この素晴らしい世界にリリカルな魔導師を!   作:ゴマフアザラシ

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今回は最後の方、胸糞注意かも……


聖騎士の叱咤

「カズマの生体反応に変化はあるか?」

 

『生体反応は継続して検出。バイタル正常』

 

デバイスの回答を聞き、少なくともカズマに危害が加えられてはいないと、安堵している俺であった。

向かったいる方向は、先日、里を観光した際に通り過ぎた地下格納庫であった。もしかしたらシルビアの目的は、そこに行った時にめぐみんが言っていた『世界を滅ぼしかねない兵器』だろうか……。そう考え、その情報を話した少女の方を向き、

 

「……めぐみん、前に言ってた『世界を滅ぼしかねない兵器』って何だ? 向かってる方角からして、シルビアの目的は……」

 

「地下格納庫に収納されている使用方法不明の兵器です。しかし、あの場所は今や誰にも読めない古代文字で書かれた謎かけ(リドル)を解読し、その答えを入力しなければ解けないはずです」

 

なるほど、そこまで厳重な封印が施されてるって事は、万が一それが世に出れば、大事になりかねないか。エネルギー反応は無いとはいえ、ただ単に動力源が欠けているだけとも考えられる。

 

「世界は変わらず、慌ただしくも危機に満ちている……か」

 

「……? 何なの? それって……」

 

「俺のいた所で、ずっと昔から言われてた事だ」

 

真剣な雰囲気になっている俺を不思議に思ったのだろう。三人とも顔を見合わせた後、ダクネスから。

 

「いつもと感じが違うのだが……、その言葉と関係があるのか?」

 

「その兵器とやらが、もしシルビアの手に渡って争いに使われれば、下手すれば破滅に向かって一直線って可能性もあるからな」

 

「そんな大げさな」

 

アクアが少し呆れながら、そう言っていたが、

 

「あのな……、そんなのを争いの道具にして滅んだ所なんて、それこそ両手の指じゃ済まない程あるんだよ。これは俺の本業の方に近い。どうにか食い止めるさ」

 

「まるで、良く知っている様なもの言いですね? その辺に物騒な兵器があるみたいな言い方です」

 

「言ってなかったか? 俺は『世界を滅ぼしかねない危険物』の回収をしてる人だって」

 

前は冗談だと思われたが、今回はあながち嘘ではないのかもと思ったらしい。三人とも冷や汗をかきながら、緊張した表情をしていた。

 

「ユウさんって……、もしかしなくても、今、シリアスモードに入ってる?」

 

「さっきまで軽口叩きながら、シルビアと戦っていた男とは思えません。いえ、強いのは分かっていますが」

 

「うむ。アルカンレティアで槍使いと一戦交えた時と同じだ。私をあだ名で呼んでいる時とは大違いだな」

 

などと、女性陣が俺を見ながら小声で呟いていた。俺は仕事じゃ基本的に真面目だっての!

そして、辿り着いた地下施設の入口を見ると、そこにはカズマのみが佇んでいた。

 

「おーい! って無事みたいだな。シルビアは?」

 

「遅かったな。シルビアなら俺の華麗な機転により、この中に閉じ込めてやった。中からは開けられないみたいだし、このまま一か月も放置すれば静かになるんじゃないかな」

 

どうやら、シルビアは今、地下施設に閉じ込められている状態らしい。確かに中から扉を叩く音が響いている。ダクネスは憐れむような雰囲気ではあったが、俺から、

 

「……よし。なら念のため、ここから攻撃しておくか」

 

「「「「……へっ!?」」」」

 

全員目を丸くして俺の方を向いていたので、

 

「バニルの時にもやったろ? 壁抜き。幸い、この施設も別に対魔法用の壁じゃないっぽいし」

 

「……本当に調子が戻っている。この容赦の無さは……!」

 

「あのなあ……。勝ったと思った時が一番危ないって、ミツルギの時にも言ったろ? まさかシルビアも閉じ込められた挙句、外から攻撃されるとか思わないだろ」

 

地下施設入り口の扉に向けて、魔法陣を展開しようとしていたところ、

 

「ちょっと待ってくれ! ここは里の観光資源の一つだから、壊すのはよしてくれないか」

 

騒ぎを聞きつけて、ここに駆け付けた紅魔族の一人が俺を止めようとしていた。

 

「観光施設なら代わりに、こないだアクアがライフルで削った山を、”謎の光線で変形した山”とか言って売り出せば良いですよ」

 

「……アレはお前の魔法で、やったようなもんだろ……」

 

まあ、カズマの言う通りだけどさ。主犯はアクアだし、それにこんなのは言った者勝ちだ。

 

「だから止めろって! 丁度静かになったし、諦めたのかもしれないだろ!」

 

「こんな早くか? 油断させて扉開けさせる作戦かもしれないだろ?」

 

カズマと俺が地下格納庫の破壊について口論していると、

 

「む? なんだか地面が揺れていないか?」

 

ダクネスが足を踏みしめながらそんな事を。確かに、心なしか揺れている。地震か? それとも……。

カズマも嫌な予感がしたらしく、逃げた方が良いと騒いでいたが、突如地面が盛り上がり、辺りに土砂が飛び散った。

 

「アハハハハハハッ! やってくれたわねボウヤ! アタシ達がただ兵器を——」

 

一人盛り上がっているシルビアを無視して、巨大な金属の蛇のようになっている下半身に、ぴよぴよ丸の刃を突き立てると、

 

……刃が通らないか。つー事は。

 

「相変わらず、積極的ねえ。けど、ちゃんと最後まで言わせなさいな」

 

俺を一瞥しながら、シルビアが高らかに、

 

「アタシの名前はシルビア! 兵器だろうが何だろうが、身体に取り込んで一体化する力を持つ……。魔王軍幹部が一人——」

 

「『炎熱加速』ッ!」

 

「ああっ!? 俺のちゅんちゅん丸!?」

 

”身体に取り込んだ”の一言で、現在、蛇の部分は生物に該当するのが判明したので、カズマのちゅんちゅん丸を奪い取り、炎熱加速で斬撃速度を増しつつ攻撃を仕掛けたが、キィーンという激突音のみで、シルビアが取り込んだ蛇の部分は無傷であった。そして、呆れたように、

 

「ちょっと!? 今までいいだけ紅魔族の名乗りを聞いてあげたんだから、アタシのも聞きなさい!!」

 

「名前は知ってるから、もういい」

 

「あんた、女心が分からないって言われた事ない?」

 

知るか! しかも、てめえは男だろーが!

 

「『魔術師殺し』! 『魔術師殺し』が乗っ取られたぞ!」

 

紅魔族の一人が悲鳴を上げたが、予想通りで対魔法使い用の兵器らしい。わざわざ俺達の目の前に出てくるのだから、そうではないかと思ったので、刀による斬撃を試していた。

 

「あわわわ、ヤバいですカズマ、ヤバいです! 逃げましょう、今すぐここから逃げましょうっ!」

 

青い顔をしためぐみんがカズマの袖を引っ張っている。他の紅魔族も、

 

「おいまさかの『魔術師殺し』だ!」

 

「里を捨てよう! これはダメだ!」

 

慌てふためきながら、その場から逃げようとしている。ここまで場が混乱しているなら、仕切り直した方が良い。そう思い、

 

「カズマ、みんなを安全な場所まで誘導してくれ。ここの人達はテレポート使えるから大丈夫だろ? 殿は俺が……!」

 

それにカズマは頷き、紅魔族の人達はその指示に従い、次々とテレポートで姿を消していく。

 

「ならば私も残る。撤退戦ならばクルセイダーの出番だ」

 

ダクネスも残る気でいるらしい。いつもとは違い、真剣な表情でシルビアを見据えていた。

 

「……とりあえず、全員いなくなってから、俺らは空から離脱するぞ。それでいいな?」

 

ダクネスは力強く頷く。目の前には巨大な蛇の胴体を持つシルビア。

 

「健気ねえ、たった二人で残るだなんて。そんなのも嫌いじゃないわ。キュンキュン来ちゃう」

 

「カズマ人質に取った時に比べて、随分と余裕だな。そんなのだと——」

 

会話の途中ではあったが、魔力弾を展開してシルビアに放つ。しかし、『魔術師殺し』に遮られて、効果は無い。なら直接触れてブレイクインパルスで破壊を……と考えたが、

 

「危ない!」

 

ダクネスが俺に背を向けてシルビアに立ちはだかり、炎のブレスを受けていた。ブレイクインパルスの固有振動数を割り出す数秒間、それが隙になってしまっていたらしい。

 

「すまない、助かった」

 

「気にするな。これが私の役目だ」

 

ダクネスに礼を言い、周りを見渡すとこの辺りにはもう人は残っていないので、ダクネスの抱えて紅魔族がテレポートで転移した魔神の丘へと向かって行った。

到着した場所には、全員が避難しており、

 

「二人共、無事でしたか……。ダクネス、早く治療を受けてください!」

 

俺達の姿を見つけて安心した顔のめぐみんではあったが、まだ落ち着いているとは言い難い感じであった。

そこには、見知った顔の紅魔族も大勢おり、全員が不安に駆られている様だった。

 

「あれが『世界を滅ぼしかねない兵器』ってやつか?」

 

「そうじゃ無いはずです! ですが『魔術師殺し』も同じくらい危険で……」

 

ゆんゆんからの説明によるよると、『魔術師殺し』は、その名の通り魔法がほとんど効かないという特性を持つ兵器である。昔、暴走した際には当時の紅魔族が、地下格納庫に保管されている兵器を使い、何とか破壊したらしい。しかし、その兵器に関しては、現在使い方が分からないので、実質的にシルビアへの対抗手段がないという事になる。

 

……まだ情報が不足しているな。魔法が”ほとんど”効かない……か。

 

「『魔術師殺し』について、もう少し詳しく知っている方はおられますか?」

 

「どうしたんだ? 何か思い付いたとか……」

 

「とりあえず、魔法が少しでも効くのかどうかを知りたい。魔法を”無効化”するのか、”威力を軽減”するのかが分かるだけでも、全然違うから」

 

その質問に対しては無言。つまりはそこまで詳しいスペックは不明って事になる。

 

「無効化じゃなきゃ、一撃必殺に特化してるのが、ウチにはいるだろ?」

 

それを聞いた全員が、めぐみんの方を向き、

 

「「「爆裂魔法!」」」

 

少し狼狽えたような様子ではあったが、

 

「私ならいつでも準備はできます。しかし、ユウは何を気にしているのですか?」

 

めぐみんが俺が考えている不安要素について、気になっているらしい。

 

「もし、魔法を無効化するならはっきり言って手立てがない……とまでは言わないが、爆裂魔法だろうと、やるだけ無駄になる。けどそうじゃないなら、って事」

 

「つまり、現状で爆裂魔法を撃つのは一か八かの賭けという事か?」

 

ダクネスの言う通りである。めぐみんの爆裂魔法は最後の切り札。しかも使えば動けなくなるし、シルビアがここに来たら、里の人達がいるとはいえ、真っ先に狙われてもおかしくない。

 

「ユウさんは何かないの? ほら! 炎と氷のエネルギーをスパークさせて、全てを消滅させる魔法とか……」

 

「言ってる意味が分かんねーよ! 何だよそれ!? そんなのあったら、とっくの昔に使ってる」

 

アクアがおかしな魔法の話をしだしていた。なんだかんだで慌てているのだろうか?

 

その後、ダクネスが囮になって、その隙にカズマとアクアが地下格納庫に保管されている、対『魔術師殺し』用の兵器を取りに行くといった意見を出していた。

 

「だったら俺もシルビアの所に行こう。全開で『魔術師殺し』に攻撃を仕掛けてみる。もしそれで、少しでもダメージを与えられるんなら、そこからはめぐみんの出番になる。使い方が分からない兵器に頼るのもリスクが高すぎるし、そっちは使えれば使うくらいで考えておこう」

 

「あの……私は……?」

 

めぐみんがおずおずと、俺達を心配そうに見つめていた。

 

「めぐみんはここで待機だろ?」

 

カズマは当然の様にそう言ったが、心配しているらしい。なので、

 

「大丈夫だって。そけっとさんの占いでも将来の俺が出てたし、ここでどうにかなるのは無いから。それに……」

 

不安がっているめぐみんを安心させるように、占いの結果を用いて説得を試みた。すると、少し緊張が解けた様だったので、続けて、

 

「あの時に見えた、金髪で巨乳の嫁に会うまでは、俺は死ななああああああ!?」

 

安心させようとしただけなのに、思いっ切り足を踏まれてしまった。こ、これは……痛い!?

 

「さっさと行って、『魔術師殺し』の検証をしてください! これ以上、しょうもない事を言ったら承知しませんよ?」

 

めぐみんに促されるまま、山を下りて目的地に向かっている最中、

 

「これから戦闘になるってのに足が痛い……」

 

「まったく、おかしな話をするからだ。さっきまで真剣な表情をしていたというのに……」

 

「今、思い出しても羨ましいな……。あの人は絶対に美女だ! 俺の勘が言ってる!!」

 

カズマもあの時の映像を思い出したらしく、占いでは見えなかった容姿を想像しているらしい。

 

「まあ、多分あの娘は俺の嫁じゃないけどな」

 

「「「……へっ!?」」」

 

意外な一言だったんだろう。俺以外の全員が目を丸くしていた。

 

「あの娘の虹色の魔力光……、『カイゼル・ファルベ』つって、ずーっと昔の王家に出てたって言われてるんだ」

 

「その王家に出る特徴の様なものか? だとしても特段不思議はないが……」

 

「それがな。その血統はもう何百年も前に断絶してる。いるはずが無いんだよ」

 

それに対して、驚いたような表情の三人。しかし、

 

「だったら、どっかで生き残ってたんだろ?」

 

カズマの言う通りなら良いんだが、そうじゃなきゃ、まともな生まれ方はしてないだろうな。その辺り、はやてを通じて聖王教会に報告しておくのも良いかも知れない。

 

「それはそうだけど、嫁じゃないって言ったのは何となく。話してる感じが、恋人っぽくなかったからかな?」

 

雑談しながら目的地に向かっていたが、突然目の前に、カズマが人質に取られた時と同じスローイングナイフ。

 

「みんな! ここから離れろ!」

 

それも一瞬、木に突き刺さったナイフが大爆発を引き起こした。

 

……さっきもだったが、魔法や火薬の類じゃない!? これは……何だ!?

 

モンスターでもない、謎の攻撃にうろたえる俺達ではあったが、何処からともなく、

 

「あらあら……。何処に行く気ですかあ? ここの人達なんて、あなたにとってはどうでもいいでしょうに」

 

少し、ふざけた口調の女の声。どこから発せられているのか不明ではあるが、少なくとも味方でないのは明らかだ。その声の他にもまだ攻撃が続いている。

 

「そうでしょう? あなたがここにいるのも、ただの気まぐれ。本来なら、関わりのない筈ですもの」

 

「さっきから何だ!? 姿を現せ!」

 

痺れを切らしたらしいダクネスが大声で叫んでいた。そんなのを言ったところで、姿を現す人物じゃないぞ……多分。

 

「あなたの行動は分かりやすいです……。自身の傷に縛られて、手を差し伸べずにはいられない。ですが、それは単なる自己満足ですし」

 

「黙れ!!」

 

目標も定まっていないにも関わらず、激高してしまい周辺に魔力弾をばら撒く。そんなので、どうにかなるわけもなく、

 

「落ち着け! 挑発なんて乗った方が負けだろーが!」

 

「これってアレよ! 精神攻撃よ、精神攻撃!」

 

冷静になるように促すカズマと、どことなくウキウキしていうるようなアクアであった。

 

「あなたのご両親のご遺体、見るも耐えない状態だったそうですねえ。そのせいで、ちゃんとお別れもできなかったとか……」

 

……どこのどいつだ!? 何でそんなのまで知ってる……。

 

「子供一人置いて、遠くに行ってしまって……、それが傷になってますもの。ですが……」

 

その言葉を聞いているだけで汗が噴き出す。聞いてはいけないはずなのに、それを無視できずにいた。

 

「あなたもいずれはそうなります。なぜなら自分に向けられる情には臆病ですもの。いつか離れてしまうかもしれない……、その恐怖がある限り、あなたの人生なんて無意味にしかなりませんから」

 

これ以上、口を開かせるわけにはいかない! 自分でも冷静じゃないのは分かっているが、コイツはこの場で倒さないと気が済まない。そうして、気がはやってしまったのが悪かったのだろう。ほんの少しだけ見えた人影、それに向かって突進していくと、その人影は幻の様に消えていき、周りには爆発するナイフがそこら中に刺さっている。

カズマとアクアが何かを言っているが、その口の動きがスローに見える。これは……アレか、走馬燈ってやつか……。あーあ、ミスった。

 

俺を中心に大爆発が巻き起こり、轟音が響き、衝撃波が辺り一面に広がっていた。

 

 

 

次に目を開けた時には、金属のひんやりとした感触と白い色の鎧が見えていた。どうやら死んではいないようだが。

 

「……ダクネス?」

 

俺はダクネスに庇われる形で、地面に伏せていた。俺は、さっきの爆発でのダメージはほとんど無いと言っていい。ダクネス自身は爆発の直撃を喰らったが、そこは防御に特化している人間であるらしく、そこまでの深手を負っているわけではなさそうだった。ダクネスはスッと立ち上がると、

 

「少し、歯を食いしばれ……!」

 

拳を固く握り、俺の頬へと叩きつけてきた。バキッとした音を立てて直撃するダクネスの拳に、思わずよろけてしまう。

 

「……お前、本当に自分が無意味などと思ってはいまいな? もしそうなら……、この場でぶっ殺してやる!」

 

「いきなり何……キレてやがる!?」

 

激高しているダクネスに狼狽えている俺。いつもの悪い癖が出ずに、真摯な瞳で俺を見ている。

 

「怒りたくもなる! 友人も、あの子供達も、お前の近くで良い顔で笑っていたというのに……! それを無意味だと……、少しでもそう思っているのなら、ただでは置かんぞ!!」

 

「ちょ……ダクネスが真面目になってるんですけど!?」

 

「ダ、ダクネスが騎士みたいだ……」

 

真剣な俺達を他所に、ツッコミを入れているアクアとカズマ。アクアって結構空気読まないよな。分かってたけど。

 

「今度友人が来たら問いただせ! ”自分のやって来たことは無意味だったか”と。話なら後でゆっくり聞いてやる、愚痴にも付き合ってやる。だから今は目の前に集中しろ! それに……」

 

スッと目を閉じたダクネスではあったが、再び目を開けた時は顔がにやけており、

 

「そ、そのレベルが高い言葉攻めは、是非私にやってくれないか? さっきから聞いているうちに、体が熱くなってくるのだ……!」

 

……だ、台無しだー!? せっかくいい話でまとまりかけていたのに、たった一言で台無しになっちまった!?

 

こういう奴だってのは分かってたけど、この場でもできるんだから、本当に筋金が入ってる。姿の見えない敵さんも、どうすれば良いか分からなくなってしまった様で、動きが止っているようだ。

 

……ああもう。最後はともかく、その通りだよ! 確かに悩むのは後回しか……!

 

「……ったく、ダクネスに説教されるとか、俺もヤキが回ったな」

 

「ユウが笑ってるわね? なんかいつも通りの落ち着きがあるわ」

 

アクアも安心したような雰囲気になってはいたが、先を急がなければならないので、

 

「……ダクネス、ちょっと頼みが——」

 

「うむ。分かった。任せてもらおう」

 

ダクネスがカズマ達の所へ行ったのを見計らい、

 

「キャリバー!!」

 

ファルシオンのフルドライブ、キャリバーモード。身の丈程の突撃槍を平らにしたような形状の魔力刃からなる形態である。

 

「はああああああっ!!」

 

その刃で全方位に向かって斬撃の衝撃波を発生させて辺り一面を斬り裂いて行く。すると、

 

「……攻撃が止んだな。逃げたか」

 

さっきの連中はいなくなったらしく、それ以上謎の攻撃が飛んでくる事はなくなったが、

 

「おい! いきなり全方位攻撃って何しやがる!?」

 

「いや、ほら……、どこに居るかが分からないなら、辺り一面ふっ飛ばせば良いかなって。一応みんなは避けるように撃って、万が一にはダクネスが庇えば二人は大丈夫だと思ったし」

 

「ユウさんも結構、脳筋よね。私の頭のチャームポイント掠めて、ちょっと怖かったんですけど……」

 

カズマは文句を垂れていたが、どことなく安心し、アクアは顔を青くしていた。そうして、俺とダクネスはシルビアの元に、カズマとアクアは地下格納庫へとそれぞれ別れようとしていたところで、

 

「じゃあ、そっちは『魔術師殺し』用の兵器の確保と、できれば『世界を滅ぼしかねない兵器』ってのも確保してくれると助かる。そんなのがシルビアに取り込まれたら、それこそ一大事だからな」

 

その言葉にカズマは頷き、二手に分かれて目的地へ向かった。さっきの敵襲でかなりの時間が経っていたらしく、急いで向かったが、なぜかシルビアのいる方向から上級魔法が放たれている様に見えたので、俺とダクネスは全速力で、燃え盛る紅魔の里を駆け抜けていった。




精神攻撃を受けて、卒業式になるのがフェイトさん、殴られるのが主人公。スカさん因子持ってるメガ姉ならこの位はしそうってので書いてます。

次回はゆんゆん回になる予定。

活動報告にも書きましたが、ヒロインいた方が良いだろうか……。
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