この素晴らしい世界にリリカルな魔導師を!   作:ゴマフアザラシ

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異世界での出会いとベルディア編
現状把握とこれから


「ここは……どこだ……?」

 

 意識を取り戻した俺は自分の状態と周囲の確認を行った。どうやら仰向けで気絶していたらしく、目を開けてすぐに見えたのは一面の青空だった。

 

 体に関しては……特に怪我はない。意識もはっきりしている。

 

 そして周辺を見渡すと、辺り一面が草原で心地よい風も流れている。気候も砂漠や常冬の氷河の場所という訳ではないらしい。遠目には森林の様なものも見えているが、まずは自分がどこに居るのかを把握するのが先決だ。

 

「ファルシオン、現在位置の特定はできるか?」

 

 自らの愛機であり相棒でもあるデバイス――ファルシオンへとその質問をすると。

 

『現座標特定不可。それに伴い転移魔法使用不能』

 

 つまりは迷子か。ここはどこかの次元世界には違いないようだが、無人の世界だろうか……? とりあえず管理局の捜索の助けになる様に救難信号を発信しておこう。

 

 この場合、おとなしく救助を待つのがセオリーだが最低限の食料、飲料水、寝泊りの場所は確保しなければならない。

 

「周辺の探索をする。念のため索敵を頼む」

 

『分かりました。現状、周辺には敵性存在はいない様です』

 

「じゃあ……、飛んでもっと広範囲でやってみるか……」

 

 飛行魔法を使い、移動を行いながら、周囲を見渡す事一時間ほど。探索を行っていると砂利道の様な物が見えた。すぐにその場所に降りて、そこの確認を行った。

 

「道があるってことは、無人世界じゃないってことか……」

 

 これに関しては運が良かった。街を探せば寝泊りの場所くらいは確保できるかもしれない。サバイバルもやれないことは無いが、人がいる場所の方が何かと安心できるのだ。夜中に猛獣に襲われたりする可能性もあるので、寝ずの番になってしまう場合だってある。

 

とりあえず道なりに進むとしよう。

 

 空を飛びながら、しばらくすると馬車が集団で隊列を組んで進んでいるのが見えた。

 

「商隊ってやつか……」

 

 良かった。うまく交渉すれば町まで連れて行ってもらえるかもしれないな……。しっかし馬車で移動とか……、ミッドはともかく日本よりも技術水準は低いのかもしれない。色んな世界があるからその辺は慣れっこだけど……。

 

 そんなことを考えていると、商隊がその歩みを突然止めた。

 休憩かとも思ったが、どうもそんな感じじゃない。遠目からでも慌しくなっているのが見て取れた。良く見ると商隊が巨大なミミズの様なものに襲われ、馬車から逃げ惑う人達が大慌てで出て来ているのもはっきりと分かった。

 

「なんだ……? ありゃ!?」

 

 流石に放っておくわけにもいかないか……。あのデカいミミズに襲われたりしたら、普通の人は命に関わるかもしれない。

 

「行くぞ。ファルシオン!」

 

『オーケーです! いつでもどうぞ』

 

 飛行魔法で一足飛びに近づくと、魔法陣を展開させて射撃魔法の準備に取り掛かる。

 

『スティンガーレイ』

 

 放たれた複数の光の弾丸は巨大ミミズの全身に次々と命中し、奴らを撃退することができた。どうやら、そこまで厄介な生物では無かったのが幸いだった。商隊の様子を見ると幸い負傷者も出なかったようだ。そうして安堵していると……、

 

「兄さん……。すげぇな!!」

 

 商隊のリーダーらしき男が話しかけてきた。こちらにしても渡りに船の状況なので。

 

 よし……。街まで乗せてもらえるか聞いてみよう。

 

「すいません。代金は払えませんが街まで連れて行ってはもらえませんか? その間、何でも手伝いますので、どうかお願いします。」

 

 ここでは地球やミッドチルダの通貨は使えるはずはないし、正直に話しておくのが良いだろう。するとあちらもこれ幸いとばかりに、明るい表情となり。

 

「だったら護衛を頼めるか? ロハでアクセルまで連れて行ってやるよ! 兄さん程の実力者なら大歓迎だ!!」

 

 良かった……。これで街まではどうにか辿り着きそうだ。

 

 そうして安堵していたが、あちらにも世話になるのだから、挨拶をしなければという事で、リーダーに礼を言う。

 

「ありがとうございます。実は道に迷ってしまって、途方にくれていた所だったんですよ」

 

「兄さんはもしかして高名な魔法使いの冒険者か? あんなにあっさりモンスター倒したのは見たことねぇよ! いや……、前に紅魔族の女の子二人が似たような事をやってたな? 兄さんは黒髪だけど、目は紅くないから違うか」

 

 冒険者? 探検家のようなものだろうか……? 管理局なんて言っても混乱させるだけだろうし適当に誤魔化しておこう。紅魔族ってのも良くは分からないが、まあ余計な詮索はしない方が良いだろう。

 

「冒険者ではないですが、道中の護衛は任せてください」

 

「おう! 頼んだぜ兄さん!!」

 

 俺は馬車に乗りアクセルという町まで行くことになった。道中何度かモンスターに襲われたが、幸い自分の力だけで撃退できる相手ばかりだったため、商隊に損害が出ずにアクセルに辿り着くことが出来た。

モンスターを一人で倒すたびに、拍手喝采が上がっていたが、あちらからしても安心して旅ができるので恩の字だったようだ。

 

「お世話になりました。本当にありがとうございました」

 

「こっちこそ世話になったな! そうだ、これは少ないけど取っておいてくれ!」

 

 そう言ってリーダーはいくらかの金を渡してきた。しかし、それは流石に気が引ける。

 

「タダで乗せてもらって、お金まで頂くわけには……」

 

「なーに! 兄さんはいい冒険者になりそうだからな。今から恩を売っておこうって算段だ。先行投資って奴さ」

 

 なるほど、彼らなりの人脈作りの一環か……。確かに無一文では心もとない。ここは有難く貰っておこう。

 

 商隊と別れた俺はアクセルという名の街を散策していた。

 ここは駆け出しの冒険者の町アクセル。どうやら冒険者というのは探検家ではなく街の外に生息するモンスター討伐を請け負う人の総称らしい。それだけではなく、依頼があれば基本的には何でもこなす何でも屋でもあるようだ。

 

 なるほど、だったらここでは身分の証明できない俺は、救助を待つ間はこの街で職を探すより冒険者として収入を得た方が良いかもしれない。とりあえず今日はもう遅いし、明日にでも冒険者ギルドとやらに行ってみよう。

 

 そう結論を出して、目泊りできる所を探していた。出来るだけ安い宿を見つけようとしていたが、馬小屋ならタダで寝れるらしいので、雨露を凌げれば良いという考えで、そこへ泊って一夜を過ごした……が、馬糞臭かった。

次の日の早朝、馬小屋で間を覚ました俺は早速ギルドに向かう。

 

「ここが冒険者ギルドか……」

 

 ざっとギルド内を見渡すと、受付らしきカウンターや依頼を貼り出す掲示板が真っ先に目に付いた。どうやら酒場と兼用になっているようだが、流石に早朝ということもあって人もまばらで酒場の営業はしていないらしい。そんなことを考えていると。

 

「いらっしゃいませー。お仕事案内なら奥のカウンターへどうぞー」

 

 元気な声で赤髪短髪のウェイトレスさんが案内してくれた。それに従いカウンターへ向かうと、金髪で自分よりも幾分か年上の胸の大きいお姉さんがカウンターの中に座っていたので、その人へと。

 

「すいません。冒険者の登録をお願いしたいのですが……。早朝でも大丈夫ですか?」

 

 すると受付のお姉さんが、俺を少しばかりジッと見た後で。

 

「わかりました。でしたら、登録手数料1000エリス頂きますがよろしいですか?」

 

 珍しく運がいいな。ここで商隊から貰った金がここで役に立つとは……。

 

 受付のお姉さんから簡単な説明を受けたが、これには驚いた。レベル、冒険者の各職業、スキル……。管理局に所属してから様々な世界を見てきたが、こんなゲームの中のような世界は初めてだ……。そんなことに考えを巡らせていると。

 

「ではこちらのカードに触れてください。それであなたのステータスが分かりますので、その数値に応じた職業を選んでください。」

 

 その指示に従いカードに触れると、確かにそのカードに数字の様な物が浮かび上がっていた。

 

「ありがとうございます。アサマユウさん……!? えっ!? あなた何者ですか!!?」

 

 お姉さんが驚きの声を上げていた。そしてそのまま彼女の言葉に耳を傾ける。

 

「筋力、生命力、魔力、器用度、敏捷性、知力全てにおいて平均値を大幅に上回っていますよ! 幸運は平均値より低いですが、あまり冒険者には必要ないですから気にしなくていいですよ」

 

 どうやら俺のステータスが凄いらしい。けど俺でこれなら、なのは達や守護騎士達はどうなるんだろう? あの人達ここに来たら大変なことになりそうだ……。それよりも、聞き捨てならない言葉がお姉さんから聞こえて来ていたので、カードを見ながら。

 

「あの……、俺って、やっぱり幸運値が低いんですか? こうやって数値で見るのは初めてなんですけど……。ギリギリ二桁いくくらいって……、もしかして相当低いんじゃ……」

 

「先ほども言いましたが、幸運値は冒険者にあまり必要はありませんから、そこまで気にしないで下さい。先日、あなたと全く逆の方もいましたが、その方は基本職の《冒険者》にしかなれませんでしたから……」

 

 困った顔で慰められてしまったが、受付のお姉さんからすれば、その人より絶対に恵まれているので胸を張ってくださいとの事だった。

 

「それよりも、これなら最初から殆どの上級職に就けます! 《クルセイダー》、《ソードマスター》、《アークウィザード》、それと《アークプリースト》にはなれませんが、《プリースト》にはなれますよ」

 

 自分自身が魔導師だからといっても必ずしも魔法使いってわけでもないのか……。剣士系か……、シグナムの姐さんに散々模擬戦という名の実戦で鍛えられたもんな……。思い出したくねぇ……。あれは油断すると死ねる。うん、剣士系はトラウマが甦りそうだからやめとこう。しかしプリーストって僧侶だよな? 自分にそんな適性があったのは意外だがここは……。

 

「魔法使い系はウィザードかアークウィザードでいいんですよね?」

 

念のため受け付けのお姉さんに質問をする。

 

「アークウィザードはウィザードの上級職になります。最初から成れるのならそちらをお勧めしますよ。修得できるスキルも強力なものになりますからね」

 

「ならアークウィザードでお願いします」

 

「アークウィザードですね! 後方からの強力な魔法で敵を一網打尽に出来るパーティーの火力役ですよ。ようこそ冒険者ギルドへ! スタッフ一同、今後のご活躍を期待しています!」

 

 朝という事もあり、あまり注目はされなかったが、別にこれに関しては元の場所に帰るための生活費を稼ぐ目的なので、俺にとってはその方が良い。

この職業に関しては、短い間だろうと思いながら冒険者生活をスタートさせた。




あとがき
デバイスについて
使用デバイス:ファルシオン(インテリジェントデバイス)
待機状態はカード型、カートリッジはリボルバー式(装弾数6発)

レイジングハートの半分くらいの長さのワンド形の杖
爆焔2巻表紙のゆんゆんの持ってる杖くらいの長さを想像してください。

近接用のセイバーモードと射撃、砲撃用のシューターモードの使いわけが出来ます。それ以外のモードはこれからでるかも……

ちなみにクロノの魔法を使っているのは、似たタイプということで昔指導を受けたことがあるためです。
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