この素晴らしい世界にリリカルな魔導師を!   作:ゴマフアザラシ

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湖浄化と鬼畜コンビ

デュラハン襲来から一週間たったある日……、俺は報告書を持って冒険者ギルド受付カウンターを訪れていた。この一週間は平和そのものであり、普通に依頼を受けてそれを遂行するといった生活をしていた。

 

「ルナさん、依頼達成の報告ですよっと」

 

「はい。確かに承りました。こちらが報酬になります」

 

受付嬢のルナさんから報酬を受取り、カズマたちの所へ向かう。丁度彼らもギルドに全員集まっていた。

 

「おまたせ。……ん、アクア……どうしたんだ?」

 

アクアが報酬を受取った俺を見るなり、震えながら。

 

「ユウ、どうしたのよ……!? キャベツ狩りで、私ほどじゃないけど、報酬の少なかったあなたが、なんでそんなにお金を持ってるのよ……!?」

 

「カズマやめぐみんはクエスト行きたがらないし、アクアはバイトだから俺一人でクエスト行ってたんだよ。高難易度でも何とかなった」

 

俺がクエストに行っているのを知らなかったダクネスが、鋭い視線を向けながら。

 

「危険な高難易度クエストなら、何で私に声を掛けんのだ!」

 

「掛けるわけねーだろ! 自分からバインドに突っ込んでいくような奴を連れてってどうするんだ!! それともあれか! 『チェーンバインド』で縛ってモーニングスター代わりにでもしろってのか!!」

 

どうやら、俺が高難易度クエストを一人で行ったのが気に入らなかったらしい。

 

「体の自由を奪われ、振り回されて武器代わりにされるだと……! むしろ望む所だ!」

 

「今、望む所って言ってたな?」

 

「……言ってない」

 

だから、わざと声を掛けなかったんだが……。

 

いつものしょうもない会話の中、この中で一人金欠に悩まされている水色の女性が段々と涙目になっていき、

 

「……ユウ、あなただけは……私を裏切らないと思ったのにいぃーーー!!」

 

アクアがとうとう泣き出してしまった。どうしたんだか……。

 

「つまり、アクアはもうバイトが嫌だから、高難易度でもいいのでクエストに行きたいと……」

 

「お、お願いよおおおおお! コロッケが売れ残ると店長が怒るの! 頑張るから! 今回は、私、全力で頑張るからあぁっ!!」

 

アクアがカズマに必死に懇願し、二人で掲示板まで依頼書を見に行った。テーブルに残された俺とダクネスとめぐみんだったが、適当に雑談をしていた。

 

「しかし、一人でクエストをこなすとは流石だな」

 

「まぁ、俺だけじゃなくて、こいつもいたからな。サポートもうまくやってくれたし」

 

ダクネスからの言葉にそう返し、待機状態のデバイスをテーブルに置くと、めぐみんが不思議そうな表情でもって。

 

「喋るだけじゃなく、サポートもこなせるのですか?」

 

「質疑応答だけじゃなくて、魔法の自動起動なんかの状況判断だってできるぞ」

 

俺の言葉にめぐみんが何やら思い出したようで、しみじみと、どこか懐かしむように。

 

「……私の自称ライバルなら、絶対に欲しがりそうですね。まぁ、あの娘なら一日中、杖と話してそうですが」

 

……なんか、聞くからに残念そうな娘だな。しかし、ダクネスを見るとやっぱり……。

 

「どうした、”相変わらず発情してるな、このメスブタが!” とでも思ったのか?」

 

「いや、ダクネスが俺の剣の師匠に少し似てるからさ。性格的な意味じゃなく、外見的な意味で。ポニーテールとか」

 

珍しく、自分のことを話している俺に興味を持ったらしく、めぐみんから。

 

「ユウの剣の師匠ですか……。どんな人なのですか?」

 

「……うーん。子供の頃から、基本的に打ち合ってばかりだったかな。口で教えられた事って言えば、”届く距離まで近づいて斬れ。”だけだったし」

 

「……す、すごい指導方法だな。もしかして、お前のその外道な性格は、それで培われたものなのか?」

 

ダクネスの奴、まだ言うか! まぁ……まともに付き合っても仕方ない。

 

「要はそこに至るまでの、戦技や戦術は自分のスタイルに合せて、考えろってこと」

 

子供の頃はまだ良かった。剣だけだったから……。問題は背が伸びた辺りからだ、魔法ありでの模擬戦は……。ハァ……思い出したくない。

 

そうこうしている内に、カズマとアクアが戻ってきた。なんかアクアが不安そうな表情をしているが、危険なクエストなんだろうか?

 

そんな疑問を持ちながら、アクアが持ってきた依頼書を見ると、そのクエストは『湖の浄化』。街の水源の一つである湖の水質が悪くなり、ワニ型モンスターのブルーアリゲーターガーが住み着いているとのこと。

まぁ、浄化さえできれば、モンスターはいなくなるので無理に討伐はしなくて良いらしい。

 

「……カズマ、これだったら、めぐみんの爆裂魔法か俺の魔法でモンスター討伐してから、浄化をするってことか?」

 

「いや、今回はアクアだけで大丈夫なはずだ。俺に考えがある」

 

カズマが自信ありげに答えた。なら、やりたいことがあるから丁度いい。

 

「……私、今から売られていく、捕まった希少モンスターの気分なんですけど……」

 

今アクアは、捕獲したモンスターを運搬する檻の中にいる。要はこの檻を湖に沈めて、モンスターから身を守りつつ浄化を行うのが、カズマの考えた作戦だった。これなら余計な魔法は使わずに済み、アクアも無傷で依頼達成できるかもしれない。

 

 

 

 

アクアは、湖に沈められた檻の中で体育座りして、じっとしている。まだ冬ではないとはいえ相当冷たそうではある。

……さてと。

 

カズマがカートリッジをもって何かやっている俺に疑問を持ったらしく、

 

「ユウ、何やってんだ?」

 

「カートリッジに魔力を補充してるんだ。こいつ自体は使いまわしできるけど、中の魔力は消耗品だからな。魔力と時間の余裕のある時に、こうやってやっておかないと、いざって時に困るだろ」

 

……そう、俺が今持っているカートリッジは装填していた分と予備分を合せて、24発ほど。ウィズの時とデュラハンの時で、それなりに使ってしまっていた。

 

カートリッジもリボルバー式で良かったと思う。これがマガジン式だったら、使う度に飛び出す薬莢の部分を、戦闘後に探さなきゃならない所だ。

 

戦闘の都度、地面を注視して探し回るとか。……想像すると結構マヌケな光景かもしれない。

 

アクアが浄化を始めて3時間が経過した頃……。不意に眠気に襲われてしまっていた。

 

……あれ? ……結構眠いな。……クエストやって、カートリッジにも魔力補充したから疲れがでたか?

今日は天気もいいし、草むらもいい感じだし昼寝したい……。

 

「……悪い、カズマ。少し寝ていいか? 疲れがでたみたいだ。アクアが本当にヤバくなったら起こしてくれ」

 

「分かった。なんかあったら起こしてやる」

 

その言葉を聞いて草むらをベッドにして眠りに着いた。

 

「本当に寝ましたね」

 

「本当に眠ってしまったな」

 

「まあ、いいだろ。今日は出番ないだろうし」

 

めぐみん、ダクネス、カズマから、そんな声が聞こえた気がした。

 

 

 

「『ピュリフィケーション』! 『ピュリフィケーション』! 『ピュリフィケーション』ッッ!」

 

現在アクアは、一心不乱に水質浄化の魔法をかけ続けている。アクアの入っている檻の外には、大量のワニが取り囲み、檻に噛り付いている。まるでおいしい餌がそこにある様な食いつきっぷりだ。

 

「ユウ、早くバインド! バインドでワニ何とかして!! 檻がメキメキいって変な音立ててるから!!」

 

アクアの必死な叫びを他所に、俺はというと……。

 

「……こ、この状況でグースカ寝てますよ!?」

 

「……ああ、見事なものだ……! ここまで無視するとは……! これも放置プレイの一種ということか!」

 

めぐみん、ダクネスから半ば呆れたような感想がもれていた。

 

「アクア! ユウの奴、昼寝してるからな! もう少し我慢すれば、起きるから頑張れ!」

 

カズマからの俺の状態を聞いたアクアから悲痛な叫び声が上がり、半分泣き声にも聞こえる様な懇願が発せられている。

 

「だったら早く起こしなさいよ! 今、檻から鳴っちゃいけない音が鳴ったから!!」

 

「……しょうがねえなぁ。おおーい、ユウ起きろ!!」

 

「……ん? ……檻が壊れてないから、まだ大丈夫……。すう……」

カズマの声で起きたものの、寝ぼけた様な状態でアクアを確認し、再度眠りに着いた。

 

「……また寝てしまいましたよ!? ……しかも大丈夫って言っていましたが!?」

 

「あそこまでの必死な懇願を無視するとは……! 素晴らしいぞ……。これは!」

 

『マスターの言う”本当にヤバイ時”というのは、檻が完全に破壊されて、アクアさんに危害が及ぶ時のばずです。今はまだ大丈夫だと判断したのでしょう』

 

めぐみん、ダクネスから出た言葉に対して、ファルシオンが答えを返す。

 

「アクア、ユウは檻が完全に壊れるまでは手を出さないってさ! ギブアップならそう言えよ! 鎖ごと引っ張って檻ごと引きずって逃げてやるから!」

 

「イ、イヤよ! ここで諦めちゃ今までの時間が無駄になるし何より報酬が貰えないじゃないのよ!」

 

アクアが湖浄化終了した頃、俺は眼を覚ますと、

 

「あー良く寝た! 湖の浄化はどうなった? ん、どうしたんだ3人とも……?」

俺を見つめる3人……特にカズマとめぐみんの視線が突き刺さる様な感じだ。

 

「……お前の言う本当にヤバイ時ってのは、どんな時なんだ?」

 

「檻が壊れてアクアが怪我しそうになったときだけど?」

 

 俺がカズマの問いに答えると、カズマとめぐみんはドン引きしたような表情で、ダクネスは頬を赤らめていた。……寝ている間に何があった?

 

 俺たちは檻へ近づき、中のアクアの様子を窺うと、

 

「……ぐす……ひっく……えっく……」

 

 アクアが膝を抱えて泣いていた。……俺が寝ている間に檻がワニに囲まれた時、必死にバインドで拘束して欲しいと叫んでいたそうだ。

 

 これは流石に悪いことしたな……。

 

 今回のクエストはアクア一人で頑張ったので、報酬は全額アクアに渡すことになったのだが……。

 

 

 

 

 

「でーがらーしーめーがみが~はこばれてーくーよ~」

 

 今俺たちはクエスト帰りでアクセルの街を歩いている。しかし、困った事にアクアには、ワニに対してトラウマを植え付けてしまったらしく、檻から出ようとせず、膝を抱えなにやら悲しげな歌を歌い、周囲の注目を集めていた。

 

「アクア、悪かったてば! 俺、昔から朝は普通に起きれるけど、昼寝だと寝起きが悪くてさ! 本当にゴメン! お願いだから檻から出てくれ……」

 

「嫌。この中こそが私の聖域よ。外の世界は怖いからしばらく出ないわ」

 

 湖からアクセルに帰るまでに何回も謝罪していたが、アクアから出るのはこんな返事ばかりだ……。どうしたものかと悩んでいると……。

 

「め、女神様っ!? 女神様じゃないですかっ! 何をしているのですか、そんな所で!」

 

 青い鎧と特別製の様な剣を持った自分と同じか少し上くらいの年の男が、そう叫びながら、鉄格子を捻じ曲げアクアに手を差し伸べていた。

あの男の態度からするとアクアの知り合いらしいが……。

 

 あの鎧の男……ミツルギとか名乗ってたか……? アクアのこと女神だとか言ってたが、あいつも痛い奴なのか? 

 

 彼とアクアの様子を伺っている内に、カズマへと掴みかかり言いたい放題言っていた。

 流石にダクネスも放っては置けないと思ったのか、ミツルギの腕を掴み返していたのだが、ミツルギに対する言動に怒りが見て取れたし、めぐみんに至っては、爆裂魔法の詠唱を始めていた。

 

 みんな……いきなり無礼な態度だから頭にくるのは分かるけど冷静に……。

 

 と、言い掛けた時。

 

「君達、今まで苦労したみたいだね。これからは、僕と一緒に来るといい。もちろん馬小屋なんかで寝せないし高級な装備品も買い揃えてあげよう。パーティーの構成的にはアークウィザードが一人多いけど、後衛の火力は多い方がいいからね」

 

 ……なんだ? 俺も入ってるのか? 女二人連れてるから、女性陣だけのスカウトだと思ったんだが……。つーかすげぇ上から目線だなあ……。

 

 とりあえず、カズマ抜きで俺たち4人が固まってヒソヒソと話していた。

 

「おいアクア、なんだあの超上から目線の痛い人は……? 装備なんてのはどうでもいいが、今までの経験上あんなのとは係わり合いにならない方がいいと思うんだが……」

 

「ちょっと、ヤバいんですけど。あの人本気で引くくらいヤバいんですけど。ていうか勝手に話進めるしナルシストも入ってる系で、怖いんですけど」

 

 知り合いのアクアにドン引きされてる。

 

「どうしよう、あの男はなんだか生理的に受け付けない。攻めるより受けるのが好きな私だが、あいつだけは無性に殴りたい」

 

 気持ちは分かるが落ち着けダクネス、俺だってわりと我慢してる。

 

「撃っていいですか? あの苦労知らずの、スカしたエリート顔に、爆裂魔法撃っていいですか?」

 

 やるなら俺にやらせろ、めぐみん。爆裂魔法だと冗談じゃ済まないし、俺なら非殺傷性で死ぬほど痛いだけで済むから。

 

 俺たちの話し声を聞き逃していなかったカズマから。

 

「えーと。俺のパーティーは満場一致であなたのパーティーには行きたくないみたいです。俺達はクエスト完了報告があるから、これで……」

 

 カズマが馬を引き立ち去ろうとすると、ミツルギがその前に立ちはだかっていた。そして、剣に手を取り。

 

「僕と勝負しないか? アクア様を、持ってこられる『者』として指定したんだろう? 僕が勝ったらアクア様を譲ってくれ。君が勝ったら、なんでも一つ、言う事を聞こうじゃないか」

 

 ……こいつ……今何つった? アクアをモノ扱いして、賭けの景品にしたのか……?

 

 人をモノ扱い……、初めて『魔法』に関わって遭遇した事件――その佳境で、実の母親が娘に言い放った、俺の幼馴染にとって絶望となった言葉が脳裏に甦っていた。

 

 ――フェイト、あなたは私の娘じゃない……。ただの失敗作……だからあなたはもう要らないわ。何処へなりと消えなさい!

 

 ……ちっ、嫌なこと思い出しちまった……!

 

 カズマとミツルギの間に割って入り。

 

「少し黙って貰えませんか……? ふざけた事ばっかり言ってると、こちらも相応の対応をとりますが?」

 

 静かだというのに、威圧感と殺気が混じった一言にカズマ達全員が驚いた様だった。

 

「こ、怖いですけど……! こないだデュラハンに魔法撃った時より、怖いんですけど……!! 口調は丁寧なのに……」

 

「お、落ち着いてください……!? 街中で撃ったら大変なことになりますから、落ち着いてください」

 

「そ、そうだぞ……。早くギルドに報告にいこう。あ、相手にする必要はないからな」

 

「と、とりあえず、お前がやると、この辺りが大惨事になりそうだからやめろ……」

 

 全員が俺を止めにかかったが、ミツルギが余裕そうに。

 

「ああ、なんだったら二対一でも構わないよ。君たちは駆け出しのようだし、ハンデくらいあってもいいだろう」

 

 どこまで舐めてるんだ……。こいつ?

 

 俺とカズマは眼を見合わせると、すぐにカズマがミツルギへと斬りかかった。ミツルギはすかさず後ろに飛び回避するが、設置型の『ディレイドバインド』で拘束、ミツルギの筋力は意外と高いらしく拘束を引き千切ろうとしたが……。

 

「『スティール』ッ!」

 

 カズマが『スティール』を発動し剣を奪い、そのままミツルギに剣の腹を打ち下ろし、気絶させた。

 

 やるなカズマ。女性じゃないと盗りたいものを盗れるって事か。幸運の高さは伊達じゃないな。

 

「卑怯者!卑怯者卑怯者卑怯者ーっ」

 

「あんた達最低! 最低よ、この卑怯者! 正々堂々勝負しなさいよ!」

 

 ミツルギのパーティーの女性陣が俺達を卑怯者呼ばわりしてきた。スキルを使ってはいけないとか無いし、それはどうかとカズマと顔を見合わせてしまう。

 

 ……馬鹿かこいつら、二対一でいいって言ったのはミツルギだし、俺としては拘束して魔法を撃ち込まなかっただけでも、ありがたいと思って欲しい。どれだけ温い環境で冒険者やってたんだよ。

 

「俺が勝ったんで、この魔剣貰っていきますね。いいよな、ユウ?」

 

「こっちが勝ったら何でも言うこと聞くって言ってたし、丁度いいから、その剣使えばいいんじゃないか」

 

 そんな事を言っていると、この魔剣はミツルギ専用だとか、こんな勝ち方納得しないとか抗議が飛んできたが、カズマが『スティール』を掛ける動作で脅すと、違う意味で身の危険を感じたのか、全力で逃げていった。

 

 

 次の日、ギルドでクエスト達成報告をしていたのだが……。

 

「な、何でよおおおおおっ!」

 

 ギルド内にアクアの叫び声が響き渡っていた。

 どうやら、ミツルギが捻じ曲げた檻は特別製だったらしく、それの弁償の為に20万エリス引かれ、結局報酬は10万エリスになったんだそうだ。

 

 やっぱり、幸運って結構重要なんじゃ……。

 

「アクア、昨日悪いことしたし、なんか奢るから、それで綺麗さっぱり忘れよう……。なっ!」

 

「……ありがとうね、ユウ。あの男、今度会ったら絶対ゴットブロー喰らわせてやるわっ!」

 

 これでアクアと仲直りできたと安心していると……。

 

「ここにいたのかっ! 探したぞ、佐藤和真、浅間悠!」

 

 大声のした方を振り向くと、ミツルギが取り巻きの二人を連れて立っていた。その女性二人ミツルギの後ろに隠れながら俺達の様子を伺っている。

 

「君たちの事はある盗賊の女の子に聞いたら、すぐ教えてくれたよ。佐藤和真、君はパンツ脱がせ魔だってね。その他にも女の子を粘液まみれにするのが趣味だとか! そして浅間悠、君は小さい女の子を散々弄んで捨てたり、女性を拘束して好き放題やってるらしいじゃないか。噂になっていたよ。アクセルの鬼畜コンビだってね!」

 

「「おい待て、誰がそれ広めたのか詳しく」」

 

 俺とカズマの声がハモり、めぐみんとダクネスの方を見たが……。

 

「……私は噂を広めてはいませんよ」

 

 ……でも、この噂の出所はどう考えてもお前だよな、めぐみん。

 

「私はユウのバインドの素晴らしさを大声で語っただけだが」

 

 それが噂を広めるってんだよ……! ダクネス。

 

 そしてミツルギはアクアに嬉々として、自分のパーティーに入る様に説得しながら詰め寄り……、

 

「ゴットブローッ!」

 

 思い切り殴られていた。カエル相手では不発でも、人間相手でここまで威力があるとは……侮れない……。

 そしてアクアは檻の修理代金を請求していたが、何故か30万エリス要求していた。

 

 20万エリスじゃなかったっけ? まぁ慰謝料込みって事でいいか。

 

 アクアに30万エリスを即金で払ったミツルギだったが、カズマに対し剣を返して欲しいなどと、随分と都合のいい話を持ちかけていた。

 

「本当に都合のいい話だな……。俺としては、あのまま魔法を撃ち込んでやりたいくらいだったのを街中だったから我慢したんだが……そこまでやられる可能性があって、それでもそんなこと言うのか?」

 

 俺の言葉を聞いたミツルギから脂汗が垂れていたが、めぐみんから袖を引っ張られ、

 

「……まず、この男が既に魔剣を持っていない件について」

 

「さ、佐藤和真! 魔剣は!? ぼぼぼ、僕の魔剣はどこへやった!?」

 

「売った」

 

 カズマから魔剣が売却済みと聞かされたミツルギは、泣きながらギルドを飛び出した。

 

 ……そんな大事なものを、賭けの景品にしたんだから自業自得だ。

 

 その後、またアクアから自分が女神だとか訳の分からない事をいい出したが、

 

「「「っていう、夢を見たのか」」」

 

俺、めぐみん、ダクネスに即座に否定されていた。

 

 その時、冒険者ギルドのみならず、アクセル全体にアナウンスが響き渡り。

 

『緊急! 緊急! 全冒険者の皆さんは、直ちに武装し、戦闘体制で街の正門に集まってください! ……特に冒険者サトウカズマさんとその一行は、大至急でお願いします!』

 

……俺らが大至急? ……なんで?

 

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