この素晴らしい世界にリリカルな魔導師を!   作:ゴマフアザラシ

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これで、五巻分は終了です。


里での休養と命名騒動

姐さん達も帰り、俺はまだ体を休めていた方が良いというアクアの指示に従い、紅魔の里で世話になっていた。そんなある日。

魔道具製作工房――そこは魔道具職人たちの城であり、自身の作品を生み出し世に送り込む場所である。紅魔の里で数ある魔道具工房の一つにて、その人と向かい合っていた。

 

「……では、行きますよ。ひょいざぶろーさん!」

 

「ああ……。遠慮なくやってくれ!」

 

とある処置をひょいざぶろーさんに施し、当人はそのまま魔道具製作をしているので、工房を後にすると、

 

「ユウさん……。主人は……、家の主人は治るんですか!?」

 

「ゆいゆいさん。手は尽くしました。後は本人次第です」

 

工房から出てすぐに、心配そうな顔をしながら俺へ詰めよるゆいゆいさんであった。これからのこの家に関わることだ。気が気では無いのだろう。

 

「もうすぐ、終わるはずです。信じて待ちましょう!」

 

しばらくして、工房から出てきたひょいざぶろーさんであったが、

 

「工房にまで聞こえていたが……」

 

訝し気な表情で、口を開き、

 

「なぜワシが病人の様に扱われているんだ!?」

 

「「病人みたいなものですよ!!」」

 

俺とゆいゆいさんが一言一句違わず、ハモってしまったが、さっき工房でひょいざぶろーさんに行っていた処置は、普通に魔道具が造れるようにしたものである。その効果を確認するために、

 

「スクロールですか……。これは何の?」

 

「オーソドックスなところで、インフェルノにしてみたが」

 

炎の上級魔法である。ここで開くと大変な事になるので、試し撃ちという事で、

 

「カズマ……ちょっと森まで行かないか? 一撃熊でも焼いてこようぜ。今夜は熊鍋だ」

 

「行かない! またおかしな効果が出たらどうするつもりだ!!」

 

「大丈夫! 理論上は、これでいけるはずだから!!」

 

「お前の理論はちょっとおかしいんだよ! 初級魔法に殺傷力持たせたり、中級魔法にアレンジ加えたり!」

 

つったってなあ……。魔法を使う上では論理的な思考は大事なのだが……。特に俺のは、地球での科学と変わらないので、理数系の知識やセンスが大事なのだ。

 

「だったら、私が同行しよう。なに、万が一暴発してもしっかり守ってやる! むしろその方が好都合!」

 

「私も行きましょう。本当にまともになっているか見てみたいです」

 

ダクネスとめぐみんが同行を申し出たのだが、なんだかんだで、カズマも気になるのだろう。もし暴発した場合の治療役として、アクアも引っ張りながら森へとついて来た。

 

「よし。やろうか……」

 

その場の全員が、固唾を飲んで俺を見守っていた。カズマだけはダクネスの後ろで、覗き込むようにしている。

丁度いい所に、目標の一撃熊が通りかかったので、そちらに向かってスクロールを開くと、断末魔を上げながら丸焼きになってしまった。俺の目論見通り、実験は成功らしい。

 

「成功成功。思った通り」

 

自分の計算通りに事が進むのは、やっぱり嬉しいもんである。しかし、その横では……、

 

「そ、それで……おっ、終わりなのか!? もっとこう……! 明後日の方向から雷が降ってくるなどを期待していたのだが……」

 

ダクネスは膝を抱えながら、地面にのの字書いていた。どうやらいじけてしまったらしい。

 

「おっ……お父さんが……っ! 普通の魔道具を造るなんて……! あっ、明日は霊峰ドラゴンズピークが噴火するかも……!? そ、それとも、デストロイヤーが復活するのでは!?」

 

真っ青な顔をしながらありえないと、めぐみんが好き放題言っていた。散々な言われようだが、そもそも霊峰は火山じゃないし、デストロイヤーみたいのが二つとあるわけは無いのだが……。

 

「……どうやったんだ? 言っちゃ悪いけど、あの人がこんなのできるはずがない」

 

「……さり気に失礼だな。まあ簡単な話で、魔力が強すぎて悪さするなら、出力リミッターかけて制限すればいけると思って。結果は見ての通りだ」

 

カズマに言った通りで、ひょいざぶろーさんにリミッターかけてみただけである。しかし、うまくいって良かったと思う人間は、この場にいないのだろうか?

 

実験も終わり、結果を報告すると特にゆいゆいさんは大喜びであった。一応、今までのおかしな……もとい、クセのある魔道具でも欲しいと言っている変わり者もいるらしいので、リミッターについては任意で切り替えられるようにしておいた。

だが後日、屋敷に戻ってから聞いたのだが、なぜかひょいざぶろーさんは『出力リミッター』ではなく、自身にかけているものを『魔力負荷』にしてしまい、一段と魔力が大きくなり、リミッターつけても意味がなくなってしまっていたりする。

あの年で魔力が伸びる紅魔族も驚きだが、それを聞いて匙を投げるしかない俺であった。それはまた別のお話。

 

 

 

 

「さてと……、ひょいざぶろーさんの方は済んだし、そろそろ行こうかな」

 

先日のシルビアとの戦闘以来、出来るだけ安静にしてはいたが、そろそろ本格的に体を動かしたいという事で、とある場所に向かっていた。

 

「すいませーん! 手伝いを申し込んだ者ですが」

 

「ああ。話は聞いてるわ。それじゃあお願いね」

 

その場にいたお姉さん達の指示に従い、配置に着いてから必死に土を掘り起こし出てたのは……、

 

「くっ……! 大人しくして貰おうか。生きが良いのは結構だが、こっちにも事情があるんでね!」

 

土から出てきた物体は転がり、俺の様子を見計らいながらフェイントをかけ、隙あらば体当たりで抵抗する。随分と元気が良い奴らだ……と思っていたところ……。

 

「……何をしているのですか?」

 

「見て分からないか?」

 

「分かります。分かりますが、私が聞いているのは、なぜここで……」

 

いつの間にか、ここを訪れていたらしいめぐみんが頭を抱えながら、俺に鋭い視線を向け、

 

「じゃがいもを収穫しているのですか!?」

 

俺が野菜の収穫をしているのが、余程おかしいのか大声を上げていた。

 

「いやな、まだ訓練するにもマズいだろうし、野良仕事ならいい具合に体を動かせるから」

 

「そ、そうですか……。言いたい事は分かりましたが、あまり無理はしないで下さい……」

 

三日間寝込んでたので心配になったのだろう。これに関しては慣らし程度なのだが。

 

「大丈夫だって! このままだと体が鈍ってしょうがない。なんだったらめぐみんもやるか?」

 

「遠慮します。というか、そろそろ終わりではないですか!」

 

まあその通りだけど。めぐみんが来た時点でほとんど収穫作業は終わっている。もう少し早かったら、参加してもらうとこだった。

 

「しっかし……、ここは凄いな。まさかこんな方法で農業してるとは思わなかった」

 

「国のお偉いさんが見たら、もったいないと言って歯噛みしますよ、これは」

 

ここ、紅魔の里では地属性の広範囲魔法で土地を耕し、竜巻の魔法で種を撒き、天候操作の魔法で雨を降らせ十人程度で、里の数百人分の野菜を栽培している。もしかしたら雨が続くと、天候操作でお日様を出したりするのかもしれない。というか……、そこまでできるのなら、農業の一番の重要事項ともいえる自然の驚異がほぼなく、計画的に栽培できるというものである。

 

「そうかなあ……。うーん。確かに今はそうかもな」

 

「……? 含みがある言い方ですね。気になるのですが」

 

めぐみんが俺の言い回しに気になる部分があったらしい。確かに、魔法は戦うためのものって固定概念だと、そう思うかも。

 

「仮に、魔王ってのが討伐されたら、冒険者って職業は無くならないとは思うけど、それなりには平和になるだろ?」

 

「まあ、そうですね。いつになるかは分かりませんが」

 

冒険者の仕事は魔王軍の相手だけじゃなく、生態系に由来するモンスター――例えばアクセル周辺でいうところのカエルの討伐等も存在する。それでも、魔王軍が瓦解すれば、冒険者の数は減るはず。

 

「魔王軍がいなくなったら、今まで戦闘で食ってた人だって、無職になる可能性があるし。……例えばここの農家みたく、魔法だのなんだのを有効活用して職に就くのだってありだろ? 人間食わなきゃ死ぬし」

 

目を開いて意外なものを見る目のめぐみんであった。

 

「……というか、俺も引退したらこうやって農業でもやろうかな。上級魔法覚えて」

 

「……じょ、上級魔法は農業のためのものではありませんが……」

 

「どう使うかなんて、その人次第だし良いだろ。それに……」

 

俺が農業やるってのが、そんなにおかしい話しだろうか? もう少し話したい事もあるので言葉を続ける。

 

「流通がお世辞にも良いとは言えない紅魔の里で、他の街と同額くらいで野菜が手に入るのは、こうやって少数精鋭で栽培してるからだろ? 普通にやったら、人件費とかで他より高くなるぞ。ここの農家さん達は、もうちょっと感謝されても良いと思う」

 

「むむっ!? 確かにそういった考え方もありますね。今まであまり気にしていませんでしたが……」

 

どうやら納得してくれたらしい。紅魔の里の農業は画期的と言えるかもしれない。スキルポイントを30ポイントも必要とする上級魔法を使えて、一人前とされる紅魔族ならではだろう。

けど、俺が仮に上級魔法を覚えたところで、この方式で農業をやろうとしても、ミッドじゃあ許可が下りないだろうな。魔法で地震だの竜巻だのと起こすのは、限りなく黒に近いグレーだ。だったらこの世界でやるしかないのだが、動く野菜とか……、ここでしか需要がないだろうなあ。

 

「……めぐみん。”ここ”って墾田永年私財法的な法律ってないか? 自分で開墾した土地は自分の物になる……みたいな?」

 

「知りませんよ! 調べるのは得意でしょうから、自分で調べてください! まったく、またしょうもない事を……」

 

「何言ってんだか。こないだ俺に、今の仕事を辞めれば、平和に暮らせるとか言っといて」

 

それを聞いためぐみんがほんの少しだけだが、表情が緩んで機嫌が良くなった気がしたが、なぜだろう?

しかし、そういった法律があれば、上級魔法で開墾して土地を手に入れる事も可能なのだが……。勝手に人様の土地でそれをやると、流石に罰せられるだろうけど。

 

 

 

 

農作業を終え、汗を洗い流すためにめぐみんと別れて、『混浴温泉』という銭湯に行ってから家へと戻ると、そこにはゆんゆんがおり、

 

「あっ……! ユウさん、お父さんが用事があるらしくて、学校に来てほしいって言ってました。できれば皆さんも一緒にって」

 

シルビア戦後、俺の体調の件もあって、ずっと稽古を休みにしてはいたが、時間があればめぐみんの家を訪ねていたゆんゆんが、今日は学校へのお誘いをしていた。どうやら族長さん絡みらしいが……。

 

「どうしたんだ? もしかしてアクアが霊峰を削った件で弁償とか――」

 

「縁起でもない事言うな! もう借金なんてこりごりだ!!」

 

「わ、私? アレは不可抗力なの!? 今回はユウさんの治療で頑張ったし……ね?」

 

カズマが割って入り、俺の言葉を遮っていた。言う通りだけど、ピリピリしすぎだと思う。アクアは……あの時点で、ライフルが『魔術師殺し』の切り札になるとか誰も分からないし、仕方なかったはず。

 

「霊峰の件なら、『シルビアの爪痕』って名付けて、観光名所にするそうです」

 

マジで観光名所にしやがりますか。しかもあの場所はシルビアがやったわけじゃないってのに。転んでもただでは起きない辺り見習うべきかもしれない。紅魔族が改造人間だと知った時も、悲しみに暮れるどころか、”格好良い”と言って、むしろ喜んでいた。

俺はフェイトやエリオを思い出して、紅魔族がおかしな状態に陥るかと思ったが、それを見てズッコケてしまったのであった。

 

「詳しい話は、私も聞いていなくて……。できれば大人数が良いと言っていましたが……」

 

族長さん直々に俺達……だけでなく、里の人間の力が必要な事態、という事だろうか?

 

全員が顔を見合わせ、指定場所である紅魔の里の学校に向かっていた。その途中、

 

「そういえば……あの『魔術師殺し』を破壊した魔法。なぜ最初から使わなかった? 体の負担はともかく、使っていれば里の被害も少なくなっていただろう?」

 

ダクネスの疑問も当然と言えば当然なので、それに対する答えを返す。

 

「あれは自分でばら撒いた魔力をまた集めて、刃の形にしてんだ。だからすぐ使えるものじゃ無いし、使い所が難しい」

 

「爆裂とはコンセプト自体が違いますが、あれほどの威力を誇るというのに……ですか?」

 

めぐみんも気になっていたらしい。確かに威力に関しては想定通りどころか、むしろ高かったが。

 

「まず、魔力をかき集める事自体が高難易度。その集めた魔力を圧縮して半実体化するまで、小さくするのも大変。ついでに近接用だから、効果範囲も狭い。まあ、魔力刃をある程度伸ばすくらいはできるけど。それと近接戦闘のスキルも必要になる」

 

俺の返答が相当意外だったのだろう。全員が目を丸くしていた。

 

「ただし、使い所を含めて歯車が嚙み合えば、爆発力は知っての通り。修得難易度の割に使いどころが限られるのは、爆裂と大差ないかな。最終的にはバインド、射撃で補うのが理想形だけど」

 

「思ってたより、リスクがあるんだな……。簡単に『魔術師殺し』を壊してたから、そうじゃないとばかり……」

 

「尖った事しようと思ったら、リスクが出てきて当然だしな。極端に言えば、物凄く強い武器を造ってるだけだし。武器だけあったって、使いこなせなきゃ意味ないだろ?」

 

カズマもそこまでのリスクがあるとは思ってはいなかったらしい。

これに関しては俺だけじゃなく、例えばブラスターは自己ブーストによる強化ではあるが、長時間の使用には向かず、使えば使う程、負荷が掛かる諸刃の剣。真・ソニックフォームは人間の反射速度を凌駕するスピードの代わりに、装甲が無いに等しくなる。どんな物にも、使う際の条件やリスクがあるからこそ、見合ったリターンが存在するものだ。そんなのを説明すると、

 

(もしかして……特典って、本当にチート性能なのか? あのグラムも……リスクなんて全然ないんだろ?)

 

(当り前じゃない! 私達(神様)をなんだと思ってるのよ? むしろ、リスクありでも、あそこまでできるユウがおかしいの!)

 

カズマとアクアがヒソヒソ話で何かを話していた。カズマは……自分が間違った選択をしてしまったかのような、遠い昔を思い返すような表情をしていたのが気になったが。

色々と話しているうちに、集合場所の学校へと辿り着いたのだが、そこにあったのは、

 

『ユウさんの魔法名を考えよう会議 in 紅魔の里』

 

学校の外の横断幕にでかでかと、そう書かれていた。どういう事だ!? これは……!?

 

「……族長さん、これは何でしょうか?」

 

「先日、カズマさんから伺いましたが、『魔術師殺し』を破壊した魔法……、まだ名前が無いらしいじゃないですか。ですので、せめてものお礼として、紅魔族の総力を結集して命名しようかと思いまして」

 

「……遠りょ――」

 

開口一番にお断りして、その場を去ろうとしたのだが、

 

「面白そうね! これまで特典を与えてきた私なら、それに負けない名前を付けてあげられるわ!」

 

アクアがノリノリで自分も参加するなどといった発言をしていた。

 

「それならば私の出番です! カズマとユウの刀の名付け親は私ですから! あの魔法にも、それに負けない格好良い名前を付けましょう!!」

 

おいやめろ! めぐみんのセンスだと、ホロホロ丸とか付けられそうだ。

 

「名前を付けるのでしたら、ダクネスが前に王室から頂いた剣にどうぞ。俺のは間に合ってますから」

 

「あの剣におかしな……、紅魔族センスの銘を付けたら家の問題になる! それはさせられん!!」

 

狼狽しながらも、真剣な表情で拒否しているダクネスであった。貴族だけあって、王族の恐ろしさも分かっているのだろうか?

俺がどれだけ無用と言っても引く気配のない紅魔族達は、勝手に議論を進め……。

 

「『終焉の死哭(ラスト・デス・アビス)』はどうだ!」

 

ぶっころりーさん、ちゃっかり参加してたんですか。そんなだから二ー……おほん、給料の出ない自警団とか言われるんですよ。

 

「……ここは、『聖霊の天罰(スピリチュアル・ヘブンズジャッジメント)』はどうかしら?」

 

そけっとさん……、占いの時は割と普通の人だと思ってましたけど、やっぱり紅魔族なんですね。

 

「『破壊の嵐舞(バーサーカー・マグナム)』で決まりだろ!」

 

鍛冶屋の親父さん、そんな名前は絶対に付けません。

 

もう好き放題に盛り上がっている紅魔族の中にあって、今度はアクアが、

 

「やっぱり、『インフィニティアロンダイトボルグカリバー』が良いと思うの!」

 

長え! しかも分かりづらい! 寄せ集めっぽい!!

 

「やはり原点回帰で『けんけん丸』を推します!」

 

何が原点回帰なんだよ! やっぱりそっち系の名前じゃねーか! お願いだから止めてくれ、めぐみん。

 

その場の人間誰もが引く気配はなく、こうなったら、多数決で決めて貰おうか……などと、言った方向に話が進もうとしていたのだが、

 

「だったら、剣を鞘から抜くのと、岩に刺さった聖剣がユウさんの杖の由来ですから、それを抜くのをかけて、『抜剣』はどうですか?」

 

ゆんゆんの意見に対し、めぐみんが、

 

「そんな気の抜けたような名前では――」

 

そんなのありえないといった態度を示していた。しかし、

 

「ゆんゆん、それ採用!!!」

 

もう有無を言わさず、これ以上の議論は無用とばかりに、ゆんゆんの案を正式名称としてしまったのであった。周りからは、えー!? とか なんでー? といった声が聞こえて来たが、多分この場で、一番いい名前はこれのはずだ。というかこれで決定しないと、あの魔法は名前が恥ずかしすぎて封印せざるをえなくなる。

 

かなり際どかったが、それなりに良い名前が付いて、解散しようとしていたところ、二人の少女が、ゆんゆんと話し込んでいた。どうやら、めぐみんとも顔見知りの様で、少し喧嘩腰にはなっていたが、懐かしそうな雰囲気であった。ゆんゆんが二人に俺達を紹介し、その二人――ふにふらとどどんこの方を向いて

 

「ゆんゆんには普段稽古をつけてます。どうぞよろしく」

 

「「こ、こちらこそ!」」

 

お互いに挨拶を交わした。外の人間は珍しいから緊張してるんだろうか? と思っていた矢先、

 

「おい、普段ちっとも出会いがない上に男がいなくて寂しいのは分かるが、その男はこめっこと同い年の息子と娘がいる。色目を使うのは勧めませんよ?」

 

めぐみんめ……! 色目うんぬんはともかく、まだお父さん呼ばわりする気か!?

 

それを聞いて固まる二人であった。既婚者とでも思われたのかもしれない。というか、九歳違いの息子と娘って時点でおかしいと感じて欲しい。

 

「それに……」

 

めぐみん、何言う気だ? お父さん言うなら即座に頬っぺた引っ張ってやろう。

 

「私はユウに大人(の姿)にして貰いましたから。まあ、そういった関係です。後は察してください」

 

それを聞いて狼狽えながら、その場を後にしたふにふら達であった。ゆんゆんは呆れかえっている。俺はというと、

 

「……こ、これはどういう事でしょう……!?」

 

「めぐみん、同じ奥義でも、使い手が異なれば当然威力も異なる……」

 

バインドでがんじがらめになっているめぐみんに、これから起こる事を冷静に、それでいて絶望感を与える様に、丁寧に説明する。

 

「急所のこめかみを外さずに、グリグリし続ける正確性。そして、拳を頭に押し付け続ける筋力。その二つにおいて、ゆんゆんは俺より圧倒的に劣る。つまりゆんゆんと俺のは、等活地獄と焦熱地獄くらいの違いがあるんだ……!」

 

「……い、嫌な予感しかしませんが……!? ちょ、ちょっと待ってください! は、話を……!?」

 

その通りだ。自分が何をやられるのかが分かったらしい。

 

「『バインドこめかみグリグリ地獄』……! 喰らうがいい……」

 

「――――――ッッ!!!?」

 

その光景を見たカズマ達は、俺を下手に刺激しない様に細心の注意を払ったらしい。そしてめぐみんは、しばらく俺を見るとガクガク震える様になってしまった。よっぽど効いたらしい。やはり、最終奥義にふさわしいな、これは。

数日後、俺の体調が完全となったのを見計らって、里からアクセルに戻る事になったのであった。




今回のめぐみんに関してはどっちにも取れるようにしています。
誘われたら、こういった断り方もありますよ、という例ともとれますし、
もしかしたら……ってな感じです。

結局どうするか決めかねてる私自身もいるのですが。
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