この素晴らしい世界にリリカルな魔導師を! 作:ゴマフアザラシ
オークを治療しつつ、自分達の安全、主に男の貞操を守るために縄で縛り上げるという、一見矛盾している様にも思える行為も一段落して、オーク達から集落の惨状についての聞き取り調査を行っていた。そのついでに、神器の所有者についても確認をとると、当然と言うか……、縛っているオークの一体が見るからに特別製っぽい小手を装備していたので……。
「……アンタの着けている小手はどこで手に入れた?」
「これ……? どうだったかしらね……。どこから拾って来たような気がするけど……」
身動きが取れない状態にも拘わらず、こちらの一挙手一投足をまじまじと観察しているオークがそこにはいた。ゼスタさんの言う通りの特徴ではあるが、他のオークよりも筋肉が発達しており耳をリボンで装飾している。これが人間ならまだ良かったのだろうが、彼女を直視し続けるのは、はっきり言ってきつい物がある。
「済まないが、その小手を渡してもらえないか? こう言っては何だが、治療した見返りとして――」
ほぼマッチポンプと言える状況ではあるが、拘束した挙句そんなのを言っている辺り強盗団と思われても仕方ないとは思うが、こちらとしても彼女らの負傷を癒したのだから、この程度の報酬位あっても良いはずだ。
「あなたが私と良い事してくれるなら、考えてあげないでもないわ……、痛い!? 何よそれ!? こめかみが……潰される……!? がああああああ!? やめっ……止めて……」
最終奥義、『バインドこめかみグリグリ地獄』。身体強化最大での全力全開で繰り出したそれは、かつてめぐみんに行った物など子供のお遊びと言わんばかりの威力となり、オークのオフィーリアさんは苦悶の表情と地獄に落とされたような悲鳴を上げながら、涙を流して止めて欲しいと懇願していた。
「あ、あれが……本気のユウですか!? 確か、カズマに本気を出すと言っていたらしいですが……、あの時の記憶が蘇り、私まで震えが……」
「ゆんゆんのは喰らった事はあるが……、全力でオークまで泣かせるとは……! これが整体師さんの必殺技!?」
「ユウ、是非とも私にもやってくれないか! 身体強化とやらに加えてアクアの支援魔法もするがいい! ここまでの苦痛はそうそう味わえるものではないはずだ!!」
実際に喰らった事があるめぐみんとあるえは、その場面を思い返して冷や汗をかきながら抱き合い、未だそれを味わった経験が無いダクネスは自分にもと懇願していた。というか、ダクネスに今までやらなかったのはわざとである。
「お、お兄ちゃん? オークさんが泡を吹いて気絶しちゃったけど……」
「……やりすぎたか。まあ、この小手は貰って行こう」
「ユウ、分かるんだけど……、これだと本当に強盗だよ……」
「俺はまだ……パパになる気は無いんでな……。死んでもいないし、しばらくすれば目が覚めるだろ? それともクリスは俺が犠牲になって神器を手に入れた方が良かったのか?」
その場面を頭の中に思い描いたクリスは、脂汗を垂らしながらブンブンと首を横に振っている。
「ってか、もうちょっとマシな方法があっただろ? 魔法とか……」
「カズマがオーク縛るのに良いだけ魔力を渡しただろうが! だからあれやったんだよ。低燃費かつ、威力が高く加減も利きやすい理想の必殺技だろう? 俺の魔力はもう残り少ないし、魔力散布もしてないから、この場で襲われたら結構ヤバいかも知れない」
「ユウさん、それ……思いっ切りフラグよ? 運の無い人がそんなの言ったら……」
デストロイヤーを止めた後のアクアじゃあるまいし……、とはいえ、オークを襲った謎の人物がうろついている可能性だってある。さっさと魔力回復をしておかないといけないかもしれない。
「悪い。カズマ……、アクアの魔力を……、じゃなくて、かすみ、『ディバイドエナジー』で俺に魔力をくれないか?」
一瞬だけアクアの名を出してしまったが、すぐに思い返してかすみから魔力を受取ろうと提案すると。
「……ねえ、私の魔力だと駄目なの? もしかして幸運値が下がるのが嫌なの!? 魔王城の時の無敵モードになれば、勝てる相手なんていないのよ! この私の魔力でパワーアップするんだから、どんどん持って行きなさい!」
「……パワーアップはみすてぃで間に合ってます」
「何でよおおおお!? 水の女神様の縁者なのに! 私を要らない子扱いするなんてええええ!!」
とうとう泣き出してしまった水の女神様だった。ゼスタさんは自分のとこの御神体だからか慰めていたが、他には……。
「おねえちゃん、いいこいいこ」
しゃがんで泣いていたアクアに対して、先ほど目が覚めたあゆむ君が爪先立ちしつつ、頭を撫でながらやさし気に微笑んでいた。
……何か、慣れてるなあ……。未来でもああやってるんだろうか?
そんなのが頭を過ってしまったが、アクアもその気になってしまったらしく、
「あなたは優しい子ね……。偉大なる私の加護を授けるから、アクシズ教に入信しなさい!」
「あくしずきょうとになると、おかあさんがないちゃうからだめって、おとうさんがいってた」
「何でよ!? あなたのお父さんは私に恨みでもあるの!? パッド入りのエリスならともかく、私みたいな女神なんていないのに!」
アクアが放った一言でクリスがビクッとなっていたが、そこは知らない振りして置くのが良いだろう。とはいえ、魔力についてはどうにかしないといけないので、かすみの方へと近づこうとした時、それは姿を現していた。いや、姿を現した……という表現は適切ではない。その襲撃者は知覚できない程のスピードでこちらに攻撃を仕掛けていたのだから。
「……くっ!? 何だ……、誰かいるのか……!」
その襲撃者は疾風の様な速さで俺らの背後をとり、いつぞやの紅魔の里での謎の攻撃を仕掛けた相手と同じ様にフードを被り、顔は確認できない。しかしながら……、全身タイツでボディラインがはっきりと見える服装だったので。
「……こ、これは!? お顔は見えませんが、けしからん格好の女性ですと!? しかもスタイルも悪くなく、私の勘が美女と訴えております!!」
敵さんが眼前にいるというのに、ゼスタさんが歓喜の声を上げておりました。
(……チンク達を苦戦させたというから、どれほどの物かと思えば。例の魔導師は魔力が底をつきかけている。一番の脅威は小さな子供と眼帯か……。ドクター、実戦訓練は終了していますが、敵性存在排除の許可を願います)
(構わないよ。あの時の彼らだとは思わなかったが、縁がある様だ。それと、あの黒髪で紅い眼の幼児だが、出来れば確保してくれないか? 先程、面白い能力を見せていたからね。増援も出そう)
(了解しました)
何となくではあるが、俺らが念話で会話している様な……、遠方の誰かと通信をしている感じがした。
そして、ジッとこちらを見据えて警戒していた目の前の敵だったが、その視線は俺達ではなく、明らかにあゆむ君の方を向いていた。彼目掛けて一直線で駆けて来ていたので……。
「おい、いきなり子供を狙うとか、いい度胸してるな、てめえ!!」
「……このスピードについてこられるか。魔力を消耗していると侮っていたようだ」
「舐めんな! スピードなら、ヤバい奴を一人知ってるんだよ!」
あちらとしては俺の動きの速さは意外だったらしいが、今の状態だと数合打ち合うだけで精一杯。念話でかすみへと、
(かすみ、後ろから行けるか?)
(うん! 任せて!!)
俺と謎の女性がお互いの刃で打ち合い、あちらの意識が俺へと向くように仕向けて、隙を見せた瞬間。
「なっ……!?」
「『スティンガーブレイド』ッ!!」
かすみの造り出した飛翔型の魔力刃が敵の死角から襲い掛かる。魔法が激突すると思われた瞬間、ありえないか加速を見せて、直撃コースから離脱。双方の攻防は互角となっていた。その一方で。
「私もカズマさんがバインドを使うために魔力を渡しましたから、アクアさんの魔力で補充して下さい! 早く! めぐみんのでも良いから!!」
「私が魔力を吸われたら、爆裂が撃てなくなるじゃないですか! あのハエの様に飛び回っている不届き者に目に物見せてやります!!」
「めぐみんが爆裂を撃ったら私達もオークもただでは済まないのでは? それよりも私にも魔力を回してくれないか? 私もカズマさんに渡してしまったからね」
紅魔族の三人の内二人は、使った魔力を補充しろと訴えかけている。一人は爆裂しか使えないので、この場では魔法を使ってはいけない。
「カズマ、前の時みたくスティールで隙を作りなさいな。あっちの動きが止ったらゴッドブローしてやるわ!!」
「しょうがねえなあ……! 後でセクハラとか文句言うなよ!! 『スティール』ッ!」
「助手君!? 何であたしのぱんつ持ってるの!? 奪うのはあっちの武器とかでしょ!?」
「……この場で一番のお宝って……クリスのぱんつ……なのか?」
「この状況で……ぱんつを奪うとは……! カズマ、お前という奴は……何て……くっ……!」
アクアとカズマ、クリス、そしてダクネスは当てが外れたとばかりに騒ぎながらも、ここではゆんゆんとあるえの魔力回復するのが最善手だと感じた様でそれに取り掛かろうとしていた。そんな、戦闘中とは思えないバタバタ間の中で俺は。
(みすてぃ、こうなったらユニゾン……行くぞ!)
(ですが私がユニゾンしても、まだ禄にサポートは……)
(良いんだよ! 融合すればお互いの魔力を融通できるから、俺も少しは戦闘に余裕が出来る。お前の魔力を使ってな)
(はい……! 分かりました!!)
指示に従い、みすてぃが俺にぴったりとくっ付いて。
「ユニゾンイン!」
無事に融合を完了させて、俺は髪や瞳の色が変化したものの、元々消費していた魔力が大きかったためか、戦闘続行の猶予が少し伸びただけに留まっていた。
それでも襲い掛かってきていた敵に対して、かすみも加えて互角の戦いをしていたのだが……。
「……二対一では分が悪い……か。その状態でここまで渡り合えるとは、侮りすぎていたようだ」
「悪いが、お前さんのスピードにも慣れて来たんでな。そろそろ――」
俺とかすみなら何とか押し切れると、そのまま決着を付けようとしていたのだが、
「きゃあああああ!!」
ゆんゆんの悲鳴で視線をあちらにやると、彼女の腕の中にはあゆむ君がおり、ゆんゆんに守られるように抱きしめられてた。しかし、問題はその眼前にいる数十機の機動兵器だった。まるで蜘蛛や蟷螂を思わせるフォルムにその足は鎌の様になっており、相対する者を容易に斬り裂くのが予想できる。
あれは……、あの時の……なのはをやった……、アンノウン……。
それを目にした瞬間、脳が沸騰していくのが分かった。そして、まだ魔力を回復しきってない、ゆんゆんとあゆむ君へと機動兵器が刃を突き立てようとしている。
……けど、ここで紅魔の里の二の舞になるわけには行かない。怒りは鎮めろ。周りを見渡せ。自分と相手の状況を冷静に分析しろ。
心の中で焦りを必死にコントロールして、周囲全てと自分の状態を観察する。
……俺とみすてぃ、かすみは戦闘続行可能。しかし、目の前の相手を倒せば魔力はそうは持たない。魔力散布が足りないために集束砲は使用不可。かすみなら大丈夫だろうが、生来の広域補正の魔法を使ってしまえば自分達にも被害が出る可能性がある。
ゆんゆんとあるえは魔力の回復が完全じゃない。めぐみんの爆裂では俺達も自爆となる。
カズマの魔力はほぼ満タン。そしてアクア、ゼスタさんがいれば、並大抵の魔法は通らない結界を張る事も可能。ダクネスは、結界を張る間に味方の防御に専念できる。
そこまで頭に叩き込んだことろで、みすてぃへと。
「ありったけ魔力を寄越せ! あの女、ぶった斬る!!」
フォルテに持てる全魔力を集め、あちらを見据える。相手の今までの行動パターンを瞬時に思い返して、迎撃態勢を整えていた。
集中しろ……。相手があれだけの速度で動けるなら、俺を倒すために狙うのは死角から。そして、一撃で俺を葬る為には……背後からの首への一太刀。相手の利き腕は右……、なら狙われるのは、背中側からの右首筋……!
「なっ……!?」
その読みが的中し、相手にカウンターを叩き込むことに成功すると、あちらも声を上げて驚愕していた。しかも想定外のダメージだったらしく。
(もう撤退した方が良いようだね。ここで君を確保されるのは、今後に支障を
(……分かりました)
どうやら最速で戦線を離脱してくれたらしい。なら、後はあの兵器だけだ。
「アクアとゼスタさんは一緒に防御結界張ってくれ! 並大抵の魔法じゃ通らない頑丈な奴を」
それに頷く二人だった。すぐさま結界を展開して、その外にいるのは俺とかすみ、カズマだけとなっていた。
「お前……何する気だ?」
「カズマ、魔力寄越してくれ。あの自立兵器を全部ぶっ壊す!!」
「俺の魔力なんて、たかが知れてるだろ!? それよりもかすみに――」
「かすみの魔法は全力で撃てば範囲が広すぎて、ここら辺一体が吹っ飛びかねない。だから俺が準備する間、防御を頼めるか、かすみ?」
「うん……、けど、お兄ちゃん、
かすみからすれば当然の疑問だ。大気中の魔力がそこまでない状態で集束を行ったところで、たかが知れている。
「幸い、太陽が出て、しかも真上だからな。連中のAMFなんざ、意味も無いのを思い知らせて
するとカズマが納得いかないとばかりに、
「だから、あれを全部壊すのは俺の魔力じゃ無理だろ!?」
「魔力そのものはそこまで必要はない。何せ、そこら中に魔法陣を展開するだけだから」
「嫌な予感しかしないんだが……」
冷や汗をかきながらだが、カズマが出来る限り俺へと魔力を渡すと、かすみは防御用のフィールドを展開させて、無防備な俺達をしっかりと守っていた。
「あ……あれは何でしょうか……?」
「空一面に魔法陣がいくつだ!? 見えるだけで二十は超えている!?」
「何するの!? ユウさんキレ気味だけど、とんでもない事する気じゃわよね!?」
アクア達が、上空を埋め尽くすほどに展開された茜色の魔法陣を目の当たりにして震えている。
「ファルシオン、集光の計算を。連中にブチ当てる様に焦点を合わせろ!!」
『集光計算、開始します』
それと共に、展開していた魔法陣がやや位置を変え、
「お前ら……、運が無かったな……。その姿を俺の前に見せた事。それと……」
つい先ほどゆんゆんとあゆむ君に襲い掛かった、その光景が脳裏にこびり付いている。そのままの勢いで。
「俺の息子とその母親に……、手を出そうとしてんじゃねええええ!!」
『Radiant javelin』
「ファランクスシフトッ!!」
――太陽炉という物がある。それはレンズや反射鏡を用いて高温を造り出す装置だ。大掛かりな装置ともなれば容易に鉄を溶かす事すら可能なそれは、魔法陣で太陽光を屈折させて集光を行えば、天から降り注ぎ目標を
「装甲を貫いて、動力部を破壊した様ですな。まさかあんな方法で……」
「太陽光の一点集中によって、相手にダメージを与える魔法……。範囲が広くても敵にだけ焦点を合わせれば味方を巻き込まずに済む……。これが……整体師さんが言っていた必殺技なのかな?」
装甲に半径数センチの穴が開き、それが地面まで貫通して動作が停止している自立兵器だった物の残骸のみが残されていた。
「周囲に動力反応は?」
『ありません。我々のみです』
とりあえず警戒態勢を解いてみんなに合流すると、アクア達は結界を解除した様で。
「ズルいですよ! こんな派手な必殺技を隠し持っていたなんて! 何ですか!? 一瞬光ったと思ったら、敵が全滅しているとか、何てカッコいい……!」
「全く、お前には驚かされてばかりだ。こんな切り札を持っていたとは。何故、今まで使わなかったのだ?」
めぐみんは目を輝かせ興奮しながら、ダクネスは不思議そうに俺へと語り掛けて来たので。
「こいつはな、使用魔力が少なくて済むけど条件がいくつかあるんだ。まず、太陽が真上に来る辺りでないと難しい。しかも夜や雨の日は使えない。何せ太陽光を集める魔法だから。ついでにそれを目標に正確に当てるのにも複雑な演算が必要だから、割と難易度も高い」
「それでも魔王軍の幹部と戦った時にでもやれば良かったでしょ?」
アクアの疑問は最もだが、今まではできなかったのだ。何故なら……。
「これを使ってる間は、俺も動けなくなるからベルディアの時には使えない。あくまで小さい範囲を貫く魔法だから、デストロイヤーに使っても破壊できない。魔力を当てるわけじゃないから非殺傷設定は無理で、バニルに取りつかれたダクネスにやれなかった……」
「わ、私としては……熱閃で
ありえたかもしれない可能性を想像して、頬を赤くしている変態は無視して説明を続ける。
「ハンスに使えば、その熱で毒ガスが発生して、シルビアの時は夜だったから使用不可。魔王城前でかすみに見せたりしたら、即座に修得されてあの場の全員が全滅してたかもしれない」
よって今まで使う機会が無かっただけなのである。そこまで聞くと、俺以外の全員が顔を見合わせて思考が合致した様で、カズマから。
「お前って……凄まじく運が無いんだな……」
「やかましい!!」
分かってはいたが、実際に耳にすると落ち込んでしまいそうになっているので、それについては考えないでおこう。そこまで説明を終えた所で、ゼスタさんが俺とゆんゆんに視線を向けて実に嬉しそうに。
「ユウさん、ゆんゆんさん、おめでとうございます。いやはや、若いお二人の門出を見るのは良い物ですな」
「……ゼスタさん、言葉の意味が分かりませんが?」
ゼスタさん、はて? といった不思議そうな表情をしながら。
「先ほど、仰っていたではありませんか。”ゆんゆんさんは俺の嫁”……と。あの状況で告白とは中々情熱的ですな。はっはっはっ!」
そんな事言った覚えは無いのだが……。ええっと……。
――俺の息子とその母親に……、手を出そうとしてんじゃねええええ!!
ゼスタさんの脳内ではあゆむ君の父親は俺。そして、その母親のゆんゆんは自動的に嫁となってしまったらしい。当のゆんゆんはというと……、
「俺の嫁……俺の嫁……俺の嫁……」
同じ言葉をリピート再生しながら、遠くを見つめてボーっとしておりました。
「あ、あれはな!? この子がゆんゆんと俺を親って呼んでるからで……」
「ねえ、お兄ちゃん……。ずっと不思議に思ってたんだけど……最初にあゆむ君を息子って呼んだ時に、わたしのデバイスの嘘発見機能が反応しなかったのって……? しかも、さっきの大声の時もだから……」
本日の教訓――義妹のデバイスに趣味で嘘発見機能を付けてはいけません。
そこまでかすみが喋ったところで、ダクネスとめぐみんが俺の腕をガシッと力一杯掴み、逃げられない様にした後で、そこらのモンスターなどかくやといった気迫でもって。
「……どういう事か説明してもらいましょうか? あの子はあなたの息子なのですか? 正直に答えて下さいね、怒ったりしませんから……!」
「めぐみん、腕が痛い!? お、おお、怒ってないとか嘘だろ!? ミシミシ言ってる! 腕の骨が軋んでるから……!?」
にこやかにも拘らず、目が輝いているめぐみんさんは、かなーりご立腹のようだ。
「さて、あの子の件と神器探しの件は、無関係ではないな? どうして私達に隠し事をしていたのかも白状してもらうぞ?」
「ダクネスもシルフィーナちゃんに親って呼ばれて……痛いって!? 腕が千切れる!? 助けて、カズマ、クリス!!」
この件に関して、詳細を教えていたカズマ達に悲痛な叫びで助けを懇願すると……、
「……自分でバラしたお前が悪い。俺は頼まれてただけだから、後はお前がきっちり説明しろ」
「うーん。神器は確保できたから、助けてあげたいところだけど……。ちゃんと教えないと、みんな納得しないと思うよ?」
お二人共、俺を魔の手から救ってくれる気は無いようだ。
「整体師さんが彼の親だというのなら、私の取材にも付き合ってくれるね? あの子の特殊能力の件について、全て聞かせてもらうので、そのつもりでいて欲しい」
ついにはあるえまで、俺へと詰め寄る始末。どこをどうやっても、逃げ道なんて見当たらない。もう大泣きしてしまいたいくらいの気持ちではあったが、ついには、桃色っぽい人の声まで聞こえて来ていた。
「その……私達って、お邪魔だった?」
「……エルトリアの皆さま。いつからこちらへ?」
いつの間にか、俺達の近くにはアミタさん達もおり、出るタイミングが掴めなかったとばかりに困った顔をしておりました。
「ええっと……ですね。”俺の息子とその母親に……”辺りからでしょうか……。前に私達がここに来た時に、おかしな反応が出ていたので、もしかしたらと思って来てみたんですが……」
来るならもっと早く来てください。タイミング最悪すぎですって、アミタさん……。
「はっきりせぬ軟弱男だと思っておったが、まあ、そこは撤回してやろう。感謝するがいい」
すっきりしたとばかりに満足そうなお顔をされている王様は、俺の肩をポンポンと叩きながら、これから頑張れと励ましている様に思えた。
「俺の嫁……。ディアーチェ、今度そうやって呼んでください!」
何故か自分がそう呼ばれるのを想像して、満面の笑みを見せてるユーリだった。
「コンチビ! ボク頑張ったからな! 四刀流バトル、忘れたとは言わせないぞ!!」
それやる前に、俺はおそらく真っ白に燃え尽きるだろう。済まない、レヴィ……。
「申し訳ありません……。急だったもので、お祝いの品を用意しておりませんでいた」
暗い雰囲気で、本当にそう思ってくれているであろうシュテルだったが、今はそれよりも助けて欲しい。
――その後、あゆむ君の素性についての説明をして、一応納得してくれたみんなではあったが、そこまでで俺は疲れ果て、もう動く気力すらなくなってしまっていた。
しかもエルトリアの面々がこちらに来てくれたので、時間移動の神器探しについては、はっきり言えば骨折り損となってしまっていたのだった。
結果的には普通に待ってれば、エルトリアから迎えが来ていたという事になります。不確定要素が多すぎたので、神器探しをしていますが……。
Radiant javelin(ラディアント・ジャベリン)
太陽光を一点に集中させて、その熱で目標にダメージを与える魔法です。作中では広域型のファランクスシフトとして使用しています。使用条件とか結構めんどいです。
何気に主人公のオリジナルで、開発経緯については次回辺りで……でるかな?
サキュバス騒動でのダストと戦った時もそうでしたが、冷静になると戦闘中の読みがかなりの精度で当たります。六課解散後に伸びるのはこの能力で、GOD編でもチラッと出ています。(それに加えて、殺気なんてのも感じ取って先読みしたりしていますが)
そこら辺は、ボードゲームで他を圧倒している描写で片鱗が出たりしています。