この素晴らしい世界にリリカルな魔導師を! 作:ゴマフアザラシ
「具合はどないや? こっぴどくやられたみたいやけど……」
「骨はくっ付いてるから、そこまで心配しなくていい。説法の方は聞かないでくれ。頼むから」
「でも、あまり無茶はしちゃいけないです!」
挨拶代わりの世間話をしている俺達。今回は、はやてだけじゃなく、リインもこちらに来たらしい。前回、はやてだけが遊びに来た時は、研修で来れなかったそうだ。
ベットから体を起こし、はやてが剥いてくれたリンゴをシャクシャクとかじりながら、話を進めていた。
「けど、お前が来るなんてな。てっきり
「……私が来た理由……、それは……」
真剣な顔で俺をまっすぐ見るはやて。何か特別な事情でも?
「温泉に呼ばれた気がしたからや!!!」
「帰れ」
多分ボケたんだろうが、エッヘンと胸を張り、さも当然の様に言われては少しイラっとくる。
「そこは、”なんでやねん!”ってツッコまなあかんよ?」
ツッコんだ時点で俺の負けになる気がするので、絶対やりたくない。と、そろそろ本題に入らなければ。
「所属不明の騎士と召喚士の女の子……」
はやてが顎に手を当て考え事をしている。先日のアクセルでの事件との繋がりを想像しているのだろう。
「俺の見立てだと、騎士は少なく見積もってSランク以上。女の子の方は召喚獣……いや召喚虫か。それをちゃんと制御してた。キャロだって、まだ本来の姿のフリードは制御できないってのに、同い年位の子がそれをやってたんだ。どう考えても普通じゃない。ただ騎士の方は”元”管理局所属なら、退職者や行方不明者でも当たれば、割と簡単に洗い出せるかもな。あれだけの使い手だし」
「写真とかある?」
ちょっと待ってろ。と言って、デュランダルを取り出したが、
「……ごめん。データ消し飛んでる」
「しゃあないか……。大破に限りなく近い中破やからな。せやったら、あれやって!」
あれ……ね。まあ良いけど。その用意をしていたところで、
「おーい、生きてるかー?」
「食べれそうな物、買ってきたわよ」
「取り込み中であったか? ならば、出直すが?」
こちらのパーティーメンバーが、続々と医務室へと入って来ていた。ダクネスは、まだ自分達がいない方が良いと思ったらしいが、そこまでの話をしていたわけでは無いので、別に構わないと言って、入って貰った。ウィズとウォルバクさんは、教団には足を踏み入れない方が良さそうなので来なかったようだ。
「何をしているのですか? ユウ」
俺が紙にサラサラと何かを書いているのが気になったらしいめぐみんが、こちらを覗き込んでいる。
「こんなところか。みんなも見て、おかしな部分があったら言ってくれ」
と、紙に書いた騎士と女の子の似顔絵を周りに見せる。
「上手ですね……! 二人共そっくり」
感嘆の声を上げるゆんゆん。意外なものを見るような目ではあったが。今度はめぐみんから。
「これも、仕事をしているうちに身に付いたのですか?」
「んー、これは何か自然にできるようになってた。いつ頃からだっけ?」
「アレやね。一回意識不明になってから、図工とか得意になってたよ。死にかけて、秘められた力にでも目覚めたんとちゃう?」
いっぺん死にかけて、目覚めた力が図工がうまくなるとか笑えない。漫画的には魔力が数段上がるとか、必殺技を習得するとかだろうに。
「……アクア」
「な、何かしら?」
カズマがアクアを呼ぶと、ビクッと体を硬直させていた。どうせ、またアクアが何かやらかしたのを隠してるんだろうけど、そこら辺はカズマに任せよう。
「お加減はどうですかな? おお! こちらの妖精さんも可愛らしい……!」
「そんな……。照れるです」
今度はゼスタさんが、医務室を訪れた。昨日を思い出し、咄嗟に身構えてしまう。容姿を褒められたリインは満更でもない様子であった。
「言っときますが、リインはまだ年齢5歳です。おかしな事したら、アクシズ教の教義にも触れますよ?」
「……そうでしたか。しかし、教義は人間にのみ……いや……」
独り言を呟きながら、何やら思案しているおっさん。要はリインにセクハラ紛いのマネをしても良いものかを悩んでいるらしい。
「そうや! ファルシオン、持って来たよ。あっちは注文通りに改良したって」
「ん、そうか。色々手間かけさせて悪かったな。後、提督にはメールで謝っといたけど、デュランダル返す時に、もう一回、俺が謝ってたって言って欲しい」
待機状態のデバイスをそれぞれ交換して、デュランダルをはやてに預ける。
「人間では無いとはいえ、いくらなんでも5歳に迫るのは……ここは法律改正を早く……」
まだ独り言を呟いているゼスタさんである。この人、何しに来たんだろう?
「すいません。俺にまた説法するんなら遠慮します。もう歩けますし、後は宿に帰って養生しますから」
「ああ……いえ。そうではありません。実は、この街の危機でして」
街の危機とは随分と
ゼスタさんが神妙な面持ちで、話を続ける。
「アルカンレティアが”水と温泉の都”ではなく、”水と銭湯の都”になるかも知れません!!」
「「「「……はっ!!!?」」」」
真剣なゼスタさんを余所に、素っ頓狂な声を上げる俺達。そのままゼスタさんの説明に耳を傾ける。
要約すると、俺とアクアが浄化した源泉は、ただの水ではなく、浸かると傷の治りが早くなったり、アンデッドに効果がある聖水へと変化したらしい。ただの水になるよりは良かったんだろうが、問題が発生した。
温泉とは”源泉温度が25℃以上で、特定の成分が規定値に達しているもの”だそうだ。いくら聖水でも水は水、温泉が出ない以上、温泉の都を名乗るのはよろしく無いのではないか、という意見が出ているらしい。
「だったら”聖水の都”で良いんじゃ……」
「それではアクシズ教の総本山であるアルカンレティアが、いかがわしい街の様に聞こえてしまいます!!」
聖水でそっちを連想する輩の方が、よっぽどマズいと思う。ていうかアクシズ教徒って時点でもう……。
「……こ、これは一大事だわ! 何とかしないと……!」
この場でゼスタさんの他に、話に喰らい付いているのはアクア。いつもなら、こんなのどうでも良いって言いそうなのに。
「どうしたんだよ? どうでも良いだろ、こんなの」
呆れたような雰囲気のカズマが、アクアに物申していたが、
「ダメよ! 銭湯じゃ安っぽ過ぎるわ! ここはわた……じゃなくてアクシズ教の総本山だもの!! ちゃんと”水と温泉の都”を名乗らないと!!」
何かアクアにはアルカンレティアに並々ならぬ拘りがあるらしい。
「つっても、温泉掘るなんて、一朝一夕でできるわけないだろ。まず、水脈探すとこから――」
温泉掘るなんて絶対無理だと思い、アクアの説得を試みていると、
「せや! あるよ、温泉掘る魔法。ちゅうても、正確には水脈探知やけど」
「「「「……えっ!?」」」」
はやての一言に、またしても素っ頓狂な声を上げる俺達。
「そ、それは本当ですか? 普通なら魔法使いがやろうとすれば、十数人で数ヶ月はかかる筈ですが……」
そりゃそうだろうな。この世界、魔法が科学技術代わりになってるから、そんなのも可能なんだろうが、それでもめぐみんの見立ては正しい筈だ。って事は。
(ここで夜天の書使う気か? いいのかそれ)
(それがあるんは、蒼天の書の方やけどな。リイン連れて来て正解やった。私も温泉入りたい!!)
思いっ切り個人の願望じゃねーか。念話しつつ、心の中でツッコんでしまった。
はやてといえば遠隔発動、広域殲滅の魔法の使い手。というイメージがあるが、『闇の書』の元になった『夜天の魔導書』は主と共に旅をして、各地をの偉大な魔導師の技術を収集し、研究するために作られた収集蓄積型の巨大ストレージである。『闇の書』は破壊され、今の『夜天の書』が新規で作成されてはいるが、戦闘用以外にも様々な魔法が入ってると聞いたことがある。ちなみにリインの持つ『蒼天の書』は彼女自身のデバイスであると同時に、リイン単体では使用できないユニゾンした際に使う儀式魔法が容量の半分近くを占めているそうだ。
とりあえず、温泉を掘ることになってしまった俺達ではあるが、作戦会議の為に宿へと戻ると、
「あら、戻って来たのね。体の調子は?」
俺達を出迎えてくれたのは、もうすっかり敵対する気のなくなったウォルバクさん。ウィズは……体が透けて横になってる!?
「ウィズどうしたんだ? もしかしてリッチーなのがバレて誰かが浄化を……」
「ここのお湯に浸かってたら、ウィズが見る見るうちに浄化されてしまって、この有様よ」
……ああ、今やアルカンレティアの温泉は超強力な聖水の湯になってるから、アンデッドが入るとこうなるのか。リッチーにまでここまで効くとか、アクア印の聖水恐るべし。
「カズマ、ドレインで応急措置! 俺の魔力使っていいから!!」
「ああ、分かった! 任せろ!!」
力強く頷いたカズマが、俺の魔力をウィズに送ると、ゆんゆんが慌てて。
「店主さんが、ますます透けてます! 魔力送っちゃダメです!!」
なぜか俺の魔力で更に浄化が進むウィズ。仕方ないので、ゆんゆんの魔力の大部分をカズマに送ってもらい、何とか復活させる事が出来た。
「ありがとうございます……。ユウさんの魔力をいただいた時、冒険者をやっていた頃のパーティーメンバーが、川向うでこっちに来るなと慌てていた姿が見えました……」
それ絶対、三途の川です。この世界にもそんな逸話があったりするのだろうか?
「私……もうアルカンレティアに来れませんね。お風呂が好きなので、アルカンレティアをテレポートの転送先にしたんですが、もうここのお風呂入るのは無理です……」
悲嘆に暮れるウィズを見て、ある決心をした。
「心配するなって。実はこれから温泉掘る話になっててな。これからその作戦会議だ」
「せや! 私も大きいだけのお風呂でもええけど、せっかく温泉地に来たんやから、何がなんでも温泉に入る!!」
俺とはやてが今までにないくらいやる気なのを見せると、
「な、なぜあそこまで熱くなっているのでしょうか?」
「さ、さあ……。風呂に並々ならぬ拘りがあるのだろうか?」
「私もお風呂は好きですけど、ここまでじゃ……」
めぐみん、ダクネス、ゆんゆんは少々引き気味になっていた。
「日本人は風呂好きなんだ。それはもう他の国の人達が驚くくらいには!!」
と、力強く説明して無理矢理納得させた。そして、作戦会議を開始する。
「水脈探知は、はやてとリインに任せるとして、掘るにはやっぱり爆裂が必須か」
「あまり深い場所にある水脈では爆裂を撃っても、湯が湧き出さない可能性があります。できるだけ浅い部分で探知してください」
確かにここはめぐみんの言う通りか。できるだけ浅い部分の水脈を探し当てて爆裂で一気に掘削。源泉が湧いたら、後の整備に関しては先日のハンス討伐の報奨金を使って、アクシズ教団でどうにかするそうだ。
そんなわけで、源泉が湧き出す教団裏手の山まで向かう。はやてとリインはユニゾンしてもらい、空から水脈を探してもらっている。ユニゾンを見せた際のめぐみんといったら、凄まじく興奮してしまい、落ち着かせるのに相当苦労してしまった。紅魔族的には、合体して髪と瞳の色が変わるとか、琴線に触れてしまったらしい。しばらくして、
「この辺に、反応があるよ!」
と、はやてからの合図でその地点へ向かう。元の源泉があった場所からはそれなりに離れており、爆裂を使っても現在の源泉には被害が出ないであろう好条件。一同、ここを掘ってみるかとの意見で一致した。
「……一つ言っとくが、杖無しだからな」
「そ、そんな!? せっかくハヤテに、生まれ変わった私の爆裂魔法を見せる機会だというのに……」
「杖ありだと、この山自体がヤバくなるって。そうなったら、また借金生活になりかねない」
ショボンとするめぐみんではあったが、納得はしてくれたらしい。爆裂魔法の詠唱を始めていた。そして、
「『エクスプロージョン』ッッ!!」
爆裂魔法で無事終了かと思いきや、俺達の目の前に現れたのは見るからに固そうな岩盤。
「おい、どうするんだ? めぐみんはもう爆裂使えないし、お前がやるのか?」
「カズマ、心配するな。ここまで来たなら、俺にはこれがある!!」
そうして、ぴよぴよ丸を抜き放ち、全力で飛び上がる。
「ハアアアアア!!!」
騎士もかくやといった気合と共に、全力でぴよぴよ丸を振り下ろし、岩盤を一刀両断にすると、
「おお! 温泉が湧き出した! 熱ッ!! 熱湯プレイとは……! これはこれで良い攻めだ!!」
ダクネスが触れて、あまりの熱さで悦んでいたが、見事に温泉が流れ出た。湯量も温度も申し分ない。これは聖水ではないので、アンデッドが入っても大丈夫。さっそくゼスタさんに報告しに、教団へと向かう。
「皆様、お疲れ様でした。これでアルカンレティアが不名誉な名を付けられずに済みました。感謝いたします」
深々と頭を下げるゼスタさん。こっちはやりたくてやったんだから気にしないで欲しいが、こんなのもたまには悪くない。
今回、採掘した源泉を街中まで行き渡らせるには、まだまだ時間が掛かるらしいが、先日アクアが入浴したアクシズ教団の秘湯である露天風呂は、山からも近いので突貫作業ならお湯を流せるらしく、今後は聖水風呂と温泉の2種類用意するなどと言っていた。とりあえず秘湯に関しては男湯を聖水風呂、女湯を温泉にするらしい。それぞれを男女別に分けるのは、今後、計画を練って工事するそうだ。
そして、夕暮れに再度、秘湯へと足を運び温泉へと浸かる。男湯は聖水風呂なので、怪我の治りが早くなるため、今の俺には丁度いい。ちなみに早く風呂に入りたかったので、みんなよりも先に秘湯へと赴いていた。
「ふう……。いい湯だな、ホント」
誰もいない貸し切り状態の風呂ってのもオツなもんだ、そう思いながら、足を伸ばしゆったりとした気分で湯に浸かっていると、
「悠君、おるー?」
女湯の方からはやての声。あっちも先行して来たらしい。
「何だ? 石鹸忘れたとかなら、そっちに投げるけど?」
「ちょう、二人っきりで話したくてなあ。リインは黒猫ちゃん気に入って、一緒に来る言うとったし」
確かにちょむすけは、リインが乗っかるには丁度いい大きさだ。それを想像しただけで自然と笑みがこぼれてしまう。はやての声が聞き取りやすいように、男湯と女湯の境目の壁に行き、腰かける。多分、あちらもそうしてるはずだ。
「……私な、時々思う時があるんよ……。夜天の魔導書ってほんまは、今日みたいな使い方をするための物やったのかも……って」
「温泉掘るために使うのかよ!? 何か違うんじゃねえか!?」
思わずツッコミを入れてしまったが、ボケてるような雰囲気ではないので対応に困っていると、続けて、
「そうやなくて、最初に夜天の魔導書を造った人は、色んな魔法を集めて、それが自分よりずっと後の人達の助けになればええ。そう思いながら造ったって。今日みたく困っとる人のためにって……」
夜天の魔導書が生まれた意味……か。歴代の主の誰かが、自分の都合で改ざんしたのか、それとも混迷を極めたって言われる古代ベルカの戦乱から、どうにか魔導書を守ろうとして闇の書にしてしまったのか……。今となっては分からないが、その結果が……。
「けど、それは……」
それ以上、言葉が続かない。いや、はやてだって分かっているから、あえて言いたくは無いんだろうな、俺は。
「せやな。けど、誰が否定しても、少なくとも私だけは、それを信じたい。夜天の魔導書もリインフォースもシグナム達も災いを振りまくんやのうて、人を幸せにするために生まれてきたんや……って」
リインじゃなくてリインフォース……か。目を閉じて思い出すのは、あの雪の日の別れ。主を守るために自ら空に還る選択をした、祝福の風。
「いいんじゃないか、それで。俺もそっちの方が好きな人間だし。けどな、自分だけは……なんて言うなよ? それ話したら、なのは達だって賛成するぜ。もちろん俺もな」
「うん! おおきに」
こちらからでも、分かるくらい声の明るくなったはやて。昔話を続けていると、風呂の入口が開く音がしてカズマが入ってきた。それは女風呂も同じであったらしく、特にあちらは大人数なので、途端に賑やかになったようだ。
「お前な……女湯の境目に寄りかかって何やってるんだ?」
「ちょっと昔話に花を咲かせてた。みんな来たのか?」
カズマが頷いたので、ウィズもウォルバクさんも来たらしい。ウィズに関してはアクア辺りが教団入れるように押し通したのかも知れない。……と、しばらくして女湯の方から、
「ハヤテさん……どこ触って……!? アッ……!?」
「ええなあ。張りも弾力もあって、これはええものや……!」
ゆんゆんがはやてに何かされてるらしい。男湯の俺とカズマが二人して顔を見合わせてしまう。
「これって……アレだよな?」
「ああ、間違いなく、はやてのアレだ」
二人共、同じ想像をしたらしい。カズマはすぐさま、男女の境目になっている壁に向かおうとするが、
「止めろって! 気持ちは分かるけど、顔合わせた時に相手を見れなくなるぞ」
「良い子ぶるなよ! これは偶然声が聞こえてしまってるだけだ! 俺達は何も悪くない!! お前だって本当は興味あるんだろ?」
興味ないと言えば噓になるが、ここは我慢しなければ……! しかし、
「髪の長いお姉さんも大きくてええなあ。 私ももうちょっと欲しいんやけど、どうすればええの?」
「やっぱり牛乳でしょうか。あとは適度に運動した方が良いらしいですよ」
こちらの気持ちを知ってか知らずか、女子トークはまだ続いている。
「めぐみん、こないだから大きくなったか確かめたる! ちょうこっち来て!」
「ハヤテといると、同性とお風呂に入っている気がしないのですが! 前回はいきなりやられましたし」
もう大暴れの乳揉み魔さんである。俺の様子を見計らったらしいカズマが、
「……ここはアクシズ教の総本山だ。教義にもあるだろ? ”自分を抑えず、本能の赴くままに進め”……って」
一瞬目が合っただけで、お互いの考えが一致しているのが手に取るように分かってしまった。そのまま、壁の方へと向かって耳を澄まそうとしていたが、
「ああー! 二人共聞き耳立ててるです!!」
「監視してたとか、ズルいぞ! リイン!!」
上方からのリインの声。空を飛んで壁の上から俺達を監視していたらしい。俺とカズマがヤバッといった顔で青ざめてしまったが、ここはもう開き直るしかない。
「俺だって健全な16歳だ! 隣でそんな会話されて、黙ってられるわけねーだろ!!」
「ユウの言った通りだ! 俺達は何も悪くない!! たまたまお前らの会話が聞こえてきただけだ!!」
シンと静まり返ったが、今度はあちらからの声。
「私をお嫁に行けなくしてやるとか言ったり、メイド服着せて自分好みの演技をさせたりしましたよね」
「ふーん。めぐみん、ちょう詳しく……」
「ええ、実は――」
こ、これはヤッバイ流れだ。すぐ逃げないと……!
「おおーい! コイツ逃げようとしてるからな! とっ捕まえた方がいいぞ!」
カズマの裏切り者ー! と、動揺しているうちに、またしても桜色のバインドですね、はい。こっち見えないってのに、よくピンポイントで出来ますね、はやてさん。
そして、風呂から上がり、宿に帰った俺を待っていたのは、
「ま、待て! そんな怖い顔しないでちゃんと話し合おう。ベルカの
「それは小話のオチや!!」
はやてのお説教である。正座させられ、目の前には仁王立ちのはやてが怒りのオーラをまとっている。
「いつも言うとるやろ! 悠君の尋問はえげつないの通り越して、クリティカルヒット連発やから、やる人間は選ばなあかんって!!」
「あ、あの時は……そ、そのめぐみんが嘘を……」
「せやったら、そのまま嘘ついとったら、ほんまにお嫁に行けなくする気だったん? そうなったら、責任取るしかなくなるよ?」
「……はい。すいません」
一同、はやてのお説教が相当怖く感じてしまったらしい。冷や汗をかきながらジッと俺達を見ていた。
「メイドにしたってそうや。変なところに拘りすぎるから、周りにドン引きされるんよ。分かっとる?」
「……返す言葉もございません」
その後、一時間ほどお説教は続き、俺は心身とも疲弊しきってしまったのであった。
そして、次の日のはやての帰還に合わせて、俺達もアクセルの目指しての帰路に着くことになる。
夜天の書や蒼天の書の魔法に関しては、想像だけで書いてます。紫天の書にもエルトリアで役立つのが入ってたらしいですし、こんなのもあるかも? ってくらいです。
5巻分行く前に、もう一話オリキャラありで、オリスト挟もうかと思ってます。