この素晴らしい世界にリリカルな魔導師を! 作:ゴマフアザラシ
先日の冒険者ギルドでの変質したエギルの木討伐の表彰……もとい消滅させた際に被った被害の弁償発覚と、その場での借金返済から数日後、とあるメールが届いた。
「悠、二人っきりで話したいことがあるから、一度そっちに行くね。日時は追って連絡するから……」
「メールじゃマズイ内容か? だったらどっかで待ち合わせするか?」
「それは大丈夫。ただ、その話をする時は、人払いして欲しい」
メールの主はフェイトであり、おそらくは先日の騒動の調査のための面会のはずだ。先日の変質したエギルの木、その中にあったのは、ロストロギア、”レリック”――高エネルギーを帯びる『超高エネルギー結晶体』であることは判明してるが、肝心の使用用途については、いまだ不明のままとなっている。今回の場合はレリックそのものではなく、なぜソレがこの世界にあるのか……という部分が一番の問題だ。
確かに、デストロイヤーの動力源となっていたコロナタイトも似たようなエネルギー結晶体ではあるだろうが、それはこの世界に元々存在していた物であり、レリックは明らかに外部から持ち込まれているはず……。しかも生命体の中に埋め込んで、あんな状態になるのはレリックの本来の使用用途と関連があるのだろうか……?
ここは俺一人で悩んでいても仕方ないのはわかっているが、今回の騒動についてはこちら側に非があるので、どうしても気が滅入ってしまう。そんな様子でリビングへと行ってしまったのが悪かったのだろう。
「……お前……大丈夫か? 明らかに顔色が悪いぞ」
「ユウ、少し休んだら? なんだったら、回復魔法かけてあげるわ!」
「先日の魔法の消耗がまだ残っているのですか? でしたら無理をしない方が良いのです」
「うむ、今日は一日横になっていたらどうだ? なに、家事は私達でどうにかすればいいからな」
いつもは、色々と騒がしい面々が口を揃えて俺の心配をしている。ここまで言われるとか、この世界に来てからは初めてかもしれない。
……そんなにヒドイ顔色だったかなあ……俺。
「心配いらないって。色々ありすぎて少し疲れただけだから。それと、みんなには悪いけど……」
その場に全員揃っていたので、フェイトが屋敷に来ることを伝えた。途中カズマが、アクアが余計な事してなきゃ、あの店に気晴らしで連れて行ってやるのに……などと言っていたが、何の事だろう?
そして当日、
「おっ! 来たな……まあ上がってくれ」
「うん、お邪魔します」
……と軽く挨拶をした後、フェイトの背後で動く人影が見えたのでそこを覗き込むと、
「お、お久しぶりです。その……フェイトさんにくっついて来ちゃいました……」
そこには、赤毛で俺よりもずっと年下の少年――エリオ・モンディアルの姿があった。前に会ってから結構時間が経つので緊張している様子だったが、思わず、
「エリオ! 元気だったか? 少し背ぇ伸びたか? ちゃんとフェイトの言う事聞いてたか?」
などと、少し乱暴な感じで頭を撫でながら、質問攻めをしてしまった。今回は完全に仕事の話だけだと思っていたので嬉しいサプライズである。
「悠、ちょっと乱暴すぎ!」
「いいだろ。男の子なんだから、この位どうってことない! 相変わらず心配性だな」
「僕なら大丈夫ですから、ケンカしないでください!」
オロオロするエリオと、俺に注意しながらも、どこか安心したような表情をしていたフェイトであった。二人を屋敷内に案内した後、
「久々に表情が明るくなったか。あの騒動以来、どこか影があって雰囲気が暗くなっていたからな。元気付けようとしても、どうすれば良いか困っていたところだった」
「……やっぱりそうだったんですか。エリオを連れて来て正解でした」
ダクネスとフェイトが俺を見ながら小声で話していたが、こっちは全部聞こえている。
「べ、別に落ち込んでなんてねーし……、エリオが元気そうなのを見て嬉しいだけだからな!」
「嘘つけ!」
「どう考えても嘘ね」
「変なところで頑固ですね」
俺の言葉に即座にツッコミを入れるカズマ達ではあったが、雰囲気が和んでいるように感じた。やっぱり心配かけていたらしい。ここにいるとからかわれそうなので、まずはフェイトの用事から済ませるとしよう。
「じゃあ、例の話は俺の部屋でするか?」
「うん、それでいいよ。色々込み入った話になるし」
エリオはみんなに任せて二人で部屋に行き、先日の騒動についての話し合いをすることになった。
「……さてと、まずはこっちから質問。あの木の中にあったのはレリックで間違いないな?」
「そうだね。私が前回”ここ”に来たのも、その反応があったから。ただ……」
「今回は今までとは、毛色が違ってるって事だろ? 今までは遺跡やら研究施設やらで発見された物が、まったく関係のない世界の、しかも生物の中にあった。……って事は、どう考えてもそれを狙ってやった奴がいる」
フェイトは真剣な眼差しで頷き、
「しかも、まだ発見されたて世界であんな事が起こったのは、情報がリークされてる可能性が高いし、私が直接来たのもそこを気にしてだよ。データでのやり取りだと、何処で抜かれるか分からないから」
この後、怪しい人物がいなかったかとか、おかしな前兆がなかったかなどといった質問があったが、自分の知っていることを全て話している途中、俺たち二人共、部屋の外側に人の気配を感じたので、音を立てないように部屋の入口に近づいて一気に扉を開けると……、
「「「「うわあああああ!!!」」」」
叫び声とともに、エリオ含む5人が部屋へと倒れこみながら入ってきた。
「……なーにやってんのかなあ? 盗み聞きっていい趣味してるなー。しかもエリオまで連れてきて」
口調自体は柔らかくしてはいるが、相当な威圧感を感じ取ったらしいメンバーは、
「ほ、ほら、あんまり話し込んでるから心配になって、様子を見に来ただけで……」
「そ、そうですとも! カズマとダクネスから二人っきりなのをいいことに良からぬ事をしているんじゃ……なんて言ってたのは関係ありません!」
「おい、何で俺だよ! 最初に言ったのはダクネスだろ! ”遅すぎる……! これはもしや室内に二人だけなのを良い事に……、”とか言われたら気にもなるだろ!!」
「わ、私は人に振ったら、衣服だけを斬れるぴよぴよ丸があるので、やるなら私にやって欲しいと言っただけだ!」
全員慌てふためきながら、言い訳をしていた。
「ふーん。じゃあ何でエリオまで連れてきたのかなあ?」
「それは……この子がいれば見つかってもあんまり怒られないかなって……」
アクアからの返答にフッと鼻で笑いながら……、
「そっか。じゃあ二人で大人(として仕事)の話してたってので良いだろ? あとは勝手に想像を巡らせてくれ」
フェイトとエリオ以外の全員が驚愕の表情を浮かべていたところへ更に、
「エリオ、今度コイツらが同じことしたら……、昔、俺にやったのを喰らわせてやれ。ただし、ダクネス以外にな」
「私以外とは、なぜだ? 何があるというのだ!?」
自分は除け者にされたと思ったのか、ダクネスが声を荒げていたが、コイツに電撃とか絶対喜ぶに決まってる。
「だってさ、ダクネスにやると新境地を開拓した上でドMにショタコンが付加されそうだし、そんなの目も当てられないだろ?」
エリオの耳を塞ぎながら、ダクネスに説明する。流石に7歳には早すぎる話だ。エリオは頭に?マークを浮かべていたが。
とりあえず盗み聞きしていた連中を部屋から遠ざけて、話を続ける。
「あ、相変わらず面白い人達だね。そうそう、さっきの話だけど悪いことばかりじゃないよ。今回の事件でレリック対策の機動部隊発足がほぼ決まったし、正式に稼働するまでは、まだまだ時間はかかるけど、はやてが色んな方面に働きかけてる」
これに関しては怪我の功名という奴だろう。レリックが本来ある筈の無い場所で見つかって、あそこまでの事件を起こしたのだから、上層部もそうせざるを得なかったはずだ。
「そういえば、デュランダルもありがとうな。ストレージは一本こっちにあるから、それを使おうと思ってたけど実際に使うと性能が段違いだ」
「クロノ提督も前線に出る機会があまり無いから、構わないって。今回の件も結構心配してた……」
「そっか。なら……こう、縋り付いて上目遣いで、゛ありがとう! おにいちゃん、だ~い好き!゛ ……って言ってやってくれ。俺の代わりに」
「や、やらないからね!? もしやっても、誰がやらせたかなんて簡単にわかるから、後でアースラに呼び出されても知らないよ?」
少し慌てながら、フェイトが答える。兄妹になって数年経つというのに、未だ”おにいちゃん”呼びに慣れていないクロノをからかうにはいい方法なんだが……。まあ、新婚さんが公衆の面前でそんな事されたら怒り心頭になりそうではある。
……事前にエイミィさんに許可取っておこうかな。なんかノリノリで協力してくれそうだ。
「……エリオも元気そうで安心した。まさか連れて来るとは思わなかったけど」
「あの子も会いたがってたんだよ? それに悠も落ち込んでるかと思ったから……。ファァ……」
……珍しい。仕事中は緊張感を持ってるヤツがあくびとか……、今回の件でかなり奔走してるんだろうな。疲れが溜まってるんだろうか……?
「フェイト、今までの報告は俺がバルディッシュに直接入力しておくから、お前は少し休め。そんなんじゃ体が持たねーぞ」
「……けど、そこまでしてもらうわけには……」
「バルディッシュはどう思う? 少し仮眠取った方が良いよな?」
『Yes Sir!』
「2対1で俺らの勝ち! つーわけで少し眠ってろ。休むのだって仕事のうちだ」
……困った。これは困った。俺とバルディッシュの意見を聞いたフェイトが目を
とりあえずデータ入力は時間がかからずに終了したのだが、あまりにも安心しきった寝顔のため、この場から動けずにいる。これはこれで役得とは言えるだろうが、さてどうしよう? ていうか無防備すぎですよ。まあ、何かあったらバルディッシュがエマージェンシーコール出しそうだけど。
……うーんと唸りながら頭を悩ませていると、またしても部屋の外に人の気配がする。誰であれ、この状況を見られるのはよろしくない。どうやって切り抜けるかと思案していたが、ノックと共にドアを開けられてしまった。
部屋に入ってきた人物と思わず目が合ってしまう。
「……え、ええっと……そ、その、お、お二人がそんな関係だったって知らなくて……!? カズマさん達から様子を見て欲しいって言われて来たんですけど……、す、すいませんでした……!!」
「ゆんゆん、違うからな! 頼むからエリオを連れて来てくれ。それとできるなら誰か一緒にいてくれないか? このまま二人っきりでフェイトが目を覚ましたら、気まずい雰囲気になるから!」
顔を真っ赤にしながら、あたふたしているゆんゆんを落ち着かせて、エリオとカズマ達を連れてきて貰った。
俺達の様子を見た面々は、
「ちょっと! 女の子を膝枕してるわよ!!」
「お前……これ見せたくて呼んだのか!? 今なら殺意のスティールでアイツの心臓抜き取れる気がする……!」
などと、アクアとカズマがまくし立てていたが、周囲が騒がしくなったからか、フェイトが目を覚ました。当の本人は状況が掴めていない様子だったが、
「おはよう。休めとは言ったけど、このまま起きなかったら、ほっぺたツンツングニグニして、ここにいる全員に面白い顔を披露してもらうとこだった」
「……えっ!? ええっ!!?」
フェイトは顔を赤くしながら、大声をあげて困った様子であった。
「……確か私達は、気まずくなるから呼ばれたはずだったが……」
「ええ、あれですね。ユウはチャンスになると尻込みしてしまうのでしょうか? どことなくカズマと似たものを感じます。さっきのもただの照れ隠しですし。……カズマはあの状況になったら、セクハラしそうですが……」
ダクネスとめぐみんが何か言っているがここは反論してはいけない気がする。一言でも発すると、泥沼に嵌りそうだ。
とりあえず、フェイトの用事が済んだのでエリオと一緒に帰路に付こうとしていたのだが、どうもエリオの様子がおかしい。……これは多分、
「……エリオ、なんだったらもう少しこっちにいるか? 俺なら構わねーぞ」
俺の申し出に顔が明るくなったエリオではあったが、
(いいの? 私もこの頃時間がなくて構ってあげられなかったけど……)
(周辺警戒してろって、お達しだからな。現在、開店休業状態なんだ……俺。むやみやたらに飛び回るわけにはいかないし、まあ気にするな)
……と、念話でフェイトを説得してエリオのみここに数日間残ることになった。
そこからはほとんど、エリオの相手をしていた。例えば、チャンバラごっこで……、
「御神不破流の前に立った事を、不幸と思え……!」
そんな口上とともにエリオの攻撃が俺の頭に当たる。当然、ダメージは無いが、
「うーわー。やーらーれーたー。……バタッ」
なんて言いながら床に倒れたりしていると、
「なんですか!? 今のかっこいい決め台詞は!? ユウが教えたのですか?」
「これは俺がエリオより小さい頃、近所のお兄ちゃんと遊んでる時に覚えたんだ」
そんな思い出話をめぐみんに教えた。
また別の日は、
「もっと前でダクネスバリアになって俺たちを守れ! ダクネス」
「盾代わりに使ってくれるのは良いのだが……もっとこう危険な敵の前でだな……」
「いつも盾代わりにしろって言ってんだから、いいだろうが! エリオ、今のうちに雪玉ジャンジャン作れ! 一気に攻めるぞ」
「は、はい! わかりました」
俺、ダクネス、エリオチームの相手になっているもう一方は、
「カズマ、こちらも負けていられません! カズマシールドとなって私とゆんゆんを守るのです!」
「おい! 何で俺だよ!? 俺は防御なんて向いてねえ!!」
「私とゆんゆん、美少女二人の勝利の礎となれるのです。そのくらい安いものでしょう!」
カズマ、めぐみん、ゆんゆんチームと雪合戦で盛り上がったり、その日の夕食では、
「あ、あの子……あの量を全部食べるの? どう見ても私達の倍はあるけど……」
「まあ、育ち盛りだしな。食材多めに調達してきた甲斐があるってもんだ。遠慮しないで食べな。おかわりもあるぞ」
「はい! いただきます!!」
「……本当に食べてる!? もう無くなりそうなんですけど……!」
エリオの大食いにメンバー全員が驚いたり……と、楽しい日々を過ごしていた。
そんな中、久々に冒険者ギルドへ行き掲示板を見ると、
「『エギルの木の残骸討伐』……?」
受付のお姉さんに詳細を聞くと、先日の騒動で猛威を振るったエギルの木の残骸が存在している場所があるらしい。流石にそのままにしておくわけにもいかないので、向かうことにした。お姉さんの話だと強力な魔法で一網打尽にしない限り、再生してしまうらしい。まだレリックの魔力が残っているんだろうか……。ロストロギア、やっぱり厄介だ。
「すまないダクネス、エリオを守ってやってくれ。ホントなら連れて行くべきじゃないんだろうが、一人にしておくのも心配でな」
「ああ、任せろ! 守るのが私の役目だからな。指一本触れさせん」
エリオはダクネスにくっ付けて、その場所へ向かっていると、
「きゃあああああ!!」
遠方から悲鳴が聞こえてきた。急いでその方向へ向かうと、7~8歳くらいの女の子の目の前に伸びて今にも喰らい付きそうな木の根がウネウネと動いていた。すぐに助けようと高速移動を試みようとしたところ、
――バチッ!
スパーク音と共にエリオが少女の下へと駆けてその子を捕まえた。その光景を目の当たりにして正直、驚きを隠せなかった。まだ未完成ではあるものの、『ソニックムーブ』のそれと同じものだったからだ。いつの間に覚えたのか……なんて考える暇は無い。このままだと、前方の大岩に激突する。すかさず、
『Holding Net』
前方に魔力の網を張り、事なきを得た。そして少女に襲い掛かっていた木の討伐も終え、冒険者ギルドに戻ってきていたが、
「……エリオ、何であんな事した?」
俺の問いかけに俯いているエリオがいる。それを見て、
「そんなに怒らないであげてください! あの女の子も無事でしたし……。 この年で凄いじゃないですか! 一瞬見失いましたよ!」
「そ、そうだ。私がもっとしっかり捕まえていれば良かったのだから、そこまで目くじらを立てるな! むしろ私を叱ってくれ! いや罵ってくれ!!」
めぐみんとダクネスが必死にエリオを庇っている。二人の言いたいことも分からなくはないが、問題はそこじゃない。ダクネスのはスルーしておこう。
「お前が将来、局員になりたいってのは知ってる。多分、さっきの子を見て咄嗟に動いたんだろうけど、高速移動だってまだまだ錬度が足りないし、あのままだったら二人とも大怪我してたかもしれない。……そこは分かるな?」
ここは、ただ怒鳴ったりする場面じゃない。何が悪かったのかをちゃんと説明しないと同じ事を繰り返す。
「……はい、ごめんなさい……」
シュンとした表情ではあるが、反省しているようだった。これ以上のお説教は不要と思い、
「……でも、無事で良かった。怪我でもしたらフェイトも俺も泣くだけじゃ済まないからな」
そう言いながら、エリオの頭を優しく撫でた。
「しっかし、誰に似たんだろうな?
思わず、独り言を呟いてしまったのだが、それを聞いたメンバーが一斉に俺へ視線を向け、
「誰って……お前に決まってるだろ」
などとカズマからツッコまれてしまった。続いて、
「こないだ……、お前らが二人っきりで話してる時に聞いたけど、お前って昔は結構、無茶な事してたらしいよな。訓練校通ってた時に、複数人に喧嘩を売られてやり合ったとか……。勝てるはずも無いのに剣士の姐さんに立ち向かったとか……」
「あと……エリオが暴れてた時に、魔法で防御もせずに体を張って止めたのも聞きました」
エリオ本人がやさぐれていた時期の話はともかく、何で訓練校の頃の事まで知ってる!? ミッドで教えたヤツがいるのか……?
「……ったく、そんなのは悪いお手本だから絶対マネはしない事! いいな?」
……と、再度エリオに向って念を押したのだが、今度はアクアから。
「……私、ずっと思ってたんだけど……、エリオってアレね! 単身赴任のお父さんに会いに来た息子さんみたい!」
「誰が”お父さん”だ! 俺はそんなんじゃねえええ!!」
思わず、大声で叫んでしまったのだが、
「……グスッ、……ヒック」
さっきまで俯いていたエリオが今度は泣き出してしまった。もしかしてトラウマ
「そ、そうじゃないからな! 確かにフェイトは保護者だから”お母さん”かもしれないけど、俺はただの”近所のお兄さん”だからな? 別にエリオが嫌いってわけじゃないんだ。なっ!」
俺が慌てふためきながら、何とかエリオを
「キャロの時もそうだったけど……、あんな無茶苦茶な魔法使えるヤツが……子供一人に苦戦してるって……」
「わ、笑ってはいけません、カズマ。微笑ましくて良いではないですか」
「そうだとも。アレで一生懸命やっているのだ。笑うのは失礼と言うものだ!」
アクア以外が必死に笑うのを
「……あの時の子がもう子供の面倒見てるなんて、……立派になったわね。やっぱり私の指導が良かったんだわ!」
なぜかアクアが一人で感無量になっていた。何の事か全く覚えが無い。
「別にいいじゃないか”お父さん”で……。お前らもそう思うよな?」
俺の肩に手を置きカズマがそう言い放ったが、視線の先にはダストとキースがおり、
「……やっぱアイツはタダモンじゃねえ! 彼女も嫁もいないのに、息子と娘がいるんだぜ。なあ!」
「ああ、俺らにはできない離れ業だ! メイドの先生、一体何者なんだ……!」
なんだろう? ドンドン泥沼にはまっている気がする。何でこんな状況になった!? と、とりあえず……エリオをどうにかしないと……。
そう考えていると、後ろから聞き覚えのある声が……、
「どうしたの? 何があったの!?」
執務官服を着たままのフェイトである。おそらく仕事が一区切りついたので、そのままの格好で来てしまったんだろう。やはり手馴れているのか、すぐにエリオを落ち着かせたが……、
「……何を言ったのか……少し教えてくれないかな?」
にっこりとしてはいるが、その実……、凄まじい威圧感をまとっている。これはヤバいと感じ、思わず冒険者ギルドの入口へ走った。しかし、
「……どうして逃げるの? ちゃんと話して欲しいな」
ギルドの扉前で、当然のように進路を遮られてしまった。もはや瞬間移動と見紛う程の高速移動である。
「う、動きが全然見えなかったんですけど!?」
「い、いつの間に移動したんだ!? なんなんだ、あのスピード……!!?」
アクアとカズマがフェイトのスピードに驚愕している一方で、俺は……、
この場合、逃げられないのって大魔王じゃないのかなあ……? ここの世界の雰囲気的に。ああそうか、もしかしたらフェイトさんは大魔王だったのかー。
などど1秒にも満たない現実逃避をしていた。それも束の間、首根っこを掴まれて引きずられた後、きつーいお説教をされたのであった。
ちょこっとだけStS
――機動六課稼働前
「部隊長! なんで俺がライトニング2じゃないんだ!? それで希望出してただろ!」
「ほら……フェイトちゃんと悠君とあの子達やと家族が揃ってるみたいになってしまうやろ? 悠君、二人にとってはお父さんみたいなもんやし」
「だから、誰がお父さんだ! ……ったく、どいつもこいつも……」
六課での配置について、部隊長であるはやてに問いただしていた。
(ど、どの口が言うんや!? 確か父の日に貰ったプレゼント、私達にわざわざ通信で見せびらかしとったよな……)
(はいです。ここはツッコむところでしょうか? はやてちゃん)
(私もツッコミ我慢してるから、ここは耐えるんや! 実際、悠君を副隊長にすると敵がフォワード陣に行く前に殲滅されそうでなー。それはそれでよくないやろ? 親バカすぎるんも考え物や)
はやてとリインが何かヒソヒソ話をしている。まあそんなのはいい。
「もう魔導師ランク上げるの難しいとか言われて、3年かけて休暇の度にあの世界で最難関ダンジョン潜ったり、高額賞金のヤバいモンスターと戦ってひたすらレベル上げしてた俺の苦労は……!? 上級魔法と爆裂魔法一気に習得できるまでのレベルでようやくSランクになったのに……」
「な、何言ってるかようわからんけど……、もう決定事項やし、リインが副隊長達を支援するんと同じで、隊長達の支援をして欲しいんや」
分かってはいた事だが、もう覆ることはないらしい。納得はしたが、その後、小一時間部屋で項垂れてしまった。
StS直前の主人公のレベル(このすば基準)
爆裂魔法:50P
上級魔法:30P
中級魔法:10P
初級魔法:1P
花鳥風月:5P
これら全てを習得できます。ちなみに初期ポイントは0なので、ほぼカンスト間近でSランクという設定です。(レベル99でカンストならですが)