

衝突する魔力刃とライト・オブ・セイバー。その衝撃は模擬戦を見守っているカズマ達の所まで届いていた。彼らは思わず……、

 

「……地面が当り前みたいに抉れるのは”模擬戦”って言うのか?」

 

「た、多分、命を奪う気が無いのなら模擬戦って言うのよ……。何となくだけど……」

 

「これが本来の先代魔王の実力ですか……。まだまだ現役でできそうですね……」

 

「うん……。私達……よくあの時、アクアさんの力があっても勝てたよね……」

 

「ああ……。出来れば私も加えて欲しい物だ……。是非とも盾替わりに……!」

 

「お兄ちゃんもお爺ちゃんも頑張れー!」

 

かすみはかなりほのぼのとしているが、他は呆れたというか、疲れた様な視線を向けていた。

 

「ははははは! これだ! この感覚! 若い頃を思い出す! 血沸き肉躍るとは正にこの事!!」

 

「この爺さん、これで全盛期過ぎてるって……。その時代はどんなだよ!?」

 

「貴様はまだ伸びそうだが、まだまだ若いもんには負けんわ!!」

 

現在、俺と先代魔王さんは、現魔王のお姉さんが提案したスパーリング真っ最中である。先代さん、年せいか接近戦はあまりしたがらない様で、魔法を使っての戦闘を主軸にしているが地震で地割れは起こすわ、竜巻で大岩は舞い上げるわ、そこら中に落雷は鳴り響くわで魔王城周辺はすっかり見るも無残な惨状へと成り果てていた。

 

「舐めんなあああああ!!」

 

『Sword Drive』

 

現在、フォルテにファルシオンを連結させて使っているが、マリーさんの言ってた通りでリミットブレイク状態ではないが、集束斬撃をガンガン使って振り回してもガタが来る素振りすら見せない。本体自体を色んな機能を削った代わりに、純粋な武器としての性能を高くしているだけはある。

 

「抜剣……、『一刃皇焔』ッ!!」

 

抜剣に炎熱を付与してはいるが、先日のダンジョンのでドラゴンゾンビを相手した時とは違い、炎が燃え盛っているのではなく、ぱっと見では唯の魔力刃としか見えない状態ではあるが……、

 

「……? ちょっと熱くなったわね? 炎は見えないけど……」

 

「あれって……? 炎も圧縮して魔力の刃に組み込んでる? 燃えて熱が拡散しない分、刃の部分の温度が凄い事に……!?」

 

「さり気に新技か……。普段からどれだけ練習してたんだか……」

 

ゆんゆんは稽古を受けて俺の魔力の使い方を良く知っているので、『一刃皇焔』の性質を即座に看破していた。魔力の刃に触れただけで、その部分を焼き尽くす灼熱の穂先と化している。それが今のフォルテの状態だ。

だってのに……。

 

「ふはははははは!! 良いぞ! ワシの渾身の一撃喰らうがいい!! 『ライト・オブ・セイバー』ああああっ!!」

 

ふははははは……って、あんた何時からバニルになった!? しかもそのライト・オブ・セイバーに使ってる魔力量とか、ふざけんなってレベルの物量じゃねえか!? こっちは自分の分とそこら中にばらまいた魔力と、元々大気中にあったのとで漸く対抗してるってのに……!?

 

「あれでも互角ですか……。でも双方まだ余裕はありそうですね……。ユウにしても、”りみっとぶれいく”というのは、使う気はないでしょうし……」

 

「弱体化していない先代魔王があれ程とは……。ところでカスミは、あの抜剣は使えるのか? 大抵のは見ただけで使えるようになるだろう?」

 

「ある程度の魔力量だったら、集めて固められるけど……。お兄ちゃんの全力と同じくらいのは、今のわたしじゃ無理かな。あの圧縮技術はちょっと……。やり方は分かるけど凄い練習しないと……」

 

それを聞いて、目を見開いて驚いていたダクネスとめぐみんだった。そのまま口を開き。

 

「意外でした……。カスミでも出来ない魔法があるのですね……」

 

「めぐみんお姉ちゃんと同じくらいの威力の爆裂魔法だって無理だよ? わたしとお姉ちゃんだと、お姉ちゃんの方が上だから」

 

「ふっ……。我が爆裂魔法は名実ともに最強ですか……。しかし、カスミも私に負けてばかりではいけませんよ?」

 

そんな会話をギャラリーがしているうちに模擬戦は終了し、

 

「ぜえ……はあ……ふう……。あんたホントに爺さんか!? その髭とか付け髭で、シワも特殊メイクじゃないだろうな!?」

 

「ふう……。はあ……、そんなわけあるか! しかし、これは面白い一戦だった! ワシとここまでまともに戦えた者は何十年前だったか……」

 

俺と先代さん、二人共疲れ果てて座り込んではいたが、あちらは本当に満足したらしく爽やかな笑顔を俺に向けていた。

 

「しかし……貴様、迷いがあるな。それ自体は悪い物ではないが、自分の納得するように良く考える事だ」

 

一戦交えただけで、そんなのまで分かるもんなのか? そんな疑問が頭に浮かんでしまった。それを見透かしたように……。

 

「何、ワシも迷いくらいはあったものだ。女子トイレに首を転がすベルディアの頭を踏み潰してやろうかとか、周囲の者をおちょくってばかりのバニルの仮面を叩き割ってやりたいとか、城の財宝を盗もうとしたウィズをどうやって浄化してやろうかとか……だな。結局、奴らも結界維持には必要だったので、我慢する事で妥協したが」

 

……個人的な恨みをここでぶちまけないで欲しいなあ。

 

「なーに? 悩みなら私が聞いてあげるわよ? 話してみなさいな」

 

「アクアだと、犯罪じゃなきゃ何やっても良いって言われそうだけど……」

 

いつの間にか、俺達の近くに来ていたアクア達もその会話を聞いていたらしい。

 

「とりあえず……、今日はもうへとへとだから帰って休みたい……。先代さん、お付き合い頂いてありがとうございました」

 

「うむ。また来ると良い。そっちのお嬢ちゃんにもケーキを用意しておくのでな」

 

「うん!!」

 

先代さん、角生えてるのと、その能力を見ない事にすれば本当に気の良いお爺ちゃんと化してしまっていた。孫みたいで楽しいのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アクセルの屋敷に戻り、疲労からリビングのソファーに寝転がっていた。すると、

 

「流石にお疲れですね……。爆裂に付き合って欲しかったのですが。ゆんゆんかアクアにでもお願いしましょう」

 

「そうしてくれると助かる。先代さん強すぎだろ……。どんな化け物だよ……」

 

何気無い俺とめぐみんの会話に対し、

 

「どっかの誰かは、それをいきなりしばいて来いとか言ったけどな」

 

「……すまん。あの時は切羽詰まってたとはいえ、悪い事しちまった」

 

カズマがちょっとだけ恨めしそうに魔王城攻略の事を思い出してしまったようだった。

 

「ちょっと昼寝するー。また後でなー」

 

「わたしも一緒にお昼寝ー。ふああ……」

 

かすみも目を擦ってあくびをしていたので、ちょっとだけ眠いらしい。二人で自室のベッドの上に寝転がり、眠気から目を閉じる前に、

 

「なあ……、かすみは弟か妹が欲しいのか……?」

 

「う……ん? お姉ちゃんに……なりたい……かな?」

 

そこまでで二人共、スイッチが切れたように眠ってしまっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一時間後、先に目を覚ましたのはかすみだった。瞼を開けると、すうすうと寝息を立てて自分の横で眠っている兄の姿。

この屋敷というか、パーティー内ではいくつかのルールが存在する。その一つは昼寝中の彼は出来る限り起こしてはいけないという物だ。無理をすれば起こせないことは無いが、そこに至るまでに凄まじく大変な努力を要するためだ。

それはかすみも良く知っており、一度起こそうとした際は、抱き枕代わりにされてしまったといった経験をしている。かすみとしては、それはそれで良いのだが身動きが取れなくなるのも困る。なので、ここは静かに部屋から出てリビングへと向かう事にした。

 

「あら? 起きて来たわね。ユウはまだお昼寝?」

 

「うん。お兄ちゃん、一度寝るとなかなか起きないから……」

 

特にアクアは湖浄化の折、かなりおっかない目に遭っているので出来るだけ放って置きたいらしい。ふと魔王城前での先代魔王とユウの会話を思い出したようで……、

 

「そういえば……、何か悩みがあるとか言ってたわね? 話してくれれば良いけど……」

 

「まあ、そこまででもないだろ。本当に必要なら相談してくるって」

 

「でも心配になるじゃない。自分で抱え込みやすい性格だし……」

 

アクアとカズマがそんな会話をしていると、かすみが何やら首を傾げながら。

 

「お兄ちゃん、眠る前に……、わたしに弟か妹が欲しいかって聞いてた」

 

その一言にアクアが何やら謎が解けたと言わんばかりの明るい表情でもって自信満々に語りだして来ていた。

 

「そっか……ユウさんも……、もうそんなのを考える年頃になっちゃたのね……。あっちの世界じゃ適齢期なんてまだだけど、郷に入ればなんたらって言うから……」

 

「何の話だ? かすみのインタビューの時の答えだろ? そんなので……」

 

「カズマも鈍いわね……。ユウもそろそろ身を固めようと思ってるって事よ! カスミには自分はお兄ちゃんって言ってるけど、実質親代わりだし、そうなったらやっぱり相手がいた方が良いでしょ?」

 

アクアの予想というか……、もうこれが事実と言わんばかりの語り方をしてしまっていたので、それに反応したのが二人。

 

「「それって……、まさか!?」」

 

ハモった二人がお互いに目を見合わせ……、

 

「ゆんゆん、何故そこで反応するのですか?」

 

「めぐみんこそ……、何で自分の事だって思うの?」

 

双方、相手を威嚇する様なオーラを纏いながら、視線だけでケンカをしているような状況となっていた。彼女らは当然、自分から退く気は無かったが、

 

「まあ待て、少し落ち着け。いくらなんでも話が飛躍しすぎではないか? ここはちゃんと聞いてからだな……」

 

「ダクネス、この私の曇りなき眼に間違いがあるとでも思ってるの? あの時の小さな子がもうこんなになっちゃって……」

 

アクアが感慨深い感じで、視線を遠くにやっていると、

 

「アクアって……、あいつを……こう、自分の息子みたいに言ってる時があるよな?」

 

「だって、私の力の欠片を持ってる子よ? 実際に息子みたいなものなんだから!」

 

カズマはその答えに何となく納得してしまった様で、アクアに息子扱いされるユウを少しだけ同情していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目を覚ますとかすみはもう起きてしまっていたようで、自分一人だけがベッドに横たわっていた。起こさない様に静かに部屋から立ち去ったようだ。時間を確認すると、そろそろ夕飯の支度でもした方が良いかもという事でリビングに向かうと、

 

「ユウさん、あのね……、悩んでばかりじゃ駄目だと思うの! ここはちゃんと答えを出さないといけない所よ!!」

 

いきなりアクアが自分は神様よ! 悩み事ならバーンと任せなさい……、ってな一見頼もしく見える態度で接して来ていた。

 

「そ、その……ですね? わ、わわわ、私としては、問題はないですので、後はユウ次第と言いますか……」

 

「そうです! そうですから!! 私も……そう、どんな答えでもちゃんと聞きますから!」

 

若干視線が落ち着かないが、めぐみんとゆんゆんまで俺に詰め寄る始末。

 

「まあ……、お前なら大丈夫だろ。後は頑張れ」

 

もしかして、みんなして俺が何を迷ってるか分かってしまった……のか? 技術部での出来事なんて一言も話してないはずだが……。それとも何度かある紅魔族の高い知能で考えを見透かされてしまったのか? だとしたら紅魔族は怖ろしい。隠し事が出来ない。

 

「心配かけてしまったようだ……。済まない。俺としては、やっぱり懸念が多くて……」

 

「分かるわ……。新しい物事なんて、いくら頭で整理していても不安は尽きないものよ。それで普通だから、あまり気を張り詰め過ぎないでね?」

 

女神様の本領発揮と言わんばかりに慈愛に満ちた表情で、俺の言葉に真剣な受け答えをするアクアだった。

 

「やっぱり一人増えるかもしれないとか……、それは良いんだけど、何と言うか……、戦うかも、いや……どうしたって、将来一緒に戦ったりするだろうから、その辺りが心苦しくてな。それだけの能力を得てしまうから……」

 

俺が融合騎について躊躇っている部分がそれだ。デバイスとして生み出されるとはいえ、一個人としての人格があり極端に言ってしまえば人間と変わらないと思っている。そんな存在を自分の都合で生み出して、戦いのための道具として良い物か、それが一番の悩みだった。

 

(もう一人って……気が早すぎないか?)

 

(どうだろうか……? 私も貴族としての義務と言うか、責務として将来を見据えねばならない時もある。ユウ程ならば、それに近い物もあるのかもしれん)

 

カズマとダクネスが顔を寄せ合って小声で何やら話している。

 

(確かに……、あまり話しませんが、ユウは組織の中でもトップクラスの魔法使いと聞きます。それと紅魔族の血を引いていれば凄まじい能力を持って生まれる可能性は極めて高いかも知れませんね……。強い力はどうしても争いの渦中に引き込まれる可能性が高いですから……)

 

(もうそこまで考えてくれているの? ユウさんって……、やっぱり優しい人なんだ……)

 

めぐみんとゆんゆんは何故か嬉しそうな、それでいてどこか恥ずかしそうな表情を見せていた。

 

「そっか……、でもね、それは悩み過ぎよ? 今からそれじゃあユウも、それにカスミだって参っちゃうわ。魔王城の時にカスミにだって言ってたでしょ? お前は一人じゃないって。それはあなたにも言える事なんだから、困ったら私達を頼りなさい! ね?」

 

「アクアって、やっぱり女神様なんだな……。今回はかたなしだ……」

 

俺だけじゃなくて、かすみまで参る……か。そうかもしれない。ここまで心配を掛けたんだから、ちゃんとしないと……。

 

少しばかり胸の中が温かくなりながら、みんなの優しさに心地よい気分になっていたのだが……。

 

「最初っから言ってるでしょ! それにあなたの子供なら私達にとっても自分の子供みたいなものだから、遠慮なく預けたりしなさい。カスミの面倒だって見てるんだから、一人二人増えたって変わらないわ!!」

 

ここに来て違和感と言うか、”子供”の二文字でお互いが凄まじい勘違いをしているというのが頭を過ったので、

 

「え、ええと……、聞きたいんだけど……、融合騎の話じゃないよな?」

 

「「「「……へっ!? 融合騎って何の話だ(よ)(ですか)?」」」」

 

予感的中。最初から考えていればおかしい事だ。俺自身は融合騎の件なんて一言も話していないのだ。とりあえず誤解を解くために経緯を説明すると……。

 

「ええっと……? じゃあ、カスミに弟か妹が欲しいかって聞いたのは……?」

 

「いや……ほら、実質的に弟か妹みたいなもんだろ? リインだって八神家の末っ子みたいなもんだし」

 

それを聞いた時には、俺とかすみ以外の全員がどっと疲れた様な表情を見せていた。

 

「お兄ちゃん、リインちゃんみたいなのが家に来るの?」

 

「まだ、了承したわけじゃないからな? そもそも依頼すらしないかもしれない」

 

ちょっとだけ残念そうなかすみだった。やっぱり下の子が欲しいというのは嘘ではないらしい。

 

「ところで……何で、子供の話とかになってるんだ?」

 

「そ……それはね? カスミに妹や弟の事を聞いてたから、人生の一大決心をしようとしてるんじゃないかって思って……」

 

……アクアさん、いくらなんでもぶっ飛びすぎですって。

 

「もしかして……そっちの二人の様子がおかしかったのって……」

 

紅魔族のお二人さん、さっきから俯いて一言も喋っていない。赤面して小刻みに震えている。彼女らに、

 

「なんだ……、その……私もまだそんなのは考えてはいないので、そこまで焦ることは無い。だろう?」

 

この世界だと、行き遅れに爪先が入っている貴族のお嬢様が必死にフォローしていた。

 

「俺……逃げて良い?」

 

「それは、ダメです! もう、この際ですからちゃんと話しませんか?」

 

「ユウさん、その……私もそうして欲しいです!」

 

こうなったら、この勢いで結論を出そうとしている紅い眼の二人だった。ここは三十六計逃げるにしかず、とばかりに、スタコラサッサと立ち去ろうとしたが……、

 

「カスミ、拘束してください!!」

 

「うん! お兄ちゃん、さっきの事、もう少し聞きたい!」

 

弟や妹にご執心のかすみさんのバイントが炸裂し、その場に拘束されてしまい、カズマは最早見て見ぬ振り。

アクアは、おかしいわ……。私の予想が外れるなんて。……と一人納得行かない様子で佇み、ダクネスは自分も拘束して欲しいと、かすみに懇願してカオス極まりながら、疲れ果ててしまった。




抜剣一刃皇焔
抜剣に炎熱を加えていますが、見た目は燃えておらず熱を魔力の刃の中に押し込んでいます。残○の太刀といったツッコミはなしで……。

ちょっとだけ捕捉です。
ユニゾンデバイスの件は、勝手な想像もあり、はやてとリインは魔力光が同じで双方が白。つまりは大本になった術者と魔力光は同じになるのでは……。

なので、アギトってもしかして昔々シグナムのリンカーコアを大本にしてるんじゃね? といった推理をしています。シグナムとアギトは魔力光の色が同じで炎熱変換持ちなので。
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