この素晴らしい世界にリリカルな魔導師を!   作:ゴマフアザラシ

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中級魔法、上級魔法の発動速度、及びレインさんに関しては、独自設定となっております。


レインさんとの試合と問題の解答

ベルゼルグ王城客室、本来なら一介の冒険者が寝泊まりできるところでは無いのだろうが、その豪奢な部屋はメンバー各々へと割り当てれ、アクアは小躍りし、ゆんゆんとめぐみんはあちこち見まわしながら、おしゃべりなど、各自好きに一夜を過ごしていた。

俺はというと、明日にレインさんとの一戦を控えてはいたものの、書庫で借りてきた本をベッドの上で読み(ふけ)っていたのだが、

 

「……アクシズ教って、今と大差ないのな。こんな昔から、この教義って……何で邪教扱いされないんだろう?」

 

『アクシズ教教義の偏移』なんて本を見つけたので、読んではいたものの、内容自体はそうそう変わらず、呆れるばかりであった。

 

「水の女神様だから、流れやすい方に流れるのがデフォなのかな? けど、これって……」

 

昔々のアクシズ教教義は”悪魔殺すべし”は今と変わらないが、その他に”魔王殺すべし”となっていた。

今って”魔王しばくべし”じゃなかったっけ? 解釈の違いで翻訳も違ってしまったんだろうか?

どっちにしたって、物騒な教義には違いないが。

 

しばらく本を読んでいるとドアをノックする音が聞こえ、パジャマ姿のめぐみんが姿を現したのだが、

 

「少し良いですか……。 ……なぜ身構えているのでしょうか?」

 

「うむ。それはな……。最近めぐみんが俺を正座させて説教したり、斬り掛かったり、あまつさえ、爆裂を喰らわすとか言ってくるので、警戒した方が良いかと……」

 

「私を何だと思っているのですか!? この場でそんな事をするわけはないでしょう!」

 

いやまあ……、そうだけどさ。なーんか近頃、散々な目に遭ってる気がして……。

 

「まさか……。ロリコンはダメだけどシスコンなら良いかもって言ったので、正座説教を……」

 

「それはそれで納得がいきませんが、そうではありませんよ」

 

そうしてめぐみんがベッドに腰かけて、俺の方を向き、

 

「何か分かりましたか? 随分と古い本の様ですが……」

 

「とりあえず、女神エリスの胸はパッド入りだって説は、もしかしたら正しいか……、ごめんなさい。謝りますので、その突き刺さる視線は止めてください」

 

またしょうもないことを……、といった視線に耐えられなくなってしまったので、即座に謝罪してしまった。

 

「本については、まだ読み始めだからな、これからだろ。めぐみんこそどうした? 結構遅い時間だけど……」

 

「少し……話をしたくてですね……」

 

少し疲れた様な表情のめぐみんであった。そういえば、夜遅くまで俺らを待ってたとかってアクアが言ってたな。

 

「……話なら後でも良いから、今日はもう休んだ方がいいだろ? なんなら部屋まで送るけど」

 

それはまだいいです。との一言の後、

 

「あの……。こめっこの事ですが、ちゃんとお礼を言ってなかったと思いまして……」

 

「何だ? それなら、こっちの不手際みたいなもんだし気にすんな。俺だけじゃなくて、カズマ達も頑張ったし」

 

何気に役に立ってしまったカズマのぱんつスティールだったな。女性相手に意表を突くには凄まじい効果を発揮するよ、あれは。

 

「いつも自分よりも人を立てますよね? 謙虚なのは悪くは無いとは思いますが……」

 

「事実だ。俺はそこまで、大層な人間じゃない。(くだん)のお伽噺の勇者みたいに、なんでも一人でできるわけじゃないしな。戦うのなんて、いつだって怖い……」

 

納得いかないってな感じで、ジト目になっているめぐみんであった。

 

「あのなあ……。俺は根が臆病なんだぞ。言っとくが、いつも失敗しても良いように動いてるんだ。訓練だって、その時になって後悔しないようにってだけの、悪あがきみたいなもんだし」

 

「あなたの様な臆病な人間がいますか!?」

 

「ベルディアの時はともかく、デストロイヤーの時だって、アクセルが壊されても良いように住民の避難を優先したし。バニルの時は、ヤツの挑発に乗ったのもあったけど、万が一爆裂でダクネスが不幸な事になるのが嫌だったんだ。たとえ、アクアの蘇生があったってな」

 

運がない分、こうやって動くのが普通になってしまってるんだよな。一か八かなんてのは一番やっちゃいけない事だし。

 

「それは……、確かにそうかもしれませんね。けど、いつも前にいて誰かを背にしてます……」

 

「まっ! それは性分だろうな。俺の魔法はそうやって使うために覚えたものだから。いくら臆病でも譲れないものくらいある。まあ、あるえの小説あたりだと、最終話一話前に”ここは俺に任せて先に行け”ってキャラだろうけど」

 

なんだろう……? めぐみんが一瞬驚いたような表情をした後、穏やかに微笑みながら。

 

「もしかしたら、本当はユウみたいな人を……ゆ……」

 

何かを言いかけたと思ったが、

 

「……すかー…………」

 

やっぱり疲れていたらしい。俺に寄り掛かって、スゥスゥと寝息を立ててしまっていた。

 

「最近、心配ばっかりかけてごめんな……」

 

そのうち目を覚ますかと思い、少しだけ寝顔を見守ることにした。

 

 

 

 

 

……めぐみんが眠ってしまってから30分ほど、俺はというと、ある抗いがたい衝動に駆られてしまっていた。少ししたら起こそうかと思っていたが、あまりにも安らかな寝顔なもので、起こすのを躊躇ってしまっている。

俺の眼に入ってしまっているのは、めぐみんの頬っぺたであり、それはそれは柔らかそうな気がするので、ツンツンプニプニしてみたいのを必死に抑えていたのであったが……。つい、

 

「めぐみん~、そろそろ起きろ~。起きないと俺が好き放題やっちゃうぞ?」

 

眠っているのは分かっているが、衝動を抑えきれずに質問をしてしまった。

 

「無言のままなら、”yes”と解釈するぞ、いいな?」

 

寝息は立てているが、無言である。よってこれからどうするかを思案する。

 

①頬っぺたをツンツンする。

②頬っぺたを掴んでグニグニする。

③頬っぺたをくすぐってみる。

 

どれも捨てがたい。これは決めるのに時間が掛かる。よって答えは。

 

④全部やる。

 

これで決定。悩まずに後悔もしない最善手である。アクシズ教の教義にもあるじゃないか、”悩んだら楽な方を選びなさい”と。一番楽なのは、悩まずに全てを行う事である。

 

「よし。じゃあ頬っぺたツンツンから……」

 

「……何をする気ですか?」

 

「めぐみんのほっぺが、あまりにも柔らかそうなので、ツンツンしておこうかと」

 

ちょっとだけ、おふざけを仕掛けようとした少女は、いつの間にか目を覚ましていたらしい。当の本人はボーッとしてるので、続けて、

 

「めぐみんは魔性の頬っぺたの持ち主かもしれない。俺も我慢の限界だった……」

 

「……一つ聞きたいのですが、もっと年頃の様な思考はできないのでしょうか?」

 

いやまあ、カズマ辺りならドギマギしそうではあるが……。

 

「いくら俺だって命は惜しい。この状況で何かしでかしたら、爆裂の的にされて、その後アクアに蘇生されたって文句は言えない」

 

「殺されるの前提ですか!? あなたにとって私はどんな人間に映っているのですか!?」

 

「一撃必殺を極めんとする……、最強の……魔法使い……の女の子?」

 

少しだけは嬉しかったらしく、顔が赤くなって表情が緩んではいたが悔しそうな雰囲気も垣間見えた。

 

「こ、この男は……、そちらの経験値が低すぎるのでしょうか……」

 

「言ってる意味が分かりません。レベルだったらめぐみんが一番高いだろ?」

 

なにせめぐみんは、デストロイヤー、冬将軍、エギルの木、シルビアの他に、毎日の爆裂で見知らぬモンスターを討伐しているのだ。レベルは一番高い。

 

「はあ……。もういいです。私はそろそろ部屋に戻ります……。では、お休みなさ――」

 

めぐみんが挨拶し終える前に、俗にいうお姫様抱っこの形で持ち上げて、部屋まで連れて行こうとすると、

 

「い、いいい、いきなり何をするのですか!? 私に手を出すと殺されるとまで言っておいて!?」

 

不意打ちになってしまった様で、相当慌てていたのが分かった。

 

「さっきな……。好き放題やっても良いって許可は得たから、この位はと思って。ツンツンできなかったし」

 

「無言だった時ですか!? それでどうこうされたら、堪りませんよ!?」

 

なんだ、あの時起きてたのか。嫌なら嫌って言えば良かったのに。

 

「というか……、イタズラの延長にしては……、少し恥ずかしいというか……」

 

「最初にカエルに呑まれた時にもしてるし、俺も慣れてるから気にするな」

 

車椅子時代のはやてとか、たぬきとか、歩くロストロギアとかで。それで重いとか言うと、容赦なく責められるからやってられない。当時9、10歳の少年にさせるとかいじめかよ、と思った事もある。

 

「とりあえず、もうちょっと歩み寄った方が良いっていうアドバイスも貰ったし、こんなもんで良いのか?」

 

「あのですね……。ゼロから突然、全開になってるようなものなので、加減を覚えてください! というか、降ろしてください!」

 

加減を覚えろか……。普通に送るだけで良かったのか?

 

「それは嫌だ。このまま何もしなかったら、明日は第2第3のイタズラが……」

 

「ううっ……。この男、天然なのか故意なのか子供っぽいだけなのか、判断に迷います……」

 

年頃なのか気恥ずかしいだろうな。でなければ、やった意味がない。やっぱりこの程度でからかうのが一番面白い。

 

「この格好で誰かに会ったりしたら……」

 

「だったら、目を瞑って眠った振りしてろ。誰かいたら、めぐみんが寝ぼけて俺の部屋に入って来たとか言っとくから」

 

「……もう何を言ってもこのままですね? 分かりました。エスコートしてください」

 

はいよ。と返事をしてそのまま部屋まで連れて行って寝せたのだが、やはりここ数日間の寝不足が祟っていたらしく、めぐみんをベットに寝せると、すぐに眠ってしまった。

 

「じゃあ、おやすみ」

 

一言だけ、そう告げて部屋に戻り、自分も明日に備えて眠りについた。

 

 

 

 

次の日、王城屋外の鍛錬場に全員が集まり、俺とレインさんが開始位置でお互いを見据えている。レインさんは愛用の杖を持っている。長さはめぐみんの物と同じくらいだ。俺も今回は、表彰で貰った長杖を使用している。

 

「……始め!」

 

クレアさんの開始の合図とともにレインさんは詠唱を、俺は初級魔法を使って杖の先に氷の塊を作り出し、杖を槍のように振り回したのだが……、

 

「待て待て! それは違う!!」

 

ダクネスが大声で試合を止めて、一旦中断となってしまった。

 

「……何でしょうか? ララティーナ様。試合を止めるなんて……王女様の御前だってのに……」

 

「ララティーナと呼ぶな! お前はどういうつもりだ!?」

 

どういうつもりって……、決まってる。

 

「詠唱完成する前にぶん殴った方が早いと思って。魔法使い封殺する一番良い方法なんだけど。真正面から搦手を使わないで、正々堂々と殴り掛かるつもりだったよ?」

 

試合中断した修練場では微妙な空気が流れ。

 

「一つ、聞きたいのだが、彼の稽古とやらはいつもこうなのか?」

 

「はい……。実戦ならルールなんてないから、自分の苦手な事をされて当然。それで対応できない方が悪い……って」

 

クレアさんは頭を抱え、ゆんゆんはいつもの稽古を思い出し、青くなっている。

 

「杖は便利なんだぞー。”突けば槍、払えば薙刀、持たば太刀”って言って、その上、魔法まで使える便利武具なんだから、有効利用しない手はないんだぞー。斧だったり、鎌だったり、大剣だったりする杖があるから、良いじゃないか」

 

「ええい! ちゃんと魔法戦をしろ! お前なら出来るだろう!!」

 

ダクネスはそっちがご所望の様である。周りは……、アイリスはここ数日のカズマの搦手で慣れているのか、あまり気にせずに、レインさんは少々引き気味であった。アクア達は、

 

「……ユウさんって、微妙に空気読まない時があるわね?」

 

「ええ……。なんというか……、相手の土俵で真正面から叩き潰すのをしたがらないといいますか……」

 

「お前らだって空気読まないだろ? 特にアクア」

 

アクアとめぐみんから痛い人を見るような視線であったが、カズマが即座にツッコんでいた。じゃあどうするかと思い、ダクネスに。

 

「ぴよ――」

 

「ぴよぴよ丸で殴るのも禁止だ」

 

それもダメらしい。仕方ない。

 

「……ゆんゆん、ワンド貸して」

 

「はい!? どうぞ」

 

長杖だと打撃用で使われる可能性があり、鞘付きぴよぴよ丸では鉄の棒で殴ってるようなものなので、短いワンドでの妥協となり、ようやく試合再開となった。

 

再びレインさんが詠唱を始め、その様子を観察していた。

 

使う魔法は、『ボトムレス・スワンプ』。足場を泥沼に変えて動きを封じるつもりだ。飛べば問題ないが……、多分飛んだら非難されそうなので、それは無し。相手は少なくとも上級魔法は使える。……高速詠唱をしている様子はない。最初に動きを止める事を優先した事から、魔法使いらしく接近戦や動き回る敵は苦手と予想。

 

「『ボトムレス・スワンプ』ッ!!」

 

レインさんの魔法によって足元が泥沼へと変わる、その前に少しだけジャンプし、

 

「『フリーズ』ッ!」

 

泥沼の表面にフリーズで氷を張り、その上を軽やかにトンッと跳ねて、他の地点に着地する。

 

「……何でこれを最初からやらんのだ!」

 

「……初級魔法で、上級魔法を防ぐとは……!? 半信半疑でしたが……」

 

ダクネスは呆れかえり、クレアさんは称賛を送っていたようだった。

レインさんは少しばかり驚いていたようだったが、この位でどうにかなる相手だとは思ってはいなかったのだろう。すぐに次の詠唱を始めるが、

 

「『ファイアーボール』ッ!」

 

詠唱途中で俺の中級魔法がレインさんに猛スピードで向かっていったため、中断されてしまう。次は、

 

「『ブレード・オブ・ウインド』ッ!」

 

風の刃を5枚レインさんに向かって放つと、相手は回避、または風の魔法での相殺し、ダメージは見受けられない。

そんなやりとりが、数合続いた後、

 

「……? 何か違和感が……?」

 

「どうなさいました? アイリス様」

 

一番におかしいと感じたのはアイリスらしい。カズマとの普段の遊びのおかげか、王族たる教育の賜物かは分からないが、気付き始めているようだ。

 

「互角のように見えますが、さっきからレインが魔法を撃っていないような?」

 

「確かに、詠唱の途中で遮られて……」

 

その違和感の正体に気が付いたらしい。一番困惑してるのはレインさんだろうけど。魔法が撃ちたいのに思うように撃てない。そうさせられてしまっているのだから。

 

「あなたは……一体……」

 

「もしかしたら、中級魔法で勝負した方が良いかも知れませんよ? 魔法使いは基本的に後衛ですけど、特に一対一だと、火力だけで勝負しちゃいけません」

 

上級魔法には接近戦用のライト・オブ・セイバーもあるにはあるが、対策なんてのはゆんゆんで出来上がってるので、それでも対応は可能。相手が仕掛けて来たらだけど……。

 

レインさんは例え、ライト・オブ・セイバーがあったとしても、俺には接近戦では敵わないと思ったらしい。あくまで遠距離からの魔法で俺を倒そうと考えてるようだ。

 

……少し、ビックリを仕掛けてみようか?

 

相手の詠唱に合わせ、

 

「風よ。我は空、我は天、汝は我が戦陣の刃。戦嵐の剣、旋風となりて駆けよ!」

 

俺も詠唱を始める。周りからは、不思議そうな声がチラホラと……。

 

「何でしょうか? 聞いた事の無い詠唱です!?」

 

「あんなの今まで見たことが無いけど……!?」

 

「ちょっと!? 何やってるのよ。あの子!? 魔力が渦巻いてますけど……!?」

 

俺とレインさんの詠唱が同時に完成し、

 

「『ブレード・オブ・ウインド』ッ!」

 

「『カースド・クリスタルプリズン』ッ!!」

 

中級魔法(ブレード・オブ・ウインド)上級魔法(カースド・クリスタルプリズン)がぶつかり合って、そこに残ってたのは、粉々に砕けた氷塊。レインさんは呆気に取られているが、すかさず接近し肩に手を当て、

 

「『パラライズ』」

 

動きを封じる魔法を使って、レインさんを下した。

 

「これで終わりで良いですね?」

 

「……参りました。先ほどのは?」

 

「あれはちょっとした、見世物みたいなもんです。説明は後で」

 

レインさんの魔法を解き、みんなの所へ行くと、アイリスが俺を見上げて、

 

「ユウお兄様。……何となくですけど、問題の答えが分かった気がします」

 

「おっ! じゃあ聞こうか」

 

「中級魔法は威力では劣っていますが、発動速度では勝っています。それを利用したのですね?」

 

ちゃんと分かってくれたか。偉い偉い。

 

「つまり、どういう事なの?」

 

「基本的には、強力な魔法ほど魔力の消費も激しい上、魔法発動までに時間が掛かるだろ? 爆裂魔法なんてその最たる例なんだけど、上級魔法でも途中で詠唱を妨げられたら、発動はできなくなるってこと」

 

アクアはまだ分かっていないらしい。首を傾げていた。なので続けて、

 

「レインさんは上級魔法を、俺は中級魔法を主に使ってたけど、発動自体は俺の方が早いから、レインさんの詠唱の邪魔をして魔法を撃たせない様に動いてたんだ」

 

全員がああなるほど、といった納得した表情をしていた。

 

「これがパーティー同士の戦闘ならまた違うんだけど、今回は一対一だったしな。あと高速詠唱の有無で、また違った対応になる」

 

スキルの強弱だけが勝敗を分けるわけじゃない例として、こうしたのだがアクア達は、

 

((((最初からこうすれば、素直に関心出来るのに……))))

 

なぜか、困った人を見るような目で俺を見ていた。アクアが確認するように、

 

「中級魔法の勝っている部分で、勝負を仕掛けたって事で良いのね?」

 

「そういう事。相手より強い部分で戦うってのは、カズマが良くやってるだろ? 冒険者ならではの、全職業のスキルを組み合わせて、うまく使ってるし」

 

今度はカズマの方を全員が向いて、彼の戦い方を思い返していたようだった。

 

「では……先ほどのブレード・オブ・ウインドは?」

 

今度はレインさんからの質問である。魔法使い的に一番気になる部分だろう。

 

「詠唱をわざと変えて、威力の上限を取っ払って魔力を込められるだけ込めてみたんです」

 

「下手すれば暴発しますよ!? それをいとも簡単に自分の技量だけで制御するなんて……!?」

 

ゆんゆんの言う通り、良い子はマネしちゃいけない類の運用だったりする。詠唱を弄ると色々不具合が出る場合があるからな。

 

「私もお姉さん(ウォルバク)に爆裂魔法を教わった時、同じ事をしましたよ? やはり格好良い詠唱の方が威力が上がるのが証明されましたね!」

 

「めぐみん、それっていくつの時?」

 

「5歳の頃ですが」

 

マジすか。5歳でそんなん出来るとか、この娘も本物の天才だな。才能って何だろう? クスン……。

 

「じゃあ、みんな問題も解けたみたいだし、明日にでもアクセルに帰るか。すいませんが、本を何冊か借りていきたいのですが……」

 

「あと何日かで良いから、もう少し居ないか?」

 

カズマは王城での生活が名残惜しいらしい。気持ちは分からなくはないが、これ以上みんなに心配かけるのもよろしくないと思い、説得しようとしたのだが、

 

「せめて……、今晩だけでもお別れの晩餐会を開いてはいけませんか……?」

 

アイリスも精一杯のわがままだったのだろう。そう提案し、今晩、晩餐会を開催するとこになった。




主人公が中級魔法の詠唱弄った下りは、漫画版爆焔1巻の特典小説で、めぐみんがウォルバク様の爆裂魔法で同じ事をやってます。ウォルバク様は相当驚いていましたが……。

学校にも通っていない年齢なのに、そんなの出来るとかめぐみんってどれだけの天才なんだろう?
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