この素晴らしい世界にリリカルな魔導師を! 作:ゴマフアザラシ
リッチーとユウがその場を離れ、アクア達と中年の騎士を睨みつけていたカズマだった。
「全く……、こちらとしては、貴様等なんぞにかまけているつもりはなかったのだが……。今ならば、そこの子供を置いて行けば見逃してやらんでもない。貴様らにとっても悪い話ではないだろう?」
騎士はかすみを渡せば、お前らには用は無いとばかりの尊大な態度を見せている。
「おい、おっさん、いくらその魔道具が強力だって言っても、一人で魔王軍とやり合うなんてできるわけないだろうが! いい年して、ちょっとは現実見ろ」
「おっさ……!? こう見えてもワシは貴族なのだがね。これだから下賤な冒険者は……」
目の前の騎士は貴族であるらしい。今までのリッチーやこちらを見下した態度も、何となく納得できたカズマだった。
「そうか……。あんた、貴族だったのか……。だったら話は早い。ダクネス出番だ!」
「わ、私か!? そうか……、私の鍛え抜かれた
攻撃が当たらないはずの自分をわざわざ指名している。爆裂魔法しか使えないめぐみんでは、あの男の捕縛は不可能となり、アクアならば『ゴッドブロー』などで倒せるかもしれないが、重圧に簡単に屈するかもしれない。
ならば、重圧の中でも辛うじて動ける自分があの騎士に接近して一撃くれてやれと。そう理解したダクネスだったが。
「いや、あのおっさんが貴族なら、ダクネスの家の名前を出せば簡単に捕まえられるんじゃないかと思って……」
「ちょっと待て!? カズマ、お前は当家を何だと思っているのだ!?」
「ベルゼルグでも指折りの名家で、並大抵の貴族じゃ敵わない権力を持ってる、変態の実家」
褒めているのか貶しているのか分からないようなカズマの回答に、膝を抱えていじけてしまっていたダクネスを尻目に。
「さあさあ、このクルセイダーをどなたと心得ているの! ある時は冒険者、またある時はシルフィーナのママ。しかして、その正体は……」
アクアがどこかの時代劇っぽいノリで、ダクネスを持ち上げようとしていたが、それにめぐみんも続けて。
「ダクネスとは仮の姿! その真の名はダスティネス・フォード・ララティーナ! さあ、この名に聞き覚えがあるのなら、ひれ伏すのです!!」
この場には不特定多数の人間はいないとはいえ、本名を高らかに暴露されたダクネスは顔を真っ赤にして、プルプルと震えていた。その名を耳した騎士は。
「……知っているが? 貴族としての義務を果たさずに、冒険者稼業にかまけている行き遅れまっしぐらの令嬢との噂もある。何だったら、ワシが貰ってやっても良い」
「ふ……ふふふ……、行き遅れ……まっしぐら……。ぶっ殺してやる!!」
自分が一番気にしていたらしい事を、サラッと言われてしまって激高したダクネスだったが、その周りは、
「ダクネス、気にしてはいけません! 大丈夫です! ダクネスならば良縁に恵まれます! 私が保証しますから!!」
「そうよ! あのおじさん、カスミにご執心だからきっとロリコンよ、ロリコン! 年の離れたダクネスを貰うとか言っていたから間違いないわ! ロリコンのおじさんの言う事なんて信じちゃ駄目よ!!」
ダクネスにしがみ付き、特にアクアはおっさんを無自覚に貶めている。
「……えっと、私達って、どうすれば良いのかな? とりあえず、魔法で攻撃してみる?」
「うーん、お兄ちゃんからも思いっ切りやれって言われたから……、ちょっとだけ……」
アクア達のノリについていけないゆんゆんとかすみが、自分の持つ杖を騎士の方向に構えて、魔法を撃ち出していた。しかしながら。
「この魔道具……いや、この能力は相当なものだ。まさか、魔法そのものの軌道まで捻じ曲げる事が可能だとは……」
突然自分に魔法を撃たれて、少しばかり冷や汗を垂らしていた騎士のおっさんだったが、『重力』の効果は自身の予想を超えていた様で、歪んだ笑顔を見せている。
「……あの重力の魔力を持ってたユウの親父さんを殺したミッドチルダのテロリストって……、一体どうやったんだ!?」
「カズマ、あっちはね……、一回世紀末を迎えた世界よ。犯罪者の能力だって比べ物にならないわ! 言っときますけど、魔法だって比較的安全な力って事で使用されているの。それよりもヤバい兵器とか禁止されてたりするんだから!!」
「……なんつーおっかない世界だ!? こっちの世界の方がまだ良いって事か!?」
アクアからもたらされた情報に思わずツッコんでしまったカズマだが、彼の故郷の事情を少しだけ知って同情もしてしまっていた。
「あの少年も……、この能力は使えないとはいえ、その力を魔王軍に向ければ英雄と称されていたかもしれんというのに」
「うちのユウさんは、そんなのに興味はないわよ! 今のユウさんを支配しているのは、カスミと遊ぶとか、カスミが可愛いとかが9割を占めているの。その他はめぐみんとゆんゆんを怒らせたらどうしようとか、今晩のおかずは何が良いかとかよ!」
騎士に向かって、ユウはシスコンだと、本人が聞いたら否定せずに満足そうに頷きそうなセリフを投げかけていた。そのアクアの言に納得しなさそうな二人は。
「私の事は一割しかないのですか!? いえ、ゆんゆんと割れば五分程度しかない……。私の存在感は五分……」
「5%……、今晩のおかずの事を差し引けばそれより低い……。私って……影が薄いのかなあ……」
紅魔族の少女達は、暗ーい雰囲気となってしまい、戦闘どころではなくなっている。
「ほとんどわたし……。えへへ……、わたしの事ばっかり……」
かすみのみ、はにかみながら嬉しそうにしていたが、今は敵対者と対峙しているのを忘れてはいけない。
「……アクア、攻撃担当の戦意を奪ってどうする気だ!? この駄女神が! あのおっさん倒すには……倒すには……あれ?」
「どうしたのですか? 私やゆんゆんの力が必要なのでは……」
「あんまり、いらないかもしれない……」
「「えっ……!?」」
カズマが言うには、先程ユウから聞いた情報から、そこまで難しい事をする必要はないが、即興でやるには準備の時間が足りない。とはいえ、やるしかないのだ。
「よし、かすみ! あの時の……魔王城の時みたいに、ゴーレムの大軍を造り出せ。具体的には、あそこら辺の土を使ってだ!」
「う、うん……。『クリエイト・アースゴーレム』ッ!」
そこに現れたのは、十数体の巨大なゴーレム達。現在かすみの魔力は封印されて全開とはいかないが、それでも並の相手ならば、逃げ出したいくらいの威圧感がある。ちなみに魔王城前では魔力を封印されていなかったので、軍勢と言って差し支えない規模で使用していた魔法だ。
「よし、突撃だ!!」
カズマの指示で、ゴーレムを騎士に向かって真っすぐに突っ込ませていた。だが、騎士の前方に展開していた『重力』付与のフィールドで次々と瓦解している。
「これでも届かない……。だったら……!」
かすみはこのままで一撃も食らわせずに終わりにするつもりは無いとばかりに、新たなるゴーレムを造り出して拳を握り、すうっと息を吸い込み裂帛の気合を持って。
「アースゴーレム……」
そのキーワードでかすみの前方に展開しているゴーレムも右腕を引き、その肘から先が勢いよく回転運動を開始していた。
「『バーストマグナムロケットパーンチ』ッ!」
ゴーレム達の腕が弾丸の様に回転しながら、騎士に向かって突っ込んでいる。その光景を。
「カズマ、カズマ! いつかユウが言っていた『ろけっとぱんち』ですよ! こ、これは……身近で見ると迫力があります!」
「……義妹に何を教えてるんだ……、あの馬鹿は!」
「ねえ、あのロケットパンチってカエルに効くのかしら? ちょっと試してみたいわね……」
「カスミ……今度は、私に向けてだな……」
などなど、めぐみんは歓喜していたが、その他はどことなく呆れた様な雰囲気であった。このロケットパンチ、昔、ユウが造ったスクロールでは未完成だったものの、威力と貫通力を高めた完成形なのだそうだ。
彼はドリルもつけたかったそうだが、それは難しかったらしい。
「まさか……ゴーレムの腕が飛ぶとは……!? 確かにそれが届いていればワシを倒せていただろう。……が、この能力の前では無意味だったな」
勝ち誇ったような騎士ではあったが、カズマはそれを無視してかすみに指示を出していた。
「かすみ、ゴーレムをまだまだ造れ! いくら壊されたって構わないからな! 同じ地点の土を使うんだ! 出来れば数も多い方が良い」
「えっ……!? うん……、わたしはまだまだ大丈夫だけど……」
かすみにもカズマの指示の真意は汲み取れずに、多少戸惑ってはいたが、その通りにして今の自分に出せる全力でゴーレムを造り出していた。
アクアは支援を、ゆんゆんは上級魔法でサポートしていたが、騎士に攻撃が届くまでに全てが落とされてしまう。そして、騎士に接近しようとすれば重力によって動きを封じられる。そんな戦況だった。
「そろそろ終わりにせんか? そちらの攻撃は全くの無意味だ。これ以上は止めておけ。諦めてその少女をこちらに渡せ」
「そうですか……。そこまで我が爆裂魔法が拝みたいと……。こちらがあなたを捕まえようと手加減しているのを分かっていないようですね……。良いでしょう、エクス――」
挑発とも取れる騎士の言動にめぐみんが乗ってしまいそうになっていたが、ゆんゆんに羽交い絞めにされて何とか爆裂を撃てない様にされていた。
「では、今度はこちらから仕掛けるとしようか。貴様らは魔王軍ではないからな。動けない程度にしてや――」
「舐めんなあああああ! この中年オヤジがああああ!!」
「がああああ……!?」
いつの間にか騎士の背中に陣取っていたカズマが強烈な体当たりを喰らわせていた。『潜伏』を使いゴーレム達の影に隠れながら彼へと接近していたのだ。不意打ちで重力フィールドも消えていたのだが……。
カズマが騎士に掴みかかりながら、体当たりしたその先には――
「この地面の陥没……、貴様、ここに落ちればただでは済まんぞ!?」
「生憎、俺はクルセイダーの防御スキルを持ってる。この程度の穴に落ちた所で死んだりしないんだよ!」
その地点はかすみがゴーレムを造る際に使った土のあった場所で、それを繰り返したせいで見事に陥没していた。
かなりの数のゴーレムを造り出したために、広範囲の……、しかも深さが十数メートルと道具でもなければ普通の人間では這い上がる事が困難な縦穴となっている。
「はあ……、はあ……、最弱職の冒険者にこんなのやらせるからな……、あいつは。後できっちり文句言ってやらないと……」
「ふふふ……、ははははは! 貴様、ここでワシと一対一で戦うと言うのか? その気概は買ってやるが、この魔道具を持つワシに敵うとでも?」
息を切らせているカズマとは違い、まだ余裕のありそうな騎士だった。騎士にしてもカズマは最弱職の冒険者という事で侮っている節すらある。
「では、貴様から先に――」
「『テレポート』……」
騎士はこの場で雌雄を決する気でいたらしいが、そんな考えは最初から無かったとばかりにカズマはテレポートを発動させた。転移先はかすみ自身。カズマは彼女の身に危険が及んだ時の為に、かすみを転移先の一つとして登録している。
「くっ……、貴様、何のつもりだ!? こんな所に置き去りにされたところで……」
騎士は魔道具を発動させて、どうにかしようといていたが。
「ちょっと……何あれ! あの魔道具の効果で周りの土が崩れて行ってますけど! まるで蟻地獄よ。プークスクス!」
穴に落ちた先で重力を使った所で、自分自身が生き埋めになる。それを目の当たりにしたアクアが小馬鹿にした笑いを上げていたが、カズマが続けてかすみに指示を出していた。
「かすみ……、クリエイトアースで埋めてやれ。首だけ出してな……」
「いい……の?」
かすみは生来、広域攻撃の適性を持っている。約一年前、冒険者ギルドで初級魔法の『ウインドブレス』を使用した際は、その魔力の高さと適性から周りの冒険者を木っ端の如く吹っ飛ばしていた。
そんな人間が『クリエイトアース』を使用すれば……。
「まるで、土砂崩れですね……。これだけで十分な攻撃力があります」
「うーむ。初級魔法でこれか……。ユウが魔法を使う訓練をさせるわけだ」
騎士はカズマの指示通りに、首だけが出た状態でまったく身動きが取れなくなっている。
「き、貴様等……、こんな事をして……ただで済むと――」
「あんたを埋めて、どうなるんだ? お馬鹿な俺にも分かるように教えてくれよ」
目に見えて狼狽えている騎士に邪悪な笑顔を浮かべるカズマだったが、周りは……。
「あれ? 確か……、重力の魔力変換って……、物を軽くするのもできるって、お兄ちゃんが言ってたけど……。それで脱出されたら……」
「そういえば……そんなのを聞いた気が……」
魔法には造形が深いかすみやめぐみんは、首を傾げながら不思議がっている。
「……あのおっさんはな。そこまで高度な魔力の運用は出来ないんだよ。何せ、あの魔力は特殊過ぎるし、使い手は断絶。一番基本的な”特定の範囲を重くする”ってのしか無理らしい」
「と……いう事は……? あの騎士は……あの穴からは出られないという事か?」
ダクネスからの質問に首を縦に振るカズマが、穴の中で身動きが取れなくなっている騎士に対して。
「なあ、あんた……、ユウが上空から蹴りで突っ込んだ時に、それを軽くして勢いを殺さなかったろ? そもそもそんなのを出来る事すら知らなかったんじゃないか?」
「成程。この魔力はそんな事も出来るのか……。その情報には感謝しよう」
埋まっている地中で魔道具を起動させたらしい騎士が、周りの土の重量を軽くしてこの状況を打開しようとしていた。だが、その考えはあまりにも軽率過ぎた。
「な……何故だ!? 今までと同じく……重量が増すだけとは……!?」
「……こっちの連中は、スキルポイントは必要だけど冒険者カードでポンっとスキルを修得できるからな。そんなのばっかりやってるから、自分で新しい運用法を考えるなんてのが疎かになるんじゃないか?」
重力の魔力変換は確かに強力だが、その運用方法はユウの父親が血の滲むような研究と努力によって体得した物でもある。何せ、他に使い手がいない突然変異でもある魔力変換だ。前例がない所から構築するのは並大抵ではない。
「ねえねえ、カズマだって、スキルアップポーション使ってポイントを良いだけ貯めてポンっと色んなスキル修得した気がするけど……」
「まあ、それだけのスキルポイントを貯めるのも……結構な財力が必要ですし……」
「う、うむ、確かに。だが、珍しくまともな物言いだ。ここは静かに聞いていよう」
アクアがカズマに対して、何やら言いたげだが、そこは我慢するようにとの周りの進言によって、それを止めている。
「……くっ! だが、この力は戦いで役立てるべきものだ。それを眠らせておくなど、損失でしかない」
「そうか……、あんたは覚悟を持ってこの場にいるんだな? その魔力を使って、必要も無いのに魔王軍を倒す……と」
その通りだ。との騎士の返答に、カズマはスッと立ち上がり、真っ直ぐに騎士を見下ろし。
「だったら、その覚悟を試してやる。なーに簡単な事だ。今からあんたに一発だけ攻撃をする。それに屈しなきゃ認めてやるよ。何だったら、攻撃を選ばせてやる」
「何だ、それは……一発だけと言わず――」
騎士がどことなく安心した様な表情で、カズマを見上げてはいたが、その冒険者から紡がれた言葉は――
「一つ目。爆裂魔法」
「黒より黒く闇より暗き――」
カズマに合わせて、詠唱を始めためぐみんの杖の先には爆裂の魔力が迸っている。
「二つ目。アクアの洪水」
「この世に在る我が眷属よ……。水の女神アクアが命ず……」
何も無い場所ですら、洪水を引き起こすアクアの『セイクリッド・クリエイト・ウォーター』。これを穴に流し込まれたら溺死は免れない。
「三つ目。
「集え……、星の輝き……」
かすみの詠唱と共に、彼女の魔力光と同じ緑色の魔力の粒が一点に集まり、今にもはじけ飛ぶほどの巨大な球体を構築している。
「四つ目。紅魔族の上級魔法」
「地獄の業火よ――」
ゆんゆんもその意味を理解した様で、インフェルノの詠唱を始めていた。
「五つ目……。……こめかみグリグリ? まあ、これは無しで」
「カズマ!? 私だけ派手さに欠けていないか!? もっとこう……、映えるようなものをだな……」
ダクネスのみ接近しての物理攻撃となってしまったが、それ以外の攻撃を受ければほぼ確実に死に至る。それは騎士も理解していたようで、選択が出来なかった。身動きもとれずに理不尽な要求を突き付けられ、脂汗をダラダラと垂らしている。カズマが待ちきれないとばかりに。
「はーやーくー! 魔王軍に立ち向かう騎士様の格好良い所を見せてー!」
「ああ……!? やめ……やめ……!?」
「えー? 聞こえないなあ……。これから魔族を狩ろうって奴が、この程度で屈するわけはないよなあ……?」
カズマが聞き耳を立てるような仕草で騎士に返答を要求しているが、そんな物を普通は選べるはずは無い。騎士は最後の手段とばかりに。
「この魔道具を破壊すれば、貴様らの仲間の魔力は永久に戻らん! それでも良いのなら撃つがいい!」
「いらないってさ」
「……へっ!?」
意外過ぎるカズマの言葉にポカンとする騎士だった。その意味が理解できていないらしい。
「あいつなら、魔力が無くてもこれからそれで生活していくって言っていたが? ……で? その魔道具を壊すと……、どうだって?」
最早、ユウの魔力を人質にしても効果はない。騎士にはここから逆転するのは無理だと、小刻みに体を震わせていた。
「仕方ないな……。そっちで選べないなら、こっちで勝手に決めさせてもらうからな? 待たせ過ぎたあんたが悪い」
そこからカズマは、魔法を撃ち出そうとしている仲間たちの後ろに回っていた。数十秒後……。
「ばんっ」
騎士が囚われている縦穴に、何かが弾けた様な声が響いていた。そして……。
「見事に気絶したわね……。白目まで向いちゃって……」
「良いではないですか。悪党には似合いの末路です」
「私だけ……、こめかみグリグリ……」
「わたし……集束砲を禁止されてるから、撃ったりしないのに……」
「ちょっと可哀想だった気が……」
気絶してしまった騎士に対し、各々の感想を漏らしていたが、カズマがロープを穴の下まで垂らし、その人物を確保していた。勿論、『バインド』と『スキルバインド』を使って抵抗できないようにしてある。
騎士を地べたに寝かせてから、魔道具も奪い、一人でリッチーと戦っている仲間の元へと行こうとしていた。その途中。
「カズマ……、さっきのって機転を利かせたハッタリでしょ? よくあんなのやれたわね? 人質を取られたような物なのに……」
「ああ、あれなら、あいつは本当にそう言ってたからな。魔力が無くても公務員をクビになるわけじゃないし、なんだったら、こっちで喫茶店でもやるもの良いとか……。ただ……」
ただ……、何だろうと、その続きが気になっていたカズマ以外だった、その内容とは。
「喫茶店をやるなら、かすみにもウェイトレスの服を用意するとか言っててな……。メイドっぽいのが良いとか、和風チックなのが良いとか、制服っぽいのが……とかで……。あいつのシスコンが、これ以上進行するのは忍びなかったんだ……」
その一言に、カズマの選択は大正解だったと納得した大人達だったが、約一名の9歳児は、
「メイド服……、ワフウってカッポウギみたいの? 制服……ってかわいいのもあるよね……? 良いかも……」
喫茶店での服装を想像して、一人ワクワクしていたのだった。
何気にゴーレムロケットパンチを完成させている主人公です。こいつはどれだけロケットが好きなんだか。