この素晴らしい世界にリリカルな魔導師を! 作:ゴマフアザラシ
その光景に大人達とかすみは全員固まっていた。唯一、嬉しそうにゆんゆんの足へと抱き着いていたあゆむ君は抱っこして欲しいとばかりに、両腕を上げてゆんゆんの顔を見上げている。
仮面の悪魔さんは大笑いしたいのを必死でこらえている感じだ。おそらく……、この子の素性と両親について、初見で見通した上でゆんゆんがここに来るのを待っていたと思われる。
……つまるところ、あの子の父親は俺。その証拠は俺の父さん、あゆむ君にとっては祖父に当たる人物の魔力変換資質『
「た……大変よ!? ゆんゆん……、いつの間に子供なんて……。でも……、ユウをお父さんって呼んでたって事は……、もしかして、前に子供欲しいって言ってた時の!? 確か男の子が欲しいって言ってたわね……。これは広めなきゃ……、ギルドもそうだけどアクシズ教会、八百屋さんにも鍛冶屋さんにも……!」
「……ちょっと待て! あれから一年経ってないだろうが! どう考えても計算が合わないだろ! あゆむ君は3歳くらいだから、どう考えたってその結論になるはずないだろ!!」
「そこは……紅魔族だからかしら? よく見ると、目が紅い以外は、小さい頃のユウに似てる気もしなくもないわ!」
紅魔族だからってのは理由になってない。それ以外は当たりだけど、普通はそんなの信じない。
「言っておきますが、紅魔族は普通の人間と同じに成長しますからね! いくら改造人間の末裔だからと言っても限度があります!」
「しかし……ではなぜ、ゆんゆんを母親と呼んだのだ? 確かに計算は合わない。それにこの子の年齢を考えれば、ゆんゆんでは産めるとは思えん」
めぐみんとダクネスがアクアの説を論理的な視点で否定はしていたが、この場で一番困惑していると思われるゆんゆんは……、
「ええっと……? これは……どういう事になってるんですか?」
困りながらも、なんとか冷静さを保っているというのが良く分かってしまった。これはどうしたものかと、俺自身も困り果ててはいたが、ここは真相を話すと面倒な事態になる。先程だってアクアがアクセル全域に、この件を広めようとしていた。仮にエルトリアの面々がここに来たとしても、未来を知ってしまった人が多すぎて、記憶封鎖するだけで一大事となりかねない。なので、この場は……。
「あのな……、この子、あゆむ君って言うんだけど、どうやら母親が巨乳の紅魔族らしいんだ。だからめぐみんには、そう言わなかったみたいで、ゆんゆんをお母さんって呼んだみたいでさ……」
ひと際、巨乳の部分を強調し説明するとゆんゆんは顔を赤くしながら俯き、バニルが実に楽しそうに。
「フハハハハ!! 凶悪魔道士よ、プライドも恥も外聞もかなぐり捨てておるな! 確かにそこのスピーカー女神に知られては面倒どころではあるまい。貴様を足止めしたのは大正解であったわ!」
「……都合よく記憶が消せるアイテムとかないよな? つーか、てめえは後で覚えてろ!!」
「あれば即座に貴様に勧めておるわ。フハハハハハ!」
どうか女神様、この悪魔に数百年は後悔する様な空前絶後の
「おかあさん、だっこ!」
「えっ!? うん……、良いよ」
やはりゆんゆんに抱っこされていると、妙にフィットしている感じがする。抱っこされ慣れているというか、そこが定位置と言わんばかりに安心しきっているようだ。
「それで……。この子は、どこの子ですか?」
「それがですね……、一人アクセルに放置されていたらしく、冒険者ギルドで迷子放送をしても親が出てこなかったのです。仕方が無いので屋敷で面倒を見ていたのですが、両親がいないと泣き出してしまいまして、この子に親と呼ばれたユウが仕事中に戻って来て、
「そして、何故か初対面のゆんゆんも親と呼んでいるが、どういう事だろうな?」
めぐみんとダクネスが経緯を説明していたが、これに関しては全て事実ではある。時間移動の件については思い出してはいないので、そこには結びついてはいないようだが。まあ、変換資質については、あゆむ君と会った時点では、俺しか知らない事実なので結びつきようがない。
「ちょっと里にテレポートで戻って、ご両親を探してきましょうか? そこにいる可能性もありますよね?」
「どうだろうな? 子供を放置する様な輩が、大人しく紅魔の里に戻っているとは思えん。それこそ子供の姿だけ見えなくなれば、周りが不信に思うだろう」
ダクネスから、あゆむ君捨て子説が飛び出してはいたが、この子、未来人なんです。なんて言えるわけも無く、特にアクアの前では厳禁なのは、さっきのやり取りでよく分かってしまった。
「あのね……、お兄ちゃん……、あゆむ君だけど……」
「そんな不安そうな顔するなって。これに関しちゃ、どうにかするから心配するな。それとみんな……、特にゆんゆんには悪いけど、しばらくはこの子を見て欲しい。どの道、一人で放って置くわけにも行かないだろ?」
かすみからすれば、親がいない自分とダブって見えてしまったらしく、どうにか彼を屋敷に置いて欲しいといった懇願が手に取る様に分かってしまった。かすみの頭を撫でながら安心させて。
親はここにいるが、そもそも二人共まだ親ではないんだよなあ……。
エルトリアの連中が来るのが先か。それとも時間移動の神器で手紙を送って、こちらに来させるのが先かは分からないが、それまで彼を屋敷に置いておくつもりではある。幸い、
「済まないが、そろそろ仕事に戻って良いか? とりあえず、この子がいるうちは緊急事態でもない限り、遅くなっても帰宅するから」
「ああ、その方が良いだろう。お前がいない昼間は私達に任せておけ」
そうしてダクネスも快諾し、本局へと戻り仕事を再開した。
執務室に戻り、モニターを開いて資料の作成に取り掛かっていた。周りは帰宅している人もチラホラ見受けられたが、俺は昼間に一度アクセルへと戻ってしまったので、進捗状況が思わしくないのだ。そこは時間を掛ければ解決するので、モニターに向かい合いながらひたすら文章を打ち込んでいた。
――以上の結果から、犯行時の心理的要因又は、周辺からの圧力によっての……、
カタカタと文字を打つ音だけが室内に聞こえてはいたが、いつの間にか執務室は俺だけになっており、あと少しで資料が完成するといった矢先、
……ゆんゆんがあゆむ君の母親。という事は、将来は……そういう事で……、それってつまり……。子供もいるって事はそういう訳で……。
自分の未来の生活と、童貞には刺激の強い想像をしてしまっていた。その結果……。
――この案件に関しては、情状しゃくぁwせdrftgyふじこlp。
「ヤバッ!? おかしなの打っちまった。削除っと……」
『全削除完了しました』
モニターに映ったメッセージで、誰もいない執務室に悲鳴が響き渡り、その後、帰宅したのは日付が変わってからとなってしまっていた。
アクセルの屋敷に戻ると、夜更けという事もあり、おそらくは全員が就寝しているのだろうと思っていたが、カズマがリビングで何やらやっている様だった。見ると紙に何やら書いていたので、便利グッズの設計図か企画書でも作っていたのだろう。俺を見ると、
「よう、お前が週末以外に帰ってくるのは結構新鮮だな」
「こんな夜更けにどうした? とっくに寝てるもんだと思ってたけど……」
「まっ……、お前を待ってる間に暇つぶしも兼ねてだが、バニルに持って行く分の便利グッズの設計とかな」
俺を待っていたという事は、例の神器絡みの話だろう。昼間にバニルをその件で訪ねていたはずなので、その説明に聞き入っていた。
「……アルカンレティアと紅魔の里の中間あたり……か。それ以上は?」
「バニルが何故か話したがらないんだ。あいつに言わせれば、”話すと、お前らが尻込みする”とか……」
嫌な予感がするなあ……。これは一筋縄じゃあ行かないかもしれない。そもそもバニルが話したがらない時点で、何かがある。ヤツが大喜びしそうな何かがだ。
「とはいえ、立ち止まっている訳には行かないからな。バニルの考えが何であれ、それを突破するしかないか」
「いくらなんでも魔王やバニル並の敵がいるわけじゃ無いとは思うが……」
情報を持ってきたカズマも不安になっていた。その位置関係からすると、誰かが所持しているわけではなく、どこかの道端にでも落っこちているとは思うが……。俺は決意を込めた瞳でカズマを見据え。
「今回は、久々に本気を出す。何であれ、立ち塞がるなら排除するだけだ」
「ふうん……。いやー、自分の息子の事だから、必死になってるな? 子供にはやっぱり甘いよな、お前は」
「からかうなよ。カズマだってその内そうなるかもよ? 案外子煩悩になったりとか……。そうなったら、思いっ切り言いふらしてやる」
そんな会話をしながら、今日はもう遅いという事で就寝する事になった。数時間でも睡眠を取っておくのは無駄ではない。その数時間でそれなりに疲れもとれるのだ。
翌朝。今日の朝食の調理当番は俺ではない、というか、俺は基本的に平日は屋敷にいないのでそうはならない。なので、ギリギリまで眠ってはいたのだが不意に全身に衝撃が走った。
「おとうさん! おーきーてー!」
「ぐはあ!?」
過去の姿とはいえ、両親が揃って元気百倍な、あゆむ君渾身のフライングボディプレスが炸・裂! その威力から腹を抑えて
み、見事な不意打ちだ……。ああ……、未来が見える。その知識を吸収して、強くなったりはしないだろうが。
「お、おはよう……。早起きだなあ……」
「うん! ごはんできてるよ! こっち!」
彼の小さな手に引かれ、食堂へと足を運ぶと、カズマ以外が揃っており、パンにスープ、サラダを頬張っていた。
「おはよう……。みんなして……早いな……」
「だ、大丈夫……ですか? この子が起こしに行くと言ったので、任せましたが……」
「……アクアさん、軽く診て貰って良いですか? 朝から全力全開体当たりの直撃を喰らってしまった……」
その場面を想像してしまったらしい、ダクネス以外は今にも吐きそうな顔をしていた。ダクネスのみどことなく嬉しそうではあったけど。
朝食を終えて、庭の転送陣へ行こうとしていたが、その前に、
「そうだ、カズマが起きたらこいつを渡してくれないか? 週末の夕食は俺が作るから、その下拵えのやり方だな。料理スキル持ちのカズマなら、これで出来るはずだから」
「お兄ちゃん、前日から下拵えって……何作るの?」
「俺のとっておきさ。何が出るかは当日のお楽しみって事で」
簡単なメモをかすみに渡して、転送陣へと向かった。すると、ゆんゆんと手を繋いだあゆむ君が、
「おとうさん、いってらっしゃい!」
繋いだ方と逆の手をブンブンと元気よく振っていた。つられてゆんゆんも小さく手を振って見送っている。それに応える様に二人に向かって彼らと同じ動作をしてしまった。
……なんか、家族の出勤風景って感じだなあ……。結構いいかも。
ふと、そんなのを考えてしまい、ほんわかとした気分になりながらも、今日も頑張らないといけないと心に誓ったのだった。
そして、その週の数日間は文字通り全力で仕事をこなしていた。普段なら手を抜くところはそれなりに抜いて、適度に休憩も取りつつではあったが、そんな物はどこへやらといった勢いで猛スピードにて業務を遂行し、出来るだけ早く屋敷に帰れるように、そして……、
「チーフ、少しよろしいでしょうか?」
何だ? といった返事が返って来たが、すかさず。
「週末、有給を頂いてもよろしいですか?」
「取り調べの結果とそれに付随する資料作成、それと現場調査の報告書は……?」
「全て完了しております。念のため、軽く目を通して頂けませんか?」
パラパラと紙をめくり、内容を確認しているチーフではあったが、特に手直しは必要無いらしい。こちらを向いて。
「しかし珍しいな。お前さんが有給を取りたいなんてのは。どうした?」
未来の血縁者が来てるから、それをどうにかしたいとか、その子が意外に……、おそらく俺達が子守に慣れていないから、出来れば近くで見てないと不安だとか……、そんなのでも良いのだが、冗談を言っている様に聞こえるかもしれない。一応、本局での俺のイメージは真面目な局員さんのお手本をしているつもりなので。
「もうすぐ、三尉への昇進試験も近いですし、自宅でテコ入れをしたいと思っております」
すいません、大嘘です。でも有給休暇は権利の筈です。けど嘘で休むのは心苦しいので、差し迫っていた業務は全て終わらせました。どうかお願いします。
心の中で全力の土下座をしながら、あちらの様子を伺っていると。
「構わんだろ。むしろお前さんは、使っておかないと労務辺りから苦情がくるかもしれん」
有給ゲットだぜ! これでどうにか時間が作れる。そんな歓喜から脳内でちびっこい俺が小躍りしている中、現実での俺はキリっとした表情を崩さずに業務の続きを行っていた。そして、今週頑張ったおかげで週末は定時退勤が叶い、ちょっとした買い物を済ませて、屋敷へと戻った。
屋敷へと戻ると、まだ夕飯の支度をしていないらしい。その辺はみんなにも頼んでいたのだが、俺も予定通りに事が進んだので、制服の上着だけ脱いでエプロンを着込んで野菜をブロック状に切り分けていた。特にこの世界の野菜なんてのは生きが良いと暴れるので、まずは動きを止める事から始めなければならない。
「済まないが、お前達には犠牲になって貰う。美味しい料理になってくれ」
逃げようとしている野菜達にまずは一撃入れて気絶させ、そのまま形を切り揃えていく。野菜からすれば死刑執行をされている様な気分であろうが、俺としては苦しめるつもりは微塵も無い。その様子を……、
「きょ、今日は……一段と包丁捌きが冴えわたっている……。野菜達に有無を言わさず刃を突き付け……、くっ!?」
ダクネスは自分がやられている想像でもしたのかもしれない。しかし、これはあくまで料理です。楽しい楽しいクッキングの場面だ。
「おーい、お前の注文通りトマトソースとソフリット、スープストックと下味付けたサイコロ状の豚肉と和風出汁、それと果物だのヨーグルトで作った甘味料、揃えといたぞ」
「おお……! カズマ済まない。完璧だな!」
「ってか、何作る気だ? 随分と手が込んでいるが?」
何を作る……か。大人から子供までみんな大好き。日本人にとってはラーメンに並ぶとまで称される国民食、それは――
「今日の晩御飯はカレーだ! 子供達がいるから辛さは控えめだが」
「ねえ、ユウさん……、カレーってあのカレーよね? だったらあっちで固形のルゥとか買ってきたら良かったんじゃ……」
「アクア、それだと面白くないだろ。これはちょっとした秘伝なのさ」
秘伝――いつもならその響きで食いついて来そうなめぐみんがかすみと一緒になって、怪訝な顔をしながら。
「たかだか料理一つに大袈裟ですね。確かに我が家に代々伝わる料理もありますが……」
「お兄ちゃん? そのカレーのどこが秘伝なの?」
「それは食べながらでも追々な」
ちょっとばかり説明をぼかしはしたが、野菜を切り終わってからカレー粉を炒めている。風味を出すためには必須の作業だ。ちなみにこのカレー粉、それ以外にも数種類のスパイスが入っている。
そして豚肉を炒めて酒で風味付け。肉に粗方火が通ったら、玉ねぎとニンジンを投入。それからスープストックや和風出汁を入れて煮込み、浮かんでくるアクを
その後で、先ほど炒めたカレー粉とバターも鍋に入れていく。それが混ざったら、今度は違う種類のカレー粉を入れて深い味わいを演出できるようにしていくのだ。
「す、凄く手が込んでるのに、慣れてるような……」
「おとうさん、そのあとでジャガイモをいれるんだよね?」
ゆんゆんは意外そうに、あゆむ君はこれを見たことがあるのか、それとも入れていない野菜がジャガイモだけだったからか、そんなのを口にしていたが、目を輝かせてワクワクが止らないといった感じだ。
甘味料も入れて酸味を出すためにトマトソース、仕上げにコクを出すためにコーヒーを少々。そして最後に……。
「……その怪しげな容器は何だ?」
「怪しげとは失礼な。昔、乗艦してた
カズマがおかしな事を言い出したので、すかさず反論したが、そこから更に煮込む事30分。ついに完成した今夜の晩御飯だった。子供達以外はたかがカレーといった感じだったが、口に入れてすぐに、
「お、おいしい……」
「お前、料理スキルは持ってないよな? それ並じゃねーか!?」
「こ、これは……店で出せるレベルの料理では……! いつものは家庭的で、それはそれで良いのだが……」
「こ、このカレーは……、出来ればおかわりを……」
などなど、絶賛していた。まあ、半分くらいはカズマがきっちり下拵えをしておいてくれたのが功を奏しているのだが。
「お兄ちゃん、凄くおいしいけど、これのどこが秘伝なの?」
「ロード、調味料を貰いに行ったと言っていましたが……」
かすみとみすてぃは調理時の説明を覚えていたらしく、首を傾げながら解説をお願いしていた。
「これはな……、ある次元航行艦の調理場に伝わる料理の一つだ。何せ艦ごとに名物料理があったりするんだよ」
「お前は軍人でもあるのだろう? そんな人間が任務中に、この様な贅沢は必要あるまい」
「そっかー、じゃあ質実剛健を旨とするダスティネス卿は、これからクエストで俺やカズマが美味しい料理をみんなに配ってる時に、一人干し肉とかで良いんだよな?」
「ちょ、ちょっと待て! それは……ああっ!? それは良い攻めかも知れん……! 皆が舌鼓を打つ中、私だけが仲間外れで干し肉……んっ!?」
良いのかよ!? ダクネスにこれは逆効果だったか……。
「あの……話を戻して欲しいです。色んな艦ごとに名物があるとか……」
「ああ……、俺の所属っていろんなとこ行くだろ? その間、艦で生活するわけだが、そんなの長時間やってると気が滅入る場合があるわけだ。想像し難かったら、航海で船に乗ってるとでも思ってくれ」
それでみんなの目線が上に行っていた。自分達が船で生活しているシーンを思い浮べたのかもしれない。
「その中だと楽しみなんてそう多くはない。そりゃあ任務中だから緊張感は持ってるけど、四六時中そうなってはいられないだろ?」
「確かに……、言いたい事は分かりますね……。船の上で私も爆裂を我慢しろと言われたら、どうにかなってしまいそうですから」
この場合、めぐみんの爆裂はあんまり関係ないと思うが、まあ良いだろう。
「その数少ない楽しみの一つが食事なわけで、それ一つで士気が全然違ってくるってデータもあったりする。そんなだから、色んな艦ごとに名物料理があって、大体はどれも美味しいんだよ」
「じゃあ、その中の一つがこのカレーなの?」
「だな。明日から個人的な探索にも出るから、景気づけも兼ねて……かな」
「探索とは……、あゆむ繋がりか?」
そこから先については、カズマが俺に任せろと言った感じで、ウインクしていたので、それに従うと。
「アクア……、お前は、どうして魔王を倒した後で、自分が天界と地上を行き来できるようになってるかは……、分かってるよな?」
不意に質問されてしまったアクアはポカンとしていたが、すぐに自信満々な態度で。
「決まってるじゃない! この世界の一千万人のアクシズ教徒をより良い方向に導くために地上に残ったのよ!」
アクアさん、そもそも自分が天界に帰れる事すら忘れてるんじゃなかろうか? 理由自体が違ってもいるし……。
「お・ま・え・は! 自分がばら撒いたチートを回収する様に、お偉いさんから命令されたんだろうが!」
シーンと静まり返った食堂であったが、アクアが脂汗をダラダラとかきながら、震える声を出していた。
「そ、そそ、それはね? ちゃんと……覚えてるわよ……? 最終的には王女様のなんとかカリバーか、ミツなんとかのグラムを返してって言おうと思ってたから……」
今の今まで絶対に忘れていたと思われるアクアの回答に、カズマは溜息をつきながらも。
「まだ所持者がいて、返して貰えるわけないだろうが! 特典に関しては所持者がいなさそうなのを、ピックアップしておいたから、明日から探しに行くぞ!」
カズマさん、誠に感謝します。うちの(未来の)息子の件をアクアの仕事にすり替えて、神器を探索する口実を作ってくれて。
「しかし……、あの子の件は良いのか? 神器探しも重要ではあるが……」
「アクセルで手掛かりが見つからないんだったら、途中の街で聞き込みしても良いだろ。それはあくまでついでになるが。駄目だったら駄目で、多分ユウが面倒を見る……だろ?」
ここで”見ない”とは言えない。本当に彼の帰還が無理になったら、そうせざるを得ないだろうけど。
アクアが納得しながらも不思議そうな顔でもって。
「カズマにしては珍しいわね……。いっつも昼間は屋敷でゴロゴロして夜は夜更かししてるか、街で遊んでるかなのに……」
「そこに関しては、俺からお願いしたんだ。神器ってのは、俺の世界のロストロギアみたいなもんだから、おかしな事態にならないうちに回収しておいた方が良いかもって。ちょっと無理矢理だったけど、ちゃんと調べてくれて感謝してる」
そこまでで、みんなが納得してくれたようで、明日からは報酬はないが、クエストという形で神器探しへと繰り出すことになったのだった。
今回のカレーの元ネタは海自の海軍カレーです。主人公も管理局の海所属という事で大目に見てください。
この二次でアクア様が地上にいる理由は、107話でチラッと書いています。