この素晴らしい世界にリリカルな魔導師を!   作:ゴマフアザラシ

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チリメンドンヤ、来訪

 かすみの誕生日から一週間が経ち、あの娘が大人姿になった際に匂いで見破っただのと、おかしな噂が立ちそうになっていたが、そこは俺の誠心誠意の説明により冒険者のみんなが納得してくれた。

 何故か、ここで本気にさせると『アクセルの大魔王』が再臨するといったヒソヒソ話をされていた様な気がするが、そこはあえて気にしないでおく。

 それはともかく、俺は冒険者ギルドのテーブルにダクネスと共に向き合い、眉間に皺を寄せながら、利き腕に精一杯の力を込めていた。

 

「男とはいえ魔法使い(アークウィザード)が、女の聖騎士(クルセイダー)に負けても恥では……無いぞ? いい加減諦めたらどうだ?」

 

「ダクネスこそ、貴族のか弱いお嬢様が男に負けた所で、”負けちゃった、てへっ!” って言えば、可愛く見えるが? そろそろ力抜けって……!」

 

 双方、腕をプルプルと振るわせながら、こいつには負けられないといった気迫が感じ取れる。その一方で、

 

「おーにーいーちゃああああん、がんばってー!」

 

「わたしのためにかってええええ!」

 

「気色悪い猫撫で声出してんじゃねえ! 後で覚えてろよ!? 顔は覚えたからな!」

 

裏声を使い、俺を応援する男性冒険者や、

 

「ままー、頑張って! ままー」

 

「ララちゃん、そこだ! 一気に力を込めろ!」

 

「ララティーナ! 可愛いよ、ララティーナ!」

 

「貴様ら! 私が動けぬと思って好き放題言っているのか!? その内、目に物見せてやる!!」

 

ダクネスに熱い声援を送る冒険者ギルドの顔なじみ達に囲まれていた。

 

「二人共引きませんね? ユウもダクネスと互角とは……」

 

「クルセイダーに腕力で対抗できる魔法使いが凄いのか……、ユウに対抗できるダクネスが凄いのか……。どっちだろうな?」

 

「うーん、ユウさんの場合、殆どの上級職にはなれるから、あまり関係ない気がするわね……」

 

 カズマ達は、そんな他愛のない雑談をしながら、二人の勝負の行く末を見守っている。

 さて、二人が何をしているのかというと、時は一時間前に遡る。

 

 

 

 

 

 

 

「あのね? お兄ちゃんとダクネスお姉ちゃんって、どっちが力持ちなの?」

 

 屋敷で休日をゆったりと過ごしていた俺達に、かすみがそんな質問を投げかけていた。

 

「……いきなりどうした? そんなのに興味持つなんて」

 

「深い意味は無いけど……、お兄ちゃんは戦闘魔導師で、お休みでも自主的に訓練してるでしょ? 偶にわたしを背中に乗せて片腕で腕立て伏せしたり……」

 

 俺的には、それも職務の一環なので当然と言えば当然なのだが、それと比較されたもう一人については……。

 

「ダクネスお姉ちゃんは、鎧を着たままでも筋力トレーニングしてるし、こう……負荷をかけると喜んで、ますます頑張ったりするし……」

 

 変態クルセイダーにとって、トレーニングとは己をイジメぬくのがコツと言っていたことがある。彼女にとっては、それ自体が琴線に触れてしまうらしい。

 とはいえ、確かに俺はダクネスと力比べなんてしたことは無い。おそらく単純な戦果で言えば俺が上。しかし、こと防御力に関してはダクネスが上。腕力がどうかなんて今まで考えもしなかった。

 

「ふむ、私とユウか……、普通で言えば、クルセイダーの私に軍配は上がるだろうが……」

 

「おいおい、ちょっと待てよ。確かに俺は魔法使いだが、剣も槍も使えるからそこらの魔法使いと一緒くたにしないで欲しいもんだ」

 

 お互い、自分が上といった意見を出していたが、どちらもその考えを改める気は無い。なので見かねたカズマから。

 

「だったら勝負すれば早いだろ。腕力なら腕相撲でもすれば一発で分かる」

 

「私の鍛錬は並のクルセイダーとは比較にならん。まあ、その成果を見せるのも悪くはないか」

 

「槍型アームドデバイスの『フォルテ』を使うにも……、それなりの筋力も必要だし、杖だけ使ってるようなのとは違うってのを見せてやるか……」

 

 俺とダクネスは二人とも笑顔であるにもかかわらず、視線は笑っていない。俺達の中央で、ある筈の無い火花が散り、すでに戦いは始まっている様な、そんな空気を作り上げていた。

 そして、昼時でもあり、酒場で昼食を取った後にでも勝負をするかといった意見でまとまったので、食事後、すぐさま腕相撲勝負を始めていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ダクネス……、随分と辛そうだな……? 汗が凄いぞ?」

 

「ふっ……、この均衡も私にとっては都合が良いのだ。筋繊維が負荷によって傷付いていくような……、この感覚は筋力トレーニングをしていても喜ばしい痛みなのだ……!」

 

 サラッとドMな発言が飛び出してはいたが、確かにダクネスは、少しばかり顔が紅潮して緩んでいる。この状況もヤツにとってはプレイの一つとなりえるらしい。

 俺とダクネスの勝負は一進一退を繰り返している。お互いが自分の鍛え方が上といったプライドの元、この勝負に臨んでいる。簡単に負けるわけにはいかないのだ。

 二人共、更なる力を込めようと左手でテーブルの端を握りながら、相手を威嚇する様な視線を送っている。その中にあって、

 

「さあ! ユウとララティーナの腕相撲、どっちが勝つかの大一番! 一口2000エリスから受け付けるぜ!」

 

 アクセルにおいてチンピラの代名詞とも言われているダストが、俺達の勝負をこれ幸いとばかりに、賭けにして一儲けしようと企んでいる。先程の気色悪い応援は、こいつのせいらしい。

 

「ぐぬぬぬぬ……」

 

「くっ……、はあ……ぐうっ……!」

 

 腕相撲中の俺達は、最早会話する余裕すらなくなっていた。お互いここまで来たら負けてなるものかといった気迫だけで拮抗している。

 

「腕が中央から動かなくなりましたね……。これは、心の折れた方が一気に持って行かれますよ!? 最後に勝負を決めるのは心の強さです!」

 

「ユウさんも負けず嫌いの塊みたいな人だし、ダクネスさんだって、ここまで来たら負ける気は無さそうです……」

 

 めぐみんとゆんゆんは、どうしてか実況と解説の様な事をしている。狙ってやっているわけではないだろうが……、厨二な紅魔族のめぐみんは狙ってやってるかも。

 

「ねえ? テーブルがミシミシ言ってない? 二人共……力を入れすぎなんじゃないかしら?」

 

「そう……だね? 何かマズそうな気が……」

 

「ロードもダクネスさんも一旦中断を――」

 

 みすてぃがそんな提案を出そうとしていた矢先、バキッとテーブルが真っ二つに割れた音がギルド内に響き渡っていた。俺達の力に耐えきれずにテーブルがお亡くなりになってしまった。幸い俺達は倒れ込むことなく、掴んでいたお互いの手を放したのだが、

 

「……ここまで来て引き分けとは、納得がいかん。再戦を希望するがどうだ?」

 

「けど、木製のテーブルだとまた壊れそうだな。カズマ、この際だからミスリル製のテーブルを用意して――」

 

 その要望を聞いてカズマは小刻みに震えながら、

 

「いい加減にしろ! このテーブルどうする気だ!? 屋敷のならともかく……」

 

俺達へと説教をしようとしていたが、ポンポンと肩を叩かれ。

 

「すいませんが、テーブル……弁償してくださいますよね? そこまで高価な物ではありませんから、今すぐにでも……!」

 

 冒険者ギルドの巨乳美人受付嬢と名高いルナさんが、眉をヒクヒクと動かしながら頭を抱え、俺らに半ば強制な、”お願い”を笑顔で言い放っていた。

 

 

 

 

 

 

 

「何でお前は、勝負ごとになると熱くなりやすいんだ!? 戦うのは色々理由つけて避けようとするってのに!」

 

「ぼく戦うの嫌い。必要な時しかやりたくない。けど勝負は別。負けるの嫌」

 

 普段は使わない一人称でカズマへの説明を行っていたが、彼はそれでは納得しそうにない。ちなみにテーブルの弁償代金は俺とダクネスが、ルナさんから指摘されたその場で折半して支払い済みだ。

 そこからカズマの俺達への説教が始まると思われたその時。

 

「やあ、さっきから見ていたが、相変わらずのようだね。まさかテーブルを壊してまでやるとは思わなかったが……」

 

「あら、えっと……確か! マツラギよね? カシワギだったかしら? それともサクラギだっけ?」

 

「女神様、ミツルギです! ミツルギですから!」

 

 魔剣の勇者さん、その名はミツルギキョウヤ。高レベル冒険者にして、『魔剣グラム』を携えるソードマスターであり、現在では王都付近で人間に害なすモンスターを積極的に討伐している……、まるで冒険者とはかくあるべきといった例を体現しているイケメンな男性だ。

 そして、何故かアクアには名前を覚えられない不遇の方でもある。

 

「よう、大体一年ぶりか。ここに来るなんて珍しいな? ギルドから討伐依頼でもあったとか?」

 

「いや、今日は君達に用事があってね。これを見てくれ」

 

 ミツルギが取り出したのは、広告の様な一枚の紙。どうやら何かのイベントのようだが、内容は。

 

「『停戦一周年記念祭』……? 王都でやってんのか? お祭りは好きだけど、俺らってそこまで気軽な仲だったけ?」

 

「いや、そうじゃない。こっちを見てくれないか?」

 

 どうやら彼が言いたかったのは、その記念祭の中のイベントの一つのようだ。

 

「ええと……。『武芸大会』ですか? もしかして、これにユウを誘いに?」

 

 めぐみんがそのイベントを読み上げたが、もしかして……この人(ミツルギ)は俺とまた勝負したいとか言いだすのではなかろうか? しかも然るべき舞台で……とか力説して。なんてのを考えてしまったので。

 

「日程的には、丁度こっちにいますけど、アクセルでゆったりしたいから、正直めんどくさ――」

 

「そこから先は、(わたくし)からご説明します。よろしいですか?」

 

 ミツルギの後ろから、少々幼さが残るような聞き覚えのある声が発せられた。そちらに視線を向け、声の主を確認すると。

 

「おや、イリスちゃん。チリメンドンヤの方は順調かな? けど、あんまり出歩くのは感心しないよ?」

 

「はいっ! 『チリメンドンヤ殺法』も日々精進しております」

 

 そこには、13歳くらいの金髪の少女が元気よく俺に挨拶を返し、にこやかな表情を見せている。周りからは、”アイリス様!?” とか、”王女様!?”とか聞こえているが、この娘は()()()()()、チリメンドンヤの孫娘のイリスちゃんに間違いない。

 俺とイリスちゃんの何気ない会話にカズマが怪訝な顔をしながら。

 

「おい……、『チリメンドンヤ殺法』って何だ!? おかしな事教えたんじゃないだろうな!?」

 

「カズマはチリメンドンヤを知ってるのに、『チリメンドンヤ殺法』は知らないのか? 『チリメンドンヤ殺法』……、それはチリメンドンヤの一族が代々継承する武術や魔法の総称であり、チリメンドンヤ剣術『エクステリオン』や『セイクリッド・エクスプロード』。そしてチリメンドンヤ魔法『セイクリッド・ライトニングブレア』等の強力な――」

 

「お前は!? 何を吹き込んだ!? 洗いざらい吐け! しかも何でかすみのデバイスの嘘発見機能が反応しないんだよ!?」

 

「チリメンドンヤを教えたのはカズマじゃないか。ついでに言っとくが、この世界に無い物を適当に作り出したところで、それは嘘にはならないだろ?」

 

 これに関しては、とある高貴な方がお忍びでアクセルに訪れた際に、その正体を隠す方法の一つとして進言した物だったりする。その時に出会ったのは偶然ではあったが、使ってくれているという事は結構気に入ったのだろう。

 

「あの男、凄じく怖ろしい事を笑顔でやっていませんか!?」

 

「ああ……。一つ間違えば首が飛ぶ。頼むからこれ以上おかしな事をしないでくれ……」

 

「ユウさん、適当に名前つけた感がヒシヒシと伝わって来てますけど……」

 

 めぐみん達が、世にも恐ろしいナニカを見るような目で俺に視線を向けてはいるが、イリスちゃんがこうしているという事は、それなりに厄介な案件の可能性がある。お付きの二人の他にミツルギまで引っ張りこんでいるのが、その証拠だ。

 

「ところで、貴女がここにいるという事は、チリメンドンヤの取引でしょう? でしたら、ダスティネス邸か我々の屋敷の方がよろしいのでは?」

 

「そうですね……。今回は、そちらのミツルギ様からもありましたが、皆さまへのご依頼があります。ですので、屋敷へ伺ってもよろしいですか?」

 

 俺とイリスちゃんが示し合わせたように、屋敷へ向う旨の会話をしていると、

 

「お忍びとはいえ、こちらの意図をくみ取るのは流石と言うべきか……」

 

「ですが……、どことなく楽しんでやっている様な……」

 

イリスちゃんのお付きの二人が感心しながらも、疲れた様な雰囲気を漂わせていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 屋敷へ戻り、俺達の元を訪れた四人と向かい合って、食堂のテーブルに座っている。結構な大人数になってしまったので、リビングではなくこちらの部屋を使っていたのだが、特にダクネスは彼女の突然の訪問に気が気でないといった感じだ。

 

「それで……、どうしたんだ、アイリス? わざわざ俺達に頼み事ってのは?」

 

「カ、カズマ、言葉遣いに気を付けろ! アイリス様、申し訳――」

 

 屋敷の中という事で、”イリスちゃん”ではなく、”アイリス”として彼女と接している俺とカズマだった。ダクネスが即座にカズマの態度に注意を促していたが、そこは気にするなといった態度で。

 

「ララティーナ、構いませんから話を続けます。良いですね?」

 

 はっ! ……と、王族と貴族らしいやり取りをしていたが、そこからこちらへと視線を向けて今回の要件とやらに聞き入っていた。その内容とは……、

 

「魔王軍へ襲撃しようとしている連中か……」

 

「はい……。あれから一年経ちますが、未だに王城の騎士団の中には魔王軍を危険視する者もおります。今までは何とか我々が押え込んできましたが、そのリーダーが秘密裏に戦力を集めているとの情報がありまして……」

 

「そこは仕方ないでしょうね。何せ争っていた期間の方が圧倒的に長い。今までの心情を考えると当然と言えば当然ですよ」

 

 やっぱりきな臭い話だったか。現在、魔王軍とは停戦状態とはいえ、どっかでドンパチが起きればそんな物はすぐに破棄になってしまう。大体、魔王軍、特に幹部級はアクアがこの世界に送り込んでいるチート持ちでも敵わないような連中だ。それを戦力集めたくらいでどうにかなるとは思えないが……。

 

「……もしかして、集めている戦力ってのは、俗にいう”勇者候補”ですか?」

 

「いえ、こちらで確認した情報によると、そういった者達はなびかなかったようです。なんでも……、”《怪力》で土木王に俺はなる。”とか、”《聖剣アロンダイト》でオーバーロードする。”とか、”《魔剣ムラマサ》で宿業を絶つ。”など言われて諦めた様です」

 

 ……チート持ちって何を考えているんだろう? いや、魔王軍襲撃に加わらなかっただけでも良しとするか。

 

「でしたら、騎士団の一派がそのまま戦闘を仕掛けるということですか?」

 

「それはいくらなんでも無謀です! そもそも、そんな事をしたらその人達だって……」

 

 ただで済まないとゆんゆんは言いたいのだろう。それでも仕掛けるのは何らかの勝算がある筈だが……。

 

「それで、その件と俺が大会に出るのと何の関係が? そのリーダーを力尽くでどうにかしろならともかく……」

 

「出来ればこの件は秘密裏に処理したい。そして、その決行日は武芸大会と同じ日らしい。なので、出来れば民の眼をそちらに向けておいて、その隙に確保しておきたいのだ」

 

 簡単に言うと、俺とミツルギが派手に活躍して客寄せパンダになってもらい、何も知らない人達が注目しているうちに……、って事らしい。特にその武芸大会は今回の祭りの目玉でもあるので、その間は王城の警備も手薄になる。相手もそれを狙って決行日をその日にしたとのクレアさんからの見解があった。

 

「つまりは大捕り物ですか。ええ、みんなが平和を満喫しているその裏で平穏を守るために活動する! 紅魔族の琴線に触れるカッコよさです!」

 

「その輩も余計な事を考えたものだ。ここは我々が止めるべきだろう」

 

「カズマは相手の位置を感知したり、バインドで捕まえたり、ワイヤートラップだって使えるから、大活躍できそうね? 私はユウのセコンドにでも付いてあげるわ!」

 

 めぐみんやダクネスがやる気になっている時に、一人楽をしようとしている女神様が得意げな顔をしていたので、少しばかりイラっと来たらしいカズマから。

 

「お前はこっちに決まってるだろ! 女神様が何言ってるんだ!!」

 

「嫌よ! ユウが勝ち上ればチヤホヤされるでしょ! この子は私が育てたってドヤ顔して、アクシズ教の信者を増やすんだから!」

 

 俺はアクアに育てられた覚えはない。11歳の臨死体験時、ちょこっとだけ相談乗って貰っただけなんだが……。

 

「……付き添いはかすみにお願いする。悪いがアクアはカズマに付いて欲しい。万が一何かあったらアクアの力が必要だから」

 

 俺の意見に、しょうがないわね……と言いながら、渋々納得してくれたアクアだったが、俺の隣にいたダクネスが小声で。

 

(どうした? カスミはこちらでも良かったと思うが? 何か懸念でもあるのか?)

 

(その連中が戦力を欲しているなら、かすみを狙う可能性だってある。何せ、あれだけの力の持ち主だ。実力的に後れを取る事はそうそう無いけど、搦手で来られるとどうなるか分からない。そこらはまだ子供だから、経験が少ないし。それに人目の多い方が、手は出し難くなるだろ?)

 

(成程。用心しておくに越したことはないか……。留守番をさせてもこちらに来られると厄介だ。それについては、後で私から皆に話しておく。カスミには内緒で構わないか?)

 

(ああ。気遣い感謝するよ)

 

 アイリスがいるからか、真面目な貴族兼、聖騎士となっているダクネスだ。これだったら、かなり尊敬できる女性なんだよなあ……。

 

「それで、その馬鹿な事考えてる連中はカズマに任せておくとして、武芸大会って何か注文とかありますか? 出来るだけ盛り上げて欲しいとか……」

 

「そうですね……、出来れば派手な動きをして欲しいですが……、こう、素人目でも分かるような」

 

 殺陣(たて)みたいにオーバーアクションで動けとでもいうのだろうか? まあ、やって出来ないことはないが。

 

「それと、まほ――」

 

「魔法は禁止となっている。これは”武芸”大会だ。使用する武器も木製のみという制限をする。初級魔法であっても使えば反則負けとなるので注意をしてくれ」

 

 派手にやるなら魔法も有りかなって思ったが、そうじゃないようだ。レインさんとクレアさんの説明で大体は把握できたが……。

 

「それとミツルギ殿とは決勝で当たる様に、こちらでトーナメント表を作成します。それが一番盛り上がると思いますので」

 

 うわーい、お前ら絶対決勝まで勝ち残れって言ってるよ。どんなのが出て来るかも分かんないってのに。

 

「大丈夫ですよ! 剣士としての力も会食で見せたではありませんか。それに子供の頃は、二つの杖をそれぞれ剣と槍の様に使っていたと聞きます。注目を集めるのであれば、それをやってみては?」

 

「それ良いかも知れませんね。物珍しいですし、その方が面白くなると思います!」

 

 俺の不安を拭う様に、めぐみんとゆんゆんは勝手に昔のスタイルで大会出た方が良いとか、そんなので盛り上がってしまっていた。しかし、

 

「待てって。俺としては今は剣だけの方が――」

 

適当に理由つけて、それを拒否しようとしていた。嫌なわけではないが、そこまでする必要性がないと思ったからだ。

 それを感じ取ってしまっためぐみんが、何やらかすみに耳打ちをし。

 

「お兄ちゃん、わたしも杖の二刀流だし、お手本とカッコいいところ見てみたい!」

 

「お兄ちゃんに任せろ。二刀流の教科書みたいなのをきっちりと見せてやる! ついでに相手につけ入る隙も見せないで華麗に勝って、その勝利はかすみにプレゼントしようか」

 

 たった一言だけだというのに、気乗りしなかった俺を説得してしまった策士のめぐみんだったが、彼女とその周りの人間は……。

 

((((チョロいなあ……、この男。まあ良いけど))))

 

 何も話していないはずなのに、全員の思考が合致し、こいつの制御はこうすれば良いのか……みたいな、そんな視線を送っていた。

 そしてミツルギは、一年前にこめっこが屋敷に来ていた時の出来事を思い出したらしく。

 

「前に僕が勝負を申し込んで、違う子から頼まれた時は、そこまで乗り気じゃなかったはず……。この一年で一体何が?」

 

「ああ……、あいつはな……、この一年で、シスコンから、(スーパー)シスコン、そしてハイパーシスコンにまで進化したんだ……。俺達は……、あいつが堕ちて行くのをただ見守るしかなかった……」

 

 カズマの説明で、何で自分はこの人物に何度も負けているのだろうかと、納得いかない表情を浮かべていたミツルギだった。




このすばのチリメンドンヤは怖ろしい……。大体主人公のせいですが。

この二次でアクセルの冒険者がアイリスの顔を知っているのは、魔王城前の時に顔を合わせてるからですね。
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