この素晴らしい世界にリリカルな魔導師を!   作:ゴマフアザラシ

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シルビアとの初戦

あるえも帰宅し、めぐみんのお説教も終了したところで、改めて今日はどうするかといった話になっていた。そんな中で俺は……、

 

「……俺だけ正座でお説教。セクハラはカズマの方が圧倒的に多いのに理不尽だ……。昨日の件があるんだから、カズマだって叱られなきゃおかしい……」

 

居間の隅で膝を抱えながら、恨めしそうにめぐみんを見て、ひたすらそう呟いていた。

 

「いい加減立ち直ってください! 子供じゃないんですから!!」

 

「兄ちゃん……、どうしたの?」

 

丁度、目を覚ましたらしいこめっこが俺を見て、心配そうに近づいてきたので、

 

「こめっこちゃんは、姉ちゃんみたいになっちゃダメだからね。ロリっ娘でも慎ましくても、悪い事じゃないんだから。むしろ大人になってから、そう言われたのも良い思い出だったって――」

 

「こめっこに何を吹き込んでいるのですか! カズマのセクハラは止めようが無いので、多少は大目に見ていますが、ユウまでそうなると困るのです!!」

 

そんな様子を見ていた面々は……、

 

「ねえ……、人間って根本的な部分って変わらないのかしら? ユウが最初に小さくなった時を、思い出したんですけど」

 

「どうだろうな? 確かにあの時もめぐみんを怒らせて、首根っこを掴まれていたが……」

 

「最近……、ユウさんのイメージが、音を立てて崩れてるような気がします……」

 

アクア、ダクネス、ゆんゆんは俺を残念な人を見るような目で見ている。

 

「その辺にしとけって。それでだ……、お前に相談があるんだが……」

 

カズマは俺を庇ってくれるらしい。しかし、相談とは何だろう?

 

「……お前のマッサージスキルを俺に教えてくれないか?」

 

「ふっ……。良いだろう、カズマ。これはこれで結構な技術だけど、お前になら惜しくはない」

 

「そう言ってくれると思ってたぜ! じゃあ、早速……」

 

カズマを相手にマッサージの実演をしようとしたのだが……、

 

「させませんよ! カズマがそんなのを覚えたら、マッサージにかこつけて、セクハラしまくるに決まってます!」

 

めぐみんが、慌てながら必死に俺達を止めようとしている。

 

「……めぐみん。たかがマッサージでそう思うのは、お前の心にやましい部分があるからだ。カズマがそんなに信じられないか!」

 

「分かっててやってますよね!? さっきの腹いせですか! 最初に会った時は、もっと大人な人間だと思っていましたが、どうしてこうなってしまったのですか!?」

 

「残念ながら、俺は元からこんなんだ。会ったばかりの人間に対して、猫被るのなんて珍しくないだろ」

 

それから15分程度、言い合いを続けてはいたが、流石に疲れてきたので、もう終わりにして今日の日程を決めることにした。魔王軍による被害は特にないので、今日一日は里を回ることにしたのだが、カズマとアクアは観光に、ダクネスは……、

 

「この里には腕のいい鍛冶屋がいるのだ。カズマ達は遠慮なく観光してきてくれ」

 

なんでダクネスが知っているかは分からないが、この里にも鍛冶屋があるらしい。丁度やりたい事もあったので、

 

「んじゃあ、俺もダクネスと一緒に行こうかな。それと、どこかでカートリッジの魔力補充できそうな所ってないか?」

 

「でしたら里のニー……、対魔王軍遊撃部隊(レッドアイ・デットスレイヤー)に頼むと良いでしょう。彼らにとっても、良い小遣い稼ぎになるでしょうし」

 

……めぐみんよ。今、ニートって言いかけたな。まあ、ひょいざぶろーさんみたいなエラー出す人なんて、そうそういないだろうし、行ってみるとしよう。

 

「すまん、ダクネス。先にそっちに行っていいか? っと、その人達はどの辺にいるんだ?」

 

「でしたら、私が案内します。一時期、所属してましたし」

 

案内を申し出たのは、ゆんゆん。所属していたとは言っていたが、よく中二病気質の集団に混じってたもんだと感心してしまった。

そうして、俺達は二手に分かれて、行動する事となった。ゆんゆんに連れられて、里の郊外へ向かうと、

 

「ゆんゆんとめぐみんの仲間達じゃないか。どうしたんだい?」

 

哨戒任務中であろう、ぶっころりーが俺達を見つけて声を掛けて来たので、ここに来た目的を話すと、

 

「この魔道具に魔力を入れればいいのか? だったら俺達に任せておいてくれ。俺の家はめぐみんの家の近くだから、後で持って行くよ」

 

「突然のお願いを聞いていただいて感謝します。後でお金は支払いますので、お願いします」

 

そう言って、その場を去ろうとした時、

 

「……ところで、昨日……、そけっとに何を言われていたのか教えてくれないか?」

 

真剣な表情のぶっころりーが俺へと詰め寄って来たので、

 

「えっ……? 時間ができたら占うから、自分の家に来てくれって言われただけですけど……」

 

「そうか……。だったら良いんだ。じゃあ、俺達は任務の続きをするから」

 

その言葉と共に、姿を消すぶっころりー。多分、あまり意味の無い演出だろうが、紅魔族にとって格好良くするのは重要なのだろう。

 

「ユウ! 正気か!? 魔力の補充ならひょいざぶろーさんに頼めば良いだろう!? あの素晴らしい効果を無くすとは……!」

 

ダクネスだけは、魔力補充の件で騒ぎ立てていたが、こればっかりは言う通りにはできないので、スルーしている。次は鍛冶屋に行くと、出て来たのは、大柄でいかにも鍛冶師といった筋肉質な中年男性だった。

 

「おうらっしゃい! 族長のとこの変わり者の娘と、……その鎧は、ウチで造った物だな! それを持ってるって事は……」

 

「ああ、世話になっている。この鎧だが、あちこち傷んでる様でな。手入れをして貰えないか?」

 

どうやら、ダクネスの鎧はここで造られた物らしい。人間てのは、どこで繋がってるか分からないもんだと思ってしまった。そして、俺はというと、

 

「すいません。この護符ですが、武器か防具に組み込む事ってできますか?」

 

「こりゃあ……! かなり高レベルなアークプリーストが作ってるな。できない事はないが、どんなのが良い?」

 

「そこのゆんゆんが使えそうなので、お願いします」

 

突然、名前を呼ばれたゆんゆんが驚いた顔をしてこちらを向き、

 

「私ですか!? なんで……」

 

「ああ、こないだ誕生日だったんだろ? この護符、ちょむすけに付けようかと思ってたけど、必要なくなったからな。武器か防具に組み込んで、プレゼントしようと思って」

 

ウォルバクさんと話し合いをした時に、ちょむすけがイジメられない様にしようと思い、その前日に丁度ゼスタさんから貰っていた結界が作動する護符だったが、こちらでちょむすけの面倒を見る事で落ち着いたので、どう使おうかを悩んでいたところ、ゆんゆんの誕生日の件を聞いたので、こうして有効利用する事にしたのである。

 

「しかし、ゴツイ武器が多いですね。この里で需要があるんですか?」

 

「それがなあ……。品質はそこらの街の鍛冶屋に負けない自信はあるが、この里はアークウィザードだらけだろ? 短剣なんかは売れるんだが、その他はそこの嬢ちゃんみたいに遠方からの注文だけなんだよ」

 

……テレポートでも使って、王都辺りに売りに歩けば良いと思うんだが……。

 

「せっかくだから、大剣なんてどうだ? 改造も込みで安くしとくぞ!」

 

鍛冶屋の親父さんから勧められたのは、ゆんゆんの身の丈ほどもある大剣。確かに良い剣ではあるが、

 

「私は、そんなの振れませんって! できれば、今持ってる短剣に組み込んでください」

 

「これはこれで格好良いと思うけど……」

 

「分かるか兄ちゃん! 女の子がバカでかい武器振り回すのが良いんだよな!」

 

「ええ、ザンバーとかは男のロマンですよね!」

 

俺と親父さんが硬い握手を交わしている一方で、

 

「稀に、ユウの嗜好が分からん時があるのだが……」

 

「……ユウさんの本気モードだと、杖が大きい剣みたいになるのって、もしかして……」

 

ダクネスとゆんゆんは、どこか困ったような表情を見せていた。

 

「あと、俺の刀ですが、必要な時以外は鞘から抜けない様にはできませんか?」

 

「なんだ? この刀は……。また珍しい物を持ってるな。対物仕様の武器なんて、どこで手に入れた?」

 

「アクセルで色々ありまして。できれば銘も付け直せないですか?」

 

「そいつは無理だ。しかも”ぴよぴよ丸”なんざ、中々良い銘じゃねえか!」

 

あーやっぱり紅魔族的には良い銘なんだ、ぴよぴよ丸って。そっちについては諦めようか。

 

「……? ぴよぴよ丸に何をしようとしているのだ?」

 

「ああ……。コイツで生物相手にするための措置だな。鞘つけたまま、ぶん殴れば手っ取り早いと思って」

 

「……お前は魔法使いのはずだが」

 

「魔法使いが相手をぶん殴ってはいけない法は無い! めぐみんだってさっき俺に一撃入れてたし」

 

ぴよぴよ丸の改造について、色々と意見があるらしいダクネスと少しばかり話したのち、そろそろ昼になるという事で、カズマ達との合流場所に向かう事にした。そこは聖剣が刺さった岩らしい。鍛冶屋の親父さんにその事を言うと、抜けるかどうかを試すには挑戦料が必要だそうだ。

抜けたら、儲けものと思い親父さんに挑戦料を払い、そこへと向かった。

 

「先に来てたみたいだな。どうだった、そっちは?」

 

「アクアが泉に飛び込むわ、変な神社はあるわで疲れた……」

 

……なぜここに神社がある? 後で行って確かめてみるのも良いかも知れない。

 

「とりあえず、喫茶店のテイクアウトで”魔人に捧げられし、子羊のサンドイッチ”買ってきたから食うか」

 

みんなで食事を終え、ここにある聖剣を抜けるかどうか挑戦しようとしたのだが、めぐみんが、

 

「挑戦料を払ってきたのですか? この剣は観光着寄せとして、丁度一万人目を迎えた時に抜ける魔法がかけられています。挑戦者はまだ百人位のはずですから」

 

……八百長かよ。あの親父、知ってて黙ってたな。ていうか造ったのがあの人なら、確信犯か。

 

「……俺を甘く見ないで貰おうか。別に剣を馬鹿正直に抜けとは、何処にも書いていない。剣が刺さっている周りの岩を粉砕すれば済む話だ」

 

「や、やめてください! 里の観光資源の一つですから、持って行かないでください! というか、やり方がセコ過ぎます!」

 

「そこは、思考が柔軟って言って欲しい。それに岩に刺さった聖剣なんて俺の杖の親類みたいなもんだから、是非とも手に入れたい!」

 

「言ってる意味が分かりませんよ! 杖と剣に何の関係があるのですか!?」

 

そこら辺は、後で話しても良いかも知れない。ファルシオンの名前の由来とか……。

 

全員合流したし、鍛冶屋にした注文もまだ時間が掛かるので、観光地を回ってみるかといった話で落ち着いたので、あちこち回っていると、見えてきたのは地下への入口であった。

 

「ここは『世界を滅ぼしかねない兵器』が封印されている地下施設です。あそこにある謎施設と共に作られたと言われていて……」

 

謎施設と呼ばれたそれは、この世界には似つかわしくない巨大なコンクリートの建造物だった。しかし『世界を滅ぼしかねない兵器』か……。

 

(おかしなエネルギー反応はあるか?)

 

(いいえ。そんなものは検知されていません。確かに特異な施設ではありますが……)

 

念話でデバイスと会話していると、

 

「どうしたんだ? 難しい顔して」

 

カズマが心配そうに話しかけてきたので。

 

「俺は『世界を滅ぼしかねない危険物』の回収をしてきた人だからな。地下に何があるのか気になっただけだ」

 

「「「「そーなんだー。凄いねー!」」」」

 

まるで、アクアが女神だと言っていた時の様な反応をされてしまった。ホントなんだけどなあ……。

 

この里には他に、『邪神が封印された墓』だの、『名も無き女神が封印された土地』だのがあるらしい。どう考えても、一方はウォルバクさんが封印されてた場所だよな。あの人も、よくやさぐれなかったもんだ。

 

その後、めぐみんが寄りたい場所があると言って、服屋に向かったのだが、どうやらローブの替えが欲しいらしい。そんな中で俺は、

 

「そうだ。ゆんゆん、プレゼントで欲しいのってないか? さっきのだと、ゼスタさんから貰ったのをそのまま渡したみたいになってるし、ここのでも良いから選んでみたらどうだ?」

 

「えっ……!? そ、それだと……」

 

突然の提案に驚いたゆんゆんであったが、おずおずとしながら指さした服は……、

 

「ああ、そのコートで良いのかな? 色はこのままで良いかい?」

 

「あ、あの……。できれば真っ白が良いです……」

 

服屋の店主と選んだコートの詳細を打ち合わせるゆんゆんであった。それを見ていた面々は、

 

「ふーん。真っ白いコートか……」

 

「ねえ、ペアルックになるわよ! 師弟って感じね!」

 

「まったく、形から入っても強くなるわけではありませんよ?」

 

「まあ、良いではないか。紅魔族で白を基調にした服装というのも珍しいしな」

 

各々の感想を述べていた。カズマとアクアは、少し茶化した様な雰囲気であった。確かに俺のバリアジャケットはインナーが紺色で、コートは白だが……。

染色が終わったばかりだという、めぐみんのローブが干されている物干し竿を見ると、そこにあったのは……、

 

「……どう考えてもライフルだよな、これ?」

 

話を聞くと、これはこの服屋に伝わる由緒正しい物干し竿らしい。どう考えても、そんなわけは無いので、

 

「すいません。これ……、ちょっと触らせて貰って良いですか?」

 

「ああ、良いよ。はい! どうぞ」

 

そのライフルらしき物を手に取ると、確かに形状は狙撃銃のそれではあるが、マガジンを差し込む場所も無く、どうやって弾を撃つのかが不明であった。俺が、そのライフルを持って色々やってるのを見て。

 

「それは物干し竿ですよ? 何をしているのですか?」

 

「……これ、武器だぞ? 俺の元いた場所に、似たようなのがあるし、前に話した狙撃の達人が丁度こんなのを持ってたんだ。店主さん、これお借りして良いですか?」

 

「お客さん、武器って言ってたが、それがなんだか分かるのかい? だったら持って行きなさい。使い方が分かったら教えてくれ」

 

店主さんの許可を得て、ライフルを受け取った後、そろそろ鍛冶屋に注文した物が出来ている時間という事で、服屋の店主にゆんゆんのコート代を支払い、カズマ達と別れてそちらへ向かう事にした。

 

「おう! 注文の品できてるぜ! 一から打つ必要が無かったからな。兄ちゃんの刀の鞘には、注文の他にちょっとした細工をしておいた。アークウィザードなら役に立つだろ」

 

俺はぴよぴよ丸を、ゆんゆんは短剣を、ダクネスは鎧を受け取ってその鍛冶屋を後にした。その途中、

 

「ところで、その武器はなんなのだ? 狙撃の達人がどうこうとは言っていたが……」

 

「これは銃って言って、鉛の弾を撃ちだす物なんだけど……、なんでこんなのがあるんだ?」

 

ダクネスからの質問に答える俺に対して、

 

「ユウさんの国の武器ですか? だったら……」

 

「けど、ちょっと違うんだよな。紅魔の里だから、狙撃の魔法専用かな?」

 

そうして、ライフルを構えて魔力弾を生成したのだが、

 

「……魔法が吸収されたな。何だこれ?」

 

『吸収された魔力ですが、内部に反応がありますので、消費したわけではない様です』

 

デバイスの言う通りなら魔法が出るかと思ったのだが、引き金を引いても、魔法が発射される気配はない。どうしたものかと三人で話しながら歩いていると、何かが壊れる音が聞こえて来たので、そこに向かうとその場にいたのは、先日の魔王軍襲撃の際に指示を出していた幹部と思しき女だった。

 

「貴様ら! そこで何をしている!」

 

ここまで早く見つかるとは思っていなかったのだろう。侵入してきた魔王軍は少し慌てた雰囲気をしていたが、

 

「相手は三人、ならここは押し通って……」

 

魔王軍の連中は弓や魔法による攻撃を仕掛けて来たので、俺がダクネスの前に立ち、鞘付きのぴよぴよ丸で矢を斬り払ったり魔法をバリアで防いだりしたのだが、

 

「なぜ攻撃を防ぐのだ! それは私の役目だ!! それとも、これは焦らしプレイの一環か!?」

 

「そんな訳ねーだろうが!! 敵さんが目の前にいるってのに何言ってんだ!!」

 

いつものしょうもない発言にゲンナリしながらも、敵を見据えて、

 

「引くなら追うつもりはない。どの道、ここで戦闘になれば、騒ぎを聞きつけた里の人達が応援に駆け付けるからな」

 

「へぇ……。見逃してくれるの? 随分とお優しいのね。さっきの動きから、ただ者では無いのは分かるけど、何者かしら?」

 

「そんなのは自分で判断しろ。どうする? さっきこの武器も新調したばかりだし、試してみるか?」

 

鞘を付けたままでぴよぴよ丸を正眼に構えると、

 

「シルビア様! ここは我々が足止めしますので、撤退を!」

 

中々、忠実な部下っぽい発言をした取り巻きの魔物が襲い掛かって来たので、

 

「『クリエイト・ウォーター』ッ!」

 

極限まで圧縮した魔力によるクリエイト・ウォーターで、そいつらの武器を斬り裂く。ウォーターカッターと同質になっているが、この威力はそれだけではなく、さっきの鍛冶屋の親父さんが細工してくれた鞘のおかげだったりする。

この世界での杖の役割は魔法の威力強化をする物である。俺はこちらの魔法を使う時は、それらの武具を持ってはいなかったため、そういった効果を得てはいなかったのだが、鍛冶屋の親父さんは鞘にマナタイトを装飾したり、魔力の通りやすい素材でのメッキをしてくれており、一般的な魔法使いが使う杖と同じ効果を持っているらしい。

 

「変わった魔法を使うのね……? 水の攻撃魔法はあまり見ないけど……」

 

「こいつはただの初級魔法だが? 俺は元々、魔力を小さくまとめる方が得意だし、コイツ(ぴよぴよ丸の鞘)のおかげで威力が増してるからな」

 

お互い牽制し合っているうちに、どこからか俺達の現状を知ったカズマ達が大慌てで、こちらに到着した。そうして、女幹部相手に、

 

「俺達五人でベルディアやバニル、ハンスも討ち取らせて貰った……! 特に今までお前の相手をしてた奴は、バニルに止めを刺し、ハンスを行動不能にした程の猛者だ……! 引くのなら今の内だぞ?」

 

カズマも戦うのは避けたいのだろう。口車で相手を引かせようとしていたが、

 

(ユウ、アレ使えるか?)

 

(普通なら無理だけど、この里は魔力散布量が普通じゃないから、力業ならまあ……)

 

小声で俺に魔法を使うように指示を出して来たので、魔力の集束を開始した。見る見るうちに俺の目の前に魔力が集まって来たのを見て、

 

「バニルを倒したって言うのは、嘘じゃないみたいね。それだけの魔力をぶつけられたら一溜りもないわ」

 

冷や汗をかいて目の前の魔力の塊を見つめながら、撤退の準備をするシルビアと呼ばれた女幹部であった。撤退の間際に、

 

「あなた達二人の名前を聞いておこうかしら? 今日はお言葉に甘えさせて貰うけど、また会いましょう! その時こそ決着を! アタシの名前はシルビア。魔王軍幹部、シルビアよ!」

 

「……ミツルギキョウヤだ。覚えておけ」

 

カズマは本名を名乗るとマズイ展開になるとでも思ったのだろう。シレっと偽名を名乗っていた。後ろにいたアクア達は土壇場でヘタレたと言っていたが。

 

「お前達に名乗る名前は無いっ!」

 

「「「いや、ユウ(さん)は名乗った方が……」」」

 

名乗りを拒否した俺に対し、アクア、ダクネス、ゆんゆんはツッコんでいたが、

 

「た、確かに……それもありですね! 名乗らずとも格好良い口上ですよ! これは!!」

 

めぐみんだけは拳を握り、称賛していた。だって、指名手配とかされたらパーティーに迷惑が掛かるかもしれないじゃないか。

 

「そう……そっちの彼は残念だけど、顔は覚えたわ。撤退ッ!」

 

シルビアとその部下が撤退した後、集束を解除しようとしたところ、集まっていた魔力が地面に置いていたライフルの後部へと吸収されていき、側面に『FULL』の文字が点滅していた。それを見てアクアが、

 

「何かしらね? ちょっと引き金を引いてみるわ」

 

そう言って、霊峰の方に銃口を向けて撃ちだすと、ドーンという轟音と共に山の一部を消し飛ばしていた。幸い、霊峰にある施設とは別の方向に撃ちこまれたので、そちらの被害は無い様だが、ライフルは熱で変形し使い物にならなくなっている。

 

「……カズマー! 壊れたわよ、これ……」

 

「アクア! 何やってんだ!? それよりも山が削れてるぞ!」

 

「まあ、何もないところが削れただけですし、族長に報告すれば解決でしょう」

 

それはそうかもしれないが、持ち主の服屋さんに謝りに行かないとならないという話になり、壊れたライフルを持って服屋に向かったところ、

 

「物干し竿が壊れた? ああ、気にしないでくれ。新しいのを買うから」

 

特に気にする事無く、許して貰えたのであった。そしてめぐみんの実家に戻り、風呂から上がった後、

 

「……昨日はすいませんでした。ユウさんはめぐみんと一緒の部屋で良いですよね?」

 

なぜかゆいゆいさんは、俺がめぐみんの部屋に泊まるのが当然。といった態度を取っていたのであった。

 

……なぜだ!?




ファルシオンの由来については、この章の中で書こうと思ってます。まあ、今回のでバレバレでしょうが。
何で関連が? と思う方はピクシブ百科事典の騎士王様の聖剣を検索してください。
ちなみにビームブッパはしません。
最終的な形状もロングソードじゃなく、両剣にする予定ですし。(Xオルタかよってツッコミは無しの方向で)

あと、紅魔の里は日常的に魔法を使用しているので、魔力散布量がかなり多いという設定にしています。
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