この素晴らしい世界にリリカルな魔導師を!   作:ゴマフアザラシ

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訓練への誘い

……何故だ!? これはバグか何かなのか……? この冒険者カードは壊れているんじゃないだろうか……。

俺は自分の冒険者カードを見ながら困惑していた。とりあえず屋敷内にいたカズマ達の所へ行き事情を説明してみる事にした。

 

「……カズマ、冒険者カードってステータスは自動更新されるんだよな? ギルドで書き換えて貰うとかじゃなくて……」

 

「お前は今更何を言ってるんだ? そんなの当然だろ」

 

確かにカズマの言うとおりだ。ギルドで冒険者カード作った時もそう説明を受けたし、カズマのステータスは初めて会った時より伸びている。

 

「……実はな、俺の冒険者カード……ステータスが変わってないんだ……」

 

「「「「えっ!?」」」」

 

俺以外の全員が呆気に取られた様な声を上げていたのだが、証拠として冒険者カードを見せてみると、

 

「……確かに、前に見たときと変わってないな……レベルは上がってるのに」

 

「これはどういう事でしょうか?」

 

「聞いた事がない例だな……冒険者ギルドに問い合わせてみてはどうだ?」

 

カズマ、めぐみん、ダクネスが不思議そうな顔をしながら、俺の冒険者カードを見て疑問を口にしていた。

 

「これって私と同じじゃない? 私もステータス伸びてないわよ」

 

唯一アクアだけは冷静に俺の冒険者カードを見ながら返答していた。

 

「アクアは事情が分かってそうだけど、何でなんだ?」

 

「元々戦闘なんかをやっててステータスが高い人ってレベルは1で始まるけど、ステータスはある程度レベルが上がらないと高くならないわよ。もっとも私は最初からステータスカンスト、初期スキルポイントも宴会芸とアークプリーストの全魔法を習得できる程の量を保有してたけどね!」

 

「スキルポイントはともかくステータスカンストは嘘だろ……」

 

「「そうだねー」」

 

「なんでよー!!」

 

俺の言葉にめぐみんとダクネスも同意し、それを聞いたアクアが涙目になりながら叫んでいた。とりあえず俺はもっとレベルが上がらないとステータスも高くならないらしい。

 

「じゃあ、アクアから見て俺はどの位のレベルからステータスが上がるんだ?」

 

アクアは俺の冒険者カードをまじまじと見ながら、

 

「……多分だけど、レベル50位までステータスはこのままだと思うわ」

 

それを聞いた面々は、

 

「つまり、コイツは最初からレベル50の強さだったのか。道理でベルディアともやり合えるわけだ」

 

「では、初期スキルポイントはどの程度なのですか? アクアほどではないにしろ相当な量を保有していそうですが……」

 

カズマは少し悔しそうにして、めぐみんは俺のスキルポイント保有量を聞いてきたのだが……、

 

「今の保有量は12ポイントだな。俺がレベル13でこないだ初級魔法習得で1ポイント使ったから、そんなもんだろ」

 

「……嘘ですよね? ユウなら最初から20〜30程のスキルポイントを保有していると思ったのですが……それでは初期保有量は0だったのですか?」

 

「最初から上級職になれる者は、大抵初期スキルポイント保有量も多いはずだが……、私もそれなりに保有していたからな」

 

めぐみん、ダクネスは不思議そうに俺を見ていた。確か初期のスキルポイント保有量ってのはその人の才能の有無が左右すると聞いた事がある。

 

「俺が最初から上級職なのも元いた場所での経験があるからだし、才能うんぬんなら俺にそんなのは無いから初期スキルポイント0なのも当然だな」

 

「「「「それはおかしい!」」」」

 

俺以外の全員が見事にハモって否定されたが、無いもんは無いんだからしょうがない。

 

「だから、今の組織に入って結構経つし色々やってればこの位にはなるだろ」

 

「お前っていつからそこで仕事してるんだ?」

 

カズマが疑問に思ったようで、俺に質問してきたのだがアクア達も気になっていたらしく、俺の方をじっと見ていた。

 

「嘱託やってたのが9歳の時で、正式に所属したのは10歳の時だな」

 

「「「「……へっ!?」」」」

 

またしても全員の声がハモり、驚いた顔をしていた。

 

「紅魔の里ではまだ魔法の修行すらしていない年齢ですよ……」

 

「9歳の子供を働かせるとは……やはり外道の国か……素晴らしい!!」

 

めぐみんとダクネスが色々言って……特にダクネスは顔を赤らめながら好き放題言っていたがツッコむのも疲れるので放って置こう。その後ろでカズマとアクアがヒソヒソ話をしていた。

 

「……おいアクア、お前がユウと初めて会ったのってアイツが何歳の時だ?」

 

「確か……結構子供の頃だから10歳前後だと思うけど……」

 

「つまりアイツはあれか!? そんな頃から下手すれば死ぬような仕事してるってのか?」

 

何故かカズマがドン引きしながら俺の方を見ていたので、色々説明する事にした。

 

「俺のいたとこは就業年齢は割と低めで、十代で資格とって重要なポジションにいるヤツだっているし、俺も色んな所に行って仕事してるからそんなもんなんだって。悪い人の相手するから冒険者と同じで危険な仕事ではあるけど」

 

カズマは渋々納得したような表情をしていたが今度はめぐみんから、

 

「7年でレベル50はありえなくは無いですが、ならユウは冒険者カードに記載されている魔法全てを自力で取得したのですか? あれだけの種類の魔法を……」

 

「あっちじゃこんな良い物ないし、自力習得が当たり前なんだ。まあちゃんと師匠はいたけどさ。ちなみにスターライトブレイカーは友達から教わった。ちゃんと使えるまでに3年位かかったけどな」

 

めぐみんも一応納得はしたらしいが、なにやら考え込んでいた。

 

「では、ここまでなるのにどれだけのシゴキを……」

 

「教えなーい!」

 

「……くっ! 私にだけ黙秘とは……新手の放置プレイか!?」

 

ダクネスがあまり思い出したくない事を聞いてきたので、少しふざけた口調で返した。だって喋ると絶対喜ぶし……。

 

「……そんなに気になるなら明日一日、俺の訓練一緒にやってみるか? 久々にちゃんとやっときたいし」

 

俺の提案にダウネスは同意しアクアもたまには良いかしらなんて言っていたが、カズマとめぐみんは……、

 

「俺はやらないからな。お前の訓練なんて、とんでもない目に遭うに決まってる!」

 

「私も遠慮します。爆裂魔法を撃ってしまえば動けなくなりますから」

 

二人は乗り気ではないようだったので、少し説得してみる事にした。

 

「……めぐみん……せっかくだから槍術覚えてみないか? 俺もそんなに得意な方じゃないけど、杖を槍代わりに使えれば爆裂以外にも攻撃手段が増えるし……」

 

「やりませんよ。杖は殴るための物じゃありません」

 

「これができると色々おいしいぞ。例えば……」

 

 

 

めぐみんが数体のモンスターに囲まれている。しかし……、

 

「……なんだ!? 魔法使いがここまでの槍術を駆使するだと……!?」

 

モンスター達は魔法も使わずに自分達を圧倒するめぐみんに怯んでしまい、後ずさっていた。

 

「……あなた達程度に魔法など必要ありません。今なら見逃してあげましょう……。私の目の前から去るがいい!」

 

「調子乗るのもそこまでだ! 今増援が到着する!! いくらお前が強かろうと一軍を相手はできまい!!!」

 

「……愚かな」

 

小さな声で呟いためぐみんはそのまま詠唱を始め……、

 

「『エクスプロージョン』ッ!!!」

 

めぐみんの爆裂魔法によって増援ごとモンスター達は全滅し、そこには爆裂魔法の爪跡のみが残っていた。

 

 

 

 

「……といった感じにだな、活躍の場が増えると思うんだが……」

 

「だ、騙されませんよ! そ、そんな燃える状況があるわけが……」

 

どうやら、めぐみんは少し揺れたようだ。ならもう少し押してみるか……。

 

「槍術使えるめぐみんはかっこいいだろうな〜。強いだろうな〜。紅魔族随一の槍術使いっていい響きだな〜」

 

「よろしくお願いします。先生!」

 

ペコリと頭を下げてめぐみんも訓練に参加する事になった。カズマも手加減してくれよ……なんて言いながら渋々参加となった。

 

 

次の日、ゆんゆんも加わって街の外に全員で集まっていた。

 

「さてと、まずは軽くみんなで走ろうか」

 

「おい待て、何でいきなりそうなるんだ!?」

 

「そうですよ! 訓練なのですから実戦的なものを……」

 

カズマとめぐみんが抗議してきたが……、

 

「体力作りは必須だろ。準備運動だって」

 

そうして走り出したものの、30分後、

 

「もう駄目だ……ハァ……少し休ませてくれ……」

 

「ハァ……フゥ……私もです。少し休憩を……」

 

先ほど抗議していた二人が早くもバテていた。もう息も絶え絶えと言った感じだ。無理させても仕方ないのでカズマとめぐみんはそこで休ませる事にして、それ以外はもう少し走り元の場所に戻ると……、

 

「ユウ、てめえ……これ何だ!?」

 

「早く拘束を解いてください! カズマ、どこを触っているのですか!?」

 

「なんか二人とも逃げそうな気がしたから念のため罠はってたんだけど、本当に掛かってるとは思わなかった」

 

カズマとめぐみんが一緒にバインドでグルグル巻きにされていた。まあやったのは俺なんだけど。

 

「逃げ出すのを許さないとは……素晴らしい!! 是非私にも……」

 

「めぐみん……学校で体育の授業いつもサボってたから……」

 

縛られている二人を見ながら顔を赤くしているダクネスはほっとくとして、魔法使いなのに何気に体力のあるゆんゆんではあったが、事情を聞くと一人でレベルを上げていたので、この位ならついてこれるらしい。そしてカズマ達のバインドを解いたのだが、

 

「私はもうやりません! 爆裂魔法のみで十分です!!」

 

などと言ってめぐみんは詠唱を始めてしまった。

……ここ街の近くだからやめといた方がいいぞ。と言う前に、

 

「『エクスプロージョン』ッ!」

 

めぐみんは爆裂魔法を放ち、辺りに轟音が響き渡った。

 

「ええとな……分かってるとは思うけど、この辺りで爆裂魔法撃っちまうとカエルが飛び出してくるぞ。実戦的なのは悪くないけど始末はちゃんとしような」

 

そう言っている内にジャイアントトードが地面から這出てきた。丁度いいので初級魔法の応用を試してみるか。

 

「もういやあああ! カエルに食べられるのは、もういやあああああっ!!」

 

アクアはトラウマが蘇ったらしく、叫び声を上げていたがダクネスとゆんゆんに宥めて貰いながら後ろに下がっていった。

 

「カズマ、これから初級魔法の応用試してみるからなー」

 

そうして、カエルに油を振り掛けてから、袋いっぱいのあるものを用意した。

 

「……なんだそれ? 何かやばそうなんだけど……」

 

「小麦粉だけど」

 

カズマからの問いに答え、その小麦粉を『ウインドブレス』でカエルの近くに巻き上げ……、

 

「『ティンダー』ッ!」

 

飛散している小麦粉にティンダーを投げると一瞬巨大な火が上がり、カエルに振りかけた油に着火して燃え上がっている。カエル自身の分厚い脂肪にも燃え移ったようで、程なくしてカエルは丸焼きになっていた。

 

「……今のは……なんでしょうか? 一瞬爆発したようにも見えましたが……」

 

「粉塵爆発って言ってな。可燃性の細かい粒子が引火して爆発を起こすんだけど、屋外だとあんまり威力が出ないなあ。でも人間サイズのモンスターなら牽制くらいにはなるか」

 

「駄目です! 不許可です!! 爆発系統なら私の爆裂魔法があれば全て足ります!!! もっと魔法使いらしくしてください!!!」

 

爆発という単語を聞いためぐみんが使用禁止令を出してしまった。まあ持ち物も多くなるから仕方ないか。

 

「……ユウってたまにカズマよりタチの悪い事を平気でするわよね?」

 

「……ああ、何をどうしたら、初級魔法であんな事が思いつくのだ? やはりただの外道では無い様だな……」

 

アクアとダクネスからの評価も良くないようだ。でもタチの悪さをアクアにツッコまれるのはどうかと思う。

 

「足りない火力を道具で補うのは悪い事じゃないと思うけど……」

 

「「「「ユウは火力は足りてるだろ(でしょ)(足りてます)!」」」」

 

全員から総ツッコミされてしまった。頑張って考えたのに……クスン。

 

「まあいいや。ところでめぐみん……この機会に少しずつで良いから体鍛えてみないか? 今日はもう無理だけど、明日から爆裂撃つ前にちょこっとだけでも……」

 

「……デストロイヤーを爆裂魔法で破壊してから、よく誘って来ますが何故ですか? 私はそんなのをやる気は無いですが……」

 

そう……、めぐみんの言う通りでデストロイヤー破壊後から訓練に誘おうとしているのだが、未だ首を縦に振ってくれないのである。あの時めぐみんは、集束した魔力全部を使い切って爆裂魔法を撃ってしまった。もしかしたら元からその位の潜在能力があったのかも知れないが、もしこの先レベルが上がって同じ位の威力の爆裂魔法が撃てるようになった時の体の負担が心配なのである。

……ただ、それを素直に言うべきか迷っている。なのはの二の舞にしたくないのもあるが、言った所で大丈夫だと言い張りそうなんだよなあ……。

 

「せっかくゆんゆんも屋敷に来るようになったし、ライバル同士で競い合いながらやるのも良いかと思って……」

 

何かを隠しているのが分かったのか、めぐみんはジト目で俺を見ていた。

 

「……ユウ、めぐみん誘ってたって……本当にロリコンだったのか!?」

 

「カズマ……そう思うならお前も一緒にやろうぜ。お前も鍛えられるし、俺のロリコン疑惑も晴らせる。明日から俺が起きてる時間に叩き起こしに行くからな」

 

流石にロリコン扱いはカチンと来たので、カズマに言い返すと……、

 

「カ、カズマ謝った方が良いです……。あれはデストロイヤー偵察の時と同じ笑顔なのです。私のロリっ娘扱いは忘れますので、は、はは、早く……」

 

めぐみんがブルブル震えながら、カズマに謝罪するよう促したのだが、

 

「それと、メイドマニアだってのも聞いたぞ。お前だって俺の『スティール』の事言えないだろ!」

 

尚もカズマが挑発してきたので、無言でカズマの襟を掴みズルズルと引きずって行った。その様子を見ていた面々は、

 

「カズマー頑張ってねー!」

 

「で、できれば私も……連れて行ってくれ!」

 

「こ、怖いのです……。あの時を思い出してしまいます」

 

「笑顔だったけど、凄く怒ってたよね!? カズマさん大丈夫なの!?」

 

アクア、ダクネス、めぐみん、ゆんゆんが俺に引きずられるカズマを見ながら、そんな事を言っていた。

 

それからカズマは数日間、起き上がるのもキツくなったようで生きる屍と化していた……。ダクネスだけは俺達の訓練をやりたくなったらしく付き合ってくれたが、後に……。

 

「あれは訓練ではない! 懲罰の類だ!! ああ……至福の時間だった!!!」

 

……と、ベタ褒めだった。そこまでキツくやったつもりは無かったんだけどなあ……。




ちなみに彼の冒険者カードの幸運は10程度なので、他のステータスと比べたら相当低いです。しかもこの話の中で上がる事はありません。

あとステータスの数値的な上昇はないですが、魔導師として新しいスキルの取得は予定してます。


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