この素晴らしい世界にリリカルな魔導師を! 作:ゴマフアザラシ
「……さて、お互いリミッター付きではあるけど、久々にやるとするか。悪いが仇は取らせて貰う」
「わたしだって負けるつもりは無いよ。行こう! レイジングハート」
そうして、二人ともデバイスを構えて戦闘態勢に入った。カズマ達は緊張した面持ちで俺達を見守っている。
数日前、とあるメールが届いた。
「久しぶり〜、ようやく時間が作れたからそっちに行くね。本当はフェイトちゃんと行く予定だったけど仕事が忙しいらしくて、わたし一人だけど」
「時間ができたんなら実家にでも顔出せばいいだろ? 多分すずか達だって会いたいだろうし」
「もう行ったよ。そしたらお母さん達も心配してて、様子見に行きなさいって」
つい一年前までは中学校に通いながら、管理局の仕事をしていたので自宅に帰ると良く顔を合せていたが、卒業後はミッドチルダで生活していたので、会う機会が少なくなってしまっていた。魔法に関わる前から世話になっているので、ここで高町家の人達の名前を出されると逆らえない。
「わかった。こっちは元気だけど、色々見て回るのも良いかもな。近所になぜか観光地が増えたし」
「それも良いけど、シグナムさんから”ヤツは弛んでるから鍛え直してやってくれ、教導官殿”って言われたから訓練もしようと思ってるよ。そっちで行動してる人達も一緒に」
シグナム姐さん……ありがたくて涙が出てきます。なのはの訓練かあ……俺は良いけど、みんなはどうかな? 一度聞いてみよう。
「実はな……ここに友達が来るんだ。遊びにじゃなくて、俺達を鍛えに……」
「き、鍛えにってどういう事だ? 何でそんな話になってるんだ!?」
「こないだシグナム姐さんが来ただろ? その時にみんなの事も心配になったらしくて俺と一緒に鍛えてやってくれって言われたらしいんだよ。俺は無理強いするつもりは無いけど……どうする?」
みんながそれを聞いて少し困ったような顔をしていた。
「お、俺はやらないからな! お前の訓練でさえ何日か動けなくなったんだぞ、それ以上なんてできるわけねーだろ!!」
「あ、カズマは……強制参加な。姐さん曰く、弱すぎるから念入りに鍛えろって言われたらしい」
カズマは震えながら顔を青くしていた。
「ひ、ひとつ聞きたいのだが、その訓練はきついのか?」
「はい、とてもきついです。多分俺のよりも……前の時はあれでも優しめにやってたからな」
「もちろん参加する! アレ以上とはどんな苦しみを味わえるのだ……!」
ダクネスはやる気満々で参加するようだ。顔を赤くしているのを見ると、今の時点でも楽しみで仕方ないらしい。
別に苦しみを味あわせるつもりは無かったんだけどなあ……。
「私はやりますよ。ただ加減はして下さいね」
「私も参加します。めぐみんに負けたくありませんし」
めぐみん、ゆんゆんも参加するつもりでいるようだ。
「私はパース。暖炉の前でゴロゴロしていたいの!」
「アクア……参加しなかったら、お前が毎晩楽しみにしてるシュワシュワは無くすからな!」
「なんですってえええええ!! カズマに何の権利があるのよ!!!」
「今、ユウ以外の財布を握ってるのは俺だからな、お前だけ楽にはさせない! 一緒に地獄に落ちろ」
カズマは半ば強引にアクアを訓練に引き込んでいた。何はともあれ全員参加になってしまった。
そして当日、
「来たよー。みんなから聞いてたけど、すっごいお屋敷だね。あっ、これ
長い髪を左側に束ねてサイドポニーにしている少女、高町なのは――この姿だけでは想像できないかもしれないが『エースオブエース』の称号を持つ超一流の魔導師である。
「おっ! 翠屋のケーキとコーヒー豆か……。悪いな、後でみんなでいただくよ」
「それで、ゆーくん……お願いしてたのは全部終わってる?」
「外壁使う申請やら必要な道具やらは揃えたといた」
なのはが屋敷に入り、みんなに自己紹介を終えると、カズマは何か安心したような表情をしていた。多分なのはの雰囲気から過酷な訓練をしないとでも思っているようだ。まあ、そんな事はありえないんだけど。
そして、こちらの自己紹介でゆんゆんが自分の名前を言った時、
「ゆんゆんちゃん、凄いんだってね! 噂は色々聞いてるよ! 何でもすぐ吸収するから教えがいがあるって、ゆーくん言ってたよ!!」
なのはが目を輝かせて、ゆんゆんの手を握っている。
……これは、アレだな。
「は、はい! よろしくお願いします!!」
少し戸惑いながらも、ゆんゆんも挨拶を返していた。普段の稽古では叩きのめしてばかりで、あまり褒めたりしてないから、なのはの言葉を聞いて嬉しそうだった。
そして、全員で外に出てまずは基礎体力トレーニングをする事になったのだが……、
「……ハァ……フゥ。なのは、何で俺だけ重りつけて基礎トレやってんだ!? もしかしてアレか? 一年前の空港火災で次の日の朝にお前らの少しだらしない姿見たのを、まだ根に持ってんのか!? あの時ちゃんとノックしたのに、あんな格好で出てきたのはそっちだからな!」
ウォールアクト――ロープを伝っての壁の上り下りや建造物間の移動を行なうトレーニングを街の外壁を使って行なっていた。それをクリアして外壁の天辺にいるのは、指導者のなのはの他では俺とアクアだけである。
「……重り、増やして良いかな?」
「ごめんなさい。増やさないでください!」
にこやかな顔で恐ろしい発言をするなのはに対して、即座に謝罪する。
「それでもちゃんと付いていってるわね。カズマは全然なのに」
「ホントだよね。火災の時だって、わたし達と同じくらい動いてたのに次の日でもピンピンしてたし。まあ、だからこの位はしないとトレーニングにならないんだけどね」
「一応、男の子だからな。体力くらいは勝っとかねーと沽券に関わる」
俺達三人が外壁の上で雑談している真下では……、
「か、かわいい外見に騙された……アイツの知り合いって時点で、普通じゃないはずなのに……」
「な、何ですか!? この常識離れした訓練は……何回上り下りすれば良いのですか!?」
「も、もう動けません。この後、魔法の訓練もするの!?」
「さ、流石だ! まさかここまでの責めとは……! どんどん続けてくれ!!」
下の四人はダクネスを除いてバテていた。というかダクネスは鎧を着て同じメニューをこなしているので、負荷はカズマ達に比べてずっと大きいはず。それでも鎧を脱ごうとしないのは、ダクネスだからだろう。ドM恐るべし。
「じゃあ、まだ初日だし3人は少し休憩にします。アクアさん達はわたしと弾丸回避訓練をしましょう」
そうして回避訓練をしていたのだが、
「ダクネスさん! 回避訓練ですから! ちゃんと避けてください!!」
「構わん! 仲間の盾になるのが私の役目だ。さらに弾幕を厚くしてくれ! 全て受けきって見せる!!」
予想通りと言えば予想通りの光景だ。多分絶対避けようとしないだろうな。
「ダクネスはああいう人だから、それで良いと思う。実際盾役だし」
「そ、そうなの? あれだけ受けて平気って……す、凄い人だね……」
ダクネスにタフさ以外の何かを感じ取ってしまったらしく、少々引き気味のなのはであった。
次の日、昨日よりは実戦的な訓練という事で模擬戦をする事になったのだが、
「ウチのパーティーそれぞれの能力がピーキー過ぎて一対一だと模擬戦にならないし、俺とゆんゆん以外の全員となのはだと攻撃手段がほぼ爆裂しかないから、あんまり成果はでないかもな」
「だったら、ゆーくん、ゆんゆんちゃんそれぞれと、わたしでやろうかな。他の人達は見学にして」
「俺もやるんなら、一応街から離れとくか」
とりあえず、街から離れて多少の事じゃ被害が出ない場所まで行く事になった。
「じゃあ、まずはゆんゆんちゃんからいくよ」
「は、はい! 頑張ります!!」
今回に関しては空戦は無しで模擬戦を行なう事になった。開始の合図と同時に、
「『ブレード・オブ・ウインド』ッ!」
ゆんゆんが風の刃を繰り出した一方で、
『Accel Shooter』
なのはは誘導弾で迎撃、しかも弾数はゆんゆんの風の刃より多く、それを迎撃してなおゆんゆんに魔力弾が迫るが、
「『ファイアボール』ッ!」
ゆんゆんも火球を数発出現させて、誘導弾とぶつけて相殺させていた。
「……ゆんゆん、いつの間にここまでできる様になったのですか!?」
「まあ、こんなもんだろ。元々魔法の威力自体は高いから、戦闘中の判断さえ間違わなきゃ結構厄介な使い手だしな」
けど中距離、長距離だとなのはには敵わないからな。それは彼女も分かっているらしく、距離を詰めると共に、
「『ライト・オブ・セイバー』ッ!」
手刀に光の刃を纏わせ、斬り掛かろうとしたのだが、その寸前でライト・オブ・セイバーを消し、
「『インフェルノ』ッ!!」
至近距離でインフェルノを放っていた。なのはにとってはフェイントになってしまったらしく、まともに魔法を受けてしまった。
「お、おい大丈夫なのか!? まともに喰らったけど……」
「んー、まあ見てろって」
カズマは心配そうにしていたのだが、めぐみんが炎の中から現れたなのはを見て、
「至近距離で喰らってほぼ無傷とは……何ですか!? あの防御力は!」
「寸前でフィールド使って防御もしてたしな。良い手だったけど、あのダメージだからやっぱ硬いよな」
……しかし、楽しそうにしているなのはである。異世界の魔法なんて初めて見るはずなのに、当然のように対処をしている辺りエースオブエースは伊達じゃないよな、やっぱ。
ゆんゆんも再度攻撃を仕掛けようとするが、
「えっ! バインド!?」
読まれていたらしく、片腕を鎖型のバインドで拘束されてしまった。それを確認したなのははすかさず距離をとり、砲撃の準備に取り掛かった。
「エクセリオン……」
「『ライト・オブ・セイバー』ッ!」
しかし、ゆんゆんも即座にライト・オブ・セイバーを展開、しかも前に教えた魔力圧縮で切れ味を増していたのでバインドを簡単に斬り裂いていた。続けて、
「大気よ、風よ、荒れ狂え!我が意のままに!舞い上がれっ! 『トルネード』ッッ!!」
巨大な竜巻を発生させる上級魔法、『トルネード』がなのはを包み込んでいた。竜巻が消えると、なのはのバリアジャケットが所々破損しているのが分かった。そして、まっすぐにゆんゆんを見据えている。
(さっきの魔力刃の圧縮はゆーくんと同じ……あれだと並大抵のバインドじゃすぐ壊される……だったら)
多分、そんな事を考えていたんだろう。こちらに一瞬視線を向けていた。
その後、なのはは再度アクセルシューターを展開、その数……実に20発。まだ最大数では無いが、それなりに本気にはなっているようだ。その誘導弾が四方八方からゆんゆんに襲い掛かり、徐々に彼女の行動範囲を狭めていく。そして、
「マズいな……」
俺の言葉に近くにいたカズマ達が、ハッとした表情をしたのも束の間、
「エクセリオン……バスターッッ!!!」
誘導弾で動きを止めてしまっていたゆんゆんに砲撃が直撃し、目を回して倒れていた。うまく手加減したようで、外傷は無い。
「大丈夫か? 痛いとことか無いか?」
「は、はい、大丈夫です。うまくできてたと思ってましたけど、負けちゃいました……」
「あれだけできれば十分だろ。良く頑張ったって!」
俺とゆんゆんが話しているとなのはが近づいて来て、
「びっくりしたよー。まさかバインド簡単に斬っちゃうなんて」
「あの程度の拘束で止めれられる様な鍛え方はしてない。ゆんゆんも結構やるだろ?」
「うん! このまま鍛えれば凄い魔法使いになるよ、絶対に!」
なのはも好感触だったらしく、ニコニコしながらゆんゆんを見ていた。さて、次は俺だ。模擬戦の前にアクアになのはの治療と消費した分のカートリッジの魔力補充をしてもらった。
「……さて、お互いリミッター付きではあるけど、久々にやるとするか。悪いが仇は取らせて貰う」
「わたしだって負けるつもりは無いよ。行こう! レイジングハート」
リミッター付きで双方AAランクまで落とし、メンバーの手本になるように空戦は無し。カートリッジもこちらに合せて24発までの制限となった。
お互いデバイスを構えて、なのはは魔力弾を展開、俺は近接形態にして構えている。
「アクセルシューター、弾幕集中!」
誘導弾12発が迫ってきていたが、その内8発は避けながら斬り落としてなのはに接近する。しかし、
『Short Buster』
残り4発の誘導弾とチャージの短い砲撃で俺の進路を遮ろうとしていた。
「甘いって!」
砲撃を紙一重で避けながら、4発の誘導弾のうち2発斬り落として道を作り、高速移動でなのはの背後に回りこみ、斬撃を仕掛けるが、
『Protection Powered』
バリアによって弾かれてしまった。当たり前だが、大したダメージにはなっていない。その後、お互い数回同様の事を繰返したが、決定打に欠けていた。
俺の隙をついて、距離をとったなのはが、カートリッジ4発消費してこちらを打ち抜こうと、
「エクセリオンバスターッッ!!」
カートリッジを使ったので、先ほどのゆんゆんの時とは比べ物にならない威力となっている。なんとかシールド2層で防御し、
(ここだ! 一気に詰める!!)
足が止まったなのはに対して、距離を詰めて拳を突き出した。なのはもすかさずバリアで防御しようとしていたが、それを破って打撃を加えていった。
(ファルシオン、お前は全リソースをバリアブレイクの処理に回せ。バリアを破ってそのままクロスレンジでやりあう!)
そのまま、拳による打撃で戦っていた俺に対して、
「ぶん殴ってバリア破壊して、インファイト……って」
「「「「魔法使いの戦い方じゃない!?」」」」
……こちらの仲間達からとても失礼なツッコミが聞えたが、気にしてはいけない。だってなのは相手に射撃や砲撃じゃ敵わないし。
「……ユウは女性相手にドロップキックを喰らわせられると言っていたカズマの同類ですか!?」
「ま、まさか殴り合いを狙っていたとは……本当に魔法使いか!?」
「こ、これは引くわ。まさか女の子相手に拳で行くなんて……」
どうやら女性陣には異様な光景に写ったらしい。
比較的近接戦が得意ではないなのはに対しては、有効な手段ではある。思惑通り、あちらも結構なダメージを受けていた。先ほどまでで、俺のカートリッジは残り7発、なのはは3発、ここまでは計算どおり。カートリッジを消費しないようにインファイトで戦ったのが功を奏した。
そして、俺が左手を突き出した時、
「クッ……
シールドとバインドの複合魔法で左腕を拘束されたが俺も魔力弾を放ち、なのははそれを避けながら、自分の得意な距離に持ち込もうとしたが、
「ふぇ!? ディレイドバインド! しかも氷結の効果付き!?」
予め設置していた氷結を付与したバインドで、なのはの動きを止めた。足が凍っているので、バインドブレイクでは解除に時間がかかる。お互い一瞬目があったのだが、
((残り魔力は少ない……、決定打に欠ける。なら……
双方同じ考えに至ったらしい。
「お、おい……あれってバニルに使った魔法だよな? もしかしてなのはさんも使えるのか?」
「確かユウは友達から教わったと言っていましたから、ナノハがオリジナルでは……!?」
「す、少し離れた方が良いんじゃないかしら!? は、早く!」
「みんな、私の後ろに隠れろ! 何とか耐えてみせる!!」
メンバーが魔力を集束していく俺達にうろたえている一方で、
(あっちのチャージが早い!? これってわたしのexと同じ……)
(こっちはこれを見越してカートリッジ温存してたんだよ! お互いチャージしきった状態ならそっちが勝つけど、これならギリギリ俺が勝てるはず)
なのはは眼が合った瞬間、俺が何を考えていたか理解したようだった。スターライトブレイカーex……カートリッジ6発全弾消費する代わりにチャージ時間短縮が可能となる。そうして、
「「『スターライト……ブレイカーーー』ッッ!!!」」
同時に集束砲を発射し、辺り一面に衝撃波と爆音が響き渡った。
「こ、これって規模が個人戦じゃないわよ! 何これ、最終戦争!!?」
「爆裂同士で撃ち合えばこうなるのでしょうか!?」
「お、おい、どうなったんだ!? 二人とも無事か!?」
アクア、めぐみん、カズマがこちらの様子を伺っているが、
「どうやら、二人とも健在のようだ」
ダクネスの言うとおりで、お互い倒れてはいなかった。
なのははチャージ途中で撃ったってのに、9割方相殺された……砲撃戦魔導師は伊達じゃないな、……けど。
俺を拘束していたバインドは解けていたが、なのはの方はバインドそのものではなく発生効果の産物である足の凍結はまだ健在のようで、動けずにいた。高速移動で一気に接近し、残り1発のカートリッジを消費して斬撃を仕掛けようとし、
「ブレイズ……」
そして、こちらの攻撃に瞬時に反応したなのはも、
「ディバイン……」
チャージはできなかったものの、抜き撃ちでディバインバスターを放ってきた。お互い直撃を喰らいその場に倒れ込み、すぐに双方起き上がったが、俺はなのはの姿を見て固まってしまった。
「……? どうしたの? 顔が真っ赤だけど……」
つい目を逸らしてしまった俺であったが、どうやって説明すればいいんだろう!? とりあえず、胸元を指差すとなのはも真っ赤になってしまった。なのはのバリアジャケットが結構きわどい感じで破損していましたとも。少しずれれば、丸見えになるくらいに。
「あのなー、なのはちゃんはムニムニでフェイトちゃんはフニフニなんや!!」
「何のことだ?」
「二人の胸を触った時の感想やな。男の子やから興味あるかと思って」
「はやて、……言っとくがそれ……セクハラだからな!」
「セクハラちゃうもーん! 私のはスキンシップや!」
……なぜかどうでもいいはずの思い出が甦ってきた。
なのはは右腕でサッと自分の胸元を隠し、少し涙目になりながら……、
「……見た?」
「み、見てない! はやてはムニムニとか言ってたけど、そんなの俺が分かるわけないだろ!!」
そう言った瞬間、なのははプルプル震えていた。直感した、地雷を踏んだ……と。
「ゆーくんの……」
なのはが左拳を握り、俺に向かって突き上げてきた。その拳は桜色の魔力を纏い、途中レイジングハートが残っていたカートリッジを消費し、更に輝きが増していた。
「ばかああああああ!!!」
なのは渾身のアッパーが俺のアゴを打ち抜き、”うろたえるな小僧ども!!”と言わんばかりの勢いで、上空へ舞い上げられてしまった。そのまま空中で一回転し地面に叩きつけられる。
『(アッパーカットが)直撃ですね』
「ちょ、ちょっとやりすぎた……?」
『いいんじゃないでしょうか』
朦朧とする意識の中でなのはとレイジングハートの会話を聞きながら、こう思った。なのはの全力全開の思い切りの良さが、打撃に転化されると恐ろしい威力になる……と。
「つ、強ええ……」
カズマは一人冷や汗を掻きながら、震えていたらしい。
翌日、消費したカートリッジの魔力補充のためになのはと共にウィズ魔道具店を訪れていた時、
『緊急警報! 緊急警報! 冒険者の皆様は、装備を整えて冒険者ギルドへ! そして、街の住民の皆様は、直ちに避難してくださーいっ!!』
デストロイヤー以来の緊急警報が街中に響き渡った。