この素晴らしい世界にリリカルな魔導師を!   作:ゴマフアザラシ

131 / 152
今回は初めから下ネタがあります。ご注意を。


名前一つで苦悩するのは、親の宿命

「リインの時の事を教えて欲しい……?」

 

「うん。外観とかその他諸々どうやって決めたのかとか」

 

 ある日の勤務後。本日は八神家に一家の主を含む騎士達やリインも全員揃うとの事で、融合騎に関する相談のために、その場を訪れていた。

 

「外観はリインフォースに似せたところもあるけど……。後は……」

 

 はやてが当時を振り返りながら答えたのとは別に、

 

「そういえば……、あたしは年下が良いって言ったな」

 

「ヴィータなら大抵年下になると思うが……」

 

「外見の話だ! 誰が実年齢つった!?」

 

あのちっささはヴィータの希望だったらしい。だがしかし、リインが子供サイズになると9歳の頃のはやての服がぴったり合うので、むしろその場合はヴィータが年下に見える。

 

「何であたしを憐れむような目で見てんだ?」

 

「なんつーか、お前ってこんなに小さかったっけ?」

 

「てめえがデカくなっただけじゃねーか!?」

 

 これ以上、余計な事を言うとはやて辺りの雷が落ちそうなので止めておく。今日はこいつとケンカしに来たわけではないのだ。

 

「しかし、ユニゾンデバイスとはな。技術部からの提案とはいえ、お前が好む案件とは思わんが」

 

「まあ……、ちょっと色々とありまして」

 

 姐さんも意外そうだったが、いちいち説明するのは面倒な部分もあるので、言葉を濁しながらのらりくらりと会話を続けていたのだが、

 

「もしかして……、かすみちゃんが弟か妹が欲しいって言ったから?」

 

「……パンフレットってもう出回ってたんですか? いやまあ、それもありますが……」

 

ここまで答えたところで、はやてとリイン以外が何かを察してしまったようだ。

 

(なあ……、ちょっと見ない間に雰囲気変わってねーか?)

 

(やっぱりそう思う? 昔よくベルカの戦場でこうなった人がいたけど……)

 

(ああ……。一晩で妙に落ち着いた雰囲気になったり、どこか自信が付いた様な状態になっていたな)

 

 ザフィーラを除く女性騎士三名が念話で何やら会話している様な気がする。チラチラと視線をこちらにやっていてバレバレなので、大した話題では無いだろうが。

 

(これって……やっぱり……)

 

(おそらくな……)

 

(それとなく聞いてみましょうか? 私の専門分野になるかもしれないから)

 

 その三名が同時に頷き、俺の方を真剣な眼差しで向いた後でシャマル先生が意を決したように、

 

「あのね? もう年頃だから、細かい事はとやかく言わないけど、気を付ける部分はちゃんと自覚してね?」

 

「……?」

 

「医務局でもたまに相談されることもあるから、必要になったらいつでも来なさい。そういえば一つ持ってたっけ……」

 

 何を言っているのか分からなかったが、シャマル先生はポケットから小さな箱を取り出し俺へと手渡していた。

 

「……驚異の薄さ、業界最高峰……? ……って何渡してんですか!?」

 

「いい? 馬鹿にしちゃいけないわ! これは不幸を増やさないためには重要なんだから!!」

 

「先生は俺をそんな目で見てたんですか!? どういった理由でその結論に達したのか聞いて良いですかね……?」

 

 そこまでで念話でヒソヒソしていたっぽい三人が目を見合わせて、

 

「昔、ベルカの兵士とかがな……。今のお前みてーな感じになった時があったんだよ。大体が大怪我したり下手したら戦死したりしてたんだが……。周りが見えなくなっちまうのかもしれねーぞ? おめーも気を付けろ」

 

 所謂、”俺、この戦いが終わったら結婚するんだ。”……とか、その時代から死亡フラグか!?

 

「ヴィータちゃん、ご心配なく。俺には、まだそんなフラグは立ってない」

 

「まだ……ちゅう事は、そこまで行かへんでも進展はあったん?」

 

 はやてさんが何やらツッコミを入れていたので、そこは聞かない振りをしようとしていたのだが。

 

「……何で目……逸らしとるん? 分かりやすいなあ。どこまで行ったのか、ちょう教えて?」

 

 先日の夜の件は……冷静になって思い返すとあれって……。

 

「ふにゃあああああああ!!!」

 

 猫の鳴き声の様な奇声を上げてしまい、その場の全員がビクッと体を震わせていた。思わず頭を抱えながら、お顔真っ赤で煙でも出てるんじゃないかといった様子に、八神家の一同は質問をし難くなってしまったようだった。しかしながら、俺の今の様子は尋常ではない。それはまずいと思ったはやてから、

 

「あー、内緒話でええから、何があったのか教えて? 一人で悩んどったらあかん」

 

真剣な表情で詳細を教えて欲しいといったお願いをされてしまった。確かに俺だけでは、どうしたら良いかなんて分からないかもしれない。

 はやての隣へ行き、耳元でコソコソと先日の出来事について教えると。

 

「ええ雰囲気になったところで、ベッドに倒れ掛かって、キスしようとした?」

 

お姉ちゃん(はやて)、声でかい。みんなに聞こえてる……」

 

「もしかすみが来なかったら、どうなってたか分からへん……って。これからどうするつもりなん?」

 

 どうするつもりって……。どうする……!?

 

「うわあああああ!!? どうしよう!? あんなの自分からとか、雰囲気に流されただけなのか!? もしかしたら、今頃冷静になられて愛想尽かされてるんじゃないのか!?」

 

「ちょ……ちょう落ちついて!? そんなに肩掴んで揺らさんといて! 酔う、ほんまに酔うから!!」

 

 はやての両肩を掴み、思いっ切りグワングワンと揺らしてしまったが、それを受けてしまった本人は顔が真っ青になっていた。車酔いしてしまった様な感じなのだそうだ。

 

(どうしよう……って……なあ? そんなのあった後で、三人で眠ってて……。さっさとくっつけば良いだろ……)

 

(ヴィータちゃん、そんなに簡単じゃないのよ? 私も若い子達の相談に乗る事も多いけど、楽しみだったり期待だったり不安だったり、色々混じり合ってて大変なんだから!)

 

(あれの場合……、済し崩された方が早いのでは? このままでは有耶無耶になってしまいそうだが……)

 

(みんな……、話題がずれてるです。ユニゾンデバイスの話じゃなかったですか?)

 

 今度はリインも含めて念話で内緒話中らしい。

 

「何が不安なん? まずはそこから話して欲しいなあ」

 

 はやてからまずは順序立てて、説明して欲しいとの要望だったので、

 

「こないだまで、俺的にはかすみが一人立ちするまでは、そっちは駄目だと思ってけど……。何せ、義妹とはいえ、子持ちだぞ? 普通付き合うとかないだろ!?」

 

「別にええやん。あっちに預けとるし、かすみも懐いてるんやろ?」

 

「だって……その……、どっちを優先するかって言ったら……かすみの方になっちゃうし……。それだと相手に失礼になる……」

 

 両手の人差し指の先をツンツンと合わせて、俯きながら顔を赤くしている様子を見て、

 

((((お前は乙女か!?))))

 

どうやら俺以外の全員が同じ意見で一致してしまったらしい。そしてヴィータが何かを思い出したように、

 

「そういや、おめーも昇進試験受けるんだろ? そんな体たらくで大丈夫か? これであたしだけ受かったら、思いっ切り笑い飛ばしてやる」

 

「ヴィータも受けるのか……。そういや階級同じだったな。その辺はご心配なく。山勘なんて俺はしない。運が無いから、それは一番やっちゃいけないんだ」

 

 昔、学校のテストでふざけて鉛筆転がして解答したら、見事に点数一桁台の赤点だったことがある。追試で普通に受かったから良かったものを、何で最初からやらないんだと、担当の先生には呆れられるわで面倒だったのだ。

 

「あの騎士についても謎だよな。退職者にも行方不明者にも該当者がいなかったんだって?」

 

 昇進試験で頭を過ったのは、機動部隊、そしてアルカンレティアで大敗を喫した槍使いだった。あれだけの騎士なのですぐに手掛かりが掴めるかと高を括っていたが、そううまくはいかないらしい。

 

「長年山籠もりしてた人間じゃあるまいし……、あそこまでの使い手が……か……」

 

「まあ……、焦らんといて。今はまだ我慢の時やから」

 

「ん……。俺も色々とレベルアップを考えてるから、次は同じようにはさせない」

 

 その後、リインを生み出した時の出来事――特に俺の知らない詳細な部分も残らずに聞かせて貰い八神家を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それからしばらくして、後一週間ほどで新しい家族がアクセルにやって来るという時になって、あるジャンルの本を読み漁っていた。

 

「ねえねえ、何読んでるの? んーっと、『幸せ命名辞典』、『初めての贈り物~次元世界別命名方法~』、『きらきらネーム許すまじ ハイにならない命名』……?」

 

「……お前はどっかの父親か!? 名前一つでどれだけ悩んでるんだ!?」

 

 アクアとカズマが俺の本を見て、少々呆れた様な声を上げていた。

 

「お兄ちゃん! その子って男の子と女の子どっち?」

 

 かすみの質問で、こないだ技術部に進捗状況を確認しに行った時の事を思い出してしまい、

 

「アクア……、一つ聞きたいんだが……」

 

なあに? といった感じのアクアへと詰め寄って、

 

「俺はどの程度、お前の……神の力とやらの影響を受けてるんだ? もしかして改造人間と変わらないとか、半分くらい人外に足を踏み入れてるとかはないよな?」

 

「何言ってるのよ? ユウは紛れもなく人間だから、心配いらないわ。いきなりどうしたのよ……」

 

 アクアの見立てでは、神様の影響を受けてしまっていたとはいえ、人間である事は間違いないらしい。と……いう事は……。

 

「つまりは一番影響を受けてるのは俺のリンカーコアか? アンデッドに効く魔力といい、自然と聖なる属性っぽいのが付与されるの……か?」

 

「そのなんとかコアって……何だっけ?」

 

 リンカーコア自体は聞き覚えがあるらしいが、そこまで詳しくは知らないらしい。アクアが首を傾げながらこちらを見ていたので、

 

「リンカーコアってのは大気中の魔力素を取り込んで蓄積しておく器官だな。その個人の魔力資質にも密接に関わってて――」

 

その説明を続けていると……、めぐみんも不思議そうに。

 

「妖精の話とそのアクアの影響と何の関連が? 何か不具合でも起きましたか?」

 

「……アクアなんだ」

 

「「「「……へっ!?」」」」

 

 その場の全員、かすみですら理解不能な様子であった。これだけで分かる方が凄いけど。

 

「こないだ様子を見に行ったら……、ユニゾンデバイスの外見が……ちっさいアクアだったんだ……」

 

 そう、外見については、かすみの姉弟という事で、ちょいと義妹に似せようかなとも考えていたのだが、姿形を設定しようにもそうはできなかったそうだ。マリエルさん曰く、原因不明らしい。

 そもそもユニゾンデバイス自体は俺のリンカーコアをコピーしてあちらのコアの大本にしているので、原因なんざ分かり切っている。

 

「つまりはアクアの影響を受けている魔力の源を使っているうえ、ユウからも切り離されてしまったから、その影響とやらが顕著に表れている……と?」

 

「……多分。俺自身は浄化能力だの何だのはないから、水を操るとかまでは無いとは思う」

 

 運はともかく知力とかどうなんだろうなあ……。アクア並に低かったらどうしよう……。

 

「まあ……外見がアクアなら性別は女の子ですか。では名前も考えやすいのではないですか?」

 

「だな……。女の子……の名前か……。って、めぐみん? その本は何だ!?」

 

「これですか? 里の学校の図書室から送ってもらった『紅魔族人名辞典』です。今までの紅魔族全ての名前が記されている貴重な本なのです!」

 

「却下だ! その中から決めるとか、絶対にだめ!! 紅魔族じゃないんだからな!!」

 

 そもそも紅魔族の名前って日本人が付けたあだ名じゃねーか!

 

「めぐみん、それは止めよう? ユウさんのお仕事で支障が出ても困るから」

 

「ではゆんゆんはどの様な名前が良いのですか?」

 

「外見がアクアさんだから……、水繋がりでウンディーネとか……?」

 

「それこそ普通過ぎます! しかも精霊の名前なんて冬将軍みたいに危険視されて、高額賞金を掛けられたらどうするつもりですか!」

 

 一番最初に一番まともな候補が出た様な気がするのだが……。

 

「お前ってかすみの杖はどうやって付けたんだっけ?」

 

「かすみの名前で花繋がりってのと、あれは二つに分割するからニリンソウをもじって……だったか」

 

「じゃあ、花繋がりはどうだ?」

 

 花か……。女の子っぽいからそれはそれでありか……。花子なんてのはありえないけど。 カズマの案も悪くは無いか……。

 

「では……、アネモネや紫陽花の様な名前はどうだ? 花の名なら女性らしくなるのでは?」

 

「……お前はわざとやってんのか!? ダクネス、それは駄目だろう!!」

 

「言っている意味が分からん! それが何だというのだ!!」

 

 花言葉にも色々とある。アネモネは『真実』とか『希望』もあるが、『見捨てられた』や『見放された』もある。そして、紫陽花は『元気な女性』ってのもあるが、『移り気』や『冷酷』なんてのもあったりする。勘でこんなのをチョイスする辺り、ドMな変態の直感は怖ろしい。

 

「外見が私なら、水……それも大きな感じでマリンとかどう?」

 

 二人はプリキ〇アならぬ二人はアクアマリンか? どっかのユニット名か漫才コンビのようだ。宝石の名前だってのに、ギャグっぽくなるのは何でだ。

 

 今までこちらの議論を聞いてばかりだったかすみだが、首を捻って困ってた。自分も案を出したいが、どうしたら良いかが分からないといった感じになっている。

 

「ちゃんと意見は言わないと駄目だぞ? 特にかすみにとっては妹みたいなもんなんだから」

 

「うーん……。わたしの妹ってすぐに分かる名前が良い……」

 

 かすみの妹だとすぐに分かる名前ね……。日本人っぽいのが良いだろうか? かすみ……、両親のどちらかが日本人なので、カスミソウから来ているとはいえ、これはひらがなの名前なのか、それとも漢字に直すと、香澄や可純や花澄だったりするのかもしれない。そういえば旧帝国海軍の駆逐艦にも『霞』ってのがあったとか。

 

「日本人っぽい名前でも良いけど……どうするか……」

 

「ここじゃあ日本人の名前は変って言われるしな。こっちに合わせた方が良いんじゃないか? お前の仕事場だって公用語が英語に似てるんだろ。だったら、そうするのが後で困らないんじゃ」

 

 日本語に拘らなくていいか……。ミッドは普通に日本人名が存在する場所ではあるので、そこまで気にする必要は無いかも知れないが……。

 

「ぐぬぬ……。世の親御さんは、名前でこんなに苦労するのか……。そんなのを今から経験するのは良いのやら悪いのやら」

 

「紅魔族では女の子の名前と言えば、かおりん、まりりん、みっちょ、まゆまゆなどもあるそうです」

 

「めぐみん、まだそれに拘ってるのか!? 言っとくが紅魔族ネームは禁止、絶対、本当に!」

 

「カスミだって紅魔族のオリジナルですよ! その妹となれば紅魔族的な名前だってありな筈です!! カスミにしても紅魔族としては悪くない名前ですよ!!」

 

「それ……かなりショックだからな!? 紅魔族ネームと同列に語るな!!」

 

 俺とめぐみんが相手を威嚇する気配で顔を見合わせていたが、それを見た面々は、

 

「ねえ、あの二人って……、たまに子供の事でケンカするコンビになってない?」

 

「確かに……、カスミがアクセルの外で魔法を使ったと聞いた時もああなっていたが……」

 

 何やらシミジミと感じいる様子で、俺達を見守ってはいたものの、このままでは埒が明かないとカズマから。

 

「ああもう、面倒だな! だったらかすみを英語っぽくすれば良いだろ! そうすればお前の仕事場でもおかしくは無いだろうし、かすみの妹っぽくなるだろうが!!」

 

「かすみを英語っぽく……? haze(ヘイズ)mist(ミスト)fog(フォグ)あたりか……?」

 

 カズマの案で思わず、英単語を口走ると、

 

「……異様に発音がいいな? 聞きたいんだが、お前って英語の成績はどうだったんだ?」

 

「伊達に公用語が英語に酷似した世界でガキの頃から働いてない。授業中に寝てても満点か、それに近い点数だったが?」

 

「やっぱりお前って……チートだ。日本の学生の苦労を少しは考えろ」

 

 まあ、寝てた時が多いので、受講態度で減点喰らってたりするんだけどな。

 

「ユウさんって……そういうのは真面目君だと思ってたけど、意外にそうじゃないのね?」

 

「これには深い訳があって……。お仕事で疲れ果てた時の休憩時間として、丁度良かったんだ。英語の授業」

 

「分かるわ……。私も天界にいた時に、居眠りしながら死者の話を聞いてた時があったから」

 

 それは職務放棄っていうんじゃないかな、アクアさん。

 

「しかし、どれもしっくりこないな……。女の子っぽくないというか……」

 

「女の子っぽくか……。ヘイズ……はもう似合わないか……」

 

 カズマも乗ってきたのか、腕を組みながら、うんうん唸り真剣に考えている。

 

「ミスト……、ミス……、ミスティ……」

 

 不意に呟いていたカズマの言葉に反応してしまっていた。

 

「カズマ、さっき何てった?」

 

「んっ……? ミスティか?」

 

「それだ! それ! 女の子っぽくて、かすみの妹っぽくて、ついでに霧とか霞がかかるって意味があるから、水分繋がりでアクアとも関係があるっぽく聞こえる!」

 

 これで決まりかと、そう思い気を抜いてしまったのが悪かったのかもしれない。これまで出た意見のほとんどを盛り込んでいるこの名前に反応したのが一人いた。

 

「ちょっと待ってください! 私の意見の紅魔族の様な名前は入っていませんよ!!」

 

「それこそダメだろ! 言っとくが、紅魔族の名前は特殊過ぎる。それを盛り込んで名前を付けると、全てが塗りつぶされる」

 

 めぐみんは自分の意見も盛り込んで欲しいと、上目使いでお願いをしていたが、こればかりは譲れない。そもそも紅魔族ネームでは、最初からやり直しになってしまうのだ。

 

「ではせめて……、響きを紅魔族っぽくしてください! その子も魔法使いでしょう? 紅魔族は全員がアークウィザードになれる種族です。優秀な魔法使いに成れるようにとの願いを込めての名前ですよ! カスミのご両親の願いを汲み取ったユウなら分かって貰えますよね!?」

 

 自分の子供に名前つけるような感じで懇願しないで下さい。”ミスティ”が”みすてぃ”になるのか……。

 

 そんなのをちょっとばかり考えているうちに……、

 

(あなたの相棒になる子でしょう? その子が優秀になってユウが無事に帰って来れるように願いを託したいのです……)

 

そんなのを耳元で囁かれてしまいました。めぐみんさん……、それは反則です、マジで。

 

「ひらがなっぽく、”みすてぃ”でも良いんじゃないか? そこまでおかしくはないだろ。あるえとか、ふにふらとか、ねりまきに比べたら」

 

 カズマはもう決めちまおうぜ、といった様子で俺へと選択を迫っている。めぐみんは簡単に引く人間じゃないのが分かっているのだろう。

 

「良いじゃない。結構可愛らしい名前だと思うけど? 柔らかい感じになったしね」

 

 アクアもかなり好感触の名前のようだ。言われてみればそんな気もしなくはない……。

 

「名前だけを聞くとそこまでおかしくは感じないので、良いのではないか? それでも駄目だというのなら、私の様に他の名を名乗らせるのも手ではある」

 

 それを考えるので、またしても一悶着ありそうな気がするよ、ダクネスさん。

 

「響きが紅魔族っぽいですけど、そこまで恥ずかしい名前じゃないですから、どうですか?」

 

 ゆんゆん……、それだと自分の名前が恥ずかしいですって暴露してるようなもんだ。

 

「お兄ちゃん、このままだとめぐみんお姉ちゃんだけ、仲間外れになっちゃうよ? そんなのはやっちゃ駄目って、お兄ちゃんが言ってた!」

 

 その言い分は、めぐみんと同じく反則だって。かすみさん……。

 

 そして先ほどから無言となっている、とんがり帽子の少女だったが、俺を見詰める瞳が語り掛けていた。駄目ですか? どうしても駄目ですか? 何が何でも駄目ですか? ……と。思わず、

 

「ああもう、分かったよ! あの子はこの屋敷の家族でもあるから、この場の全員が名付け親だ! それで良いだろ!! ”みすてぃ”で決定!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 後日、技術部へとまだ名前の無い彼女を迎えに行き、その名を教えると気に入ってくれた様だった。俺の肩へと座りながら、屋敷へと入ると、

 

「その……始めまして……。みすてぃと言います。この名前は皆様が付けて下さったと……」

 

 最低限の知識はあるものの、まだまっさらな子供と一緒なみすてぃは、おずおずとみんなを見ながら緊張していたのだが、

 

「お兄ちゃん!? ほんとにちっちゃいアクアお姉ちゃんだ!? みすてぃちゃん、わたしがお姉ちゃんだから、困ったらわたしを頼ってね!」

 

 妹が出来たと大喜びのかすみさんは、もうすでにお姉さん風を吹かせている。みすてぃを自分の肩に乗せてご満悦のようだ。

 

「ミニアクアか……。でもそこはかとなく、アクアよりも賢そうな雰囲気が……」

 

「何ですってええええ!? この子は私の分身みたいなものよ? 私の優秀さが分かってないの!?」

 

 カズマとアクアが口喧嘩を始めていたが、いつもの事なので放って置くとする。

 

「その融合というのは出来るのか? 出来れば見てみたいものだが……」

 

「そこはこれから微調整とか訓練とかも必要になるから、もうちょっと先かな。まあ、そのうちな」

 

 ダクネスは融合に興味津々となっているが、それは後日のお楽しみ。

 

「さあ、今日は歓迎会ですよ! 料理も用意しましたし、お酒もいつもより良いのを買ってきました。でも飲み過ぎは駄目ですからね? みすてぃは飲んではいけません」

 

「めぐみんも飲まないようにね? 私達……お酒で勝負すると潰れちゃうから……」

 

 めぐみんとゆんゆんが歓迎会の準備をしてくれていたらしく、その日は俺だけでなく、みすてぃの思い出に残る大切な日となってくれた様だった。

 その中で思わず、こう願ってしまった。みすてぃも『幸福』でありますように……と。




ギャグが少ないのでちょっとだけ……。

おまけ ~少年たちの苦悩~

 シャマル先生から貰って来た、とあるゴム製品だが、これをどうしようかと悩んでいると、

「おおーい。マンガ貸してくれ……って、それは!?」

「カズマか……、変な勘違いはするなよ? シャマル先生が無理矢理持たせたんだ。こんなの使うようなのはないからな! これは捨てるから――」

「待て! それは待った方が良い。めぐみん達はともかく、アクアは用途を知ってそうだから、捨てたのを見つけたら面倒になりかねねーぞ? この屋敷の男は俺とお前だけなんだ。それを考えろ!」

 これをアクアが見つけて、使用方法をめぐみん達に説明……か?




※これは勝手な想像です。

「こんな物を用意して……、結局はヤリたいだけでしたか! これを使えば心配は要らないと、そう言うのですね!? このケダモノ!」

「ユウさんもやっぱり男の人なんですね……。もっときちんとしてる人だと思ってました……」

「これを使ってどうするつもりだったのだ!? ま、まさか……、心配は要らないと言葉責めをしながら……くっ……!?」

 大人の女性達の軽蔑の視線の他には……、

「お兄ちゃんの不潔」

かすみの冷たい視線を想像しただけで99999のダメージを受けてしまい、吐血の動作をしながらその場に倒れ込んでしまった。






「しっかりしろ! お前の苦悩は分かった! ここは俺に任せろ!!」

 カズマが俺を励ましてくれて、この後の計画について語ってくれた。この製品、カズマも製作しようと試みたのだが、意外に難しく風船としてしか使えなかったのだそうだ。だが、この場には実用品が存在する。なのでこれをバニルの元へと持って行こうというのだ。そうすればもしかしたら金にもなるうえ、製品化されれば先生の言っていた通りで、この世界でも不幸な事例が減るのではないかと……。

「そうか……、済まないが……、後は任せて良いか?」

「ああ……! 万事俺がどうにかしてやる。心配するな!!」

 そして数日後、何故かアクアが俺を呼び止めていた。

「ねえ、あの薄い風船まだないの? 例のダンジョンに持って行くんでしょ?」

 はて、なんのこっちゃと首を傾げていたが、”風船”で思い当たるのはあれしかない。カズマの方を向くと、青ざめている。どうやら隠していたのを見つけられたらしい。

「あれって、私の聖水とか入れて膨らませてから水爆弾でアンデッドに投げつける奴よね? ただ水を出すより、カズマの狙撃スキルとか使えば遠くからアンデッドを弱体化できるでしょ?」

「アクアさん……、それはどこにありますか?」

「あのね? 色々試して、水を入れて投げるのが結構楽しくて、全部使っちゃたの。ごめんね……?」

こうして、アクアさんは金になるかもしれない商品をダメにしてしまいましたとさ。俺達は何も言えずただ立ち尽くしていた。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。