この素晴らしい世界にリリカルな魔導師を!   作:ゴマフアザラシ

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アクアがアニメでゴッドブロー使ってアンデッド倒していたので、それで思いついたネタです。


ゴッドブローの怪

冒険者ギルド――冒険者達にとって出会いの場であり、自身の仕事にありつける場所、または仕事終わりに仲間たちと一杯飲みながら語らう憩いの場。それはここ、水と温泉の都アルカンレティアでも例外では無いのだが……、

 

「……俺はここらの生息モンスターとか地図とか確認しに行くだけなんだが……。何でお前らまで付いて来るんだ?」

 

「街中歩く気にならないから、冒険者ギルドならまともだと思ってな……」

 

「私が最初にアルカンレティアに来た時は、レベル制限でクエストを受けられなかったので、今度こそはと思いまして」

 

「私はクエストでめぐみんと勝負したくて」

 

「これでも冒険者だ。旅行中とはいえ、他の街の冒険者ギルドがどういったものか気になるのだ」

 

などと、カズマ達が俺と一緒になってアルカンレティアの冒険者ギルドへ足を運んでいた。

 

「そういえば、アクアは?」

 

「アイツなら、アクシズ教のアークプリーストとしてチヤホヤされて来るってさ」

 

……まあ良いけど、教会の方にご迷惑……は大丈夫な気がする。どちらかと言えば意気投合してそうな気が……。

ちなみにウィズは、1日温泉に浸かってゆったりしていたいらしい。

 

ギルド内に立ち入ると、造りそのものはアクセルと大差は無い。受付カウンターと依頼が貼り出される掲示板、併設された酒場兼食堂。確かに街ごとに変な差があったら、冒険者だって困惑するだろうし、どこでも大体こんなもんなのかもしれない。

 

「すいません。ちょっとよろしいですか?」

 

受付のお姉さんに目的の物を貰えるかどうかを確認すると、すぐに用意してくれた。本来ならもうここには用は無いのだが……、

 

「せっかくなのでクエストを受けましょう。私が紅魔の里を出たばかりの頃は無理でしたし、ここでも我が爆裂魔法を見せつけてやります!!」

 

「俺は嫌だ。せっかく休養に来てるのに、何でクエスト受けなきゃならないんだよ!」

 

めぐみんの提案にカズマがいの一番に反対。そりゃそうだろう。カズマにからしたら遊びに来てるのに、危険なクエストを受けたくはないはずだ。

 

「私はどちらでも構わないが……。引き続きエリス教徒を名乗って街を歩くのも……、くっ……!」

 

ダクネスは昨日カズマと街を散策している最中、エリス教徒だというだけで、ぞんざいに扱われたのが気に入ったらしい。それを思い出したらしく、身を震わせていた。

 

「私もどちらでも良いですけど……ユウさん、微妙に私と距離を取ってませんか?」

 

「気のせいだと思う。色々見回してるから少しずつ移動してるだけだって」

 

平静を装っているが、昨日の女湯での出来事は、一晩たったくらいじゃ脳裏にこびり付いて離れてくれない。あの時は息ができなくてそれどころじゃなかったけど、落ち付いて思い返すと柔らかいのに程よく弾力があって、その上良い匂いだった気がする。うん、子供の頃の思い出として心にしまっておこう。

 

「別に自由参加で良いんじゃないか? めぐみんがどうしても受けるんなら、誰かついて行かなきゃならないだろうけど」

 

「できれば、全員で参加できるクエストが良いですね。とりあえず、掲示板を見に行きましょう!」

 

めぐみんに先導される形で、冒険者ギルド内の掲示板の前でクエストを確認していると、

 

「……なあ、ここってアクシズ教の総本山だよな? 何でアンデッド討伐のクエストがチラホラあるんだ……? アクセルだとプリーストは少ない方だけど、ここだと結構な人数が居そうなのに……」

 

「アクシズ教徒の普段の行いといえば、熱心を通り越して迷惑な布教活動という名の勧誘やエリス教会への嫌がらせ等ですから、アンデッドの浄化にまで手が回らないのかも知れません」

 

……それで良いのかアクシズ教徒。そんなしょうもない事してないで、地道にアンデッドの討伐してた方が信者も増える気がするんだけど……。

 

「これはどうだ? 郊外の墓地に出没するアンデッドナイトの討伐だな。難易度も今の私達なら問題はないだろう」

 

ダクネスが選んだのは、数あるアンデッド討伐系クエストの中で一番難易度の低いものだった。まあ、確かにこの程度なら、問題は無いだろうが……。

 

「……できればアンデッド系はやめて欲しい。アクアもそうだけど何故か俺にまで寄ってくるから」

 

「むしろ好都合です。そこにいるだけでアンデッドを引き寄せるのですから、探す手間が省けます!」

 

「俺は生餌か!?」

 

思わずツッコんでしまったが、何でこんな体質なんだ俺は!?

 

とりあえず、クエストを受注しアンデッドの活動が活発になる夜を待つことにしたのだが、その合間にめぐみんがカズマに見つからないように、俺、ダクネス、ゆんゆんを一か所に集めて、

 

「お願いがあるのですが……」

 

いつにも増して神妙な面持ちのめぐみんであった

 

「今日のクエスト、3人はモンスターの動きを止めて、止めはカズマにさせて欲しいのです」

 

元々、めぐみんがアルカンレティア行きを言い出したのは、大金を手に入れて怠けてしまっているカズマを連れ出し、道中モンスターを倒しつつレベル上げの続きをしたかったかららしい。

 

「じゃあ、めぐみんがしたいのってカズマさんの養殖?」

 

ゆんゆんはめぐみんのしようとしている事に心当たりがあるらしい。

 

「何だよ養殖って?」

 

とはいえ、聞きなれない言葉に思わず反応してしまった。魚とは違うんだろうけど……、どっかで聞いた用語のような……?

 

「養殖は紅魔の里に伝わるレベル上げ方法です。比較的弱いモンスターの動きを止めて、止めはレベルの低い者にさせる育成方法なのです!」

 

ああ、これはオンラインゲームと同じか。この世界はレベルやスキル、経験値が数値化できるから、こんな方法も考案されたのだろう。どこの世界の人間も同じような事考えてしまうんだろうな。

 

「まあ、俺は構わないけどみんなは?」

 

「私も構わん。攻撃は当たらないが、羽交い絞めにして動きを止めるならどうにかなる」

 

「私も良いけど、カズマさんばっかり止めを刺してたら不思議がられるんじゃ……」

 

俺とダクネスは、二つ返事で了承したが、ゆんゆんは少しばかり難色を示していた。

 

「そこはうまい事、俺達で何体か倒しながらやれば良いか?」

 

「それで問題ありません。3人共よろしくお願いします!」

 

 

 

 

 

 

 

その夜、昼間と同じメンバーでアルカンレティア郊外の墓地へ向かったのだが、

 

「カズマ、敵感知に反応は?」

 

「何だよこれ!? 10や20じゃきかねーぞ!! こっちにまっすぐ近づいて来る!!」

 

……すまん。どう考えても俺のせいだよなあ。

 

アンデッドナイトの一体をぴよぴよ丸で一刀両断。まだ微妙に動いているので、これで浄化できるわけではないだろうが、後でちゃんと弔ってやろう。しかしこの刀、条件付きであるけど結構使えるじゃないか……。前の主人が人様が着ている服を斬り裂いたせいで、変態の持ってた刀なんて呼ばれてたんだ。アクアの言う通り”神刀”とまではいかなくても、”便利な武具”くらいの評価にはしてやりたいところだ。

 

「『フリーズバインド』ッ!」

 

寄ってくるアンデッドナイトの動きを中級魔法で止め、

 

「カズマ、そっちは頼む!」

 

といった手順でカズマに止めを刺してもらう。これについてはダクネス、ゆんゆんも同じ様な手順でカズマに最後の一撃を譲っていた。めぐみんだけは昼間に爆裂魔法を撃ったので、一人座って見物している。アルカンレティアに被害が出ないように飛んで、相当遠くまで連れて行って撃たせていたりする。

 

そこから約一時間後、アンデッドナイトの討伐を終えたと思ったのだが……、

 

「……あっちの方で何か聞こえないか?」

 

「……確かに。これは金属の激突音だ。あちらにも誰かいるのではないか?」

 

全員で音のした方へと移動すると、槍の様な武器を持った人影がアンデッドナイトと戦っている。その人影、よく見ると……。

 

「助太刀は必要ですか……っと要らないみたいですね」

 

「……君か。縁があるな」

 

昨日、温泉で会った子連れの冒険者さんである。やはり戦士系だったらしい。槍だって多分この辺りで購入したであろう廉価品といった感じなのに、大勢のアンデッドナイトを一人で討伐してたようだ。思った通り、ただ者ではないのだろう。ぴよぴよ丸を地面に刺して、臨戦態勢を解く。

 

「ユウ、この方は?」

 

「昨日みんなが街に繰り出してる間に知り合ったんだ。お子さんも連れてたけど……」

 

と、みんなに説明していたところ。

 

「あ、昨日の人」

 

男の後ろからひょっこりと紫色の髪の女の子が顔を出した。俺の事も覚えていたらしい。こんな子をここに連れて来るのはいただけないが、この子を守りながらあの数の相手をしていたのだから侮れない。

 

「こめっこと同じ位でしょうか。この子も昨日知り合ったのですか?」

 

こめっこってのは確か……、めぐみんの妹だっけか。そういえばエリオやキャロと同い年って言ってたな。この子も年はそんなもんだろう。

 

「うん。一緒にお風呂入った」

 

「「「「……えっ!!?」」」」

 

女の子の何気ない一言でメンバー全員の視線が俺へと集まってしまう。

 

「……勘違いするなよ!? この子、こっちの人と一緒に男湯に入ってたんだ。その時に知り合ったってだけだからな!!」

 

全員がホッとしたような雰囲気になっていたが、

 

「まあ、この年の子なら何の問題もありませんね」

 

「そ、そうだよ! 私達だって昨日は……」

 

「うむ、流石にこれは失礼な想像だったな」

 

女性陣は納得していたようだ。しかし、

 

「昨日……お前は覚えて無いだろうけど……なんて羨ましい……!」

 

カズマだけは悔し気な表情を浮かべて俺を見ていた。

 

……お嬢ちゃん、頼むから将来悪女になってくれるなよ? 今からおにーさんは心配になってしまいます。

 

和気あいあいと話をしていたが、討伐を終えてどことなく気が緩んでいたのだろう。アンデッドナイトが一体、めぐみんの後ろで剣を振りかぶって……、

 

「めぐみん! 伏せろ!!」

 

咄嗟ではあったが、俺の指示で伏せるめぐみんの後ろのアンデッドナイトに対して、拳に魔力を集めて強烈な一撃を喰らわせた。アンデッドナイトを構成している骨をバラバラにし、動かなくなったかと思ったら、魂の様なものが天に向かって昇っていった。一瞬シンと静まり返った後、

 

「……なあ、今のってさ。浄化してたよな?」

 

「……そうだな」

 

カズマがコイツありえねーといった雰囲気で俺に視線を向けていた。だが、これは……、

 

「新発見だ! 魔力を込めた拳で殴るとアンデッドを浄化できる!」

 

「どう考えてもおかしいだろ! どういう理屈だ!!?」

 

まあ、言いたい事は分かるけど、実際にそうなったんだから、これは事実として認めるしかない。

 

「アクアだってゴッドブローでやってるし……。なんて言うのかな? 強者(つわもの)と戦って”我が人生に一片の悔いなし……!” みたいな?」

 

「なんで疑問形なんだよ!?」

 

「そもそもアンデッドの未練はその類のものだけでは無いのでは?」

 

何気に珍しいダクネスからのツッコミである。確かに、アンデッドの未練って言っても色々あるだろうしなあ……。

 

「けど、これだったらゆんゆんもできるはずだ! こう……拳に魔力を集めて殴るだけだから、ちょっと試して欲しい」

 

「はい! やってみますね」

 

さっき相手をして動かなくなっている一体に向けて、ゆんゆんが魔力を込めた拳を振り下ろしたが……、

 

「……浄化できませんね?」

 

骨がバラバラになるだけで浄化してはいない。

 

「そもそも、拳で浄化できるのがおかしいのです。アンデッドに好かれる体質といい、アクアの遠縁では無いのですか?」

 

それはあり得ない。そもそもアクアはこの世界の人間なんだから、俺と血縁はない。これだって偶然が重なっているだけのはずだ。

 

「面白い人たちだね」

 

「……そ、そうだな。しかしあの打撃……」

 

女の子の一言に男の方はなんかイロモノを見るような視線ではあったが、そんな視線を向けられると、悲しくなってしまう。

すると男の後方で、アンデッドナイト一体が起き上がり剣を突き刺そうとしていたが、

 

――ヒュン。

 

男の近くの地面に突き立てていたぴよぴよ丸を手に取り、風切り音と共にアンデッドナイトを一刀の下に斬り伏せていた。

 

「少年、悪いが使わせてもらった。良い刀だ」

 

「え!? あ……はい。どういたしまして……」

 

今度こそ全て討伐を終えたらしく、カズマの敵感知にも何も反応は無いようだった。

 

「しっかしアンデッドってのもご苦労なもんだよな。死んだ後でもこうして動き回ってるんだから」

 

「だが……彼らの気持ちも分からんでもない。成すべき事を成すまでは、死んでも死にきれない……とでも言うのだろう」

 

思わず呟いてしまった言葉ではあるが、男には思う所があるらしい。悲し気な、それでいて懐かしいものを思い返すような、そんな眼であった。

 

「とりあえず、ちゃんと弔ってやりたいけど……」

 

「お前が殴れば良いんじゃないか?」

 

カズマの提案は確かに手っ取り早いが、

 

「……いくら俺でもそこまで罰当たりな事は出来ない。アクア呼んでちゃんとやってもらおうか?」

 

これ以上、動かなくなってる仏さん殴るのは流石に気が引ける。それとも一か所に集めて火葬しながら祈りでも捧げた方が良いかもしれない。などど、思案していると、

 

「おや、エリス教会への襲撃のついでに寄ってみましたが、見慣れぬ方々がおりますな」

 

若干聞き捨てならない言葉が聞こえてきたが、白髪交じりで見るからに司祭といった格好のおじさんが俺達に声を掛けてきた。俺とカズマが顔を見合わせながら、目の前のおじさんの様子を伺っていると、

 

「これは失礼。私はアクシズ教団のアークプリーストを務めております、ゼスタと申します。そちらの方はもしかして……」

 

俺達の後ろのめぐみんとゆんゆんへと視線を向け、

 

「お久しぶりです、めぐみんさん。またお会いできるとは、これは女神アクア様のお導きでしょう!」

 

めぐみんに対して嬉しそうに挨拶をしていた。どうやら知り合いらしい。

 

「あ、あの……私は……」

 

「ぺっ」

 

ゆんゆんも何か言いたげではあったが、ゼスタさんは即座に地面に唾を吐いていた。一体3人の間に何が?

 

「んーと、知り合い?」

 

「私が紅魔の里を出たばかりの頃、アルカンレティアでクエストも受けられず、禄に職も無く路頭に迷いそうになっていたところを助けてもらいまして……」

 

「ええ! めぐみんさんとは共にこの街を駆け巡った仲間……、いえ、同志とでも言いましょうか。友人などと甘っちょろい関係ではない事は確かですな」

 

ゼスタさんは懐かしむ様子で、声を高らかに自分とめぐみんについて俺達に語っている。

 

「それでゆんゆんは……?」

 

「その方のおかげで警察のご厄介になったり、魔法を喰らったりしまして」

 

ゆんゆんはバツの悪そうな顔をしている。ゼスタさんは続けて、

 

「なので、できればあの時のお説教の続きか……、または成長を確かめるために私にハグされるか、髪の毛をクンカクンカさせるかして欲しいところですな」

 

……何だこの変態? こんなのが聖職者(アークプリースト)だと……!?

 

「貴様、本当にアークプリーストか!? そのような真似、エリス様がお許しになるわけが無い!」

 

ダクネスも我慢の限界だったらしい。エリス教徒の証であるお守りを取り出して、目の前のおっさんに対して、苦言を呈していたが、

 

「ぺっ」

 

またしてもおっさんは地面に唾を吐いていた。

 

「……んっ……!」

 

ダクネスはそれを見て体を震わせている。もう、何も言わない方が良いんじゃ……。

こんなのでも曲がりなりにもアークプリースト、さっき討伐したアンデッドを弔ってくれないかとの申し出をしたところ、意外にもあっさり承諾してくれた。

 

「志半ばで息絶えた迷える魂たちよ。安らかに眠りなさい……」

 

おっさん……もといゼスタさんが祈りを捧げると、先ほどまで俺達に襲い掛かっていたアンデッドの魂が浄化され天へと昇っていく。俺達は全員黙祷を捧げながらその様子を見守っていた。

 

「おじさん、ありがとう」

 

この場で最年少の女の子がゼスタさんに対してお礼を言っていたのだが、

 

「この程度、お安い御用ですよ。女神アクア様に仕える者として当然の事をしたまでです」

 

発言には問題あるが、それ以外は聖職者らしい振舞いである。アクアもそうだけど、アクシズ教徒ってのはこんなもんなんだろうか? などど考えていると、

 

「お嬢さん、おじさんではなく、お兄さん……いやここはパパと……それともおいたんとでも呼んで……、こうなったらお着替えの手伝いでも……」

 

……よし、我慢の限界だ。一発ぶん殴っておこう。いくらなんでも初対面の子供に対してこれは無い。変なトラウマになったらどうするつもりだコイツ……!!?

 

拳を握り、先ほどと同じ要領で魔力を乗せて変態の頬を目掛けて突き出したのだが……、

 

頬に直撃するかと思われた俺の拳がバシーンと音を立てて、変態の(てのひら)で受け止められている。カズマ達も驚いたようで目を見開いていた。

 

「なっ……!?」

 

「驚かれているようですが、元来アークプリーストというのは回復、支援の他に前衛に出ても問題はない万能職です。アクシズ教団において私以上のアークプリーストはいないと自負しております。ですのでこの通り、近接戦闘もある程度こなせますよ」

 

無理矢理拳を捻じ込もうとしても、打ち抜くことが出来ずに止まったままであるが、涼しい顔をした目の前の変態は。

 

「これは……『ゴッドブロー』ですな。女神アクア様の怒りと悲しみを乗せた拳、あなたはもしやアクア様に導かれた方では?」

 

……この人曰く、俺の魔力付与の突きはゴッドブローと同じものらしい。にわかには信じられないが、確かにアンデッドを浄化できるのでそう思われても仕方ないかも。

 

「……先ほどのそちらのお嬢さんに対する態度といい、あなたとは同志となれそうです。どうですか? これから我が教団に足を運んでいただき、アクア様について語り合うというのは?」

 

なんかもうヤバい気配しかしない。昨日街を歩いてただけのみんなの様子から見て、それ以上のとんでもない目に合うのは分かりきっている。

 

「……え、遠慮します。実は教会ってちょっと苦手で……、何年か前に師匠の友人のシスターにコテンパンにのされまして……」

 

俺の返答にクワっと目を見開いたアークプリーストのおっさんは、

 

「シスターに叩きのめされた……と。素晴らしいご褒美ですよ! 詳しくお聞かせ願いたいものです。是非教団にお越しください……!」

 

拳を受け止めたままのおっさんが、俺をそのまま引きずって行こうとしていると、その様子を見ていた面々は、

 

「カズマ、ここは仕方ありません。命までは取られないはずですから、黙って見送りましょう」

 

「そ、そうだな……。俺達はもう帰るか……」

 

めぐみんとカズマは、俺を生贄として捧げる気らしい。

 

「いいの!? このままだと……」

 

「ゆんゆん、せめてユウが戻って来たら、優しくしてあげましょう」

 

ゆんゆんはめぐみんに腕を掴まれ、その場から動けずにいる。ダクネスも付いて来たがっていたが、カズマに羽交い締めにされている。

後でみんなに聞いたのだか、この時の俺は処刑台に連れて行かれる死刑囚の様な顔をしていたそうだ。そして日付が変わる頃、ようやく宿に戻った俺ではあったが、

 

「う、うーん……。エ、エリスの胸はパッド入り……」

 

「おい! 大丈夫か!? うなされながら何口走ってるんだ!?」

 

服のポケットには大量の入信書、持たされた満杯の土産袋にも入信書。その上、戻って倒れるように眠って、うわ言のように色々口走っている俺を心配し、カズマが隣部屋の女性陣を叩き起こしてくれた。

 

「ア、アクシズ教は……全てが許される……。ロリコンでも……ニートでも……」

 

「傷は浅いですから、しっかりして下さい! 見捨ててしまって申し訳ありませんでした! 早く元に戻ってください!!」

 

「何があったか想像したくない……。けど大丈夫ですから! 私達がちゃんと付いてますから!!」

 

めぐみんとゆんゆんが俺の手を握って必死に訴えかけている。

 

「……集束砲喰らったり……、お説教されたのは……ご褒美……」

 

「確かに私にはご褒美だが、そんなに苦しそうにするな! それはご褒美とは違う!」

 

ダクネスも涙目になりながら俺を見つめている。

 

その後、みんな俺を心配して一晩中部屋にいて俺に語りかけてくれていたらしい。朝になる頃には部屋に来た全員が疲れ果てて、その場で眠っていた。




主人公の拳を受け止めているゼスタ様。アクアを抜かすとアクシズ教で最強のアークプリーストっぽいので、この位はできそうってので書きました。

ゴッドブロー使えるのは、水の女神様のおかげですよね。
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